電子瓦版(転送はご自由にどうぞ) ━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━ メルマガ♯がんばろう、日本! 155(11.11.17) ━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━ 「がんばろう、日本!」国民協議会 http://www.ganbarou-nippon.ne.jp ================================== ▼Index 「開かれた凌ぎの時代」、その主体性をどう獲得するのか □ご案内 ◆東京・戸田代表を囲む会 11月、12月 ◆望年会 7回大会 □ご紹介 ================================== 「開かれた凌ぎの時代」、その主体性をどう獲得するのか 〜11/6 関西政経セミナー 戸田代表コメント〜 ================================== 今日、最後のところで話題になったのは、「国民のマインド」ということです。TPPにしても、中国の台頭にしても、「国民がどう思うか」ということを外しては議論できないわけです。 TPPは賛否が大きく分かれていますが、これは日本でははじめてです。例えば五十年代や六〇年には講和条約や日米安保について賛否が大きく分かれ、安保反対のデモもありました。しかし日本では、「安保反対」とか「戦争反対」というデモはありますが、経済や生活の問題については業界団体(既得権)のデモや集会はあっても、国民的な意思表示はありませんでした。右肩上がりでやってきたから、経済合理的に判断するというマインドがないのです。(生活の経済合理的判断の基礎がないところでの「政治」闘争とは、どういうシロモノなのか、ということでもある) 外国では違います。経済、生活問題で大きな国民的意思表示が行われ、デモも国境を超えた連帯になる。 ところでようやく最近、どういう制約条件の下で政策を論じなければならないのか、ということが、政策に関わる議論のなかで出てくるようになりました。制約条件を明らかにせずに、政策を変えることはできませんね。制約条件を明らかにして初めて、ハードルやリスクは何なのか、どういう条件、状況ならその制約を緩和することができるのか、そのために短期、中期、長期の時間軸をどう管理するか、等といったことが明らかになるわけです。 「頭の体操」としてでも、そういうことが伴わない「変える〜」とか「ぶっ潰す〜」というのは、花火を打ち上げているだけなんです。戦後は政治家も国民も、それなんです。花火なら景気よく打ち上げればいいが、政治は実行できたかどうかが検証されなければならない。ようやくマニフェスト運動の蓄積で、それがわかってきたわけです。 どういう制約条件の下で政策を実行していくのか。国も地方も少子高齢化、人口減―生産年齢人口の激減という制約を考えない政策はありえない。しかも「失われた二十年」で、一千兆円の債務が積みあがっている。国際環境も今日中西さんが言われたように、このアリ地獄的状況は相当続く、そう簡単に「次」が見えるということにはなりません。 だから、ここをどう凌ぐのか、ということなんです。「開かれた凌ぎの時代」といっているのは、そのことです。敗戦のときもそうでした。あるいは石油ショックのときもそうかもしれませんが、自分の努力をはるかに超える困難に遭遇したときに―それは当然、一過性のものではなく構造的な困難です―、まずそこを凌ぐ。凌ぎきらなければ次は見えない、ということです。 自分がどんなにがんばったって、どうしようもない時代の流れの中で路頭に迷うことがあります。その時に自暴自棄になるのか。社会や他者との関係で生きてきたものは、そこで改めて時代を読み、主体を問うて凌ぐんです。「欲しがりません、勝つまでは」では、凌げません。制約条件をはっきり見定めて凌ぐ。だから「開かれた」凌ぎの時代なんです。 〇九年の政権交代というのは、「世界第二の経済大国」幻想の終焉を確認する作業だったのです。3.11はそれをダメ押し的に明らかにした。原発の件で「技術立国」も幻想だったと認めざるをえない。そして世界的にも「日本化」が蔓延し、次の展望はそう簡単に見えない、となっています。 大きな意味でいうと、世界は覇権大国をめぐる攻防というよりも、次第にフラット化しています。アメリカは依然として大国ですが、一極で行動できるような図抜けた超大国ではなくなりました。中国は確かに急速に台頭していますが、アメリカに替わりうるような(国際公共財を提供しうる)覇権大国になるメドは、そう簡単にはたちません。したがってG20に象徴されるような新しい合意形成、全員参加型の合意形成が必要になる。そういう「開かれた凌ぎの時代」に世界的に入っている、ということです。 ここに対応できるマインドが、日本の国民、社会、政治にどこまであるのか。TPPはその問題なのです。 農業だって、輸出してもやっていけるというくらいのところは、これまで農協や農水省にジャマされたことはあっても、力を貸してもらったことはない。農協にいじめられるくらいは凌げる、一番厳しいのは地域のコミュニティーで「アイツとは付き合わんほうがいい」と言われることですよ。そこを凌いだ部分が今は、政府の審議会なんかに呼ばれているわけです。 あるいは先日、被災地応援ファンドに参加している事業者のところに行きましたが、例えば三代目の三十歳が先頭に立っている。祖父さんのときにもチリ地震があった、そのときはこう凌いだと。そういう話が家族の中であるわけです。漁協には政府の支援がありますが、水産加工業にはほとんどありませんからね。「開かれた凌ぎ」の時代には、そういう人格形成、社会観が伴わないと。 中国も、これまでのようにはいかないということを自覚しています。万博までは自信満々でしたが、中西さんの表現によれば「迷い」が出てきた。アラブの春で、中国が資源外交を展開してきた独裁政権が倒れました。アフリカでもこれまでのようにはいかない。またビルマでも、軍事政権を引き継いだ現政権が中国のダム建設を凍結しました。「このままでは中国のいいなりになる」という危機感が出ているわけです。南沙諸島ではベトナムとぶつかっており、二国間ではなくASEANという多国間の場でこれが取り上げられる。 このように中国の台頭―拡張に対する危機感、けん制があちこちで始まり、中国もこれまでのようにはやれなくなっている。またチベットや格差、インターネットなど、国内問題も非常に複雑になっています。だから、中国の外面だけで判断してはいけないということなんです。 転換期はイノベーションのチャンスだと言いますが、そう簡単には行きません。問題はその時に、どのように凌いでいくのかということです。従来の切り口だけで凌ごうとすれば、展望なき現状維持、内向き、後ろ向き、下向きで「反対、反対」になります。そうではなく、新たな切り口も含めてどう凌ぐのか、ということが問われている。それが「開かれた凌ぎの時代」ということです。 ================================== ◆東京・戸田代表を「囲む会」会員限定】 ================================== いずれも ●会費 同人 1000円 購読会員2000円 ●会場 「がんばろう、日本!」国民協議会事務所(市ヶ谷) □第105回 東京・戸田代表を囲む会 「民主党とは、いかなる政党なのか〜政党の研究って?」(仮) ゲストスピーカー 上神貴佳・高知大学准教授 11月23日(水・祝) 14時から17時 *「民主党の組織と政策」(東洋経済新報社)を上梓した上神先生に、「政党の研究とはどういうものか」、「そこから見ると民主党とはいかなる政党なのか」について、一般向けにお話ししていただきます。 □第106回 東京・戸田代表を囲む会 「政治家は合意形成のプロたるべし」(仮) ゲストスピーカー 大島敦・衆院議員 12月12日(月)18時45分から21時 *政権交代から二年。依存と分配に替わる、開かれた凌ぎの時代の合意形成、そのマネジメントは、どこまで見えてきたか。(390号 大島議員のインタビュー参照) □第107回 東京・戸田代表を囲む会 「日本に求められる大転換とは」(仮) ゲストスピーカー 大塚耕平・参院議員 12月19日(月)18時45分から21時 *「世界同時多発債務危機」に見られるような旧来の構造の液状化、迫られる常識の転換について、政権交代二年を振り返ることも含めて、お話しいただきます。「放射線との対峙」についても、お話しいただけるかもしれません。 ================================== □望年会 ================================== ●京都 12月8日(木)18時より コープイン京都 第一部 講演 「2012年の国際社会を展望する」村田晃嗣・同志社大学教授 会費 1000円 第二部 懇親会 会費 3500円 ●東京 12月10日(土)16時より 会費2000円 「がんばろう、日本!」国民協議会事務所(市ヶ谷) ================================== ◆「がんばろう、日本!」国民協議会 第七回大会 ================================== 「自治分権・オープンな協働を促進するための新しい多数派形成を」 2012年1月7日(土) 総評会館 http://www.sohyokaikan.or.jp/access/index.html 13時より 記念シンポジウム 会費 2000円 17時より 懇親会(新年会) 会費 5000円 記念シンポジウム(パネルディスカッション) ●第一部「外交」 中西寛・京都大学教授、大野元裕・参院議員、中東問題研究所上席研究員、ほか ●第二部「自治分権の深化」 福島浩彦氏、諸富徹・京都大学教授、 山中光茂・松阪市長、熊谷俊人・千葉市長、隠塚功・京都市議、ほか ================================== ◆ご紹介 ================================== ●衆議院決算行政監視委員会で「事業仕分け」 国会での事業仕分けは、「予算をつける」のではなく「削る」機能を議会にビルドインする、という意味で画期的。なおかつ、国会改革(実質的な審議、与野党の争点合意など)への一歩ともなりえます。これが今後も行われていくなら、少なくとも決算委員会の委員は、「仕事ができる」(調査、分析ができて、論理的に議論ができる)議員に差し替えることになるでしょう。 さっそく、17日の原子力関連の仕分けでは、もんじゅについて「決算の観点から」検討する小委員会の設置が提案されました。実現すれば、原子力政策を転換する大きな一歩の始まりになるはずです。 衆議院ホームページから、録画を見ることが出来ます。 ●参議院予算委員会で、政策ベクトルの転換が議論される 参議院予算委員会 11/15の質疑で、中村哲治議員と政府との間で、住宅政策のベクトルを転換する論議が展開されました。前田参院議員(現国交大臣)が以前、「囲む会」で話された政策ベクトルの転換が、具体的に動き出した感があります。 省エネ、スマートシティー、エコといった方向性にむけた新しい政策と、それをどう使いこなしていくかが、可視化されつつあるともいえます。 こちらも参議院ホームページから、録画を見ることが出来ます。 ******************************* 石津美知子 「がんばろう、日本!」国民協議会 http://www.ganbarou-nippon.ne.jp TEL 03-5215-1330 FAX 03-5215-1333 |