電子瓦版(転送はご自由にどうぞ) ━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━ メルマガ♯がんばろう、日本! 184(14.2.) ━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━ 「がんばろう、日本!」国民協議会 http://www.ganbarou-nippon.ne.jp ================================== ▼ Index □地域から変える 自治の力で変える 地域の自立と連携 それをサポートするよう政府をコントロールしよう ●地域から変える 自治の力で変える/どんな未来を選び取るのか ●地域の自立と持続可能性/お金の流れを変えて社会を変える ●自治・自立の「新しい現実」 受益と負担をめぐる議論を連帯の糸 口にできるか □お知らせ 2月から4月の「囲む会」&シンポジウム ================================== 1月末からドイツに行っていました。「電力システム改革および配電網の再公有化 と再エネ」についての調査に、同行させてもらいました。 すでに、発電・送電・配電・小売がそれぞれ分離されているドイツにおける 電力システム改革の話を聞くにつけ、日本は周回遅れどころか、二周、三周遅れに なりつつあると感じました。 一方で、自治体公社による配電網の再公有化と再エネの普及など、エネルギー自治 や、 再エネと地域再生のリンクといった地域主体、住民主体の取り組みという点では、 日本とも大いに通じるものがありました。 3/1号の「日本再生」に報告を掲載する予定です。 ================================== 地域から変える 自治の力で変える 地域の自立と連携 それをサポートするよう政府をコントロールしよう ================================== ●地域から変える 自治の力で変える/どんな未来を選び取るのか 3.11後の「新しい現実」をどうとらえ、「未来へ投資する社会」の多様なモ デルを大きなうねりとしていくか。そのための問題設定が整理されつつある。「新しい現実を創る」ための、「未来を選び取る」ための共 通の土台(どうなっており、どうなりうるか)が見えてくれば、賛成、反対を言い合うことが議論だと勘違いしている空間は、はるか後景 に退いていく。 例えば人口減少・高齢化とグローバル化の問題。「失われた二十年」とは、これ に適切に対応できなかったことのツケでもある。 よく言われるように、わが国が人口減少に転じたのは二〇〇五年から、減少のス ピードが加速したのは二〇一〇年からである。現在一億三千万人弱の人口は、二〇三〇年には一億一千万人強に、二〇六〇年には八千六百 万人になると予測されている。(人口はそう簡単に増やせるものではないので、人口推計は統計のなかでも確度が高い。) これまでは、「そうはいっても、それは過疎地や限界集落の問題だろう」と思わ れていたかもしれない。しかし現役世代が確実に減っていく一方、団塊世代が後期高齢者になり始める二〇二二年以降は、都市部において もこれまでの「対策」の前提そのものが、大きく変わらざるをえない事態に直面することになる。 すでに都市部でもオールドタウンと化し、やがてゴーストタウンとなりかねない かつてのニュータウン、建て替えができないまま廃れていく「限界マンション」などが出現している。それらもこれから急速に増えていく ことになるだろう。東京では、介護を受けることのできない「介護難民」もすでに派生しているが、公的介護に頼る仕組みだけでは、さら に増加することは間違いない。 そんな現実を先取りしているのが、いわゆる過疎地といわれる地域だ。そこに生 まれている「新しい現実」とは何か。 例えば平成の合併で誕生した伊賀市は、合併の際に明確に「二〇二五年、高齢化 率35%の時代に生き残れるまちを創る」とし、そのために新市が十年間で何をやるか、という段取りで合併を進めた。そこでつくられた のが、住民が地域で課題を語り合う仕組み―地域自主組織だ。 「二〇二五年、高齢化率35%で生き残れるまちとは、どういうまちか。今までのように市役所が『あれもやります』『これもやれます』ということは無理なのだから、合併前の小さな集落単位―一言で言えば昭和の大合 併前の旧村単位―で、地域で課題を語り合う仕組み―伊賀の場合は住民自治協議会という―をつくったらどうかと。それが今37あります が、それを支援するものとして支所があり、その支所が必要な機能を果たし、本庁は新市としてのセーフティーネットを維持すると。そういうストーリーの新市総合計画を作っているん です」(岩崎恭典・四日市大学教授 4−5面参照)。合併協議から離脱し単独の道を選 んだ名張市も、それを契機に住民による地域自治組織を立ち上げた(同前)。 あるいは島根県雲南市では、合併協議と平行して地域自主組織(小規模多機能自 治)の構想を練り、新市の全地域に公民館単位で立ち上げている。「公民館は戦後直後の自治体の単位だったわけですから、今やっている 地域づくりというのは、昭和の大合併前の地域自治の広さがちょうどいいのではないか、ということでもあります。交流センターは、戦後 直後にあった役場に替わるような動きをやろうしているわけです。 少子高齢化が進み人口がどんどん減っていくと、こうした民間組織なしに行政だ けでは、かゆいところに手が届くような住民サービスはできません。昭和の大合併、平成の大合併を経て、合併は最大の行財政改革ですか ら職員の数も減らさざるを得ない一方、住民サービスは落としてはならないというジレンマがあるわけです。 やはり住民のみなさんがみずからの力で地域を担っていただかないと、行政だけ ではなかなかサポートしきれません。地域自主組織というのは行政の補完組織でもあるし、同時に行政も地域自主組織の役割を補完すると いう、自助―共助―公助の関係がここで必要になります。地域の総合力で地域の課題を解決していこう、ということです」(速水雄一・雲 南市長 5―7面参照) さらには雲南市の吉田ふるさと村のように、地域のくらしと雇用を支えるために 村民が自分たちで会社をつくったところだってある。そのスタートは一九八五年、プラザ合意の年だ。世界は、そして東京はここからバブ ルに踊り、金融資本主義、マネー経済に翻弄され、通貨危機を繰り返してリーマンショックにぶち当たり、今もなおその後遺症を引きずっ ている。一方で吉田ふるさと村はバブルにも踊らず、リーマンショックにもめげず(影響は受けざるをえないが)、厳しいながら、次世代 にふるさとを引き継ぐための将来を見据えた投資も行っている(高岡裕司社長 7―9面参照)。 京都府の認定NPO法人第一号となった、あやべ福祉フロンティアも、こうした 「新しい現実」のひとつだ(四方源太郎京都府議「一灯照隅」 四一六号参照)。 自治基本条例制定の動きを批判した自民党政務調査会報告は、批判の根拠のひと つとして、地域自治組織がなくても自治会や町内会などの地縁団体があるとしている。しかし少子高齢化・人口減によって、現状の老夫婦 世帯は独居老人世帯となり、近い将来は世帯そのものがなくなっていく。まだ世帯数は維持されていても、その構成は大きく変わってお り、もはや世帯主を単位とした地縁団体だけでは、地域を支えることはできなくなっている。地域自治組織は、世帯主だけではない地域の 構成員を組織化して、地域を維持するためのイノベーティブな取り組みだ。これを加速化し、広げていくことが必要だ。 二〇二一年、オリンピック・パラリンピックの翌年から東京も人口減少に入る。 その速度は急速だ。加えて高齢化率が急カーブで上がっていく。二〇一三年には21・9%の高齢化率が、二〇二〇年には24%、二〇五 〇年には37・6%と推計されている。自助はカネ次第、公助は行政依存、共助はゼロという受益者市民のままで、これを乗り切ることは 不可能だ。 人口減・少子高齢化の先進地域・自治先進地域の「新しい現実」から二〇二〇年 オリンピック後の東京を考える、「せめて七年後のことを考えよう」という機運が都知事選挙のなかでどこまでうまれてくるか。 (以下、「日本再生」417号へ続く) ================================== お知らせ ================================== 【東京・戸田代表を囲む会】 *いずれも、会場は「がんばろう、日本!」国民協議会(市ヶ谷) 参加費は 同人1000円 購読会員2000円 ◆第132回 東京・戸田代表を囲む会 「閉塞状況を打開する議会からの政策サイクル」 2月7日(金)18時45分より21時 ゲストスピーカー 江藤俊昭・山梨学院大学教授 ◆第133回 東京・戸田代表を囲む会 「地域の夢をカタチにしたい」 2月22日(土)13時30分より16時 ゲストスピーカー 嶋田俊平・株式会社「さとゆめ」取締役 浅原武志・長野県信濃町職員 ◆第134回 東京・戸田代表を囲む会 「再エネの可能性とリアリティー、省エネの可能性とリアリティー」 3月4日(火)18時45分より21時 ゲストスピーカー 歌川学・産業技術総合研究所主任研究員 ◆第135回 東京・戸田代表を囲む会 「『あれも、これも』から『あれか、これか』への転換をめざして」 3月20日(木)18時45分より21時 ゲストスピーカー 尾崎やすお・東大和市長 《シンポジウム》 「自治体財政と地域民主主義」 4月13日(日) 13時より17時 アルカディア市ヶ谷 5階「大雪」 参加費 2000円 ●問題提起とパネルディスカッション 諸富徹・京都大学教授、廣瀬克哉・法政大学教授、田中秀明・明治大学大学院教授 松本武洋・和光市長、石津賢治・北本市長 《関西政経セミナー》 「地域の課題を解決する地域の総合力―地域自主組織の底力」 4月27日(日)14時から18時 エルイン京都 会議室 参加費 1000円 ●問題提起とパネルディスカッション 岩崎恭典・四日市大学教授、諸富徹・京都大学教授、川勝健志・京都府立大学准教 授 隠塚功・京都市議、四方源太郎・京都府議、田中誠太・八尾市長 山中光茂・松阪市長(予定) ================================== 世界で唯一の核廃棄物最終処分場オンカロ(フィンランド)についての ドキュメンタリー映画「100000年(10万年)後の安全」が、 2月10日まで無料公開されています。 一見の価値あり。この機会にぜひ。 http://www.youtube.com/watch?v=dtH_Lkd73eQ ================================== -- 石津美知子 「がんばろう、日本!」国民協議会 |