電子瓦版(転送はご自由にどうぞ) ━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━ メルマガ♯がんばろう、日本! 229(17.10.6) ━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━ 「がんばろう、日本!」国民協議会 http://www.ganbarou-nippon.ne.jp ================================== 今回の選挙は「政策」「理念」以前に、まともな政治が成り立つためのインフラとしての社会の信頼関係、そのための「人としてのありかた」が問われると思っています。 そして、そうした普通の国民の感覚を基盤に、立憲民主主義を支える意思をどこまで作れるか。そのための土を作り、種を守ることだと思います。 10月9日(月・祝)の囲む会(1300より)では、こうした視点から総選挙の取り組みについて、議論したいと思います。 ================================== 立憲民主主義への希望か、立憲的独裁への絶望か ================================== 【第一幕 中身の分らないヤバイから揚げ、食べ続ける?】 熊 ここにきて、小池劇場のドンチャン騒ぎも失速しつつあるかも。都民ファーストから都議が二人、それも都知事選からのメンバーが、「オープン」とは真逆の密室での決定過程や、言論統制まがいの組織運営を批判して離党した。 http://otokitashun.com/blog/daily/16201/ http://www.huffingtonpost.jp/2017/10/05/otokita-ueda_a_23233401/?utm_hp_ref=jp-homepage 八 希望no党の公認をめぐっても、身内から「刺客」を差し向けられて堪忍袋の緒が切れたり、「こんなものにサインできるか」と協定に署名していないのに「強制公認」されて拒否したとか。 http://www.kou1.info/blog/politics/post-1764 https://dot.asahi.com/dot/2017100400097.html?page=1 熊 典型的な分断統治、それも相当陰湿なやり方だ。踏み絵を踏ませるのも、国替えを迫るのも、一律にではなく「選別」しているんじゃないか。結局、安倍政権を倒すんじゃなくて、民進党解体が目的だったってことじゃないか。 八 それなりの信頼関係を築いてきたところでは、「裏切れない」ってことになるのが、人の情ってもんだろ。それが平気でできるヤツかどうか、っていう「踏み絵」でもあるな。希望no党に行ったほうでも、みんなで議論して「苦渋の選択」として合意して、という人もいるだろう。 熊 選挙の構図も見えてきたんじゃないか。 ●冴えないけど誠実そうなオジサン ●こざかしい女王カマキリ(食い物にされるオスども) ●人格が信用できない三代目 八 今回の選挙は、理念や政策以前に、政治的な「まともさ」を巡る戦いだと思うんだ。まともな政党が多く議席を得て、どう見てもまともじゃない政党は、議席を失うべきだろう。日本の民主主義のために。 熊 政党っていう「かたまり」以前に、人として信用できるかどうかってことだな。ウソをつくのは当たり前、説明?そんなもの関係ない、ヤバくなったら記録を捨てちゃえばいい、ルール?勝てば関係ないっしょ?…という「永田町の常識」に対して、それを子どもの前でも平気で言えるのか、という国民の普通の常識が試されているんじゃないか。 <中村文則(作家) 朝日10/6 寄稿> 「選挙の先にあるのは何だろう。現政権が勝利すれば、私達はこれまでの政権の全ての政治手法を認めたことになる。政権は何でもできるようになる。あれほどのことをしても、倒れなかった政権ならすさまじい。友人を優遇しても何をしても、関係者が『記憶にない』を連発し証拠を破棄し続ければよい。国民はその手法を『よし』としたのだから。私達は安倍政権をというより、このような『政治手法』を信任したことを歴史に刻むことになる」 「この選挙は、日本の決定的な岐路になる。歴史には後戻りの効かなくなるポイントがあると言われるが、恐らく、それは今だと僕は思っている」 <とある居酒屋にて> A (枝豆を食べながら)「枝野ってのは、政治家なのに普通に意味の分かる日本語を話してる…すごい。当たり前のことを、普通の言葉でしゃべっているだけなんだけど、聞いていると、なんだか胸が熱くなる。そんだけ現状がヤバイってことかも」 枝野街頭演説 10/3有楽町 https://twitter.com/CDP2017 B (から揚げを食べながら)「最初はうまいと思って食べ続けてきたけど、最近はどうも胃にもたれる。『中身はこれ』というのもしょっちゅう変わるし、ホントのところ、中身が何なのか分らなくなってきた…このまま食べ続けるとヤバイかも」 店主 「あっちの仕入先は、営業の時はいいこといっぱい言うんですよ。でも契約時にはなかった憲法改正とかが勝手に入っていたり、『一億総活躍』とか『人づくり革命』とか、毎年のようにわけの分からない新商品に替わるし、アベノミクスっていうんですか、あれも四年たってもまだ入荷待ちだっていうし。キボウだかゼツボウだか、こないだできたばかりの卸は、倉庫も空っぽなのに派手な宣伝ばかりで、こっちは完全にマユツバものですよ。 ウチもそろそろ、中身のよく分らないから揚げは、メニューから外そうと思っているんです。そうでないと、ちゃんとしたお客さんも定着しないし。あ、この枝豆は地元の農家さんのツテで仕入れているんで、どこでどんな人が作っているか、わかるんですよ。 まぁ『公約』ってのも、何を言っているかより、その候補や政党が、これまでどういう言動をしてきたのかチェックすることが、とくに今回は大事ってことじゃないんですか。 中身のよく分らない、添加物まみれのものを食べ続けていたら、ろくなことにはなりませんよね」 【第二幕 フォロワーの失敗体験から何を学ぶか〜井戸端にて】 お松 あたしゃ、東京都知事として小池百合子を推したから、都民ファーストにも投票したんだよ。それがなんだい、都知事は総理になるための踏み台ってこと? それならあたしの票、返してもらいたいね! お梅 「人のいい」(!?)あたしでも、さすがに今度はダマされないよ。花粉症ゼロ、電柱ゼロと原発ゼロを並べるなんざ、笑い話にもならない、ぶさけんな!って。 お松 都知事選では「五輪の予算がどんどん膨らんでいったのはおかしい」と言ってたけど、その真相はどうなった? 豊洲と築地、両方生かすって言うけど、その功罪は? 小池さんに投票した291万人の都民は、そっちを聞きたいよね。 お梅 相変わらずワイドショーは小池劇場だけど、反省をこめて言えば、あたしらも面白がってきたんだよね。でもさ、もうそんなことやってる場合じゃないだろうって。超高齢社会で「介護難民」(イヤな言い方)が大勢出ると言われ、若者はまともに働いても家族も持てないってときに、小池劇場に踊らされてる場合じゃないよね。 お松 だから小池サンにも、都知事としてちゃんと働け!って叱責が飛ぶし、これで放り出したら、希望どころか絶望の党だよ。でもさ、あたしらは絶望するわけにはいかないよ。安倍一強だって、低い投票率と「ほかにない」っていう弱い支持に支えられているだけだ。それを「白紙委任」と勘違いさせないようにしなきゃ。 お梅 あたしらも、投票したら後はお任せ、成果が出なければダメだし、っていうのを変えないといけないんだろうね。保育園が出来るってんで町内会で揉めたじゃないか。あれも、役所が一方的に決めて説明するから、お任せ→ダメだしになるんだろ? そうじゃなくて、子どもを預けたい人、隣近所の人、公園を子どもを遊ばせている人とか、みんなであーでもない、こーでもないって話し合えば、どこかしら落としどころは見つかるんだ。一発勝負で解決できるような問題なんか、どこにもないんだから、政治家との関係も、お任せ→ダメだしの関係から、くらしや国の問題をいっしょに話し合う関係に変えないといけないんじゃないか。 お松 政治家のほうも「任せてください」とか「解決策はこれです」じゃなくて、「いっしょに考える」ってことじゃないか。トップダウン目線じゃなくて、ボトムアップ目線というか、参加型というか。 お梅 そう考えると、安倍さん、前原さんはトップダウン型、小池さんはさらに引きずり回し型というか。おまけに「こんな人たち」とか、「排除します」とか、分断を煽るリーダーシップだよね。聴衆からのヤジを嫌って街頭演説の場所を直前に変更って、分かりやすすぎ! 通りすがり 奥さん、奥さん、そんなこと言ってる場合ですか? ヤジを嫌って逃げ回るようなヤツに権力を持たせたら、やがてそいつはヤジなんか一言も出ない国にしようとしますよ。現に「安倍一強」で自民党内はどうなってます? 都民ファーストを離党した二人の話からすると、希望no党の党議拘束は地獄の予感がしますよね? お松 おお怖っ…お任せ→ダメだし→幻滅のサイクルの先にあるディストピアを描いた総務省の投票啓発動画は削除されちまったけど、あの通りになるかも… お梅 参加型、ボトムアップ型は、政治家や政党が作ってくれるのを待っているんじゃなくて、私らからも準備していかなきゃ、だよね。去年の参院選から始まった市民と野党の共闘も、選挙のときだけでなく伴走し続けることが大事ってことだし、そのなかで政治家や政党も私らも変わっていくってことじゃないか。 通りすがり 今回20年の歴史をもつ党と地方組織を、まともな解党の手続きもなく放り投げてしまったのは、民進党だけではなく、日本社会の損失です。民進党の組織は多数の地方議員と市民とボランティアが作ってきたものでもあるんですから。立憲民主党のツイッターフォロワー数が、四日かそこらで政党トップになったのも、その現れでしょう。その根っこを次につなぐことができるか、もちろんその先の伴走も含めてですが…そこんとこ、よろしく。 お松・お梅 えっ、今の誰? なに? 【立憲主義って、そういうことだったのか】 三太 立憲民主党ってのができたんだって? ゆるキャラがリッケンバッカーのギター持ってるって、盛り上がってるんだけど。 熊 リッケンバッカー? なんだ、そりゃ。リッケンっていったら立憲主義のことだろうが。 五郎 これだから年寄りとは話が合わないんだ。ところで立憲主義ってのは、立憲だから憲法を作る、つまり改憲ってことなんだろ? 塾に教えに来ている大学生が、そう言ってたけど。 八 どさっ(椅子から転げ落ちる音)。お前、中学の公民の授業でちゃんと習わなかったのか。立憲主義ってのは… <あの育鵬社の教科書でも、こう書かれています> また、憲法は政治権力が濫用されることのないように抑制する仕組みを定めて、国民の権利と自由を保障し、権力を行使して国民の福祉を増進する根拠となっています。 そして、国民どうしの間の権利侵害に対して、民法・刑法その他の法輪角解釈を通じて間接的に規律を与えています。憲法にのっとって国を運営していくことを立憲主義といいます。 (「新しいみんなの公民 第一節 日本国憲法の基本原則」47ページより) 八 簡単に言えば、右だろうが左だろうが、「憲法にのっとって国を運営していくこと」を立憲主義というんだ。その憲法は、国民の権利や自由を保障する、つまり多数派の政権であっても守らなければならないこと―権力行使の限界を定めているのが憲法だ。 誰かを差別していい、ということを多数決で決めるのはおかしいだろ? 五郎 そりゃそうだ。 熊 なぜ、おかしい? 三太 人権はみんなに平等にあるはずだろ? 八 そうだ。だから人権や自由といったことは、多数決で決めてはいけないんだ。憲法改正の発議が通常の多数決(過半数)じゃなくて、特別多数決(三分の二以上)となっているのも、民主主義のルールを変えることだからだ。 五郎 安倍さんは憲法を変えるって言ってるよね。こんなに世の中が変わったのに、70年間、一度も変えないのはおかしいって。 熊 憲法改正が一度もなかったのは、なぜだと思う? 三太 憲法の文字が変わったって、国民生活に関係ないし、それより景気のほうが大事だって、みんな思っていたからじゃないの? 熊 まぁ、憲法改正より優先順位が高いことがあるのは確かだな。だけどもっと本質的なことがある。憲法を変えるってのは、民主主義のルールを変えることだから、特別な手続きが必要だってことは、さっきも言ったな。国会の両院で三分の二、というハードルが意味しているのは、それだけの合意がとれるなら、国民の七割、八割が納得できる改正案になるだろうってことだ。つまり徹底的に議論して国民の大多数が納得できる案を作れ、それが国会の役割だってことだ。 これまで一度も憲法が改正されなかったのは、そういう国民が納得できる案を、国会で作ろうとしなかっただけのことだ。 八 その肝心な国会での議論をすっ飛ばして、いきなり選挙で、しかも憲法以外の争点もごちゃまぜにして、「改憲」を争点にしようってのは、いくらなんでもおかしいだろ。憲法改正は最後は国民投票だが、国民に信を問うところまで国会で議論せず、数の力で押し切ろうってのは、立憲主義たぁ言えねえ。 五郎 憲法改正の手続きは96条に書いてあるね。国会で議論して、案をまとめて国民投票にかける、か。そこをすっ飛ばしてるってわけだな。そりゃあ立憲主義に反するよな。 <立憲主義について 10/4枝野演説@有楽町> …私たちの社会は、ルールによって規律をされています。みんながルールを守ることで成り立っています。権力といえども、自由に権力を使って統治をしていいわけではありません。憲法というルールに基づいて権力は使わなければならない。ルールなき権力は独裁です。 私たちは、立憲民主党という名前を付けさせていただきました。立憲という言葉は、古めかしい、分かりにくいという意見もあります。しかし、どんな権力でも、憲法によって制約をされる、憲法によって一人ひとりの自由と人権を守る。この立憲主義というのは、近代社会において、あまりにも当たり前のことだから、特に戦後70年、私たちの国では、あまり言われませんでした。残念ながらというべきかもしれません。ここ数年、立憲主義という言葉をもう一度思い出さなければならない、そんな状況になっている。それが、今の日本です。 …略…ところがどうでしょう。憲法によって縛られているはずの内閣が、自ら積み重ねてきた解釈を勝手に変えた。論理的に整合性のない形で勝手に変えた。それに基づいて、自衛隊は日本の領土や領海を守るけれども、外国に出て行って戦争はしないんだという第二次世界大戦の教訓を踏まえた、先人たちが積み重ねてきた私たちの国是が、変えられてしまっている。これが安保法制です。 憲法に違反した法律は、一日も早く変えなければならない。違憲の部分を廃止させなければならない、主義主張、政策以前の問題であるということを、私は皆さんに強くお伝えをさせていただきたい。そうした力をしっかりと与えていただきたいと思っています。 三太 民主主義は多数決だって習ったような気がするけど、そうじゃなくてみんなで話し合って決めるプロセスが大事で、そこにはルールってものがあるんだぜってことか。 五郎 でもってそのルールってのは、日本人も含めた人類ってのが、それなりの歴史のなかで積み重ねてきた「大切なもの」で、そう簡単に壊しちゃならねぇってわけだ。 憲法第97条 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に堪え、現在および将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。 (自民党改憲草案では、丸ごと削除されている!) 熊 当時もっとも民主的といわれたワイマール憲法の下で、ナチスが選挙で多数を取り、政権を握ってから、全権委任法で議会を停止して独裁に突き進んだ。多数決主義だけなら、民主主義から独裁が生まれることだってあるんだ。 戦前の日本だって、曲がりなりにも当時の国際水準並みの憲法の下で、その憲法を変えることなく政党が解散し、議会が機能停止することで、立憲的独裁になった。 今の憲法は、そういう歴史の教訓の上にあるってことだ。 八 軍部や極右のテロもあったが、弾圧で政党が解散に追い込まれたわけではない(共産党以外)。みんな「バスに乗り遅れるな」とばかり、大政翼賛会になだれ込んだんだ。 五郎 へぇ、希望no党みたい? それともアベ・チルドレンか? お松 それに比べりゃ今は、「そうはいかないぜ」ってのが、私ら庶民のなかにもあるんじゃないか? 三太 ユーチューブで見たけど、えだのんが言ってたのは、こんなとこだな。 憲法に基づいていろいろ判断しようね、 表現とか自由とか守ろうね、 ルールは守って公平に、 記録はきちんと残して、 金持ち優遇ではなくて貧困層支援を通じて経済回復目指そうね、 以上、難しいけどがんばるからよろしく お梅 ほんと、当たり前のこと言ってるんだけど、でもそこが大切なんだよね。 五郎 でもってアベちゃんの言ってるのは、こんなとこかな。 憲法どうでもいいから戦争しようぜ 表現も自由も安全も守らないぜ ルール? そんなの知らない 記録? 捨てたよ! 景気? 派遣使いつぶせばいいじゃん 以上、数の暴力でゴリ押しする、反論は認めない お松 立憲主義って、そういうことだったんだね。 ――どうやら今回の選挙、テレビでの報道も少なかった前回(2014年)と比べて、庶民の話題にもなっているようで、なによりです。普通の国民のまともな感覚が、「政治的なまともさ」と、立憲主義を支える意思として根づくことを切に願いつつ…次号へ続く。 ---------------------------------------- 石津美知子 「がんばろう、日本!」国民協議会 http://www.ganbarou-nippon.ne.jp |