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「ねじれ」国会―決定過程が大きく変わり始めた 
新しい方程式で政治を動かす―地方議会からも連動する波を
□ お知らせ
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□「ねじれ」国会―決定過程が大きく変わり始めた 

 第80回定例講演会では福山哲郎・参院議員が、衆参両院の決定が異なるという「ねじれ」下で、国会における政策決定過程が大きく変わってきたことを、さまざまな角度から提起されました。(講演の内容は「日本再生」436号に掲載)

 道路特定財源をめぐる審議は、これまでの委員会審議と比べれば、ずいぶん具体的な中身の検討に踏み込んでいると思います。その理由のひとつは、国交省がこれまでなら出さなかったようなデータを、いやいやでも出さざるを得なくなっているからです。
なぜか。それは参議院では民主党が国政調査権を発動できるからです。慣例では委員会の全会一致ですが、民主党は国民の支持が得られるなら多数決で発動する、としています。国政調査権を発動されて出さざるを得なくなるなら、その前に出したほうがよい―こういう力学が働き始めています。
 委員会審議のなかで、個々の無駄遣いの摘発のみならず、「10年間、59兆円」という計画の妥当性、正当性が具体的に検討されたことは、大きな前進ではないでしょうか。野党が対案を出すべきだ、といわれますが、衆議院で修正するなら与党が提案すべきでしょう。
民主党は参議院で修正案を可決できるわけですから、参議院で修正案を通して衆議院に送り、衆議院で原案を再議決するのか、それとも民主党の修正案に歩み寄るのか、という「踏み絵」を与党に迫る。そういう形で、与野党の間で何が違うのかを明らかにする。こうした積み重ねが、次の総選挙の争点となっていく。そういう国会運営にしていくべきでしょう。

同時に、この動きに地方議会からも連動していく。そういう方向を提起するものとして、福山参院議員の講演の後の、戸田代表の集約コメントの一部をご紹介します。

□新しい方程式で政治を動かす―地方議会からも連動する波を

二点目、地方議会のことです。
この暫定税率に関して「(年度末なんだから)しょうがない」と言っているのは、地方議員のなかでも都市部の地方議員でしょう。地方はじつは、橋や道路よりもガソリン代が下がった方がいいというのが圧倒的。道路がないんじゃなくて、バスの運行ができないことが問題なんだと、実感でわかっている。あるいは本当に必要な道路を造るときには、地方はみんな署名などに参加します。だから「自分たちが運動してできたんだ」という思いがある。だからこそ、自分たちが参加した覚えのない(特定財源で造った)三十五億の橋には何の思いもない。はっきり実感を持っています。

大都市の場合は、生活インフラに関しても「自分たちが参加してできた」(陳情も政策決定に参加する一つの形態)という実感がないんです。だから「しょうがない」となる。そういう実感がないから、道路がいいのか、ガソリン代が下がるのがいいのか、判断の意思がもてない。

ここは、都市部の議員が踏ん張る必要があります。国交省と自民党が地方議会でも「暫定税率維持」の意見書を採択するよう、働きかけていますね。ここで地方議会が、永田町の「代理戦争」をしてはダメなんです。そうではなく、それぞれの自治体で道路財源がどうなっているのか、国からいくら来ていて、自治体の負担はどれだけで、どういうふうに使われているのか。まずその事実をきちんと把握しようと。その事実を踏まえずに、賛成・反対では、永田町の代理戦争にしかならないでしょうと。道路財源の事実を分析できる議員でなかったら、執行部が出してきた予算書の検討も、役所のチェックもできませんね。こういうことをする必要がある。

いわゆる「ねじれ」国会という場を与えたことによって、国政における重要な争点―税制の政策論争と、地方議会とが初めてリンケージしたんです。これで「分権」とか「地方政府」といっていることが、リアリティーとして問われることになる。民主党が打ち出している「一般財源化」とか「直轄事業の負担金廃止」などは、地方六団体がこれまで主張してきたことですよ。それを実現しよう、という段になって地方の側が「それでは混乱する」とか「どこまでやってくれるのか」などということでは、三位一体改革の二の舞になります。(自治の観点が抜ければ「国対地方」の分捕りあいになる、ということが「三位一体改革」の総括。)

当選回数が多くても、予算書が読めない議員はいますね。一回生でも読める議員もいる。民主党を支持する、自民党を支持するじゃなくて、まず道路財源に関する事実を明らかにする。そして「役所が出している、この三十億円というのは違うんじゃないか」「(暫定税率廃止で影響が出るといっている)この事業とこの事業には、うちの自治体の道路財源は入っていませんよね」という分析ができるようにする。

予算書が分析できない議員に、議会で討議ができますか? できませんね、個別の陳情はできても。国も地方も、政府というのは「徴税権」(税金を取ること)と「歳出権」(税の使い方)です。これが権力であり、それを決定し、チェックするのが議会です。議会としての仕事、議員としての仕事とは何なのか。予算書が分析できるか、道路財源の事実を分析できるかということは、それが問われてくるということなんです。

これを「永田町の代理戦争」にしたらダメです。そういうことをしていると、予算書も読めない議員が当選回数だけを重ねて議長になる、議長になるためには第一会派に行かないといけないという「イネムリ議会」になってしまう。前鳥取県知事の片山さんは、そういう地方議会は「八百長と学芸会」だといいました。

まず事実を検証しましょうと。そのために担当課長を呼んで、「これは違うんじゃないですか」と。そうするといろいろ言い訳をしますよ、国会の答弁と同じです。それを聞いて、自力で予算書は読めないけれど不条理に対しては「許せん」という議員が、健全なところには必ずいますから、そういう部分が「それはおかしいだろう」「○○議員は支持しないが、言っていることは間違っていない」と言います。そうやって、「議論のできる議会」にむけた障害をひとつずつ取り除いていく知恵、その人間関係が生まれてくるのです。

税制というのは重要です。政権を変えるということは、税の取り方と使い方を変えるということに帰着する。これと地方議会がリンケージし始めている。同時にそれは、議院内閣制と二元代表制、これを国民主権の原理で機能させる、ということでもあるんです。道路特定財源の話はこれまで、族議員と自民党税調が密室で決めてきた。それが国会でオープンにできるようになった。族議員と霞ヶ関が決めていた「道路計画」が、国会の場でオープンに検討されるようになった。いずれも「ねじれ」の功です。このことは、自民党の改革派にとっても歓迎すべきことなんです。同時に、地方議会でも道路財源の実際がどうなっているか、事実の検証を始める。それが分権の主体形成になるということです。
(「日本再生」346号)

□◆□ お知らせ □◆□

■「日本再生」346号(3/1発刊)
「ねじれ」国会―政策決定過程が変わり始めた。新しい方程式で政治を動かす。
そのステージへと迫りだしていく自治分権・国民主権の底力を!
【主な記事】
○定例講演会「真価が問われる通常国会」 福山哲郎・参院議員
○囲む会「道路特定財源・暫定税率をめぐる対立軸」 大塚耕平・参院議員
○インタビュー「『ねじれ』で試される国会の改革力」 飯尾潤・政策研究大学院大学教授
ほか

■第五回大会 報告集 発売中!
五回大会の内容(シンポジウム第一部、第二部、資料、写真など)と、ローカルマニフェスト、議会改革に関連した『一灯照隅』などを掲載。一部1000円(送料80円)
お申し込みは 郵便振替00160-9-77459 「がんばろう、日本!」国民協議会まで

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