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メルマガ♯がんばろう、日本!         №280(21.12.1)
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「がんばろう、日本!」国民協議会
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Index 
□ 立憲民主主義の政治文化と、能動的変革のための新しい表現をつくりだそう

●立憲民主主義の政治文化・組織文化を始めよう
●多様化する社会の「新しい現実」を表現し、伝える新しい政治の言葉を創りだそう

□ 2021年望年会のご案内

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立憲民主主義の政治文化と、能動的変革のための新しい表現をつくりだそう
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【立憲民主主義の政治文化・組織文化を始めよう】

「社会を変えるのはわれわれ全員。われわれ自身が自分の言葉で、自分のやり方で、小川さんの言葉や質問する皆さんの言葉を広げていかないといけない。国会部門は政治家に任せて、国民部門は私たち。一億分の一の当事者として一緒に変えていきたい」。
 立憲民主党代表選に立候補した小川淳也衆院議員は、連日、有楽町(4年前、枝野さんが一人で立憲民主党を立ち上げたときに立った場所)で「青空対話集会」を行った。その最終日の参加者の言葉(要旨)だ。

 「青空対話集会」は、小川議員が今回の総選挙で取り組んできたもの。街頭で候補者や応援弁士が一方的に訴えるのではなく、人々の質問や発言に真摯に向き合い対話することで、選挙そのものを双方向の対話型として市民自らが参加する場として作りあげていく。そのプロセスのなかで「社会を諦めてしまっている人が一歩踏みとどまろうと思える政治。この人たちなら聞いてくれるかもしれない、気持ちを受け止めてくれるかもしれないと信頼される政治を」という候補者の〝熱量〟が人々にも共有され、さらに大きなエネルギーとなって伝わっていった。

有楽町での「青空対話集会」でも、「これからは傍観者ではなく当事者として」「お願いしますではなく、いっしょにがんばりたい」「変わらなければならないのは私たち」という共感の声が広がっていった。勝てば官軍の多数決民主主義からは生まれてこない、主権者としての当事者性を育む民主主義が体感された。
 こうした対話から生み出されるのは「身内を固める」熱量ではなく、「気持ちを受け止めてもらえるかもしれない」という信頼感の糸口だ。しまい込んできた胸の内を語ることもできる場から、地に足をつけた政治が可能になるのではないか。

「30代、車やマイホームは無理かなと思う、ゆとりやさとりと言われる世代。震災やコロナショック、歴史的な危機が起きるたびに政治の救いに希望を託してきたが、裏切られ続けてきた。小川さんの映画を見たとき、奮起した若者が時代に翻弄され幾度も気持ちを折られていく様に自分の姿が重なり涙が流れた。それでもあきらめない姿に勇気をもらった。これから生まれてくる世代にこれ以上ツケを回さない政治を」(有楽町の「青空対話集会」で 要旨)。

今回の総選挙では有権者を主権者として扱い、対話を通じて自分事として考えてもらい、当事者性を涵養するという新たな政治のスタイルが見えてきた。そこからみれば、野党共闘も政党間の足し算や「身内を固める」活動ではなく、多様な市民が参加する場としてどこまで機能させることができたのか、から検証する必要があるだろう。
選挙区で一人を選ぶ選挙(衆議院の小選挙区、参議院の一人区)では、野党候補の一本化は当然だ。だからこそ今回の野党共闘の教訓は、参院選の一人区での候補者一本化にむけて、どのようにしてそのプロセスを開かれた民主的な参加型のものにしていくか、ということではないか。

これは、ボトムアップという立憲民主党が掲げた新たな組織原理をどう起動させていくか、ということでもある。ボトムアップとトップダウンは単なるやり方の違いではなく、前者は旧い価値観が染みついたアタマと体質からは想像することが難しい、「まだ見たことがない」ような新たな政治文化を創りだすという民主主義のイノベーションにほかならない。
言い換えれば、立憲民主主義という理念や価値観にふさわしい組織の作り方―人間関係の作り方とはどういうことか、あるいは現状を変えていく方法や手段が、その理念や価値観に照らしてどうなのか、というところにまで落とし込んでいくことが問われている。地に足がつく、とはそういうことだろう。

あるいは代表選のなかでも、ジェンダー平等の価値観にふさわしい政党のあり方として、比例ブロック単独での女性候補擁立や、決定の場での男女のバランスなど、具体的な取り組みがそれぞれ挙げられていた。そうしたところから立憲民主主義の理念を具体的なカタチとして示していくことこそが、「野党は批判ばかり」という旧い価値観のステレオタイプを超えていく、地に足のついた一歩になるのではないか。
目の前の政治課題に全力を傾けなければならないはずの与党に比べ、野党の強みは政治文化を変える・新しい政治文化をつくりだすことができるところにあるはずだ。

今回の立憲民主党の代表選は、勝てば官軍―多数を取るための数合わせに明け暮れる―という旧い政治の価値観からは、「盛り上がりに欠ける」「争点が不明」と見えるだろう。しかし立憲民主主義の政治文化をつくりだす、という観点からみれば、四候補は基本的な価値観(綱領)や現状認識は共有したうえで、それをどう具現化していくか、それぞれの力点の置き方を議論の過程でブラッシュアップし、互いに共有していったと言える。批判にも真摯に向き合う共通の土台は、ここから作られるのではないか。

総選挙―代表選を通じて、立憲民主主義の政治文化、組織文化を具体化する新たな一歩が踏み出されようとしている。その一歩を確実なものとすることができるかが、参院選―地方選の課題のひとつになるだろう。

【多様化する社会の「新しい現実」を表現し、伝える新しい政治の言葉を創りだそう】

今回の総選挙からは、争点が変化し多様化しつつあることが伺える。逆に旧い政治の価値観からでは、財政出動やコロナ対策において「与野党の違いが見えない」となる。
「2021年秋の衆院選が終わりました。選択的夫婦別姓と同性婚に反対する候補者を落とすヤシノミ作戦を展開しましたが、落選させまくることはできませんでした。一部の方から、「選択的夫婦別姓や同性婚などの『ジェンダー問題』は、『経済問題』よりも優先度が低い」と言われました。まだ多くの人たちは、「ジェンダー問題を解決したところで、経済がよくなるわけではない」と考えているのでしょう。
ところが、こう書くと、ずいぶん印象が変わると思います。
「日本の生産性が低いのは、オッサン文化が根強いから」
長時間労働と飲みニケーション。ITを使えず、いまだに紙とハンコ。テレワークはできないし、部下にはやらせない。アナログな根回しとヨイショで出世。大事なことは密室で決めるけど、決めた理由はよくわからない。女性や若者は非正規雇用にして搾取する。パワハラ・セクハラで若手のモチベーションを下げまくる。そんなオッサン文化が経済停滞の元凶です…と書くと、多くの方が共感してくれるかもしれません」(青野慶久@サイボウズ)「日本の給料が上がらない」のは、アップデートできないオッサンによる「ジェンダー問題の放置」が原因です|青野慶久@サイボウズ|note

選択的夫婦別姓や同性婚などの「ジェンダー問題」は、「困っている」当事者だけの問題、仕事と家庭の両立は女性の問題…旧い政治の価値観からはそう見えるだろう。しかし少なくない男性も含めて、仕事と家庭の両立は「社会全体の問題」であり「私たちの問題」だと考えるようになっているのではないか。
例えば総選挙と同時に行われた最高裁の国民審査で、選択的夫婦別姓を合憲とした四人の裁判官への不信任が突出しており、これまでに見られない変化だという。こうした社会の変化を可視化させていくためにも、これまでの政治の言葉では伝わらない、多様化する社会の争点をどう表現し伝えるかが問われている。

分配政策についても、これまでの政治の言葉では「誰に何を手当てするのか」(選別主義)や「バラマキ批判」、あるいは財政政策という文脈でしか語られない。それでは自分の損得か、あるいは他人称の分かったふりでしか論じられないことになる。そうではなく、経済構造を作り変える・社会のあり方を変えるという文脈で表現し、「私たちの未来の選択」として伝えることができる新しい政治の言葉を創り出すことが求められている。

例えば新自由主義からの転換ということをどう表現するか。医療、教育、子育て、介護など社会生活に必要なあらゆることが市場化された結果が、コロナ禍で露呈した。これを「元に戻す」のか、転換するのか。
依存と分配を競い合う右肩上がりの時代も新自由主義も、社会的な観点がないのですべてが自己責任になる。右肩上がりのときはパイの分配が増えていくから、なにかしら「中流」「平等」幻想でいられたが、その延長で右肩下がりになれば「今だけ、自分だけ」の奪い合いになる。コロナ禍の経験や教訓を、依存と分配・新自由主義に代わる社会的な観点―人権や持続可能性―に立った表現で提起できるか。

コロナ禍はたしかに価値観の転換を促している。同時にリーマンショックや3.11がそうであったように、社会の価値観を大きく変えざるをえないような「出来事」であっても、それが「受動的出来事」に終わってしまえば、むしろ災時便乗的に旧い価値観が再強化され(例えば国土強靭化のように)、人々は無力感とあきらめに陥ることになる。
コロナ禍での経験や教訓を歴史的な転換にむけて能動的に受け取るためには、変革のビジョンとともに、それを伝える新しい表現を創り出さなければならない。例えば「新しい資本主義」という看板の掛けかえに回収されてしまうのか、あるいは「社会的連帯経済」(2021/10/21 imidas)のような、もうひとつの社会関係への糸口につなげられるのか。後者のためにも「これは私たちの問題だ」という当事者性を共有する場―コモンズの形成が不可欠だ。参院選―地方選をそうした場づくりとして発展させていこう。

また持続可能性や人権など、新しい価値観をよりリアルに自分事として引き受けざるをえないのは、若い世代であることは言うまでもない。あるいはコロナ禍で社会意識をもった世代を「コロナ世代」と呼ぶなら、彼らは自分の経験を通じて〝いのちとくらし〟とつながる経済なのか、〝いのちとくらし〟から見て機能する政治なのかという感性を、右肩上がりやバブル世代よりはるかに鋭く持っているはずだ。
こうした次世代のリアリティーや危機感を共有する対話の場、それを通じて創り出される新たな価値観を伝える表現を生み出していこう。

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「がんばろう、日本!」望年会のご案内
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2年ぶりに「望年会」を開催します。
この間、オンラインで会合をやってきましたが、双方向の会話で教訓を語りあう場も必要だろうと思います。

12月19日(日) 12時から14時
会費 1500円(予定) 市ヶ谷事務所にて 立食形式で

オンラインとのハイブリッドでやってみたいと思います。視聴だけでなくスピーチ参加もオンラインでできるようにしたいと思います。
各地で集まって、そこからいっしょにオンライン参加という形もアリだと思います。

会場では窓を全開にして換気をするので、あたたかくして参加してください。
飲食時以外はマスクの着用を。
オンライン参加も、リアル参加も、基本的に事前申し込みで。

申し込みは ishizu@ganbarou-nippon.ne.jp まで 
リアル参加か、オンライン参加かを明記してください。
準備の関係で、リアル参加の申し込みは13日までにお願いします。

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-- 石津美知子
「がんばろう、日本!」国民協議会
http://www.ganbarou-nippon.ne.jp