電子瓦版(転送はご自由にどうぞ)
━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━ 
メルマガ♯がんばろう、日本!         141(10.7.13)
━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━
「がんばろう、日本!」国民協議会
http://www.ganbarou-nippon.ne.jp
==================================
▼ Index 

政権交代第二幕は、「ねじれ」国会を「熟議」の議会に変換するところから
トキメキなき「とまどい」の中間評価を受けて

◆有権者は「戸惑っていた」
◆政権交代を前にすすめるための戦略的投票の結果
◆政権交代第二幕は、熟議の国会から

◆最後はちょっと「アタマの体操」を

==================================

政権交代第二幕は、「ねじれ」国会を「熟議」の議会に変換するところから
トキメキなき「とまどい」の中間評価を受けて

==================================

◆有権者は「戸惑っていた」

熊   おい、おい、おーーい。民主党は改選議席数はクリアできると思っていたのに、結果は惨敗。こりゃ「ありえない敗北」だ。

八   河野太郎(メルマガ「ごまめの歯ぎしり」)の表現を借りれば、「民主党のオウンゴール三発で、シュートを一本も打てなかった自民党は負けずに済んだ」ってぇ、奇妙な結果だ。

熊   マスコミはしきりに、「敗因は、消費税を持ち出したことだ」と言っているが、どうもオイラには納得できねぇ。いろいろ話を聞いて回っても、「消費税はケシカラン」という人はほとんどいない。「子や孫にこれ以上ツケを回さないためには、消費税もさけて通れない」ってことは、みんな前提になっているぜ。

八   現に出口調査では「近いうちに消費税率アップが必要だと思う」が61%と、「不要」23%を大きく上回っている(読売 7/12)し、民主党が惨敗した一人区でも「必要」46%が「不要」44%を、わずかながら上回っている(朝日 7/12)。菅さんが、財政健全化と経済と社会保障を一体的に考えよう、と提起したように、消費税10%に賛成か、反対か、とシロクロつけられる問題じゃあない、ってことは、有権者も分かっている。だからこそ、今回は街頭演説に大勢人が集まっても、携帯カメラのカシャカシャ音も奇妙なほど少なくて、じっと聞いているという雰囲気だった。

熊   有権者の雰囲気を、一言で言うと「戸惑っている」という感じだったな。政権交代を元に戻すわけにはいかない、消費税が避けて通れないことも分かっている。だからこそ「本当は日本がどうなっており、どうなりうるのか」を共有しうる「国民目線」が、どこにあるのか、それを見極めようとしていたんじゃないのか。

八   最終盤でも「まだ決めていない」が三割、というのは特別めずらしい状況じゃないが、今回は「考え中」の中身が明らかに、これまでと違っていた。その「とまどい」と対話し、そこに届くコミュニケーションができたのか。それが最大のポイントじゃねぇか。

熊   民主党はそこがなかなか機能しなかった。「本当は日本がどうなっており、どうなりうるのか」を共有しようというメッセージではなく、最後まで「言い訳」(言っているほうは、事情説明のつもり)に終始した。有権者が求めていたのは、「説明」じゃなくて、「共有感」であり、その可能性だったんじゃないか。政府への信頼が前提にならなきゃ、どんな「立派な」税制だろうと、議論にははいれない。積もり積もった不信(「お任せ」の裏返し)から、信頼へ変わるためには「共有感」という媒介が不可欠だ。

八   事業仕分けが、唯一といっていいくらい評価されているのも、「本当は日本がどうなっており、どうなりうるのか」を共有しよう、というメッセージが託されているからだろう。現場をすべて見ているわけではないが、そういう視点から「政権交代で何に手をつけ」「これから、さらに何をやろうとしているか」「そのために政権への支持を今一度」と訴えることが、どれだけできたか。それができている度合いで、競り勝つことができたかどうか、決まったところもあるんじゃないか。

熊   東京で蓮舫大臣が171万票という過去最多の得票をしたのは、その象徴だ。そしてそのあおりを食う、のではなく小川さんが二議席目を獲得したのも、事業仕分けをはじめとする政権交代の成果を確実に訴えてきたからだ。大阪で、二人目のタレント候補に苦戦を強いられていると言われた尾立さんが当選したのも、事業仕分け主査としての取り組みを「いぶし銀」のように訴え続けたからだ。

八   反対に、地元の事情とやらで「コンクリートから人へ」というマニフェストをあいまいにしたり、(誰もそれが争点だと思っていないにもかかわらず)「増税反対」を言って回ったり、要するに政権交代の成果(国民にとっての成果)をきちんと訴えない候補は、オウンゴールを繰り返していたってことになるな。

熊   まあ、選挙直前に執行部が変わって、そこから体制建て直しにはいったわけだから、準備不足は否めない。前の体制のままなら、30議席を切ったって不思議じゃなかった。それをここまで持ち直したんだ。あれこれ足を引っ張るようなみっともないマネをしているようじゃ、それこそ本当に有権者から三行半を突きつけられるぜ。

八   そういう御仁は「政治は数だ」と、国会運営でも強行採決を連発、党から政調をなくして、新人は次の当選だけ考えてろ、と採決の頭数扱い、おまけに政策形成にはいっさい関わらずに、いきなり官邸に押しかけて「ちゃぶ台をひっくり返す」と、これまでもさんざん足を引っ張ってくれたっけな。

熊   参議院できちんと「国民の腑に落ちる」議論ができなければ、衆議院の三百議席は「宝の持ち腐れ」、民主党政権は死に体だ。この期に及んでも、政局にうつつを抜かすようじゃ、「ナントカ神話」というより、もはや駄々っ子以下ということになる。


◆政権交代を前にすすめるための戦略的投票の結果

八   それも含めて、永田町の面々にはくれぐれも、この選挙結果でカンチガイしないようにしてもらいてぇもんだ。まず民主党。ここはしっかりと、政権交代の原点に帰ること。投票率がほぼ同じ、前回07年の参院選に比べて、比例は約500万票減って、03年以来キープしてきた2000万の岩盤を割り込んだ。その分はほぼ、みんなの党へ行ったと考えられる。つまり、自民党に戻ったわけじゃなくて、「政権交代を前へ進める」ための戦略的投票だったということだ。

熊   選挙区での得票は125万票の減にとどまっていて、自民党を300万票上回っている。総得票数が少ない自民党の議席が民主党より多いのは、一人区を制したからだ。これまで一人区は、分配政治の牙城と考えられてきた。小沢体制では、予算配分などで「与党の力」を見せつけて、自民党支持組織をひっくり返そうとしてきたわけだ。しかし中央の組織は押さえても、地方組織は依然として自民党支持、という「ねじれ」状態が結構あった。そういう露骨な手法への反発もあった。しかしそれ以前に、そうした利益分配政治の手法での選挙戦が、すでに限界にきていたということじゃないか。

八   比例区の候補者別得票数に、それが如実にでている。自民党にしろ、民主党にしろ業界、団体(宗教、労組など)をバックした候補者は、軒並み前回より得票を大幅に減らしている。利益分配政治と対になっていた組織選挙が、いよいよ“終わりの終わり”を迎えたということだ。

熊   組織選挙に代わって、今回の比例区では手っ取り早く票を稼げると、有名人(かつての有名人も)を候補にするという動きも目立ったが、結局5勝20敗。鳴り物いりのヤワラちゃんも、有田芳生より2万票少ない35万票どまり。候補者名を書くというのは、政党不信から出発したものだが、政党名での投票は今回、過去最高の75%だった。「政党のありかた」ってものが、評価の対象になっていることを、永田町の面々はしかと知るべきだ。

八   自民党も、カンチガイしちゃいけねぇ。07年に比べて選挙区の得票は微増だが、比例区は250万くらい減らしている。これは「たちがれ」もとい「たちあがれ」や、「改革(舛添)」に流れたということで説明がつく。今回は「ありえない敵失」だったと自覚すべきで、逆に「イチバン」とか言って浮かれていたら、政権交代のある民主主義に対応できる政党への脱皮のチャンスを失うことになる。「ねじれ」国会で、堂々と対案を提示して、国民の納得を得る論戦を展開できるか。与党の敵失を追及するだけでは、再生のメドは立たない。


◆政権交代第二幕は、熟議の国会から

熊   民主党は依然として参議院では比較第一党だが、過半数に15足りないというのは、少数政党を抱き込んだ小手先の数合わせで何とかなる、という数字じゃない。みんなの党(10)を合わせても過半数には届かない、というのは絶妙な議席配分だ。

八   つまり、政府の法案はどうしたって、そのままじゃ参議院は通らない。そこで「何も決まらない」状態、政府・国会の機能不全にしてしまうのか、それとも「変換型」の議会、与野党が熟議を尽くすという、当たり前の姿の議会になるのか。そこが民主党にも自民党にも、みんなの党、公明党にも問われるってことだ。

熊   つまり野党も、この国の運営に重い責任を負う。外野から勝手に批判だけしていればいい、ってもんじゃなくなるってわけだ。

八   もちろん与党・民主党には、小沢体制のときのような「数で押し切る」運営はできない。「ねじれ」だ、「袋小路」(衆院での再議決も不可)だと、マスコミは騒いでいるが、これでようやく、政府案を与野党が議論して必要なら修正するという、当たり前の議会運営ができるようになるだけのことだ。そういう当たり前の議会運営を前提にした政権運営、政府・与党体制を、民主党は目指すべきだ。

熊   そうなりゃ、政府・与党の政策形成過程も、オープンなものにしなきゃならないし、前提となる情報やデータは与野党で共有するのが当たり前、ということになる。もちろん国会での論戦は、互いの主張の言い合いや敵失の追及ではなく、どうやって「国民の腑に落ちる」合意形成ができるのか、ってところが最大の焦点となる。

八   官僚内閣制から、国民主権で議院内閣制を機能させるってことが、政権交代の大きな意義だったはずだ。「ねじれ」国会のおかげで、第二幕は、熟議の議会を機能させるところから、政権交代をさらに前に進めようということだな。

熊   07年参院選後の「ねじれ」国会で、自民、民主ともに「ねじれ」国会の与党、野党は経験済みだ。お互いにその教訓を、反面教師として存分に生かすべきじゃないか。

八   衆参の議決が異なる場合は、両院協議会が開かれる。両院の意志を代表する同数ずつの議員が集まって両院協議会を開いても、3分の2を超える多数派の意見形成は難しい。そこでたとえば、作業部会を設けて、両論併記ででも、議論の途中経過を公開し、民意を反映するというようなことも必要になってくる。肝心なことは、「本当は日本がどうなっており、どうなりうるのか」を、国民目線で共有するということだ。それが、すべての議論の出発点になる。そういう政治にしようってことだ。

熊   政権交代第二幕の扉は、こういう形で開けられようとしているってことだな。八月中には、政府の全事業が統一の事業シートの形で公開される。蓮舫大臣は、「今度は、国民一人ひとりが仕分け人になろう」と言っていた。秋の事業仕分け第三弾は、特別会計だ。枝野幹事長、玄葉政調会長の下で、今度は本格的に党・政府あげての取り組みとなる。民主党も総力戦だ。党内政局なんぞにかまけているヒマはないはずだ。「本当は日本がどうなっており、どうなりうるのか」を、国民目線で共有することこそ、政権交代の原点だ。

八   自民党の河野太郎チームにも、事業仕分けに参加してもらえばいいじゃないか。公明党もみんなの党も、イヤとは言わんだろう。連立だなんだと、永田町の駆け引きにうつつを抜かしているヒマがあるくらいなら、事業仕分けを与野党でいっしょにやればいい。それを共通の土台にして、23年度予算の論戦を戦わせてくれ! 本来なら、こういうことこそ、国会の委員会で与野党でやるべきことだろう。

熊   「予算を獲得することが仕事」と思ってきた政治家、議員には、事業仕分けの意味も意義も分からない。せいぜいパフォーマンスとしか理解できない。しかし「あれか、これか」の時代には、「予算を削る、その合意形成をはかる」ことが、政治家の重要な役割になる。事業仕分けは、その前提だ。与野党問わず、そういう議員が国会論戦を引っ張り、「国民の腑に落ちる」合意形成をはかる、そういう国会にしようってことだな。

八   そのことが分かる議員かどうか、俺らもその評価軸を持って、しっかり仕分けさせてもらおう。

熊   「あれも、これも」の時代は終わり、「あれか、これか」「何かをやるためには、何かをあきらめる」時代になった―これが政権交代の原動力だ。しかしマニフェストには「あれも、これも」の習慣がベッタリついていた。この「ねじれ」を解消して、「あれか、これか」の選択を議論する政治へとステージを転換すること。それが、新「ねじれ」国会の活かし方だ。

八   確かに菅体制は参院選で敗北した。しかしこれは、政権交代へのノーではない。政権交代を前に進めるために、「捨てるべきものを捨てろ」ということだ。(○ザワを捨てろ、なんてケチなことを言っているわけじゃねぇ。)事業仕分けに党を挙げて取り組み、そのうえにたって、政権交代をさらに前へ進めるために九月の代表選を堂々と戦うべきだ。

***************************************************************************
◆最後はちょっと「アタマの体操」を

ここから先は「アタマの体操」。そういう手もアリかと・・・。
知る人ぞ知る、かんべえ先生の「大連立私案」をご紹介。

【「溜池通信」7/12 より引用】

(1)民主党と自民党は、向こう2年間の期限を切って連立政権を組む。国民新党との連立は解消する。議席的には十分過ぎるので、2大政党のみの連立とする。これは超安定政権となる。
(2)優先する政策事項は、@景気回復、A財政支出削減、B行革及び公務員制度改革、C年金制度改革、D政治主導確保に絞り込む(この辺は多少の交渉の余地あり)。
(3)それ以外の政策マターはすべて凍結する。子ども手当ては時限的に今年一杯だけ実施。高速道路無料化などの実験も右に同じ。郵政見直しは論外。要は昨年総選挙における民主党マニフェストをほとんど凍結してしまう。外国人参政権や人権擁護法案などももちろん除外。
(4)税制については、とりあえず法人減税をこの秋を目処に実施するが、消費税については協議会を設置し、議論を行なうにとどめる。
(5)組閣は現在のメンバーを中心に、自民党の幹部を加えたオールスターキャストとする。菅総理、仙谷官房長官以下のメンバーはほとんど変えず、例えば谷垣禎一副総理兼法務大臣、石破茂防衛大臣、小池百合子環境大臣、林芳正金融担当大臣の4議席くらいを迎える。
(6)向こう2年間を、財政再建のためのモデル期間と位置づけ、増税以外のあらゆる手段をとる。2年後の2012年夏になったら連立は解消。2013年夏に予想される衆参ダブル選挙に向けて、二大政党がヨーイドンで競争する。
こういうパッケージが明日にでも組まれれば、少なくとも株価は高騰するでしょうね。自民党にとっては、おそらく悪い話ではない。民主党にとっては、たぶん屈辱的な条件だと思います。でも、社民党や国民新党の言いなりになっていたことを思えば、この方がずっとマシなんじゃないでしょうか。
この作戦の最大の長所は、「とにかく2012年夏まで選挙を気にしなくて良くなる」ことであります。向こう2年間、心置きなく経済政策に専念できるのであれば、これは日本経済にとって滅多にないチャンスというもの。ついでに「あ〜あ、失敗だったなあ」と今では後悔しているマニフェストも棚上げできてしまう。こんないい話はないではありませんか(ついでに小沢一派が党を割ってくれれば勿怪の幸い、なんて話は言わぬが花でありましょう)。とにかく、そうでない限り、民主党の衆院300議席は宝の持ち腐れ。参院を野党にコントロールされたら最後、遅かれ早かれ解散に追い込まれてしまうでしょう。
でも、今の民主党首脳部は、自分の誤りを認めるのが大キライな人たちですから、おそらく上記は無理筋。日本の前途よりも自分の面子を優先してしまうことでしょう。ここは誰かが水面下で動かねばならない。坂本龍馬が登場するとしたら、今をおいてほかにないのです。薩長同盟が必要なことは、あの当時は誰もが分かっていた。でも、「アイツがいうなら仕方がない」と思わせることができたのは、ただ一人龍馬だけであった。どうでしょう。【引用終わり】

*******************************
石津美知子
「がんばろう、日本!」国民協議会
http://www.ganbarou-nippon.ne.jp
TEL 03-5215-1330 FAX 03-5215-1333