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メルマガ♯がんばろう、日本!         53(03.10.21)
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マニフェスト対決・道路公団改革
□ 道路公団民営化・場外乱闘編(ワイドショー版)
□ 道路公団廃止/高速道路無料化vs民営化 長屋談議編

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マニフェスト対決・道路公団改革編
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□ 道路公団民営化・場外乱闘編(ワイドショー版)

キャスターA   今週初めと言われていた道路公団藤井総裁の解任は、どうやら早
くても週なかばへとズレこむもようです。藤井総裁のクビを飛ばして改革をアピール
したかった小泉総理にとっては、誤算続きですね。

コメンテイターB  小泉さんも藤井さんも、どっちも政治利用しちゃってますから
ね。国民にとって、道路をどういう仕組みで利用し、またつくるのがいいのかという
本来の議論からは完全に外れてしまっています。

キャスターA   今回の聴聞では、解任の理由が当初、石原大臣が辞任を勧告した
ときとは変わっているそうですね。そのあたりにも、なんか姿勢のぐらつきが見えま
せんか?
やっぱり、藤井さんの爆弾発言がコワイんですかね。

コメンテイターC  石原大臣の辞任勧告のときには「財務諸表」のことが理由のひ
とつになっていたんですね(道路公団が債務超過に陥っていることを示す財務諸表。
「存在しない」と言いつづけてきた総裁が、国会での追及で存在を認めた)。それ
が、聴聞の時にはなくなっちゃった。まあ、財務諸表のことは常識的に考えても、藤
井さんが言うように、国交省道路局と確認しながらやってきたはずですからね。それ
を今さら解任の理由にすれば、国交省にもとばっちりがきますからね。クサイものに
はフタというか、この際ひっこめちゃったんですね。

キャスターD    Bさんが「政治利用」とおっしゃいましたが、財務諸表のこと
も含めて、今回解任の理由とされていることは、八月の時点で出揃っていたわけです
よね。それをここまでひっぱっちゃった、政治的に利用できるタイミングを見計らっ
ていたわけですよね。でもそれって逆に、藤井さんの国会答弁も含めてその時点で、
小泉さんは藤井さんを容認したことになるわけですよね。扇大臣なんか、擁護したと
いってもいいんじゃないですか。それについて小泉さんは、何の指示も出さなかった
わけですし。

コメンテイターC   そのとおりです。八月時点でなら、「(財務諸表をめぐる)
国会答弁が二転三転した」というだけで、解任できたのです。担当大臣なり総理なり
が、そう決めさえすれば。しかし、そうしなかった。ところが、今になって解任する
と。裁判になったら、その理由を正当化するのは難しいですよ。いまだって、藤井さ
んがそこの矛盾をついているから、これだけこじれているんですからね。国交省の今
の論理では、裁判はもたないんじゃないですか。

キャスターA    さぁこれからの藤井さんの反撃ですが、やっぱり、AとかNと
かKとかっていうのは、でてくるんですかね。

コメンテイターB    こうなったら洗いざらい、はっきりさせてもらいたいです
ね。藤井さんも「墓場までもっていくつもりだが、自分の身を守るためにやむをえず
・・・」みたいなことを言っていますけれど、自分の保身のためなんかじゃダメです
よ。公務員は違法行為を知った場合にはただちに報告しなければならない義務がある
んでしょ。そのための、身分保証じゃないですか。だから今回だって、そう簡単にク
ビが切れない仕組みになっているんです。そこのところを勘違いされては困ります
ね。

キャスターD    衆議院は選挙ですが、参議院の委員会は今でも開催できるんで
すよね? 参議院で参考人なりなんなり、藤井さんに来てもらえばいいんじゃないで
すか。私たちも知りたいですよね。

キャスターA    先日のテレビで山崎副総裁は消極的でしたね。「選挙妨害にな
る」なんて言っていましたけど、道路公団の問題は自民党も民主党も公約にとりあげ
ているんだから、「選挙妨害」という発想はおかしいですよね。そんなことだと、
やっぱり自民党はやましいところがあるだ〜と、こっちも思いたくなるじゃないです
か。

コメンテイターB   野党は強力に要求すべきでしょうね。自民党は「開催しな
い」と言えば言うほど、有権者からは「逃げている」と見られ、選挙には不利になり
ますからね。

キャスターD    藤井総裁側は、石原大臣と安倍幹事長を「名誉毀損」で訴える
ことも検討している、みたいなことも言っていましたが。

コメンテイターC   どっちもどっち、という気はしますよね。しかし問題とされ
ている演説を聞くと、公職にある人が不特定多数を相手に公の場で発言する、という
ことからすると、やはりちょっとあれでは「軽すぎる」という気がしますねぇ。いわ
ゆる「失言」というのとはちょっと違いますからね。現在、政治的な争点になってい
る問題を訴えるのに、あまり大衆受けばかりを狙うというのはいかがなものでしょ
う。まぁこれは、聞いている聴衆のほうの問題にもなってきますが。

コメンテイターB   やっぱり、政策で論争するということがよくお分かりでない
んじゃないですか? だから政策的な批判ではなくて、揶揄みたいになっちゃうし、
そうるとどうしても「軽口」を叩くことになりますよ。
今回の選挙では、自民党は「道路公団民営化」、民主党は「道路公団廃止、高速道路
無料化」と、それぞれ政権公約を出しているわけです。どちらが国民にとっていいの
か、道路はどうあるべきなのか。この問題を、こういう方向の議論にもっていかなけ
ればならないと思いますね。選挙で選ぶのは、私たち国民、有権者なんですから。

キャスターD    「人気」で選ぶか「政策」で選ぶか。私たちにも責任があるわ
けですね。


□ 道路公団廃止/高速道路無料化vs民営化 マニフェスト対決・長屋談義編

熊     さっきテレビを見ていたら、例の道路公団の場外乱闘について、いろい
ろしゃべっていた。たしかに「藤井と石原・小泉・国交省、どっちもどっちと言いた
いところだが、道路公団問題への世間の注目を、「道路をどうするか」という政策論
争にもっていかなくちゃいけないってのは、たしかにそのとおりだ。ここは各候補者
の腕の見せどころってところだな。

与太郎   熊さん、八さんよぉ。おいらさっきテレビを見てたら、今度の選挙
じゃ、道路公団とやらをどうするかってことが問題なんだってな。ちょいとおいらに
も、教えてくれよ。

八     おめえもようやく、そういうことを聞こうって気になったのかい。まず
な、今度の選挙にゃ、マニフェストってものが重要なんだ。

与太郎   マニキュア? おいらそんなものはいらねぇよ。これでもれっきとした
日本男児よ。茶髪にピアスと同列にしないでおくんなさい。

熊     おいおい、マニキュアじゃない、マニフェストだ。別名、政権公約と
言ってな、選挙の時に政党が、「政権をとったら、こうします」と約束するものだ。

与太郎   なんだ、そんなものなら、これまでだって掃いて捨てるほどあらぁ。何
で今さら、そんなことを舌かみそうなカタカナつかって言うんだよ。

八     だからな、これまでのような絵空事、だれがやっても同じ、の公約(口
約)と違って、具体的な目標や実現手段、財源なんかをきちんと明らかにして、国民
と契約するってのが、マニフェストの意味なんだ。

与太郎   へぇー。それじゃ、契約違反で損害賠償ってこともありってわけだ。

熊     それは、次の選挙で与党が野党になるってことだ。そうやって、業績評
価で政権交代が起こるためにも、マニフェストが必要なんだ。

八     ところで今回、自民党のマニフェストにも、民主党のマニフェストに
も、道路公団をどう改革するか、が書いてある。だからこれを比べて、どこがどう違
うかってことをよく見て、おれらも投票しなけりゃいけないわけだ。これが「人気」
じゃなくて、「政策」で政治家を選ぶってことの、最初の一歩だ。

熊     マニフェストを提唱している「21世紀臨調」では、政権公約をこう生か
そうと言っている。

まず有権者は、候補者よりも政党に注目すべし。そして政党本部や候補者の選挙事務
所から政権公約集を取り寄せるべし、と。
そのうえで、公約を読み解く判断材料としては、
 (1)Aim(目標)
 (2)Cost(実現のための費用、財源)
 (3)Time(達成期限や工程表)
 (4)System(実行体制)
の頭文字をとった“ACTS”が明確に示されているか、確認すべし、と。
さらに、各候補の主張が所属政党の公約と矛盾していないか、言動のチェックをすべ
し、とな。

八    ほらここに、自民党のマニフェストと民主党のマニフェストがある。

与太郎  なるほど。道路公団のことはどう書いてあるんですかね。

自民党:民営化推進委員会の意見を基本的に尊重し、道路四公団を2005年から民営
化。そのための法案を2004年通常国会に提出。

民主党:道路公団を廃止し、高速道路を原則無料とする(3年以内)

これだけじゃ、おいらにゃよく分かりませんよ。タダになるってのはいいような気も
しますがね、道路公団にゃとてつもない借金があるっていうじゃありませんか。タダ
になんかして、大丈夫なんですかい?

熊    それそれ、それが、Cost(実現のための費用、財源)のことだ。
民主党の主張はこうだ。高速道路の料金収入は毎年約2兆円。大都市部は有料だか
ら、地方を無料にしても、5千億円くらいの料金収入はある。差し引き、1.5兆円のマ
イナスだ。そのほかに、道路建設費が約9兆円ある。1.5兆円のマイナスを差し引いて
も、7.5兆円は道路建設に確保できる。そのなかから、道路公団の債務を返しつつ
(60年償還)、必要な道路は十分にできると。

八    自民党のほうは、じつはそこがあいまいだ。なにせ民営化推進委員会の答
申を尊重しつつ、ということだから、答申どおりになるかどうか、まだ分からない。

与太郎  裏のほうでAとかNとかKとかが、いろいろ手出し口出ししているってわ
けですね?

八    民営化推進委員会は、高速道路の料金収入は、道路公団の債務返済にあて
るということだったが、国交省・石原大臣は、料金収入の一部を新たな高速道路建設
に回すといい始めている。

与太郎  これまでも高速道路の料金で、クマしか通らないような赤字の道路をつ
くってきたんでしょう? それじゃ、な〜んにも変わらないってことじゃないです
か。

熊    道路公団改革の核心は、赤字の有料道路を造りつづける仕組みを変えると
いうことだった。建設費の回収が終わった道路からも料金をとり、それを赤字路線の
補填に回す。30年だった償還期限を54年に延ばして、延々と道路を造り続け債務が先
へ先へと残る。ここにメスを入れられるか、だ。

与太郎  看板だけ民営会社に付け替えても、その仕組みだけは残そうっていうの
が、Aやら何やらの道路族や国交省の骨抜き工作の眼目ってことですね。ということ
は〜、自民党案のほうは、Aim(目標)ってところもなんかアヤシイ感じですね。

八    おまえにしちゃ、よくアタマが回るじゃないか。

与太郎  おいらだってね、マニキュアとマニフェストの違いくらい、分かります
よっ。

八    民主党案なら、公団を廃止した時点で、債務がどれだけかも確定できる。
償還計画もきちんと立てられるわけだ。
一方の自民党案は、これまでのような民営化推進委員会答申の扱い(尊重しつつ骨抜
き)だと、延々と赤字の道路を造りつづけることになるから、借金はいつになったら
返し終わるのか、サイの河原の石積みだ。償還期限30年を54年にしちまう、な〜んて
いう裏ワザをくりだせば、帳簿上の債務なんざ、なんとでも工作できるってことだ
な。

与太郎   なんかこの間問題になった、りそな銀行みたいな話ですね。会計基準の
サジ加減ひとつで、赤字にも健全経営にもなるなんて、なんかタヌキに化かされてる
みたいじゃないですか。
でも、高速道路を無料化するってことは、道路公団のバカでかい借金をおれらの税金
で返すってことですよね。高速を使っているのは、十台に一台だっていうじゃありま
せんか。そいつも不公平な気がするなぁ。受益者負担っていうんですか? それと違
うんじゃないですか?

熊    今でもなぁ、とっくに借金を払い終わっている都市部の高速道路を利用し
ている人は、北海道のクマのほうが多い赤字道路の建設費を払わされているんだぜ。
全然、受益者負担じゃねぇよ。それに、今は料金が高いからってぇんで、大型のダン
プやらトラックやらが、高速と並行している国道を24時間猛スピードで走っているん
だ。おかげで、年寄りや子どもは危なくて、道路を歩くのも命がけってところがいく
つもある。タダになりゃ、そういう輸送関係は高速に行くし、日本の高コスト体質の
ひとつである輸送コストが下がる。

八    もっとバカバカしい話もあるぜ。高速が高いから一般道路に車が流れ込
む。一般道路が混雑するから、今度はバイパスを造ってくれっていう陳情が、あちこ
ちから来るってえんだ。高速をタダにすりゃ、もう一本バイパスを造るなんてバカな
話はなくなるわけだ。

与太郎  なるほど。本州と四国の間に3本もかけちまった橋も、料金が高いからみ
んな使わないが、タダとなりゃ、一応それなりに使ってもらえるわけだ。無駄なもの
だけど、どうせ造っちまったものなら、せめて有効に使おうってことですかい。

熊    やっぱ基本には、道路ってものは社会的な基礎インフラだから、公が責任
もって造り、誰でも使えるようにするってことなんじゃねぇのか。「官から民へ」と
小泉さんは言うが、公の役割ハッキリしないわ、「民営化」という看板にかけ替えて
も、利権の構図が温存されるわでは、何の意味もない。高速道路の料金収入2兆、道
路財源9兆、あわせて11兆を死守して、赤字の道路を造り続ける仕組みさえ確保でき
るなら、民営化だってなんだっていい、という点では、AもNもKも藤井サンも一致
しているわけだし、石原の息子もそれと戦っているわけじゃない。小泉サンも「民営
化」という言葉が入れば、実態はなんでもいいわけだ。
郵政民営化の玉虫色ぶりは、その典型だね。
(郵政民営化の争点解説は、別の機会に)

与太郎   おいらこの間、田舎で不思議なものを見ちまった。田んぼの真中に、二
車線の自動車専用道路がドーンと通ってるんだよ。しかも二本、並行してな。たまげ
て役場に聞いたら、一本は建設省に陳情してつくってもらった、もう一本は農水省に
陳情してつくってもらった「農道」なんだと。マジかよ〜。これから日本の人口は
減っていくんだぜ。おまけに過疎地だよ。あんなコンクリートのかたまりをドーンと
造って、この先補修なんかできっこないぜ。近所のじいちゃんに聞いたら、「なーん
か、ネオコンだがゼネコンだかがどっとやってきて造っていったがね。ワシらには何
も用はねぇが、まぁ国が造ってくれるっていうんだから、断ることもねぇべ」だと
よ。先だっての知事選では、「無駄な公共事業を止めます」という候補を批判して、
自民党のセンセイがこう言ったそうだ。「ヨソの県と競争して持ってきた補助金事業
を断るバカがどこにいるっ。ウチが止めたって、その分はヨソに回るんだ、損するだ
けじゃないか!」とさ。

八    だからさ、道路建設の仕組みも地方分権と組み合わせて変えていかなけ
りゃならねぇってわけだよ。道路財源9兆円だって、大きな道路は別にして、地方の
小さい道路まで、いちいち霞が関がああせい、こうせい、というほうがおかしいし、
無理なんだ。思い切って地方に任せればいい。補助金20兆のうち民主党は18兆を地方
に渡す、自民党は4兆だ。この違いも大きいぜ。

熊    みんな、無駄なものを…と思っていても、「まぁ国が造ってくれると言う
んだから…」ということで、黙っている。でもテメエらの金だとなりゃ、何にどう使
うのか、関心ももつし、チェックもする。ヘンな使い方をしていたら、自分たちにツ
ケが回るんだからな。

与太郎  道路改革が地方分権の話にまでつながっちまったわけですかい。マニフェ
ストってぇのは、奥が深いもんなんですねぇ。

八    まっ、何かまたわかんないことがあれば、おいらに聞きに来いよ。いつで
も、この八さんが教えてやるぜ。

熊    ぷっ、にわか勉強のくせに、デカイ面してらぁ。与太さんよ、まずは候補
者のところへ行って、マニフェストとやらをもらっておいで。有権者がそういってき
たときに、どう応対するかも見ものだぜ。そいでもって、わかんないことがあれば、
どんどん候補者に聞いてみりゃいいさ。なんてったって、おれらが主権者なんだから
な。どう選ぶかは、自分で責任持たなけりゃあ。その選択の結果も責任も含めて、次
のときには業績評価ってわけだ。

与太郎  するってぇと、マニフェストをもらってきたら少なくとも、次の選挙まで
は大事に取っておかなきゃならねぇってわけですね。

八    そういうことだな。

*マニフェスト選挙とは、とどのつまり、有権者が問われるのでございますね。それ
ではまた、次の機会に。*
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石津美知子 ishizu@ganbarou-nippon.ne.jp
民主統一同盟 「がんばろう、日本!」国民協議会
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