激動の情勢に「チェンジ」で応えるパブリックの輿論を!
 恒例の望年会。一年の教訓を「忘」れず、来年を展「望」しようとの趣旨。今年は国民の審判を逃げまくる総理の下、年末の日程が読めなかったこともあり、12月23日、事務所での開催となった。

 09年はいよいよ決戦の年。必勝を期す五十嵐文彦、樋高剛・前衆院議員、初鹿明博・都議、また夏に予定されている都議会議員選挙に臨む増子博樹、花輪智史、野上幸江、原田大、吉田康一郎(以上現職)、田の上いくこ・江戸川区議が、それぞれ決意を述べた。前田参院議員からは主権者運動の重要性が、戸田代表からは五回大会方針の総括に立って09年の指針が提起された。激動の情勢に、「へたりこまず」「自暴自棄にならず」小さな知恵を出し合ってきた各地の会員活動の報告と交歓が四時間近く続き、それぞれの持ち場での課題を共有した。 

 09年、激動はさらに深まる。これに「チェンジ」で応えるパブリックの輿論こそが、この先の十年を「失う十年」から救うことができる。09年をチェンジの年に!

議員をつかいこなす主権者になろう
12月13日「チーム白川」の結成総会を開催。

総会は渡辺さんの司会で、代表世話人挨拶「チーム白川」立ち上げ経過報告などが行われました。

世話人から、従来の後援会と異なり、議員を支援すると同時に「議員が掲げた政策の検証を行う」こと、議員と会員は縦の一方向支援の関係ではなく、議員と「チーム白川」が双方向の関係に立つように運営していくことが話されました。

来賓の調査議連代表の石川下公議員より、今年をあらわす漢字『変』から変化への対応の必要が示され、「チームとはよそ者、わか者、バカ者をマネジメントしていくことである。バッジをつけない人たちが、今後議員を(白川・石川議員を含む)いかに使いこなしていくか。」という含蓄のある挨拶が述べられました。

白川議員から、このような議員と市民の関係作りは、初めての試みであること、そして高杉晋作の「功山寺決起」を引用し、少人数のスタートであることを心配する必要は無く、時代を転換する活動は目的意識を共有した少数から始まることが、歴史の教訓として話され、小さく産んで大きく育てていくことを確認しました。

総会終了後、浅子さんの司会で18名が参加して懇親会が行われ、参加者の活発な意見交換の場となり、最後の浅子さんの総括の言葉「Yes We can as a team」で締めくくられ、活気に満ちたスタートを切ることが出来ました。

アメリカのイメージを変えた「オバマ政権誕生」
12月8日、京都で恒例の「関西望年会」を開催。
望年会に先立って「アメリカ新政権の外交と日本の課題」のテーマで、同志社大学の村田晃嗣先生から特別講演をうけた。

「国のイメージを変えた」アメリカ社会と政治のダイナミズム。この変化に対応する覚悟と想像力をおおいに喚起された講演であった。 たとえば環境経済戦略。京都議定書から離脱した「ブッシュのアメリカ」から、一気に「連邦政府として二酸化炭素排出権取引をルール化する」と転換を表明。開催中の「COP14」では、現政権とともに「オバマチーム」もダブルトラックで環境外交交渉に臨んでいる。これが「大統領が変わったから」というレベルではないことは、カリフォルニアをはじめすでに十数州で排出権取引が始まっており、シカゴには排出権取引市場まであることでも明らか。

中国の57兆円にのぼる内需拡大策も、産業構造の転換を目指した意欲的な「都市と農村の生活環境インフラ整備」が目玉になっており、日本には「日米中環境経済戦略」とでもいうべき構想力がとわれる。「省エネ大国だ」「環境技術は日本だ」と過去の遺産にしがみついている間に世界は変わり周回遅れのランナーに。バッチをつけない主権者としては、「お任せ民主主義ではだめだ」と訳知り顔でいる場合ではない。日本の政治のありようを変える社会経済の総力戦が必要だ。

望年会では冒頭、戸田代表から「主権者は政党を使いこなせ」との示唆が、福山哲郎参議院議員からは「ガバナンスの責任と重み」が語られた。平智之・民主党京都第一区総支部長の音頭で乾杯。山本ひろふみ京都市会議員の司会で、木村正治東大阪市議、祐野恵長岡京市議、今江政彦滋賀県議、吉田恭輔羽曳野市議がそれぞれ今年の教訓と来年への抱負を語った。京都学生読者会、大阪読者会の紹介のあと、最後に隠塚功京都市会議員が「丑年の来年は主権者自身の飛躍の年」とのあいさつで締め括った。

今回は30代の企業経営者からも参加があり、熱心に講演や望年会の発言に耳を傾けた。経営環境が激変する中「何とかしなければ」という思いに、多くの気づきや共感が得られたようだ。同志社や龍谷大の政治学研究会の学生からも、地道な活動が定着しつつあると報告があった。

次回「第16回 関西政経セミナー」は、3月1日(日)開催。「低炭素化時代の日本の課題」をテーマに、諸冨徹・京都大学准教授の講演を中心に議員を交えたパネルディスカションを行います。午後2時より、京都駅前のメルパルク京都(旧ぱるるプラザ)6階大会議室で。ふるってご参加を。
杉原卓治

「十年後の総理を、香川から!」
12月6日、高松にて、小川衆院議員、植松参院議員、玉木・香川2区予定候補の座談会を開催。
強力な寒気団の南下で、高松でも珍しいくらいの冷たい北風が吹き荒れるなか、政権交代にむけた熱い思いを、それぞれ語っていただいた。

麻生内閣の支持率が急降下、「どちらが総理にふさわしいか」でも、小沢さんが麻生さんを上回り始めたが、それでも「どちらもダメ」が五、六割という状況。しかし「世論調査の数字で、民意が分かったつもりになるのは間違い」と、それぞれが言い切る。
「みなさん、この香川から十年後の総理を選んでください。あなたの一票でそのスタートを切らせてください、と言えば『小沢さんか麻生さんか』という話ではなくなる」と。

まさに「評論」ではなく、「あなたの選択」を問う、という共感トークのコミュニケーションがあれば、「自民か、民主か」ではなく(それとは別次元の判断である)「民主主義のためには政権交代があったほうがいい」という民意を、確実に一歩一歩「健全な選択」へと高めていくことができる。

翌日は、小川淳也事務所の忘年会。総選挙に備えて高松市内に準備した事務所の撤収を兼ねた集まりだったが、来るべき決戦にむけて大いに盛り上がった。

「地方政府確立の時代の議会の課題」
12月5日、第86回定例講演会は、「地方政府確立の時代の議会の課題」と題するパネルディスカッション。
今年一月の第五回大会第二部のパネルディスカッションをキックオフイベントとして、この一年続けてきた同プロジェクトの締めくくりイベントでもある。
福嶋・前我孫子市長、木下・前佐賀市長、花輪・東京都議、隠塚・京都市議、堀添・川崎市議、白川・越谷市議によるパネルディスカッションでは、福嶋さんから、地方自治における民主政の意味として、二元代表制→二つの民意+市民の直接参加という「三つの緊張関係のもとで運営される」こと(だからこそ、議会が決定の場として機能することが決定的に重要)、国政と違って直接民主制の手法が取り入れられていることが、あらためて整理された。

木下さんからは、人口減少でパイが縮小するなかでは、何をあきらめるか、優先順位の合意形成が重要であり、それは首長ではなく議会が決めなければならない、それができなければ「持ち時間」が少ないなかで、自治体はあっちへフラフラ、こっちへフラフラということになる、と提起された。

各議員からはこの一年間、少しずつではあるが、国民主権で二元代表制の議会を機能させるための小さな知恵を積み重ねてきたことが報告され、改めて「議会がうごかないことを、制度論に逃げる」のではなく、民主主義の原則からこれを動かす知恵を、どうしぼり、また共有してきたかが、この一年の総括の軸であることが確認された。

おりしも「給付金」をめぐる迷走で、地方は大迷惑だが、福嶋さんは次のように喝破した。
新自治法では自治体の事務は「法定受託事務」と「自治事務」しかない。自治事務は、介護保険のような、国の法律に規定された法定事務と、自治体の裁量による任意事務に分けられる。
給付金は法律の裏づけがない(予算のみ)のだから「自治事務」である。自治体が自ら決める自治事務であるにもかかわらず、麻生総理が「一人一万二千円、高齢者と子どもにはプラス八千円配る」と言ったら、それだけで全自治体が「自主的に」右へ倣え、というのは、新自治法の下ではありえない話ではないか。給付金がこのまま通るなら、日本に地方自治はない、ということになる。

事務の煩雑さや、地方への丸投げ=責任放棄、政策理念のスジの悪さなど、批判すべきポイントは山のようにあるが、やはりここは、国民主権の原則からきっちり押さえておかなければならなだろう。その上で、各地方議会ではぜひ、意見書の採択、その前提としての事実の確認を行っていただきたい。地域振興券の時の事務作業はどうだったのか、手間、コスト、人員などを調べれば、給付金でどれほどの手間、コストが自治体に降りかかってくるか、分かる。自治事務であるのだから、議会が決定する(議会が決定しなければ通らない)。決定する責任を議会自体が意識するためにも、すくなくともその事実を共有した議論をすべきだろう。

越谷市議会では、すったもんだのあげく、意見書を議案として提出することになった。我孫子市議会には、久野さんが勇猛果敢に意見書を提出して奔走している。

地方議会で意見書が相次ぐという状況は、暫定税率の時以上に、与党にとっての「三分の二」のハードルを高くすることを意味する。自民党の中堅のなかには、内閣支持率急落を受けて、「17名が造反すれば三分の二の再議決はできない、ということを意識している」という者もすでにいる(そうな)。

「あなたの街は大丈夫?」木下敏之氏講演会を開催
 前佐賀市長「木下敏之氏」を講師にむかえ行財政改革講演会「あなたの街は大丈夫?」を11月29日(土)鎌ケ谷市中央公民館で開催した。

 木下氏から、自治体は人口構造の変化を把握していないため、時代の変化に合わせた経営理念を示せないとの報告があった。高齢者の数、子どもの数、働く世代の数などを的確に把握しなければならい。他市の成功事例は、そのままでは活用できず、地域の実態にあった行財政改革でなければ有権者の支持は得られない。

 また、鎌ケ谷市長選挙の30年間のデーターが示され、投票率の変化にフォロワーから、どよめきが起きた。低投票率は、鎌ケ市に限ったことではない。グローバル化と人口減少社会に向け、自治体経営の問題設定と、ノンバッジの主権者の気づきを課題として提起され、鎌ケ谷にける、地域における主権者運動のテーマが明確となった。

報告 鎌ケ谷市議会議員 泉一成

「政権交代に向けた準備と蓄積」―第85回定例講演会を開催
11月25日「政権交代に向けた準備と蓄積」と題して、福山哲郎参院議員をお招きし、第85回定例講演会を開催。

解散権を弄ぶ麻生総理が、「11/30の解散はしない」と言ったのが10月末。そこから日程を調整したために、月末の開催となった。ところがこの日も、総理は「会期の延長と、二次補正予算案の不提出」を表明。「政局より政策」「経済が優先」と言っておきながら、年末の一ヶ月もの間、補正予算も出さずに延長した国会で何をやるのか? まさか、60日ルールの日が来るのを「寝て待つ」のではないでしょうね?

ということで、翌日の参院本会議の運びも含め、今後の国会運営をめぐる党内の会議や調整に、福山議員も執行部の一員として忙殺されるなかでの、緊迫感あふれる講演となりました。

講演の内容は、安倍〜麻生政権をめぐる基本構造、「ねじれ」国会の功・政権運営の「仮免期間」、そして、マニフェスト〜財源をめぐる自民党との価値観の違いなどでした。

とくに、「ねじれの功は有権者国民に与えられたもの」との観点は、改めて「主権在民の方程式から政局をとらえる」という実践感覚が、きわめて生き生きと伝わってくるものでした。

解散日程をめぐる麻生政権の「迷走」は、もはや「野垂れ死」に近い状況。解散権は総理の大権ですが、あくまでも主権者は国民。主権在民で政治を動かすために、国民から与えられた大権を、国民の審判を逃げまくるために弄ぶとは、まさに民主主義の原則に反する「大罪」というべきでしょう。

「何も決められない」政府と自民党の状況は、例えて言えば鳥羽伏見から逃げ帰った徳川慶喜は蟄居、大老以下の幕閣は総無責任の逃げまくり、という幕府末期の内部崩壊にも匹敵します。鳥羽伏見で掲げられたのは「錦の御旗」、主権在民の今日では「錦の御旗」は民意にほかなりません。確かに解散権は総理の大権ですが、これを民主主義の原則に反して弄び続けるなら、国民の信を問えという民意を、「錦の御旗」として掲げるべきでしょう。この「錦の御旗」に対して、「よき敗者」となれるか。与党にはそれこそが問われるべきでしょう。(オバマ大統領の誕生は、広範な民意とともにマケイン、ブッシュが「よき敗者」として振舞うことによっても支えられている。)

おりしも給付金騒動で地方に降りかかる迷惑と混乱は、暫定税率の時の比ではありません。来年まで補正予算を提出しないなら、(給付に関わって地方に降りかかる膨大な事務作業からしても)「年末給付金」どころか、「夏休み給付金」になりかねません。道路財源もどうなることやら・・・ こんなことで、はたして09年度の「税制改正」がまとまるものやら・・・ こんな政府では、地方は予算も組めません。

「求む!まともな政府」「地方にこれ以上の迷惑、負担をかけるな」という決議くらい、地方議会からあげてもいいのではないでしょうか?

「がんばろう、日本!」国民協議会・ちば地域議員フォーラム
「がんばろう、日本!」国民協議会・ちば地域議員フォーラムのパネルディスカッション「市民が動いた!議会が変わった!!」を、11月16日我孫子市にて開催した。

第一部・基調報告「議会と向き合う市民活動」では、越谷の西川同人(バッジをつけない主権者)より、「副市長2名制」をめぐって市民が議会を機能させるための歩を踏み出した活動の報告と、それを受けて白川同人(越谷市議会議員)からは、議会で議員同士で討議をし決定する、そして市長とむきあうために議会の合意を作ることへの執念のたたかいが報告された。

第二部のパネルディスカッションは、「議会改革と市民の意識性の関連性」と題し行われた。
同人議員パネラーは、窪田・富里市議、幸正・白井市議、泉・鎌ヶ谷市議、久野・我孫子市議。
各々の事例から「議会改革」への方向性を模索する発言を行った。
フオロワーからは緊張感をかもしだす発言も多く「バッジをつけた主権者とバッジをつけない主権者の協働」の課題ー「グローバル化と人口減社会」での問題設定の共有から戦略的歩みを始めるーを共に課題として持ち帰るものとなった。

11月9日、野上ゆきえ都議の「都政報告会」が開催された。
早いもので、都議会に初当選してから3年あまり、来年は改選を迎える野上都議。

何もないところから始めた地元の活動も、住民の声に耳を傾け、地域の問題にコツコツと取り組むなかから、ようやく「形」になってきた。この間の苦労が思い出されたのか、あいさつの途中で感極まる場面もあったが、最後まで堂々と都政、区政をめぐる政策を説き、「変えるのは、私たちひとりひとり、みなさん方ひとりひとりの参加です」と、力強く訴えた。

この日は、小選挙区の予定候補「木内たかたね」さんの紹介も兼ねた集まりで、円参院議員、蓮舫参院議員、大河原参院議員がそれぞれの切り口・持ち味から、麻生内閣との論戦・攻防を提起、一国も早く解散総選挙で政権交代を、と訴えた。

11月7日。第三回マニフェスト大賞の授賞式が行われた。
今年も地方議員・会派、議会、首長から多数の応募が寄せられた。「がんばろう」の会員・同人の地方議員も、多数応募。

そのなかから今年大賞に輝いたのは、松尾崇・神奈川県議(ベスト・ホームページ賞)と、増子博樹・東京都議(最優秀アイディア賞)。

松尾県議のホームページは「政策の表現がうまい」こと、戸別政策ごとに役所の対応や進捗状況を明らかにする、という説明責任への市政が評価された。

増子都議の提案は、転院先が見つからないという「医療難民」「介護難民」問題への対策。東京の医療・介護問題がますます深刻化するなか(オリンピックや新銀行東京に注ぎ込むカネは、ないはず!)、ぜひ来年の都議選のマニフェストに掲げ、議会の力で実現するところまで、がんばっていただきたい。

10月6日、「地方政府の時代の議会改革プロジェクト」拡大版を開催。
ゲストスピーカーは、福嶋浩彦・前我孫子市長。
第一次分権改革(2000年)、三位一体改革(02年から07年)そして第二次分権改革の流れを整理しながら、改めて、分権とは「国が地方に権限を分ける」ことではなく「主権者たる国民が、国と地方自治体に権限を分けて委譲する」ことであり、権力・権限をできるだけ主権者の近いところに置いて、主権者がコントロールできるようにすることだ、と提起。そこからすれば、分権はやったほうがいいかどうか、ではなく主権在民からすれば「原理だ」と。

また、国では首相のリーダーシップ不足が、地方自治体では首長の権限が強すぎるといわれるが、本来、一元代表制である議院内閣制(国政)は権力集中型、二元代表制(地方自治)は権力分散型であるにもかかわらず、それが「逆転」するというのは矛盾。その背景には、国は「官僚内閣制」で運営され、地方は「疑似議院内閣制」(議会の多数派を基盤とする首長)で運営されていて、どちらも主権者が決定から疎外されている、と指摘。

地方で「議会が弱い、だから二元代表制は問題だ」という声があるが、主権在民の原理から現実の政治システム(この場合は二元代表制)をいかに機能させていくのか、ということを外して、「議会が弱いことを制度のせいにするな!」ということである。

昨年秋から開始した当プロジェクトも、基本的な骨格(主権在民の原理原則から現実の政治システムを使いこなす、機能させる)、方向性は整理されつつある。総選挙後からは、それをいかに具体的な政治攻防として展開していくか、というステージに移らなければならない。

後半では、解散総選挙をめぐる政治攻防を、国民主権の原則からどのようにマネージしていくかが、戸田代表より提起された。

9月10日、第68回東京・戸田代表を囲む会を開催。
ゲストスピーカーは、山下一仁・前農水省農村振興局次長。タイトルは「グローバル化と人口減少時代の農政改革」。
山下氏には四年前にも、農政改革をテーマにお話しいただいたが、山下氏曰く「私の主張は以前と全く変わっていない。十年以上同じことを言い続けてきたが、最近になってようやく、世の中に賛同者が増えてきた」。
世界的な食料高騰、食料需給の逼迫(将来の食料危機の可能性)のなかでなお、減反を続ける日本農政の不合理、非合理さに、ようやく世間常識から光が当てられつつある、というところだろう。

農業保護の水準ではなく、方法(高米価維持、そのための減反と高関税維持)が問題であること。それを生み出した歴史的背景と構造(抵抗勢力!)、そして市場経済を前提にするなら国民経済的にも、「これ以外にない」という農政の転換(減反・生産調整をやめ、専業農家に限定して所得補償を行う、これによって農業所得全体のパイを大きくして、パートタイム農家にも「地代」という形でそれが回るようにする)が提起された。(詳細は「日本再生」353号 10/1発刊を参照)

後半では戸田代表から、福田辞任後の政治情勢を、国民主権の原則からどのようにとらえ、マネージしていくかが提起された。

「地方政府確立の時代の議会の課題」プロジェクト・拡大版を開催
昨年秋から開催している「地方政府確立の時代の議会の課題」プロジェクトは地方議員を軸に「議会改革、自治分権」を実践的に深める勉強会である。
この夏は「拡大版」として、ノンバッジ組も含めて二回開催した。

第一回(第8回PT)では、木下敏之・前佐賀市長をゲストスピーカーに新著「なぜ、改革は必ず失敗するのか」の紹介を含め、統計的知見に基づいた自治体経営(「運営」ではなく!)について実践的に提起された。(7月22日)

第二回(第9回PT)は木下博信・草加市長をゲストスピーカーに8月18日に開催。
行革先進市・草加における取り組みの実績と、市政五十周年を迎える「あるもの磨き」のまちづくりが提起されました。

現状の「地方自治」(国と自治体が上意下達、自治体が国の下請け機関と化している)では
@膨大な無駄、非効率
A主権者である市民が判断できない、ツケだけは回されると指摘。
@については、在宅福祉事業補助金(H15)の草加の実例から、714時間が費やされている事務の簡素化を検討した結果、167時間にできる→547時間が「無駄」。Aについては夕張の例が挙げられ、分権は「国と地方の財源争いではなく、無駄を省いて自治を実現すること」だと述べられました。

また、役所の生産性を上げるため、H20年までは「サービス削減、負担増を行わない」として、職員が「限界」に突き当たって知恵を出さざるを得ない環境を作ってきたことが述べられました。
負担の適正化は当然必要だが、それを先にやると職員は「知恵を絞らなくてもいいんだ」「ほどほどやればいいんだ」となってしまう(隣で福嶋さんも「そうそう」とうなずく)ので、まずは限界まで「追い込む」とのこと。
これは、パリダカを完走した経験を持つ木下市長のお人柄とも、見事にマッチしたアプローチ。

拡大版の二人の木下氏のお話は、「日本再生」353号(10/1)に掲載予定。

文部科学省の政策棚卸し=事業仕分け
8月4日、5日の二日間にわたって行われた、文部科学省の政策棚卸し=事業仕分け。
自民党の「無駄撲滅プロジェクトチーム」のなかで、河野太郎議員が主査を務める「その他」チームが、構想日本の協力を得て行った。無駄遣い=利権というだけではなく、「政策目的の妥当性」「優先順位の妥当性」「手法の妥当性」「民間事業との比較」など、政策評価の入り口にたつようなやりとりが展開された。
マスコミも含めてオープンにやることの意義も大きい。

評価人にはプロジェクトメンバーの議員のほかに、これまで自治体の事業仕分けに携わってきた自治体職員や首長経験者(福嶋さんも参加)、現場を知る専門家(今回は大学の先生や研究者、小中学校の先生や校長経験者、教育研究者など)も参加。
モデル事業として「市町村に○○させる」などと言おうものなら、「その発想が間違っている」と指摘される。「そもそも地方や民間で、この政策目的に沿った事業がどれだけ行われていて、どんな実績があり、どんな問題点、課題があるか、調べたことがあるのか」との質問にも、ほとんどまともな答えはなし。

事業仕分けの詳細は、河野太郎議員、山内康一議員のブログを参照。

9/1発行の「日本再生」には、プロジェクトチームの中心メンバーの一人、亀井善太郎議員のインタビューを掲載する予定です。

第12回・京都戸田代表を囲む会
8月2日18時30分より、福山哲郎・参議院議員をゲストスピーカーに「第12回・京都戸田代表を囲む会」を開催。

福山議員からは、通常国会の総括(ねじれの功罪)を踏まえ、福田改造内閣の評価、総選挙にむけた展開や民主党の課題、金融経済をめぐる世界的な情勢などが語られた。

続いて、同人地方議員を軸に、「国会と地方議会を通じた、主権在民の方程式での議会改革の現状と課題」、右肩下がりの経済社会における社会政策などについて議論が展開された。

インフラ整備についても、右肩上がりの惰性をいかに断ち切るか。下水道を過疎地にまで普及するこれまでの計画を見直す政策転換を訴えてきた、全国環整連からも玉川会長をはじめ七名が参加。バッジをつけない主権者として、政策転換につなげるような政治運営にむけた検証や注文が述べられた。

逆転国会・参議院から見た通常国会の総括
6月9日、第82回定例講演会は、「逆転国会・参議院から見た通常国会の総括」と題して、民主党参議院議員によるパネルディスカッションを開催。尾立源幸、蓮舫、植松恵美子、米長晴信、徳永久志、水戸将史の各参院議員にパネラーとして参加していただいた。

尾立、蓮舫議員は04年当選。昨年の参議院選挙で民主党が参議院多数派となるまでは、衆参で与党が圧倒的多数を占める中、強行採決が連発されていた。このなかでの苦労をともにしてきたので、「三年間、よく耐えたよね」と顔を見合わせながら、「逆転国会」でそれまでの国会と何がどう変わったのか、政治がどのように見えるようになったかを提起した。

昨年当選の四名の参議院議員のうち、植松、米長、徳永の各氏はいずれも「一人区」。地方の民意がどのように変わってきているか、がそれぞれの実感を込めて報告された。また地方議員の経験を持つ徳永、水戸議員からは、地方分権の問題や日程国会の問題点なども述べられた。

後半は、この通常国会の教訓をどのように次の政権選択選挙へ結び付けていくかについて。フロアからの「何をあきらめるか」、それを国民が選択できるマニフェストを、という質問に答えることもふくめて、それぞれから「信頼できる政府をつくる」「自民、民主の最大の違いは、個々の政策というよりも、国民に信頼される政府をつくれるかだ」ということが述べられた。「政権交代ができるかどうか」ではなく、「政権交代したらこうする」という大きな方向性の下に、それぞれ明確な個性が一致して、新しいハーモニー(プラスの協奏関係)を生み出しつつあることが伺われた。

第13回 埼玉・戸田代表を囲む会
5月27日、第13回となる埼玉・戸田代表を囲む会を開催。

ゲストスピーカーは、木下・草加市長。
石川下公・「議連」会長より、越谷市議会の取り組みが報告された後、
木下市長より、市政改革の取り組みが話された。

二次会では、さらに、ざっくばらんな質問が出され、大いに盛り上がった。

昨年に引き続き、合宿を開催
昨年に続き、5月6日7日と一泊二日の日程で合宿を開催。
昨年同様、熱海のホテルに55名が参加。五回大会を経て、バッジをつけた主権者とバッジをつけない主権者の協働が、組織として回り始めていることが、各地の同人から報告された。

一日目、パート1は「自治をリードする議会に」ということで、福嶋・前我孫子市長からの問題提起、木下・前佐賀市長からの報告に続き、来年夏に迫った都議選にむけたマニフェストについての報告。特別講演として、小室・富士宮市長から「食によるまちづくり〜フードバレー構想」が提起された。(下写真:小室・富士宮市長のプレゼン)

福嶋氏の提起は、「執行過程・行政は代行できるが、意思決定は代行できない」「本来代行できないことを代行するのが議会制である以上、議会こそ主権者の直接参加が必要」ということを軸に展開。合宿全体の基調となった。

意思決定は代行できない、ということは意思を持った主権者が見える、ということであり、主権者の意思・一票で政策や政権が変わるということが、生活実感として分かる「輿論」が形成されつつあるということ。
議会改革はまさに、こうした輿論・主権者との連携・協奏によって迫り出していくものであることが、各地の活動からも報告された。さらに懇親会では、日ごろ接する機会の少ない地方の同人会員との交流で、「協奏関係がとのように組織になりつつあるか」が実感的に共有された。

二日目は、各地からの活動報告と、そのなかで見えつつある「障害を克服していく」という組織戦の諸相を共有。「意思決定は代行できない」という自治・主権在民の根本が実践的指針になったところから、決定過程を改革する(議会改革)というときの「障害」やギャップは何か。これが見えていないと「障害を克服していく」という組織戦は見えてこない。マイナスや分かっていないものとの関係で改革を語る、ということになる。「あるべき議会」へ向かうための障害は何か、ギャップをどう埋めるのか、その知恵を回すために読者会や同人会議、囲む会をどうセッティングしていくか。このように活動のPDCAサイクルが回り始める。

意思決定は一人ではできない。チームで討議し、方針を共有し、責任を問いあう、ということがあってはじめて「意思決定」ができるということになる。主権在民の原則的な組織の作り方が、それぞれの「持ち場」でモデル化されつつある(可視化)。同時にそれをさらに広げていく多数派形成のためのポイントも、整理された。

また決定過程に対するリアリティーが普通の人のなかにも生まれつつあるなかで、議会改革と国会改革をリンクさせることは、次期総選挙を健全な政権選択選挙とするための基盤整備のポイントであることが確認された。

第65回 東京・戸田代表を囲む会
第65回 東京・戸田代表を囲む会は、「党改革、国会改革」について、お二人の自民党議員にお話しいただいた。
木原誠二・衆院議員と、山内康一・衆院議員。「国民本位の政治を実現する会」という勉強会を立ち上げて活躍中。

党改革については、日本の既存政党を前提にしても始まらないので、「国際競争力ナンバーワンの政党をつくる」との出発で、イギリスの労働党、保守党、ドイツ社民などを研究するところから「あるべき姿」を目指した改革を提案するとのこと。

国会改革についても、「政治主導の確立」「立法府の役割」「行政の役割」という原則的視点から、「あるべき姿」を求めるというアプローチ。

こうしたストレートな問題設定に「そんなこと、できっこない」「党内で通るわけない」「所詮は若手のスタンドプレイ」などというのは、「老人病」にほかならない。「ねじれ」状況は、政治を機能させるチャンスであり、この下で「国会を本来の姿にする」ための国会改革を、自民・民主の共通課題にすることは、輿論の後押しがあれば十分可能な情勢になっている。(「せんたく」の意義もそこにある。)
国民主権の方程式を共通の前提にしたうえでの、政党間競争(本来の意味の政権選択選挙)がどういう風景になるのか、どういう人格がそれをリーダー的に担うのか、ということが具体的な像として見えてくる。そういうステージが開けつつあることを実感させる「囲む会」となった。

ちなみに、中央公論に掲載された「国会改革」の提言についての、七人(自民4、民主3)の議論が、山内議員も参加して、この翌日収録された。放映は憲法記念日の特集番組(10:05〜11:30)。これも、そうしたステージを実感させることになるのではないか。

地方政府の時代の議会改革プロジェクト
第6回となった「地方政府の時代の議会改革プロジェクト」を、4月21日に開催。
今回のゲストスピーカーは、石川良一・稲城市長。

全国市長会で介護保険対策特別委員会委員長を務める関係で、国の審議会にも「地方代表」として参加されている。
一方で、介護ボランティアをポイントに換算して保険料を軽減するという試みには、「地域力の再構築で地域福祉を支える」ものとして、全国から注目が集まっている。

参院選後、介護や医療の審議会でもガラッと空気が変わったこと、「できるはずのないこと」(あれもやります、これもやります、でも増税はしません)を掲げて権力をとることはできても、その帳尻はどこかであわせなければならず、ツケが回ることなどが、忌憚なく述べられた。 また稲城市は健全財政(経常収支比率84.9。メンバーの地方議員から感嘆の声があがる)で知られているが、結局それは、市長としての権力を執行する責任性にあることが、明確に伝わるお話だった。執行すべき権力を執行しない誤りからは無責任連鎖しか生まれない。市民サービスの供給には財源が必要であるにも関わらず、「あれか、これか」の選択を市民に問わず、要望を聞いているだけの自治体は、夕張のように無駄なハコモノを造らなくても、取り崩すものがなくなって破綻する。それは遠い将来の話ではない。

議会改革についても「議会は討議して決定する責任がある。現状は、いくつもの案・要望を羅列して出してきて、どうするかは執行部に『お任せ』。討議して優先順位をつける(決定する)のが議会の役割」。議員の役割、機能についても「直接民主主義的手法がますます取り入れられるなかで、コーディネーターとしてのプライトを。市民の意見・要望をそのまま仲介するだけなら、議会なんかいらない、アンケートでもやって決めればいいということになる」との指摘。

福嶋・前我孫子市長とはまた違ったアプローチから、議会の責任が鋭く提起された。
(市長の写真は市役所ホームページより)

主権在民の自治体改革
4月19日、京都市内で第15回関西政経セミナーを開催。

自治体議員を中心に、80名が「主権在民の自治体改革」をテーマに議論した。

福嶋浩彦・前我孫子市長の基調講演、泉健太・衆議院議員の国政報告につづいて行われたパネルディスカッションでは、京都市会・京都府議会・越谷市議会・羽曳野市議会の夫々の現状と課題が報告されたあと、「主権者たる市民が議会をしばる仕組みづくりが議会改革。市民に立脚した議会(市民から直接意見を聞き、直接説明責任を果たす)の議決権の拡大は市長の権限をしばるもの。この観点が抜けた自治基本条例は単なるアクセサリーになる。今、改革派議会の登場が求められている」(福嶋氏)と議論が深められた。

戸田代表のまとめでは、「主権者とは政策の形成過程にまで参加するもの。独立変数の主権者運動が生まれ、政策の決定過程が変わってきた。各地の自治体で可視化モデルをつくれ」と指示があった。

セミナー後の懇親会には、公務の合間をぬって門川大作京都市長も参加され、「市民や市職員の力を引き出し、その力を十分発揮できる仕組みときっかけづくりをするのが私の職責」と主権在民の京都市政改革について報告された。

今回のセミナーと懇親会を通じて、自治体議会や国会で何が行われているかがまず具体的にイメージできるようになり(可視化)、「主権在民の立場に立てば、分権は原理」(福嶋氏)という心棒を共有することで、さまざまな自治体の現状を一歩一歩改革(本来の姿に原状回復する)できるという、気づきと共有感を深めることができた。 (杉原記)

主権在民の方程式で政治を動かす
(白川同人のブログより転用)

4月14日、午後6時30分、市ヶ谷のアルカディア市ヶ谷(私学会館)で、「主権在民の方程式で政治を動かす〜通常国会の中間総括〜」をテーマに枝野幸男衆議院議員の講演があり、参加して来ました。
 主催はがんばろう、日本!国民協議会で81回目の定例講演会でした。
そこで、印象に残った内容を紹介します。

 講演では、まず先般の国会でのクエッションタイムでの福田総理を始め、自民党の幹部の皆さんが「ねじれ国会」への対応が始めての様に話されている事に関して。
 実はすでに2度「ねじれ」は体験されており、1度は98年に参議院で多数を占めた民主党を前に金融国会を経験した。
 この時には自民党は国会の乗り切りのため完全に民主党案を丸呑みにして凌いだ。
 もう一度は「自社さ」政権のとき、自民党は単独の法案ではなく、政権内部で法案提出前に言わば「ねじれ」の状態にあった。
 この2回の経験で自民党単独での法案成立が出来ない場合、どの様な方法で成立させるのか、学んだはずだ。
 しかし、不幸なことにこの時自民党を仕切っていた国会議員の殆どが福田政権の中枢にいないということだ。

 ここで大切なことは、内閣つまり政府は法案を提出するのであって、これを決定するのは文字通り立法府である国会であること。
 例えば、道路特定財源の暫定税率に関して、明らかに3月31日までに成立していない法案を、成立していないにも拘らず、全国の自治体が新年度予算に組み込んで地方議会に提案するなど国会の役割と法の遵守ということが理解されていない。

 また、日銀の総裁人事に関して民主党の否決によって人事を翻弄しているかのごとき論調が目立つが、そもそも国会の人事同意案件にしているのは、衆議院と参議院の意思が違うことがおきることは前提となっているのは当然で、これまで自民党が衆議院でも参議院でも多数を占めていたため、たまたま今回の様な事態にならなかっただけである。 第一衆議院の優位性を認めず、参議院での同格の議決を求めたのは、参議院自民党であったはずだ。
 二院制に於ける同意人事権を認めないなら最初から衆議院の優位性を確定すべきである。

 また、総裁が決まらないことをさも国際的信用を失墜するかのごとき主張も、米国なども議会の同意を得るシステムとなっており、長く決まらないことなど常識であり、それが議会というものであることは、理解されている。
 さらに残念ながらG7などで日銀総裁の発言など国際的にはさほど重みをもっていない現実もある。

 何故これらの事が国会で起こっているのかと言えば、中選挙区制の習慣から中々抜け出していない現実がある。
 それは派閥の領袖が資金を媒介に派閥内の議員の面倒をみる、つまり選挙での支援と当選回数による大臣ポストなどの配分に力をふるっており、この文化の中ではトップダウンによって重要事項が決定され、これに一致団結箱弁当で従っていくということであった。
 だから領袖同士の話し合いで決着がつけられてきており、その現代版が先般の大連立構想ということにもなる。

 もはや、この様な派閥の力学や面倒見など力をなくしており、その証拠に自民党総裁選挙など派閥の意向では所属の国会議員は動いていない。
 その意味では民主党も同様でグループで一致して動くことなどあまりないし、例え国対委員長同士の話合いでも全てここで決着するなどありあず、特に民主党は下からの積み上げてきた課題を前提として、最終段階での結論となるのであり、幹事長や国対委員長だろうと同じことである。

 ここで求められていることは、金融国会の時の様な実務者レベルで両党の一線級の専門家同士が一致点と相違点を冷静に詰めた後、最終の妥協点はしかるべきトップによって決められていくことである。
 この時の実務者は、自民党の石原議員民主党の枝野議員であった。

 また、国会の憲法調査会での「国民投票制度」の議論の過程でも、両党とも質疑のレベルではなく、修正協議を小委員会で常に行い両党とも相互に修正に応じ、よりよい法案としてきたものであり、自民党の中山議員の功績は大きい。
 これも議事録を残す正式な論議であり、現在の国会法の枠組みでもやる気になれば十分可能である。
 正に国会がオープンな論議と修正協議に耐えうる大臣や国会議員であることが必要であり、官僚の作成した答弁書を読んだり、官僚の振り付けで動くのでは、とても対応できない。
 これが、現在進行している国会の状況である。

 ただ、ともすれば国会議員が勘違いしてしまうのは、所謂「政策通」の国会議員でなければ通じないのかといえば、そうではなく、むしろ政策と同時に「段取り」をキチンと組む能力や、実務者に任せたら最終責任だけをとる、という役割が重要である。

さて、次期衆議院選挙ですが、勿論早期の解散がもとめらていますが、主権者、国民にとって今選択肢や争点が明確になっているのでしょうか。
 道路特定財源を巡り一般財源化が改革の方向の様に言われていますが、一般化だけではあまり意味はありません。
 道路を今後10年間で59兆円と投じて作ることを前提に一般財源化してしまえば、文字通り権限が国交省から財務省の移るに過ぎない。
 問題は一般財源化することではなく、今後の税金の使い方の優先順位をどうするのか、右肩下がりの時代では「何を諦めるのか。何に集中するのか」これが大切。
 つまり、何を諦めるのか国民が選択できるよう政党が政策を出し、選挙で国民が投票する、この準備を進めなくてならない。

 以上が概略の私の印象でした。

京都市長選 価値ある勝利
四新人が立った京都市長選挙は、「がんばろう、日本!」国民協議会でも推薦した前教育長、門川大作氏が158,472票を得て当選。投票率37.8%(過去四番目の低投票率)で、二位とは951票の僅差。告示前1ヶ月半の立候補表明ながら、1ヶ月の政策協議と対話集会を重ねて作った、124項目の「かどかわマニフェスト」を実直に訴えて激戦を制した「価値ある勝利」。他の三候補も「マニフェスト」はかかげたものの、選挙戦では「相乗り批判」「庁内候補批判」に終始。門川氏は当選後、「進化型マニフェスト」「マニフェスト100人委員会」をただちに実行に移すと宣言した。
(写真は選挙戦最終日、三条河原町で必勝を訴える福山哲郎民主党京都府連会長。街頭での門川氏。街頭集会で司会に立つ隠塚功同人・京都市議)

*京都市長選の構図は、自民・民主・公明の推薦を受けた無所属新人で前市教育長の門川大作氏(57)=自民、公明推薦=、弁護士の中村和雄氏(53)=共産推薦=、前市議の村山祥栄氏(30)の三つ巴。12年ぶりの新人同士の争いとなったが、投票率は前回を0.76ポイント下回る37.82%だった。
 現職の桝本頼兼市長の行財政改革の継承を訴えた門川氏は民主、社民両党府連の推薦も受けたほか、地元経済界や連合などの支持を取り付けた。ただ、低投票率に加え、民主支持層の票をまとめ切れずに苦戦し、市議会第2党の共産の基礎票を固めた中村氏に追い込まれた。村山氏は地盤の左京区以外で支持を伸ばすことができなかった。
争点のひとつは、市役所・職員の相次ぐ不祥事で、これには同和利権がからんでいる。これにどれだけ切り込むのか。村山、中村陣営からは「なれあい」批判が繰り広げられ、意識的な有権者のなかには「自覚的棄権」のムードも明らかにあった。この層に対する組織的働きかけの如何が、かろうじて951票差での逃げ切りを可能にしたと思われる。

パブリックの輿論の力で、健全な政権選択選挙へと迫(せ)り出そう
 新年早々の一月六日、「がんばろう、日本!」国民協議会第五回大会を開催。記念シンポジウム(第一部、第二部)、新年会に約300名が参加して、「転換の年」を切り開く主権者運動の行動指針を共有した。
 〇七年末には、核保有国であり「テロとの戦い」の最前線であるパキスタンの政情が不安定化、〇八年は原油1バレル100ドル、NYダウの急落を受けた東証大発会は戦後最大の下げ幅というなかで幕をあけた。まさに「内外政治の激動的動き」(「日本再生」344号・新年号)の始まりである。
 こうした激動が意味しているのは、国際的な政治経済のシステム、ゲームのルールが、旧い時代のものから新しい時代のものへと変わったことである。冷戦終焉から20年弱を、移行期の試行錯誤として対応してきた側は、その総括から新たなルールや秩序、システムを推進しようとする。反対に、旧いシステムの延命・先送りとして対応してきた日本にとっては、「失われた20年」であった。この間に、一人当たりのGDPは世界第2位から第18位へと急落した。
 この激動に対応できなければ、健全な政権選択選挙は困難となるという情勢の下で、「健全な制限 選択選挙を準備するための障害物をいかに取り除いていくか」という主権者運動の行動指針を共有する。これが第五回大会の組織目的である。

 第一部は「転換期の歴史的教訓を踏まえ、政党政治の知恵を」と題して、中西寛・京都大学教授、前田武志・参院議員、戸田政康・代表による鼎談。国際政治・経済の枠組みが大きく転換するときに政党政治が頓死した1920-30年代の教訓を交えながら、来るべき総選挙を「健全な政権選択選挙」とするための課題や、「不健全」になる可能性をいかに潰していくかなどが語られた。
 激動に「準備なく」対応せざるをえないからこそ、「ないものねだり」のカラ元気や自暴自棄、その裏返しの「へたり込み」ではなく、重心を低くして「あるもの磨き」の知恵を出し合う相互連鎖が不可欠になる。

 第二部のパネルディスカッション「地方政府の時代の議会改革とは」は、「肝心なときにへたり込まないために、自治の力をいかに強化するか」というところから始まった。福嶋浩彦・前我孫子市長の問題提起を受けて、各地方議員の同人が、先の統一地方選での会派マニフェストの取り組みが、どのように実践的に展開されているか、そのなかで議会改革にどのように取り組んでいるか、が報告された。
 「議会改革」の課題は、すでにさまざまな形で整理されている。問題はそれを誰が、どう実行するかであり、そのための障害や困難をどう取り除くか、その知恵をどう絞っていくか、ということに尽きる。まさに「ないものねだり」(先進自治体に比べて、いかに遅れているか、現状がヒドイか)ではなく、「あるもの磨き」(現行の仕組みのなかで使えるものを使う)の知恵と、それを出し合う仲間づくりが試されることが、壇上およびフロアからの同人議員の発言・報告から伺われた。
 第二部パネラーは、福嶋浩彦・我孫子市長、堀添健・川崎市議、隠塚功・京都市議、白川秀嗣・越谷市議、布施健太郎・千葉県議、花崎広毅・千葉県議、花輪智史・東京都議。

 開会の辞では、手塚仁雄・前衆院議員が、「敵失や足の引っ張り合いではなく、『希望』を語って、国民が託してみようと思う、そういう政権交代を目指したい」と決意を語り、閉会では久野晋作・我孫子市議が、「がんばろう、日本!」国民協議会は愚直に主権者運動を推し進めようと集約した。総合司会は野上ゆきえ・東京都議。

 続いて行われた新年会の司会は、上杉裕之・世田谷区議、三葛敦志・国分寺市議。上杉区議のファンファーレで開会の後、並木正芳・衆院議員、環境大臣政務官、前田武志・参院議員、福嶋浩彦・前我孫子市長などからのご挨拶。五十嵐文彦、手塚仁雄・前衆院議員より、総選挙への決意をこめて「乾杯」のご発声。大会にむけて地方から参加した同人会員、各地の読者会メンバーが、代わる代わる登壇して活動報告&08年の決意を述べた。締めくくりは、大会スタッフとともに久野・我孫子市議の一本締めで。
 

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