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▼index
□政権延命政党と政権準備政党

□ お知らせ
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政権延命政党と政権準備政党
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熊   ヘェ〜クションッ(グズッ)。あ〜、また花粉の季節かょ。ただでさえ憂鬱
なところに、小泉のヘラヘラ顔がアップで出てくるだから、たまんねぇや。

八   うちのお松なんか最近、あのツラを見るだけでムカツクってオイラに当り散
らす始末。おまけにマスコミはみんな、小泉の答弁拒否を棚にあげて「民主党がだら
しない」と言うもんだから、「民主党はなにやってんだ」と、こっちのほうからもと
ばっちりがくるってわけだ。

熊   それでも最近は「自民党も民主党も、どっちもどっちじゃないか」ってぇ無
責任な捨てゼリフを吐くやつは、だいぶ減ってきたと思わねぇか?

八   そいつは確かだな。「自民党じゃダメだ」というのは、みんな分かってい
る。むしろ訴えるほうがそのことを分からずに、「自民党はダメだ、ダメだ」とばか
り言っているから、相手に「自民党も民主党も、どっちもどっち」と言わせてしま
う、といったほうがいいかもしれないな。

熊   世論調査(2/22朝日)でも、「議席を伸ばしてほしい政党」は自民30%対民
主34%、「議席を伸ばしてほしくない政党」は自民25%対民主5%と、「期待と拒
否」では民主が有利だ。にもかかわらず、政党支持率では自民が29→32%に対して民
主は19→16%。ここを評して「自民批判層を握れていない」というわけだが、単純に
「自民批判」イコール徹底抗戦の抵抗野党というわけにはいかない、というのが「胸
つき八丁」の悩みというところだ。

八   「自民批判層を握れていない」という見方がまず、表層的だよ。二大政党に
なっていく過程では、あるところまでは55年体制の「(万年)与党・野党」の延長で
見ることも可能だったが、二大政党への方向が定着(「政権を争う二大政治勢力」
化)した段階では、風景が一変するってことだ。55年体制なら「政権交代はありえな
い」という前提での「自民批判」だが、今はそうじゃない。これを政権交代―権力闘
争の主役にできるのかどうか、これが胸つき八丁の意味だし、逆に自民党からすれ
ば、そうさせないためには「自民批判」を55年体制の「反自民」=無党派に止めてお
くことが、最大の権力基盤ということになるわけだ。

熊   「政権交代がありうる」というなかでは、自民党のほうも野党に対する「譲
りシロ」はまったくないから、国会もガチンコといわれる状態になる。政策論戦でガ
チンコならいいんだが、今は「数がすべて」のガチンコだ。いきおい、数で劣る野党
が「与党を追いつめる」なんて話はありえないってことになる。だけど、55年体制の
惰性では野党イコール批判・抵抗だから、「年度内に予算成立を許した民主党はだら
しない」という話になる。

八   じつはそう思っているのはマスコミ、それも現場の記者よりデスクと、圧倒
的に永田町の住人なんだよな。ふつうの人が「民主党はだらしない」というのは、
「自民党がこのテイタラクなのに、民主党は政権をとれるのか?」ということで、
「与党を追いつめられないから、頼りない」ということじゃない。ここの仕分けがで
きないと、「政権批判のためには何でもあり」という55体制の野党根性の惰性にひき
ずられてしまう。

熊   そうなりゃ、自民党の延命策の思うつぼってわけだ。なんてったって、政権
交代をめぐる攻防の最大の戦場は、院内じゃない。院外の有権者をめぐる攻防戦だ。
自民批判で政権交代を期待しているっていうところを、どうやって政権交代の主体的
な支持基盤へ、期待から確信へレベルアップするかってところにあるわけだから。こ
こが「反自民」「無党派」の批判層にとどまるかぎり、最後の胸つき八丁は越えられ
ない。

八   自民党が、なりふり構わぬ政権延命のあれこれなら、民主党は政権準備の未
踏の領域での四苦八苦と。まずここで、永田町も有権者も、今の事態をとらえる訓練
をするこった。なりふり構わぬ政権延命というのは、ある程度説明すれば分かる。
「自民党をぶっ潰す〜」の詐欺が通用しなくなって、ウリがなくなっちまったから、
とにかくこの国会はこれまでにも増してめちゃくちゃだもんな。

熊   民主党のほうは、55年体制の惰性の「抵抗野党」というところから見て「だ
らしない」というのと、政権準備という未踏の領域で苦労しているのは分かるが、も
う少しなんとかならんのか、というのとは、有権者の側の蓄積としたって、まったく
違ってくるわけだ。

八   政権準備政党という言い方に対しては批判や冷笑もあるが、政権交代可能な
二大政党(モドキ)になったときの「野党」のありかたというのは、先例がない。ゼ
ロからつくるものだ。この「つくる」過程を有権者にしっかり見せ、そこに参加を呼
びかけて行くことこそが、最大の政権準備だろう。「政権準備政党」という自己規定
を、そこまで使いこなせるかが民主党には問われるわけだし、「バッジをつけない主
権者」もそれを定着させていくことが必要だ。

熊   「どっちもどっち」という捨てゼリフが減っているのは、「政党」ってもの
に対して傍観者で評論するってことを、有権者自身がしなくなっているってことだ
ろ。マニフェストもあって、他人ごとで「政治家が悪いんだ〜」とは言えないってこ
とに、気がつき始めている。政党をどう見るか、そのための新しい言葉―二大政党へ
のとば口にマッチした新しい表現形態が必要なわけだ。それが、政権延命政党と政権
準備政党ってことだ。

八   二大政党で政権交代ということになれば、野党というのは次の政権を準備す
る政党だ、ということが定着していく。この問題はじつは、政権交代して自民党が野
党になったとき(次の総選挙で政権交代しないと、日本再生のチャンスを失う!)に
も、重要なんだ。野党になった自民党は文字通り、民主党政権批判のためなら何でも
アリ、になるだろう。その時に、「政権準備政党」としての野党のありかたってもの
が、有権者のなかにも蓄積されていれば、自民党のなかにもまともな国民政党として
再生しようという部分との健全な分岐が、余計な回り道をあまりせずに進むだろう。
そこからいよいよ、本来の二大政党への脱皮が始まるんだからな。そのためにも、政
権準備政党のありかたってものを、今から蓄積していくことが必要だってわけだよ。

熊   政権準備の四苦八苦なんだと、そこから見たうえで注文をつけさせてもらえ
ば、やっぱり予算国会の運営は、もうちょっとなんとかならんかい、と言いたいね。
「政治とカネ」の扱いだ。一億円をもらっておいて「知らぬ、存ぜぬ、覚えていな
い」って話はないだろうってのは、そのとおりだ。しかし、違法(橋本派のヤミ献
金)と「道義責任」(政策活動費の使途記載)の仕分けができていないから、ミソも
クソもいっしょにされて「ドロ試合」にされちまった。自民党は延命だから、当然そ
う出る。それにひきずられるのは、政権準備とは何かが見えてなくて、「政権批判な
ら何でもアリ」が残っているからじゃねぇか。

八   「政治とカネ」をやるなら、橋本派の一億円にしぼるべきだった。それを繰
り返し衝いて、それで与党が証人喚問に応じず数で突破するなら、その姿をきちんと
国民の前に見せればいい。「みなさんはどう思いますか?」と。ところが仕分けがで
きていないから、論点が分散しちまった(ミソもクソもなんて、下品な言い方はオレ
はしねーよ)。結果、予算委員会の審議では、大半の時間を「政治とカネ」のドロ試
合に費やして、肝心の最大の争点であるはずの「年金」の時間はわずかだった。これ
じゃ、「見せ場」はつくれないやな。

熊   問題はこの先だ。これからは「郵政」が焦点にならざるをえない。国民は
「まず年金」と言っているのに、「郵政」を大きくとりあげるマスコミもけしから
ん、こりゃ「政府広報紙」かとも言いたいが、まあその程度と割り切るしかないな。
問題は、これに引きずられずに政権準備の姿をどれだけ見せていけるか、だ。中川国
対委員長あたりは「民主党は対案をだせなければ、最初からリングアウト。それで
『政権準備政党』といえるのか」と挑発しているが、ガキのケンカじゃねえんだ。そ
んな挑発に乗ることはない。

八    主戦場は「年金」だ。与野党協議に入るようだが、そのための具体的な道
すじについて、きっちりした論議をして、それをオープンにしていくことだ。郵政で
自民党内がワァワァやっている以上の話題提供を、厚生労働委員会の論戦で見せつけ
て、マスコミも取り上げざるをえないようにすることだ。過度にウケ狙いをする必要
はないが、マスコミってやつは、目の前の「動くもの」に反応するからな。

熊   国民が本当に知りたいのは、年金改革にまじめに取り組むのかどうか、だ。
出生率のデータ隠しなど、都合の悪いことを隠して「これで大丈夫」を繰り返してき
た政治に、国民は不信をもっている。社会保険庁の無駄使い=流用だって、何一つメ
スが入っていないじゃないか。今度こそ、信頼にたるまともな協議が、それこそ「党
派利害を超えて」できるのか?ってところを、一番知りたいんだ。そこに正面から答
える論戦をきちんと繰り返しやれば、マスコミだって取り上げざるをえなくなる。読
者のニーズは無視するわけにいかないからな。

八    与党が真面目に協議に応じるかどうかは、永田町で判断することじゃ
ねぇ。ここはぜひ、民主党の執行部のセンセイには勘違いしないでもらいたい。与野
党協議を先送りの口実にさせない、「次の選挙の争点はずし」という政権延命の余地
を与えない、そのための条件、ハードル(*1)をきっちり国民の前に示して、それ
についての論戦がどこまでどのように進んでいるか、それで国民が納得すれば、与野
党協議がスタートするってことだ。ここの説明責任を、先頭切って民主党が果たすと
いうことでなけりゃ、また政権延命の手練手管にしてやられる。

熊   質問では「国民のみなさんを代表して質問します」という構えが必要だし、
いいかげんな答弁に対しては「それは、年金に不安や不信を感じている国民に対する
答弁、ということですね」「国民のみなさんはこの答弁で、まともな与野党協議がで
きると思いますか?」とダメ押しをする。与野党協議は、国民が「これなら、与野党
が責任をもってまじめな協議をする場になるだろう」と納得してはじめて可能になる
んだ。そのことを忘れれば、院内の駆け引きイコール政権延命の道具に使われる。

八   民主党がドジを踏むだけならまだいいが(それもあまりよくないが)、また
この先二年間、年金改革のための時間が失われることになれば、国民が不幸だ。なん
てったって、年金改革の最終列車(*2)はもう、出ちまったんだから。それを追い
かけて飛び乗れるかどうかってときに、おれらの年金改革を政権延命の道具につかわ
れてたまるかっ!

熊   そのためにも「抵抗野党としてだらしない」ということではなく、「政権準
備政党のありかた」として自他ともにとらえていく「バッジをつけない主権者」の活
動が必要だってことだな。

(*1)
 古川・政調会長代理は、与野党協議を先送りの口実にさせないための条件、ハード
ルとして「すべての議論を国民にオープンにする<透明性の確保>」と「事務方を官
僚ではなく霞が関の外の専門家に任せる<霞が関からの独立性>」を最低限の担保と
すべき、と述べている。この条件を呑むかどうか、この論議の過程を見れば、与党が
与野党協議を口実にしようとしているかどうか、その見極めもできる。(古川議員の
お話は『日本再生』311号掲載)
(*2)
昨年九月に国際通貨基金(IMF)が公表した「世界経済見通し」に「『年金改革行き
最終列車』の発車時刻」という特集がある。高齢者が国民の多数派になると、政権党
も野党も選挙を気にして年金改革の思い切った施策を打ち出すのが難しい。そこで、
抜本的な年金改革に取り組むラスト・チャンスを「最終列車の発車時刻」と命名し
た。具体的には「有権者に占める五十歳以上の人口の割合が50%を超える時期」であ
り、「その前に必要な手を打つべきだ」としている。
この最終列車発車時刻表、最も早いフィンランドとスイスは2010年、米国は2015年、
英国は二〇四〇年…。ところがここに「日本」はない。なぜか。昨年十月時点での日
本の有権者人口に占める五十歳以上の人口は、50・88%(ちなみに2020年には七十歳
以上の人口は、2000年に比べて一・七八倍に増える)。年金改革の最終列車はすでに
出発してしまったのである。

□◆□ お知らせ □◆□

□第45回 東京・戸田代表を囲む会
「今、憲法を論じるとは」
達増拓也・衆院議員、「次の内閣」文科大臣、憲法調査会委員
3月15日(火) 午後6時30分より
「がんばろう、日本!」国民協議会事務所(市ヶ谷)
会費 2000円(同人会員)
●「農業革命」「産業革命」に続く、第三の人類史的転換
という文明史的な背景から、今、憲法を論じる意味について
お話しいただく。護憲・改憲という55年体制の視点を脱するうえで
必要な歴史的視点の整理でもあり、国民主権の憲法改正の前提となる
歴史認識の整理ともなるだろう。

□第64回定例講演会
「民主党の政権戦略」
枝野幸男・衆院議員 民主党政権戦略委員会事務局長
3月17日(木) 午後6時30分より
私学会館(アルカディア市ヶ谷)6階「霧島」
会費 1000円(会員) 2000円(一般)
●政権交代にむけたロードマップと、政権交代後の政権のハンドリングを
「両にらみ」で準備する政権戦略委員会。
その実質的責任者である枝野議員に、
前半国会の総括と、「民主党の政権戦略」を語っていただく。

□第65回定例講演会(パネルディスカッション)
「若者―家族、教育、働くこと、生きる力」
4月9日(土) 午後1時より
弘済会館 4階「菊」
パネラー 野川忍 学芸大学教授
     山田昌弘 学芸大学教授
     福嶋浩彦 我孫子市長
     古川元久 衆院議員 民主党政調会長代理
会費 1000円(会員) 2000円(一般)
●右肩上がりの時代が終わり、「明日は今日よりよくなる」とは
必ずしも言えない時代・社会のなかで「ニート」など新しい問題も起きている。
高度成長型のシステム転換は急務であるが、
今回は「若者」(子どもも含む)に焦点をあてて、
山田先生の「希望格差社会」を手がかりに
「問題分析の視点」「課題の方向性」について、
自治体の取り組みなども交えて議論していただく。

□第46回 東京・囲む会
「政権交代可能な政治の基礎インフラとしての“政策市場”」
加藤秀樹・構想日本代表
4月15日(金) 午後6時30分より
「がんばろう、日本!」国民協議会事務所(市ヶ谷)
会費 2000円(同人会員)
●企業の一部門としての「シンクタンク」ではなく、
独立した政策立案機能を追求している「構想日本」
この間、「自治体の事業仕分け」などで協力していただいているが
構想日本のめざすもの―政権交代可能な政治を支える
基礎インフラとしての「政策市場」づくり―について
お話しいただく。
現在手がけているテーマである「行政改革」―事業仕分け
「政治改革」―政治資金、公職選挙法改正などについても
「政策市場をつくる」具体的な試みとしてお話しいただく。

□第66回定例講演会
「日本外交に問われるもの」
添谷芳秀・慶応大学教授
5月10日(火)18時30分より
総評会館203室
会費 1000円(会員) 2000円(一般)
●「北朝鮮」「中国」「米軍再編」と日本の外交課題はどれも
小泉さんのワンフレーズポリティクスでは手に余る状態になっている。
外交を政権維持の道具に使ってきたツケでもあるが、それでは
「北朝鮮」「対中関係」「対米関係」を、政権選択の課題(外交におけるギアチェン
ジ)としてどのように整理していくか
「東アジアの新しいゲーム」とは何か
これに乗り遅れないためには、何が必要か
こうした問題を考えるための視点、材料を専門家として提示していただく。

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石津美知子 ishizu@ganbarou-nippon.ne.jp
民主統一同盟 「がんばろう、日本!」国民協議会
http://www.ganbarou-nippon.ne.jp
TEL:03-5215-1330 FAX:03-5215-1333