電子瓦版(転送はご自由にどうぞ) ━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━ メルマガ♯がんばろう、日本! 103(07.10.12) ━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━ 「がんばろう、日本!」国民協議会 http://www.ganbarou-nippon.ne.jp ================================== ▼index □ 内政ごっこにかまけているヒマはない □お知らせ ================================== ●内政ごっこにかまけているヒマはない● 熊 ようやく逆転国会の論戦が始まった。参院選後の二ヶ月間はいったい何だったんだと言いたいところだが、とりあえず「いかなる法案も両院の協議なしには成立しない」という舞台の幕が開いたわけだ。 八 昨日のボクシングの試合はひどかったようだが、永田町のほうはちっとはマシな試合をやってもらわないと。せっかく国会の論戦を通じて、政策選択選挙の争点を絞り込むための舞台を、有権者がここまで準備したんだから。ボクシングでプロレス技連発(さしずめ、強行採決連発ってとこか)というのも困りもんだが、与党がクリンチに徹して時間を浪費するってのも、いただけねぇ。 熊 原則を言えば「与野党の協議は結構だが、あくまで国会論戦の活性化―立法府の機能強化のための政党間協議であって、逆ではない」(日本再生341号)ということだ。国会論戦で激突し、対立点を絞り込んでこそ、「妥協のための協議」ってものが見えてくる。二院の決定が違ったときにどういう協議をするのか、そこで政党政治の知恵ってものが試されるんだ。有権者はその場を自民、民主に与え、ここで総選挙の準備をしてみせろと言っている。 【足して二で割るのが妥協ではない。互いに「自分はこれを優先する。しかし、ここは決定的ではないから取引しよう」といった、もう少し複雑な妥協だ(飯尾潤・政策研究大学院大学教授 読売8/23)】 八 そりゃそうだ。自分の意見、見解のないところには、談合はできても妥協はできないからな。そういう点からいくと、インド洋のガソリンスタンド(海自の給油活動)を継続するかどうかが国会論戦の最初のヤマになるってのは、どうにも納得がいかねぇな。 熊 世論調査で、参院選直後に比べて給油活動への支持が増えてきたのは、早い話「たいしたことをやっているわけではない」ことが分かったからだろ? はっきり言えば「比較的安全で安上がりの国際貢献」だってことがわかったからだ。たしかに情報非公開は問題だし、できればアフガンを安定化するための活動への給油であって、イラクで戦争する空母への給油にはしないでほしいってのは、国民感情としてはそうだろう。でもだからといって、給油活動の替わりにISAF(*)への参加をっていう論議に国民がついていくと思ってるのかね? 八 自衛隊を海外に出すに際して、いろいろな制約を何重にもつけているのは、歴史的なことからいっても、シビリアンコントロール(文官による武官のコントロールのことではない/国民に選ばれた国会によるチェック)から言っても当然だ。空母キティホークへの間接給油は、単なる事務ミスではなく、そうした制約がなし崩しにされ、なおかつ何のチェックもされていない、という問題だから、それはきちんと責任も含めて追及すべきだ。が、しかしだからといって、過去六年間の給油について全部米軍に照会する、なんてことでは、相変わらず「日本の常識は世界の非常識」ってことになる。(そもそもこれは、日本政府の責任範囲の問題であって、米軍の責任範囲の問題ではないはずだ。) 熊 そういう非常識は、PKOのときからずっと引きずっている。それを国際貢献に関する一般法という形でこの際きちんとしよう、という話になるなら、それはそれで前進なんだが、どうやら新法というのは「給油に限定」「アフガンに限定」「国会承認抜き」ってことらしい。これでは第一に、(臨時限定措置である)特別措置法のさらに「例外措置」の類で、こんなものが「法律」としてまかり通るようでは、立法府は機能停止ということになっちまう。 八 第二に「国会承認抜き」なら、これはかなり由々しきことだし、当然民主党は絶対反対だ。「野党にもご理解いただいて」ということはありえないという前提の話になる。そうまでしてガソリンスタンドを継続する、というなら、さっさと延長法案を衆議院で可決して、参議院で否決させて、衆議院で再議決と憲法規定にあるとおりに、サクサクと進めればよかったんだ。衆議院の再議決のときに「一年限定」と譲っておけば、無用なキズは少なくて済む。来年になればアメリカも政権が変わるんだし、イギリスだってイラクから撤退するんだから、「出口」も見えてくるってもんだ。それなのに、この期に及んで与党がクリンチで時間を浪費しているのは、無責任もはなばたしい。 熊 そういうときに「妥協の知恵」がでるのかどうか。民主党だって、まさかISAF参加を争点に総選挙を戦うつもりじゃあないだろう?(だったら、何の目的で『世界』にあんな論文(**)を載せるのか) つまり、参議院で否決すれば民主党のカオは立つわけだ。むしろ年金や農業など「生活が第一」で攻めたいのだから。ここで、「自分はこれを優先する。しかし、ここは決定的ではないから取引しよう」という「妥協の知恵」が与野党から出てくるなら、そしてそれを議会の場を通じてできるなら、前進なんだが。 八 言い換えれば、政策で激突することと、政局で激突することとの仕分けができないと、そういう「妥協の知恵」は出てこないということだな。政策で激突すれば、「ここは優先するが、ここは譲る」という妥協ができる。それを通じて有権者にも、その政党の政策の優先順位や設計図が見える糸口になる。しかし「ひたすら解散に追い込む」vs「ひたすら解散を先延ばしにする」では、政局で激突するしかないことになるから、「妥協の知恵」は出てこない。結局どちらも、世論の動向ばかりを気にすることになる。こういうところで「外交」が争点になっちまうのは、サイアクとしか言いようがねぇや。 熊 前総理は「インド洋での給油を継続するため」と、政権を放り出した。それが「言い訳」だったのかどうかは知らないが、もし自民党政権にとってそれほどの課題なら、もっと早い時期に国会を召集して、衆院再議決の時間を確保して臨めばよかったんだ。あるいは、参院選前の国会であれだけ強行採決したのだから、そのなかに「混ぜて」通すことだってできた。あのころは、インド洋のガソリンスタンドのことなんか、国民は興味なかったんだから。 八 そういう手を何一つ打たず、逆転国会で「とにかく野党の同意を得なければどうしようもない」と、野党の出方待ちになってしまった。国連の決議やら、関係諸国の「謝辞」やらを繰り出すなかで11/1で自衛隊が引き上げる、それを繰り返しワイドショーに流して「小沢原理主義のせいで日本の国際貢献が潰された」とキャンペーンをはれば何とかなる、という作戦か? しかしこれこそ、外交を政争の具にすることじゃねぇのか? 責任政党はどこへ行ったんだ。 熊 小沢さんの国連原理主義にも困ったもんだが、与党が本当に通す気なら、衆議院の三分の二を持っている以上、通せる。それをやらずにズルズルしていれば、民主党だって「対決」せざるをえない。民主党にとっても、参議院で否決すれば済むはずの話が、しょっぱなから外交が「対決」テーマになっちまった。俺ら有権者こそ、いい迷惑だよ。 八 どうしたって福田政権は「選挙管理内閣」だ。福田さんは「背水の陣」と言ったが、「選挙待ち」→世論の動向待ちでは「明日はない」と知るべきだ。選挙管理内閣だからこそ、この秋の国会で何をするのか、優先順位をはっきりさせ、メリハリをつけなかったら、いつまでたっても「顔」は見えない。そして選挙で信任されれば、本格政権としてこれをやります、というマニフェストにつなげていく。民主党は議案を提案し、自民党からの質問攻めに答えて財源などを明らかにし、政権を任せてもらえば参議院で掲げたマニフェストをこう実現しますと訴える。そのためにこそ、この国会論戦を組み立ててもらいたい。そうであればこそ、「妥協の知恵」がでてくるってもんだ。 熊 それが見えてこなけりゃ、逆転国会は永田町の液状化にしかならない。重ねて言うが、意見や見解がないところには、談合はできても妥協はできない。ってことは、政局で激突しているかぎり(ひたすら解散に追い込むvsひたすら解散を先延ばしする)、妥協はできないってことだ。すべて議会の場で協議するという舞台ではもはや、やりたくても「談合」はできないからな。まあ、ここに永田町を追い込んだわけだ。 八 もうひとつ、政策で激突ってことは、それを通じて妥協の知恵比べをするってことだから、「政策」という意味が偏差値的お勉強とはコペルニクス的に変わるってことだ。例えば、インド洋のガソリンスタンドがどれだけアフガン情勢の改善に役立っているか云々という議論があるが、そもそもそういう議論自体、「思い上がりもはなはだしい」ということだ。各国はガソリンスタンドに感謝はしているが、情勢を左右するような活動を日本が担っているわけではない。問われているのは、日本にとっての価値だ。それは「身の丈にあった国際貢献に関わっている」ということだろう。「たいしたことはやっていない」という程度のことすら、国内政治の都合で(政争の具にして)止めてしまうような国を、グローバルパートナーとして信頼することができるのか、ということだ。ここをクリアできない「政策論議」は、おままごとでしかない。 熊 六者協議は、冷戦の最終決着という半世紀ぶりの北東アジアの秩序再編につながってきているが、日本はこの間ほぼ蚊帳の外だ。来年夏の洞爺湖サミットの主要テーマとなる温暖化対策の帰趨は、ブレトンウッズ体制に匹敵する国際レジームになりうる。しかし、ホスト国である日本の存在感は? 国際社会が大きな再編期にあるときに、政党が党利党略に走り、外交が政争の具となった1930年代の誤りから、そろそろちっとは成長した姿を見せなければ、ご先祖さまに申し訳ない。戦後の国民主権は何だったんだ、ということになるよ。(***) 八 永田町は、よくもわるくも世論次第で動くようになっちまった。ここはひとつ、それを逆手にとって、「政局でにらみ合ったままで、選挙になるんか!」「もっとメリハリ効かせて、優先順位をはっきりさせんかい!」と、有権者から激を飛ばさないとダメだな。 【注】 ISAF:国連決議に基づくアフガニスタンの国際治安支援部隊。治安維持活動では各国部隊に少なくない犠牲者も出ている。 ** 「世界」11月号に掲載された小沢氏の「公開書簡」。国連決議があれば国連の平和維持活動にあらゆる分野において参加することは、憲法に抵触しないという持論を展開。これにもとづいて、ISAFへの自衛隊参加も憲法上可能との見解を表明。 *** 「国際社会の歴史的再編期に大きな誤りをおかさないために、歴史に何を学ぶか」。第五回大会(08年1月6日)のテーマのひとつとなります。ぜひ、ご参加を! □◆□ お知らせ □◆□ 《選挙》 ● 我孫子市議選 11/11告示 11/18投票 久野晋作同人が二期目に挑戦! ● 東大阪市議選 9/23投開票 木村正治同人が4357票を得て、6位当選(定数46) 《07年度望年会》 12月6日(木)午後6時30分より アルカディア市ヶ谷(私学会館)3階「富士」 会費 6000円 《第五回大会》 08年1月6日(日)午後1時より アルカディア市ヶ谷(私学会館) ○記念シンポジウム(第一部・第二部) ○懇親会 (シンポジウム終了後) ◆望年会、大会とも、会員以外の方も参加できます。 ぜひお誘いあわせてご参加を! 《機関紙「日本再生」 341号10/1 》 逆転国会の論戦を政策選択選挙へと絞り込む ―福田内閣はそのための選挙管理内閣たりうるか 小沢民主党はそのための道筋をつくれるか ******************************* 石津美知子 「がんばろう、日本!」国民協議会 http://www.ganbarou-nippon.ne.jp TEL 03-5215-1330 FAX 03-5215-1333 |