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メルマガ♯がんばろう、日本!         76(05.8.17)
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▼index
□ 「郵政民営化の賛否を問う」って、あとは白紙委任ってこと? 
   冗談じゃない! 「何をする政権なのか」を問おう
 
◆ 郵政民営化のための政権?

◆ 郵政改革の争点
  「民営化」は反政府のスローガン、問われているのは「新しい時代の政府の役
割」

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   「郵政民営化の賛否を問う」って、あとは白紙委任ってこと? 
   冗談じゃない! 「何をする政権なのか」を問おう
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◆郵政民営化のための政権? 

夏真っ盛り。今夜も花火が夜空を彩り、あちこちから町の衆の歓声が聞こえてまいり
ます。
「玉屋ァ〜」「鍵屋ァ〜」「小泉屋ァ〜」

熊    やれやれ小泉屋だってよ。解散からこっち、永田町方面じゃ毎日のよう
に、派手な花火を打ち上げているそうじゃないか。マドンナだ、刺客だと、マスコミ
は大騒ぎだ。おいおい、選挙は見世物じゃないんだよ、と言いたくならぁ。

【ご存じでしょうか? 選挙にかかる費用(党や候補者ではなく行政サイドの費用)
は700億円超だということを。これだけの税金を使うのですから、それに見合った選
択をしないとワリに合いませんね。自分たちの税金を、その場かぎりの見世物に使い
果たしたいと思いますか?】

八    まあ今のところ、小泉サイドの目くらまし作戦は一定の効を奏していると
も言える。昨日はカリスマ主婦、今日は○○エモンと、候補者擁立(最近じゃ、「刺
客」というらしい。ひょっとしてヤクザの縄張り争いか?)の話題提供、パフォーマ
ンスはさすがだね。しかし、だ。やっぱりこれは花火でしかない、つまり地上に弾は
当たっていない。

熊    派手な花火に煽られて、浮き足だったら負けだってことだな。花火のター
ゲットははっきりしている。「小泉さんは党内の抵抗を押し切っても改革を断行しよ
うとしている。だから応援しなくちゃ」という、漠然とした改革期待層だ。ここは、
ゆるやかな民主党支持層とも、かぶっている。ここに対して「小泉改革はウソだ、デ
タラメだ」と、けなしたんじゃあ最悪だ。「小泉さんはがんばっていると思うけど、
目の前の民主党の候補者はもっとがんばっている、真剣だ、一生懸命だ」と信頼され
るかどうか。これがあれば、永田町方面で毎日繰り広げられるパフォーマンスは、地
上に弾の届かない花火でしかなくなる。

八    郵政民営化は、国民にとっては「大事なことだろうが、どうもピンとこな
い」テーマだ。だからこそ、小泉流の手法を見せる実験だけはおもしろいと映る、と
山崎正和氏は言っている(毎日8/16)。小泉さんは国民にとって本当の痛みが伝わら
ないテーマを選び、筋を通す手法を見せることで、国民が快哉を叫ぶ装置を作った、
と。逆にいえば、冷静になって考えてみようという対話空間をつくりだせれば、十分
勝てるってわけだ。

熊    それを、花火が終わるのを待ってからやるのでは遅い。なにせ短期決戦
だ。候補者擁立が一段落したら、次の新たな見世物を繰り出してくるだろう。一ヶ月
ならネタ切れせずにもたせるくらい、できない相談じゃないからな。だからこそ、花
火騒ぎで肝心の地上戦がスカスカになっているところで、流れを変えなければならな
いわけだ。

八    毎日新聞の世論調査(13,14日実施)によれば、これだけ自民党が「郵政
一点突破」の宣伝戦を繰り広げているにもかかわらず、有権者が最も重視する政策課
題は「年金・医療・介護」の社会保障(36%)だ。続いて「景気」(22%)「税制改
革」(17%)で、「郵政」は4番目、14%。上空には派手な花火が次々に上がるが、
しょせんは花火、地上に弾は届いていないことは、ここからも分かる。問題はこれを
どう、政権交代の焦点に押し上げていくか、そこは地上戦の力勝負だ。

熊    ターゲットは明確だ。漠然とした改革支持層、「官から民へ」に軽いノリ
で「いいんじゃない」という層、「小泉さんは筋を通そうとしているから応援」とい
う層だ。
亀井さんが派閥の会長を辞任したことについて、小泉さんは「義理人情から、政策本
位への選挙っていうのはこれまでなかったでしょう。こりゃまあ、古い自民党をぶっ
壊して、新しい自民党をつくるいい例ですよ」と言ったそうだ。これはこれで一理あ
る。その上で、じゃあ政策本位ってのはどういうことなんだと、ここに有権者を巻き
込む好機じゃないか。その対話―伝達の型をどうつくっていくか、だ。

八    マニフェストを主体的に受け止める層は、すでにはっきりしている。ここ
は「争点は『郵政』ではなく『年金』『税制』だ」に「そうだよ」となる。小泉改革
四年間の総括という意味も分かる。問題は、第二陣にどうつないでいくか。過半数を
とるためには、ここの勝負だからな。「だから郵政民営化に賛成なの? 反対なの
?」という単品の二者択一で、政策本位を理解しているつもりのところに、どうやっ
て構造改革のマニフェストの論じ方を広めていくか。小泉劇場はここをターゲット
に、単一争点で「政策本位の選挙」を設定しようということだ。

熊    早い話、自民党マニフェストは「総選挙後の臨時国会で、郵政民営化法案
を成立させる」とあるが、それじゃその後は何をする政権なのかってことだ。それが
見えないままで、肝心の「年金」や「税制」は「白紙委任」でいいのか?ってことだ
よ。「華」にまつりあげられているマドンナたちや、○○エモンは「郵政民営化、賛
成」「改革を止めるな。」という一枚看板なんだろうが、それじゃあんたたちは、郵
政民営化の後はどういう改革を、どういう優先順位で、どういう行程表で実行するの
か? とぜひ聞きたいもんだ。(どっかのマドンナ学者先生みたいに「すべて党に一
任しております」と繰り返すのかねぇ?/長屋の意地悪バァサン)それが見えないま
ま「白紙委任」すれば、今回とおなじ混乱が繰り返されるだけだからな。

八    郵政民営化がこれだけ混乱したのは、03年の小泉マニフェストがあいまい
だったからだ。もともと事業計画があいまいで、そのうち役員の一部が『この計画は
いかん』と言い出し、決算できなかった。それを社長の小泉さんが『俺は悪くない』
と言っているようなものだと、21世紀臨調の曽根・慶応大学教授は言っている(8/15
読売)。世間では、こんな経営者では会社はもたない、という話だ。
曽根氏はこうも言っている。「『我が社はこういう製品を出します』と世の中に訴え
ておいて、『途中で開発できませんでした』という時に、ライバル会社(野党)のせ
いにしますか。あくまで社内問題を解決できなかった経営者に責任がある」と。○○
エモンが経営者の端くれなら、これくらいのマネジメントにかかわることは分かって
いないと困るんじゃないのかねぇ。

【「新しい日本をつくる国民会議」(21世紀臨調、共同代表・佐々木毅東大前学長
ら)は16日、衆院選に向けた緊急提言を発表した。提言では、小泉純一郎首相が郵政
民営化のみを衆院選の争点と位置付けていることについて「単一争点的な選挙は、諸
課題が山積している現状を考えると、後に新たな混乱状態を残す」と批判。「初の本
格的な政権選択選挙とすべきだ」と訴えた。
 その上で、自民、公明両党は、外交・内政の主要政策について「連立政権公約」
を、自民党から公認されない同党の前職は選挙後の政権との関係を、それぞれ明らか
にするよう求めた。】   

熊    そういう意味じゃマニフェストも、「出すこと自体に意義がある」という
段階から、中身がどうなのかを有権者も、しかと検討すべき段階にはいったわけだ。
政策本位ってのを「郵政民営化、是か否か」という単一争点のレベルから、さらに引
き上げる(または深化させる)、その対話―伝達力が必要だってことだな。

八    21世紀臨調は緊急提言のなかで「政党の公認候補者は公約実現のため連帯
責任を誓約」するよう求めている(他にも何点か、政党マニフェストに掲げるべき点
を求めている)。民主党は前回同様、全公認候補にマニフェストへの署名を求めるよ
うだが、自民党も少なくともそのくらいをやらなければ、仮に政権を維持して、郵政
民営化が通ったとしても、その後にまた混乱が起きるのは目に見えている。これは03
年マニフェストの最低限の総括だ。有権者もここはしっかり見るべきだし、マドンナ
やら○○エモンも、そのくらいの常識は持ってもらわないと。

熊    07年から人口減少だというときに、花火騒ぎにこれ以上費やしてる時間は
ねぇってんだ!


◆ 郵政改革の争点
「民営化」は反政府のスローガン、問われているのは「新しい時代の政府の役割」 

八    小泉花火のおかげで「郵政=改革」という構図が一定の効を奏している以
上、緒戦の争点設定の攻防では、「争点は『郵政』ではなく『年金』『税制』だ」と
いうだけではダメだ。「郵政改革の争点は何か」というところから、対立軸=選択肢
を示してこっちの土俵に乗せていく組織戦ができなくちゃ。

熊    「対案を出さなかった民主党」に対して、言い訳的に「民主党の論点はこ
れこれで・・・」と説明していたんじゃダメだ。単一争点の発想はYESorNOなんだ
から、そこにストレートに第一球を投げ込まないと。「小泉郵政民営化で、税金の無
駄遣いはなくなりません、政官業の癒着もなくなりません」と言い切ることだ。

八    普通の人が「民営化=改革」となんとなく思っているのは、郵貯・簡保が
「官」で無駄遣いされている、それが断ち切られるんだろうということだから、
「えっ、なぜ?」となる。ここで聞く耳もたず、というのは別の政治的立場を意識し
ているわけだから、とりあえず説得の対象ではないと、割り切ればいい。なにせ短期
決戦だ。

熊    この説明は、「入口」と「出口」の話で、要は「出口」の改革、つまり特
殊法人や特別会計にメスを入れなければ、国民のお金を官がかき集めて、官がそれを
配分するという仕組みは何一つ変わらない。民主党政権は、ここを変えますという話
だな。

八    加えて、小泉改革の実際を見よ、ということだ。道路公団民営化の顛末は
どうだ? 未だに談合・天下りを隠そうとしている。民間会社になったら、もっと
チェックは効かなくなる。税金の無駄遣いは、やりたい放題の一方で、サラリーマン
には増税だ、と。

30代地方議員   小泉さんの民営化に対する批判は、それでいいと思うし、「そう
だったんだ〜」という人は結構いるんですよ。でも私はもっと、「民主党とは何か」
というメッセージをきっちり伝えるべきだと思うんですね。たとえばマニフェストで
「郵貯の規模縮小・預け入れ限度額引き下げ」と言っていますが、普通の人には、な
ぜそれが郵政改革なのか、そう簡単には伝わりません。
郵政改革の基本的なスタンスは何ですか? 小泉さんは突き詰めれば、「民営化した
ら潰れることだってある、それでいいじゃないか」ということでしょう? では民主
党はどうなんですか。小泉民営化は不徹底だ、「潰れないように保証された民営会社
なんておかしい」ということからだけで批判するんですか? 
私はそうじゃないと思う。郵政改革の基本は「維持すべきユニバーサル・サービスは
何か」「確保すべきセーフティーネットはどこまでか」を明確に示し、国民の納得を
得るということに置くべきだと思う。
だから、国民にとっての決済サービス機能を確保するために郵貯は当面残す、ただし
「官」の無駄遣いに回らないように額は減らしていって、小口口座が「民」でも維持
できるなら廃止すると。「規模縮小・預け入れ限度額引き下げ」というのは、こうい
う背景ストーリーがあって出てくる話だと思うんです。
それを長々説明したって、有権者の耳にもハートにも届かない。それよりもっとスト
レートに、民主党の価値観を言うべきだと思う。「維持すべきユニバーサル・サービ
スは何ですか? 私たちはこう考えます」と。それと同時に、不公正(税金の無駄遣
い)への怒りを共有することじゃないか。

八    郵政は金融や財政の話だから、「郵便局がどうなるのか」なんぞはレベル
の低い議論だと、抵抗勢力の面々をバカにしていた評論家がいたっけ。しかし、国民
の不安というのは、じつはそこなんだよ。維持すべきユニバーサル・サービスやセー
フティーネットが示されないまま「改革だ」「競争だ」と追い立てられる。それでい
いのか、と「もうひとつの選択肢」を求めている。ここに届くメッセージということ
だな。

熊    いわゆる「旧い自民党」が蹴散らされ、護送船団方式の依存と分配、そこ
における既得権の破壊で、見た目のうえでは「自民党はぶっ壊れた」わけだが、その
先にある選択肢は何なのか。いわゆるアメリカ型の市場競争第一の仕組みなのか、そ
れともヨーロッパ的な(と言われる)社会的市場の仕組みなのか。55年体制をぶっ壊
すかどうかという「破壊」の段階から、ここのステージに移りつつあるってわけだ。
小泉劇場のドンチャン騒ぎの渦中、普通の人が落ち着いて考える環境にないなかでそ
の移行が始まっているのは、残念なことだがな。

八   小泉自民党が擁立してくる(しようとする)「有名人」というのは、結局の
ところ「改革の『勝ち組』」だろ。ユニバーサル・サービスやセーフティーネットな
んかなくたって、何度でも挑戦できるし成功もできる。そういう「勝ち組」による
「改革」の名の下の猟官運動が、大々的に表に出てきたってことでもあるわけだ。

熊    そりゃあ、見ている分には面白いかもしれないが、いざ自分たちの生活や
人生を振り返ったときにどうなのか。「寂しい自分」を忘れるために、小泉劇場に熱
狂する(したフリをする)―ここからファシズムが始まるわけだ。その意味では、役
者をよく揃えたもんだよ。

八    ユニバーサル・サービスやセーフティーネットなんかなくたって、何度で
も挑戦できるというのは、一割か二割。その他の人は、例え挑戦できたとしても「永
遠の負け組」だ。でもそれで人生アウトじゃない。毎日をよりよく生きる、一生懸命
生きる―そういう人を自分たちの代表として政治の場に送ろうという庶民の見識、
フォロワ―の矜持が試されるってことでもあるな。

30代地方議員   民営化というのは反政府のスローガンだ、と佐々木・前東大総長
が言っています。今問われているのは、「新しい時代の政府の役割、パブリック(公
共)のありかた」だと思うんです。それを示さない小泉改革と、それを示す民主党。
小さな政府か大きな政府か、ではなくて「小さな政府・大きな公共」と。そのメッ
セージを郵政改革の争点のなかからも、きっちり伝えていきたいんです。

熊    古川さん(民主党政調会長代理)が4月9日の「がんばろう」のシンポジウ
ムでこう言った。「企業は人を切れるが、社会は人を切れない。競争社会に取り残さ
れた人が希望を失わないようにすることが、政府の役割だ」と(*)。市場や競争を
認めるのか、否定するのか、じゃないんだ。市場、競争、大いにけっこう。そこでや
れる人は存分にやってもらえばいい、そこにまで政府が手出し口出しする(護送船団
方式)のは間違いだ。しかし、普通の人の多数は「負け組」、それも「永遠の負け
組」だ。それで人生アウトなのか、社会の中に位置はなくなるのか、そうじゃないだ
ろうということだよ。
(*「日本再生」313号−314号に所収)

八    55年体制下の総社民化では、そういう人を行政が税金で面倒を見た。バラ
マキ福祉、依存と分配だ。だが新しいパブリックは、そういう人たちに「機会」を保
障する。それは競争の機会ではなく、参加の機会だ。たとえば障害のある人が、自分
にできることで仕事をし、お金をもらえるようにする。小泉改革は逆だ。これまで障
害者が月一万円の工賃を得ていた作業所を利用するのに、月二万円の利用料金をとろ
うと。それが払えないなら施設に入れ、行政が「措置」してやると。恩恵としての福
祉は受けられるが、社会の一員として参加する機会は奪われるわけだ。

熊    俺らが望むのはそういう社会なのか? ノーだ! 「民営化」の是非では
なくて、新しい政府の役割、パブリックのあり方を問おう、それを示せと政党に要求
し、しっかりと検証しよう。

八     民主党も、○○エモンを自民党と取り合ってる場合じゃないんだが
な〜。

30代地方議員   そうなんですよ。それこそ「もっと大事なことがある」はずなん
ですけどね。まぁそこは私たちが変えていきましょうよ。そのためにも、今度こそ政
権交代です!


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石津美知子 ishizu@ganbarou-nippon.ne.jp
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