電子瓦版(転送はご自由にどうぞ)
━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━ 
メルマガ♯がんばろう、日本!         105(07.11.5)
━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━
「がんばろう、日本!」国民協議会
http://www.ganbarou-nippon.ne.jp
==================================
▼index

□ 「大連立」騒動に振り回される永田町を叱りとばせ
◆まさかの坂、またかの駄々
◆政党政治の知恵をしぼるのか、官僚内閣制の手の内で踊るのか

□ お知らせ
◆定例講演会「二期目を迎えた胡錦濤政権の課題」
◆07年「望年会」
◆第五回大会 記念シンポジウムと懇親会 など
==================================
「大連立」騒動に振り回される永田町を叱りとばせ
==================================

◆まさかの坂、またかの駄々◆

熊    いやぁ、小沢代表の辞任にはまいったね。「まさかの坂」どころか「またかの駄々」になっちまった。

八    永田町周辺のギョーカイでは、「小沢の深慮遠謀」みたいな話も飛び交っているようだが、庶民の受け止め方はだいぶ違う。街頭インタビューでも「せっかくここまで持ってきたのに、大連立じゃ次の総選挙は台無しじゃないか」という声ばかりだ。有権者は「政権選択選挙」の経験を確実に積んでいるから、もう「政界再編」だの「豪腕」だのという“神話”は通用しない。「またかよ」ってとこだな。

熊    安倍さんも「KY」(空気が読めない)と言われたが、有権者の構造的変化が読めていない「KY」ぶりは、小沢さんもいっしょだな。大連立に対して「そんな話では、もたない」とすぐに言える皮膚感覚があるかどうか。これが永田町の中では、「政権選択選挙」の経験を確実に積んでいる有権者(現在のサイレントマジョリティー)の生活実感を追認できているかどうかの分岐点だってことは、よーく分かったよ。

八    安倍さんといい、今回の小沢辞任といい、どう見ても「自爆モード」だが、これをどうさばくかによって、「さまざまな面で力量不足…政権担当能力に疑念が提起され続けている民主党」(小沢氏辞任会見)のマネジメント能力が、ワンステップ向上することにつながるかもしれない。そうなれば「国民の期待に応えられるような、力強い政党になっていただきたい、そのきっかけになれば」という小沢さんの願いもかなうわけだが。

熊    自民党は総裁選で、「勝ち馬に乗りたいだけ」のなだれ現象を見せ付けた。昨日まで「小泉再出馬」の署名集めにしゃしゃり出ていた議員が、今日は福田陣営の出陣式で、福田さんの隣でちゃっかりテレビカメラに映っている、なんざぁ典型的だ。かつてのような派閥の数合わせはなくなったが、これではとても民意は集約できない。

八    民主党はこれからの代表選びにおいて、政権選択選挙の経験を積んできた有権者の期待に応えられるような、力強い政党への一歩を踏み出せるか。これまで、チャンスをピンチに変えることを繰り返してきたんだから、ここでピンチをチャンスに変えられれば、マネジメントとしては初めての前進だろう。

熊    政権選択選挙の経験を積んできた有権者からすれば、せっかくここまで土俵を整えて、議員同士がとことん議論せざるを得ない―立法府が官僚支配から脱する格好の条件をつくったにもかかわらず、永田町は腰砕けの連続じゃないか、ということだ。まず、安倍さんが呼び出しに応じず土俵に上がるのを拒否しちまった。三週間の空白のあと、福田さんが土俵に上がったが、双方とも塩をまくばかりで一向に見合わない。ようやく見合ったかと思ったら、初めての立会い(党首討論)には「待った」がかかり、とうとう土俵の下でなにやら「協議」を始めちまった。「大連立」でこの一番はなくなるのか、という騒ぎになって、今度は小沢さんが土俵を降りると言い出した。

八    いいかげんにせいや、というところだな。民主主義は手間のかかる、不合理な制度だが、それでもそれ以外の制度に比べれば「マシ」な制度だ。民意はひとつではない。民意は多様だし、バラバラでもあるし、相反することもある。官僚制はこまごまとした調整はできても、相反する民意を討議を通じて集約し、大きく方向づけることはできない。それをできるのは議会であり、政党政治だ。だから手間もかかるし、時間もかかる。その面倒を省いて大連立、というのでは民主主義たぁ言えねえや。

熊    いかなる法案も与野党の協議なしには成立しない、という状況のなかで、どうやって政党政治の知恵を発揮するのか、それが問われているときに、その前提そのものをなしにしちまう「大連立」では、有権者がここまでつくった土俵そのものをぶち壊そうってことにならあ。今回の「大連立」騒動の根っこには、議会での議論―立法府が官僚支配から脱する一歩、その面倒な手間を省いて、てっとり早く政策を実現しようってコンタンが見え隠れしている。これはちょっと、見過ごすわけにはいかねぇな。

八    だから「中選挙区制に戻そう」なんて話にまで、ズルズルつながっちまう。何のために小選挙区制を導入したのか、まるで何も分かってなかったんじゃないか。政権選択選挙の経験を積んできた有権者とは、とてつもなく乖離しちまっている。これじゃ民意の集約どころの話じゃねぇな。

◆政党政治の知恵をしぼるのか、官僚内閣制の手の内で踊るのか◆

熊    政権与党も、このままでは法律がひとつも成立しないと言うが、国会運営の主導権は与党が握っているんだ。いざとなれば、衆議院での再議決も今の議席数ならできる。だからこそ、野党と協議して合意すべき法案は何か、両院の議決が違った上で協議すべき法案は何か、衆院で再議決してでも通すべき法案は何か、という仕分けが必要だ。それをせずに「参院は野党が過半数だから、このままでは何も決まらない」というのでは、政権党とは言えないってことじゃないか。

八    衆院で再議決してでも通すべき法案なら、野党が何と言おうと、国民の支持をどちらが得られるかの競争だ。国民の納得が得られるなら、野党も問責決議はおいそれと出せない。最後は、それなら国民の信を問うと言えるか、だ。小泉さんはそれをやったわけだろう。どこまでならギリギリ対決できるのか、それを見極めるためにも、まずは議場で激突しなければ。それを最初から回避して、裏で話し合いというのではオソマツすぎる。

熊    ギリギリ対決して、後はもうない、というところまでいったうえで打開のための党首会談というなら、アリだがな。小選挙区導入のときはそうやった。だからどこでどういう妥協をしたのかも、オープンだ。それに比べて今回は、「給油新法」にしても「恒久法」にしても、双方の言い分が基本のところから違っている。だから「密室」だと言うんだ。

八    小沢さんは連立のメリットとして、参院選マニフェストでの公約が実現できるということをあげている。たしかに現状では、参議院で成立しても衆議院では否決されるから、約束を実現できない。しかし、それじゃ、小沢さんが仕掛けた自自連立で、どれだけ政策が実現できたのか。結局「これでは実現できない」と、連立を離脱したんじゃないのかい? 

熊    結局、政策の実現ということを官僚内閣制の手のうちでしか考えていないってことじゃねぇか?政権の一角に入りさえすればいいと。政党が民意を集約し、国民の意思で選ばれた議院が内閣・大臣をコントロールするという議院内閣制が、単なる手続きではなく権力のシステムだ、ということがお分かりでない。

*****************************************************
民主党肝炎対策本部での厚労省に対するヒアリングの模様。
【山井和則議員のメルマガより】

 質問7、10月24日、衆議院厚生労働委員会における山井和則議員の質問に対する舛添大臣の答弁を受けての厚生労働省の対応。つまり、遺族から開示請求があっても、今までは、「故人のプライバシー」をたてに、遺族に故人が418人のリストに含まれているか開示しなかった。その問題を私(山井議員)が舛添大臣に質問し、大臣は「開示するよう指示する」と明確に答弁しました。
 しかし、厚生労働省の肝炎対策本部での回答は「議事録を精査してから、検討します」
 枝野議員 「舛添大臣は『指示を出す』と明確に答弁してるじゃないか。大臣が答弁しても役所は動かないのか? 議事録の精査と言うが、議事録を待たなくても、インターネットで見れば、大臣の答弁はすぐに確認できるではないか」
 山井 「ということは、答弁から2日たってるけど、まだ、会社に情報開示の指示を出してないのですか。ご遺族は、必死の思いで情報開示を待っているのです。では、舛添大臣からのあなた方への指示は出たのですか? まだ、出てないのですか」
 厚生労働省回答 「・・・・・・・・」
 山井 「大臣から、まだ指示は出てないのですか」
 厚生労働省回答 「いえ、答弁自体が、大臣からの指示です」

(やまのい政治メールマガジン1020号より)
*****************************************
八    つまり、こういうことだ。官僚内閣制の手のうちで、実現できる政策って何なんだ?と。民主党の言う「税金の無駄づかいを徹底してなくす」というのは、単なる配分を変える程度の話なのか、それとも官僚内閣制の構造そのものを変える―政官関係・権力構造を変えるという話なのか。言い換えれば、政権交代というのは政治の仕組みを変えることなのか、それとも官僚内閣制の枠内で税金の配分を変えるという程度の話なのか。それによって、マニフェストの意味もまったく違うものになってくる。

熊    霞ヶ関が根回しし尽くした法案を与党審査という閉ざされた空間の議論で承認さえすれば、その後の閣議も国会もスルーする―閣議は「お習字教室」に、国会は「朗読」と数の確認の儀式の場と化す、という官僚内閣制の運営は、いよいよ立ち往生しつつある。「大連立」という政党政治の自滅によって、それをさらに延命させようとすることこそ、国益と国民生活を毀損する結果となる。給油データの誤りの隠蔽、消えた年金記録、肝炎患者データの隠匿などの末期症状は、それを如実に物語っているんじゃねぇか。

八    官僚内閣制にけじめをつけ、議院内閣制をより的確に作動させる一歩を踏み出す。そのことをこそ与野党で競うべきだ。小選挙区、政権選択選挙、マニフェストなどのここまでの蓄積をぶち壊すようなことは、絶対に許さねぇ。そういう有権者の声を、政党にしかと思い知らせよう。「大連立なんてことをやっていんたじゃ、次の選挙はもたないぞ」と。

(議院内閣制を的確に作動させる―このことが現実の政治攻防における、きわめて実践的な課題になっています。ぜひ「日本再生」342号を参照してください。)

□◆□ お知らせ □◆□
《選挙》
● 我孫子市議選  11/11告示 11/18投票  久野晋作同人が二期目に挑戦!

《第79回定例講演会》
「二期目を迎えた胡錦濤政権の課題」
11月15日(木)18時30分より
アルカディア市ヶ谷(私学会館)5階「穂高」
*日本をよく知る中国人研究者によるパネルディスカッション
参加費 会員1000円  一般2000円

《07年度望年会》
12月6日(木)午後6時30分より
アルカディア市ヶ谷(私学会館)3階「富士」
会費 6000円

《第五回大会》
08年1月6日(日)午後1時より
アルカディア市ヶ谷(私学会館)
○記念シンポジウム(第一部・第二部)
○懇親会 (シンポジウム終了後)

◆望年会、大会とも、会員以外の方も参加できます。
ぜひお誘いあわせてご参加を!

《機関紙「日本再生」 342号 11/1》
「構造改革の継続と国民本位の政治の安定を実現するためには、
機能停止しつつある官僚内閣制に替わって議院内閣制を作動させること
―政権選択選挙の課題」

*******************************
石津美知子
「がんばろう、日本!」国民協議会
http://www.ganbarou-nippon.ne.jp
TEL 03-5215-1330 FAX 03-5215-1333