電子瓦版(転送はご自由にどうぞ)

━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━ 
メルマガ♯がんばろう、日本!         ・35(02.7.24)
━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━
▼index
 ■ 平成の開国倒幕―われわれの構造改革
  □ 平成の開国倒幕―アジアの一員となる「開国」と日韓FTA
  □ 政官業癒着の権力をひっぺがせ―「倒幕」
  □ ウシは10桁、ヒトは11桁
  
 ■お知らせ
==================================
  ■ 平成の開国倒幕―われわれの構造改革
==================================
□ 平成の開国倒幕―アジアの一員となる「開国」と日韓FTA

    ワールドカップはたいしたもんだったな。いままでサッカーなんて関心が
なかったオレらまで、興奮しちまった。小泉がはしゃいでいたのは気にくわねぇが、
まずは日韓共催は成功だったんじゃないか。
    旧いタイプの「日韓友好」というのとはちょっと違う、お互いの社会に橋
がかかって、かなり自由に行き来できるようになったって感じかな。決勝トーナメン
トで日本がトルコに負けた後の韓国―イタリア戦で、中継していた日本のアナウン
サーが「おめでとう、韓国!!」と叫んだが、これが韓国ではかなり衝撃的だったら
しい。とくにマスコミは「反日」が強い分、日本に対する視線がずいぶん変わったそ
うだ。
もちろん日本にも、「テーハミングク」と声を張り上げて応援した若者もいれば、審
判問題などを誇張して「嫌韓」感情を吐露する若者もいたし、「ただなんとなく」韓
国が上に行くのはおもしろくない、という感情の人たちもいた。
韓国にだって、日本人が韓国を応援しているのに対して「自分たちに同じことができ
るか」と問う声もあれば、日本がトルコに負けて喜ぶ人たちもいる。ただお互いに、
そういう多様な社会をありのままに受け入れる、という素地のようなものは、みえて
きたんじゃないか。それが最大の成果だと思うよ。
    ここからさらに日韓FTA(自由貿易協定)などの新しいステージに、ど
う向かうかだ。お互いの社会を、その多様性も含めてありのままに受け入れられるっ
てぇことは、難しく言ゃあ、ようやく東アジア近隣諸国に、「同じ目線・価値観」の
仲間を見出せる時代ってことじゃねぇか。
なにせ「この前のご維新」(明治維新のことです)からこのかた、近代化にしても自
由や民主主義にしても、結局は「欧米に追いつけ、追い越せ」ということとずっとイ
コールだった。極端に言えば、「脱亜」こそがすなわち自由・民主主義を主体化する
ことだってのは、明治以降の近代で日本人に染みついている。戦後でも「進歩的」と
言われる者ほどが、じつは「脱亜」に軸足を置いてきたのは事実だからな。
その歴史的なステージそのものが、大きく変わろうとしているってことだ。
    同時にそれは、日本がアジアのなかでの「図抜けたナンバーワン」ではな
くなる時代だ。97年のシンポジウムで中西輝政先生(京都大学)が、「日本がアジア
で図抜けたナンバーワンではなく、アマング・イーコールズになる時代を正面から受
け止める」覚悟を問うている(シンポジウム「21世紀の東アジアと日本」97年7月13
日開催)。日本がアマング・イーコールズになる時代は、アジアがともに幸せになる
時代だと、正面から言える主体性が問われるわけだ。
    「図抜けたナンバーワン」でなくなったことを「危機」と言い、再びナン
バーワンになることを目指して「改革」を語っているのか、それとも自由・民主主義
の目線でアジアと正面から向き合い、「アジアの一員」としてともに幸せになるため
の改革なのか。同じような「改革」の言葉でも、方向性がまったく違ってくる。
早い話、日韓自由貿易さらには東アジアの経済統合を視野にいれた構造改革と、やみ
くもにリストラをすすめて「アメリカンスタンダードに追いつけ」という構造改革と
では、中身がまったく違うわけだ。このあたりをそろそろはっきりさせることが、小
泉「疑似」改革の総括でもあるぜ。
    韓国では通貨危機からこのかた、かなりドラスティックな構造調整が行わ
れたが、それは国民にとっては「自己責任」がもろに生活レベルでバンバン問われ
たってことだよ。潰れないはずの大会社がドンドン潰れて失業、カネを預けていた銀
行は破綻・再編の繰り返し。V字回復ってことは、倒産・失業だけでなく、転職・再
スタートした人がたくさんいるってことだ。また年間三万人もの人が移民として出て
行った。人生を一から立て直すなんてことは、珍しくないことだったってことだ。
こういう荒波のなかでもまれて、「自己責任」ってことを体で叩き込まれた若い世
代、15歳から35歳の人たちが、五年後には20から40という社会の中核を担う。社会意
識が大きく違ってくるだろう。自己責任ってことがはいったうえでの自由・民主主義
と、それがなくての「カラスの勝手」の自由・民主主義(こっちは残念ながら戦後の
日本だが)じゃ、「市民社会」「パブリック」という点でも大きく違う。
ここで、アジアと向き合うことができるかどうかってぇことが問われてるってわけだ。

□ 政官業癒着の権力をひっぺがせ―「倒幕」

    ってぇことは、今度のご維新も、やっぱり「開国倒幕」ってことになる
な。ただし今度の「開国」は欧米に対してではなく、アジアとくに東アジアに対して
開かれた国・社会になるってことだ。倒幕はもちろん、政官業癒着の利権政治を倒
すってことだ。自由・民主主義、自己責任などの「同じ目線」でアジアと向き合うこ
とができるもの、できないもの。できないほうの「トラウマ」は、「カラスの勝手」
の自由・民主主義と手が切れていないし、その経済的基礎はなんらかの形で、依存と
分配―政官業癒着につながってるわけだ。
    経済面のことだけで言えば、日本の再生にとって東アジアの経済統合は不
可欠だということは、もう通商白書だって認めている。後は、国内の抵抗勢力=依存
と分配・政官業癒着の権力が一日延命すれば、日本再生のチャンスと時間が二日分以
上食いつぶされるという、この悪循環をどれだけ早く断ち切れるかが倒幕、つまり政
権交代ってことだな。
    ようするに政権交代で、東アジアの経済統合・共生ビジョンをめざすとい
う日本の意思をはっきり示す必要があるってことだ。国債の格下げだって、いろいろ
あるが結局は、日本政府の意思がはっきりしないという点に、一番の不安材料がある
わけだろ。
聞くところでは、韓国では経済危機から一応の回復を遂げて、次の改革の方向性を整
理する段階だそうだ。やみくもにリストラを進めるだけでは次の方向は見えないわけ
で、日韓の自由貿易さらには東アジアの経済統合を視野に入れた改革が課題になる時
期にきている。韓国は、中国と日本という大国にはさまれた自国のポジションを、東
アジアの情報・物流のハブになると位置付けて、空港や港湾、ITインフラの整備な
どを行っている。だがそういうハラを固めても、肝心の日本の意思が不明確ではいか
んともしがたい。早い話、日本の意思が見えないことこそが大迷惑ってことなんだか
ら。
    平成の開国倒幕たぁ、アジアにしっかり根をおろすことと、日米同盟を再
設計することだ。自由・民主主義という「共通の目線」が東アジアで可能になるって
ことは、グローバル化の「影」の部分を欧米とは別の方法や目線で解決するアプロー
チをとる主体の可能性が東アジアに生まれるってことだ。ポスト冷戦後といわれる新
たな国際環境で、日本がどう生きていくのか、ここは正念場じゃねぇか。
    自由・民主主義という「共通の目線」で東アジアと向き合うことができ
ねぇってなかには、かならず依存と分配―政官業の癒着とのつながりがある。ひるが
えって言えば「失われた十五年」の間で、日本の外交ってのは「日米基軸」という掛
け声の下で、利権分捕り合い合戦にのっとられたってのが、ムネオ問題で明らかになっ
たことだ。
(7月16日の講演会では、兵藤長雄氏、原口一博、達増拓也・衆院議員の討論で、この
問題が提起された。詳細な内容は8/1発刊の「日本再生」280号に掲載予定)
96年の日米同盟再定義は、結局沖縄の基地をどうするのかという戦略的な視点が抜け
落ちたまま、カネで解決という方法だけが肥大化した。この資産デフレのなかでも、
軍用地主への地代は右肩上がりだ。基地の「迷惑料」としてジャブジャブ公共事業が
来る。こういう構図にムネオが食い込むのは当たり前だ。
    北方領土交渉にしても、冷戦後の国際環境の変化を何一つ主体化すること
なく、「カネで島を買う」に等しい話に流し込んだ。ムネオが逮捕されても、舵は切
り替わっていない。今度のカカナスキスサミットで、ロシアはG8の正式メンバーと
なったが、日本は一言「ロシアがG8のメンバーにふさわしく、“法と正義”に基づ
いて領土問題を解決するように望む」くらいのことは発言していいはずなのに、何一
つやっていない。ニヤニヤ笑って記念写真に収まるだけじゃ、なんのための総理大臣
だ。税金で物見遊山やってんじゃねぇんだ!
    平成の開国倒幕だ! 開国たぁ、自由・民主主義という「共通の目線」で
東アジアと向き合うことと日米同盟の再設計。日韓自由貿易協定に踏み込んで、突破
口を開く。日米安保も、地位協定の見直しを日本から踏み込むべきだし、そのために
は日本の防衛についてわれわれ自身が明確にする必要がある。
    そのためには、外交・国益までをも利権分捕り合いにすり替えた、依存と
分配―政官業の癒着の権力をひっぺがすことだ。外務省の役人は鼻持ちならねぇヤロ
ウどもだが、役人を叩いても外交・国益は立て直せねぇ。やっぱ、政権交代―倒幕で
しか、変わらねぇや。

□ ウシは10桁、ヒトは11桁

お松    ねえねえ、8月5日からアタイら全員に11ケタの番号がつけられるんだっ
て、知ってたかい?
     聞いてねぇよ、そんなこと。いつだれが決めたんだよ。ウシには全部10
ケタの番号がふられたが、今度はオレらが11ケタってわけか。なんかあんまり気分よ
くないな。
     その番号があれば、全国どこからでも住民票が取れるし、雇用保険の給
付申請なんかにも、その番号があれば住民票をつけなくても本人照会ができるから、
便利になるってのが政府の言い分だが、だいたい住民票なんて、一生のうちに何回必
要かって程度のものだろう? その程度の「便利」のために、全国民に11ケタの番号
ふって、ネットワークシステム構築に大枚はたくようなシロモノかい?
お松    それよりかさぁ、いずれはその番号で納税番号や年金の番号、パスポー
トや健康保険証の番号とか、役所にあるいろんな個人情報が一括りに「くしざし」に
なるんじゃないのかい? 役所だけじゃないよ。いまだって銀行口座をつくる時には
「本人確認」とやらが、やたらうるさいじゃないか。その「本人確認」と11ケタの番
号なんかがつながっちまったら、どうなるんだい?
     お前さんのとこは預金ゼロ、借金だらけでだんなはカードローンの山っ
てのがバレちまうわな。
お松    ふざけてる場合かよ! 今はまだ住民票の内容だけだけど、ネットワー
クでどこまでつなげるかは、お上の胸先三寸で決まるんだろ。「電子政府」とか言っ
て「便利になる」ってことばかり言ってるけど、一度番号がついたらもう後戻りはで
きないんだ。アタイらがどういう社会を望むのか、どういう社会は望まないのかって
ところが、まるで素通りのままなんだよ。そんなことでいいのかい!
     8月5日からって決めたからにゃ、決めたとおりにやるって政府は言って
いるが、多分与党の三分の二は、そもそも関心がねぇんじゃないか。カネにも票にも
ならんからな。のこりの三分の二は、おそらく意味がわかってないんだろう、コイズ
ミも含めて。だから「問題ない」なんて気楽に言えるんだ。
山田・杉並区長が言ってたぜ。これはルビコン川だ、それなのに政府は「ここは多摩
川だ」と言って、浅瀬を渡らせようとしている。渡って振り返ったら、絶壁で後戻り
はできないってな。ITはたしかに便利な道具だが、それをつかってどういう社会を
つくるのかってことが、まるでないままに走ってる(それもほとんど意味がわかって
ない連中が決めて)ってところが心底コワイところだよ。
     決めたことは決めた通りやるっていうんなら、ペイオフ解禁延期なんて
話が何度も与党から出てくるのはオカシイじゃないか。アイツら自分の言ってること
が支離滅裂だってことが分ってるのか?
このままじゃ個人情報の保護が保証されないってんで、どこかの町がネットワークか
ら離脱するって宣言したろ? そしたら政府は、法律で決まったことに従わないのは
法律違反だってぬかしやがった。だけどよ、そもそもこの11ケタの話は、個人情報保
護の法整備が前提になっていると、条文にも明記されているんだろ? 個人情報保護
法が成立していない、つまり法律の前提ができていないのに実施するってのは、政府
のほうが「法律違反」じゃねぇか。
     それについちゃ、総務大臣の答弁がふるってる。政府は個人情報保護法
を国会に提出している。まだ国会で成立していなくても、政府が提出した時点で法律
はできていると解釈するってな。
     ゲッ、それってなんだよ。日本は三権分立で立法は国会がやるっていう
んじゃねぇのか? 法治国家っつうか、法意識っつうか、そのへんまでグジャグジャ
になってやしねぇか。なんかアタマが痛くなってきたよ。
お松    だからさ、そんな程度の「遵法意識」でアタシらの個人情報を扱われた
らたまんないっていうんだよ。防衛庁のリスト問題だってそうだろ。法治意識なんて
いう小難しい話じゃなくてもさ、ルールはルール、ルールは守るのが当たり前で、
破ったらきちんと責任が問われて罰せられるってことが、オカシクなってるんだか
ら。とくに永田町、霞が関方面でさ。
     いまだって年金にもパスポートにも免許証にも全部番号があって、オレ
らはそれで管理されてるよ。納税者番号だって必要だろうし、酒や危険物の購入には
なんらかのIDも必要かもしれない。だけどそれを全部、ひとつの番号でくくってし
まう社会が、いい社会なのかどうか。そこの議論はまったくないし、全員に11ケタの
番号をつけるってのは、そういう社会への「後戻りできない一歩」を踏み出すことに
なるのは確かだ。分って合意して踏み出すならまだしも、「多摩川の浅瀬」だと思っ
て渡ったらじつはルビコンだったって言うんじゃ話にならねぇ。
     ここはやっぱりいったん凍結すべきだよ。明らかに政府の失点だもの。
その上で本当にITを使ってどういう社会をめざすのか、きちんと議論すべきだ。ウ
シじゃあるまいし、全員に11ケタっていうのは発想からして「利便性」より「管理」
優先だよ。
お松    ITをイットという御仁はさすがに少ないと思うけど、やっぱりそうな
ると与党のオジサンたちには、何が問題なのか、わかんないだろうな。これも政権交
代しないとダメだね。

※ 住民基本台帳ネットワークについて、民主、自由、社民、共産が共同で凍結法案
を提出しているほか、自民党からも延期の声が挙がっている。

□◆□ お知らせ □◆□
□第42回定例講演会
「政治の構造改革と政権交代の基盤整備」
講師・飯尾潤氏(政策研究大学院大学教授)
9月11日(水)午後6時30分より
日本青年館 502室
参加費・会員1000円/一般2000円

□第15回 東京・戸田代表を囲む会
ゲストスピーカー・齋藤健氏(ちくま新書「転落の歴史に何を見るか」著者・経産省
官僚)
8月10日(土)午後6時30分より
「がんばろう、日本!」国民協議会 事務所(市ヶ谷)
参加費・同人会員は無料/その他1000円

□『日本再生』279号・発売中(300円)
第40回定例講演会「わが国の防衛を考える」 前原誠司・衆院議員
「地に足のついた安全保障論議」 枝野幸男・衆院議員
インタビュー/松沢成文・衆院議員、細野豪志・衆院議員、平野貞夫・参院議員

□「がんばろう、日本!」国民協議会 第二回全国大会
政権交代のための国民主権の波を!
2002年10月27日(日)   砂防会館
記念シンポジウム  午後1時より6時より(開場 12時30分)
 基調提起  戸田代表「保守したければ改革せよ―改革保守としての矜持を」
 記念講演  李鍾元 立教大学教授「日韓関係の新ステージと東アジアの未来」
パネルディスカッション 「われわれの政権交代戦略」
        松沢成文、達増拓也、原口一博、武正公一、細野豪志、大塚耕平
        古川元久 中塚一宏(各衆参若手議員)ほか
懇親会   午後6時30分より


======================
石津美知子 ishizu@ganbarou-nippon.ne.jp
民主統一同盟 「がんばろう、日本!」国民協議会
http://www.ganbarou-nippon.ne.jp
TEL:03-5215-1330 FAX:03-5215-1333