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メルマガ♯がんばろう、日本!         ・27(02.2.6)
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   ■ 国家的危機のときこそ、国益・公益を正面から論じよう
    □ 族議員栄えて、国滅ぶ?
    □ 無理を通して道理を蹴散らすものをつまみ出せ
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  ■国家的危機のときこそ、国益・公益を正面から論じよう
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□ 族議員栄えて、国滅ぶ?


熊   コイズミ人気は一気に下降局面にはいった。支持率と同時に株価、国
    債、為替のトリプル安だ。いよいよ小泉「疑似」改革の“終わりの始
    まり”かい。
八   そもそもコイズミ人気のヒミツは、族議員や抵抗勢力と戦うポーズを
    (最近は、出来レース臭いところも目につき始めたが)みせていたか
    らだ。その肝心なところがぐらついた、ということだから、急降下は
    あたりめぇだ。「これほど落ちるたぁ思わなかった」ってんじゃ、「普
    通の自民党政権」の地金がでたと見られてもしかたあるめぇ。
熊   国民の支持が下がりゃ、「いよいよわれわれの出番だ」って、さっそ
    く抵抗勢力が気勢を上げ始めた。道路族は、道路公団改革を検討する
    第三者機関の委員について、断固国会承認を求める(自分たちの意に
    反する「偏った」人選はさせない。首相の思うとおりにさせるものか)
    と気勢を上げているし、厚生族は、本人負担三割の時期を先送りする
    と約束しないかぎり、厚生関係の法案審議はさせない(自民党が審議
    拒否!)と息まいてる始末だぜ。
八   族議員栄えて国滅ぶってのは、このことだ。支持率急落で、危機感か
    ら求心力が増す、なんていう世界じゃねえや。省益あって国益なし、
    横領あって公務なし、利権あって政策なしという世界に手をつけない
    かぎり、どんな立派な「改革」もできねぇってことだ。田中真紀子は
    子供じみたやり方ではあったが、ここを暴露してみせたわけだ。「同
    じ穴のムジナ」だからできたと言ってしまえばそれまでだが、それを
    「ケンカ両成敗」というんじゃ、道理が立たねぇ。無理が通れば道理
    は引っ込む。
熊   こういう「非常時」「国家的危機」だから補正予算を通すという大義
    名分で「泣いて馬謖(ばしょく)を切る」決断をしたと言いたいんだ
    ろうが、こいつがとんだカンチガイだ。自民党内じゃ、農水相の責任
    論も出て、政権末期のドロ試合の様相だ。天下国家どころか、政権政
    党の責任意識のカケラさえもふっ飛んじまってる。目先の利権のため
    に小さき道理を蹴散らすことが当たり前の世界じゃ、国益とか公務と
    か責任とかパブリックなんてことは、針一本も通らねぇや。
ご隠居  「非常時」「国家的危機」だからこそ、クサイものにフタの翼賛体
    制ではなく、堂々と国益・公益を論じて、私利私欲で国を滅ぼすヤカ
    ラを成敗せねばならんのじゃ。第二次大戦前のイギリスのことじゃが、
    ナチスを容認したチェンバレンの宥和外交を批判した野党・労働党に
    対して、与党・保守党の中から「国益のために大いに論じよう」とい
    う応援が出た。「国家的危機」の下でのパブリックの政治論議とは、
    こういうものでなければならん。
八   今回の問題で言えば、「言った、言わない」の話じゃなくて、だれが
    どこで、どういう責任で政策を決定しているのかということなんでし
    ょ。田中真紀子じゃ外交はできないが、それじゃ川口さんならできる
    のか? その外交って何なんだ。日ロ外相会談じゃあっさり「二島返
    還」で交渉すると合意しちまった。日本政府の方針は「四島返還」じ
    ゃなかったのかい? 一体、いつ、だれが、どこで外交方針を変えた
    んだい? こういうのを「外交機能を果たす」って言うんですかい。
ご隠居  末次御大亡き後は、そういう外交利権に群がるチンピラどもにニラ
    ミをきかせる御仁もいなくなってしまったからのう。(末次一郎氏/
    「戦後の後始末をすること」に生涯をささげ、在野の国士として沖縄
    返還、北方領土返還に取り組んだ。)
熊   ある元外交官が言ってやしたよ。外務省が機密費に手をつけたりする
    ようになったのも、鈴木議員が外交にあれこれ口を出すようになって
    からだって。
八   冷戦後の日本外交は、国益ってものが完全に抜けちまって(冷戦時代
    にもそんなものがあったわけじゃねぇが)、国益抜きの国際貢献一色
    だったし、バブルの頃はカネもあったから、ODAは群がり甲斐があ
    ったんでしょうね。
熊   ODAといやぁ中国だ。環境対策とセットにすれば、最強の打ち出の
    小槌にならぁ。そういや、「日中国交回復三十周年を成功・発展させ
    る会」とやらができたって話だぜ。橋本会長、野中・会長代行、古賀・
    幹事長とくれば、抵抗勢力の牙城だ。
(影の声/「北朝鮮を追い詰めるな」と言ってくるのも、自民党の大物政治家。
それに逆らってまで、工作船・員の捜査をして自分の出世にキズをつけようとい
う役人はいないから、「北朝鮮の工作船は日常茶飯事」ということになるんです
よ)
八   族議員の横やり構造は、何ひとつ変わってねぇ。結局、政治権力はだ
    れが握っているのかという問題だ。口利きや交通違反のもみ消しとい
    うような大きな無理・小さな無理を通すことが「政治」だと信じて疑
    ってない世界だ。だから「あっせん利得罪」なんてものができると、
    「政治活動ができなくなる」と本気で言うんだ。道理を説いて合意を
    形成する、という政治活動の常道を、何と心得るかってんだ。

□ 無理を通して道理を蹴散らすものをつまみ出せ

熊   与党の事前審査なしに政府が国会に法案を提出できない、というのも
    「口利き政治」のシステムだな。こんなことは単なる慣習で、何の法
    的根拠もないんだから、小泉がやめると言えばやめられることだ。首
    相のリーダーシップを言うなら、公選制なんかよりまず、これをやる
    べきだ。与党事前審査廃止の答申だって出ているんだから。
八   NGOの参加くらいでも横やりが入って言うなりになるってんだから、
    アジアの自由貿易協定なんて話になれば、永田町は「鈴木」だらけに
    なっちまうのは目に見えてる。族議員はそう簡単になくならないかも
    しれねぇが、立法府と行政府の責任を問いあう緊張関係の仕組みをつ
    くることは、政治改革の核心だ。議院内閣制なんだから、与党は閣僚
    として政策の決定―執行に係わるべきで、それ以外では係わらないの
    がスジだ。イギリスでは、個別の議員が役所と接触するのを禁じてい
    るし、役所は与党にも野党にも同じ質・量の情報を提供しなければな
    らない、とも決められている。
熊   大きな無理や小さな無理を通すために、道理をけちらす―それが「政
    治力」だということになる仕組みが問題なんだ。政府・与党がそれを変
    えない(変えたくない)なら、子供じみたやり方であったとしても、
    そのやり口を暴露するところから始めるしかない。それを封じて「国
    益」を論じれば、国家に寄食する無責任連鎖が増殖するだけだ。
八   この「敵」が明らかになったのに、それと戦わずにどんなに立派な「改
    革のメニュー」を並べても、虚ろに響くだけだ。今回の小泉の施政方
    針演説の空虚さは、そういうことだ。立派な国士がニラミをきかせる、
    という方法だけで成敗できないなら、市場や世論がパブリックの担い
    手としてそれを検証することができるのが、成熟した民主主義っても
    んだろう。その積み重ねがあってこそ、四年(とは限らないが)に一
    度の選挙で政権交代が可能になるってもんだ。
熊   NGOもODAに群がる政治家や官僚の構造を、知らないはずはない。
    ところが一般的に「利権政治」を批判しても、具体的に「だれが何を
    しているか」を明らかにしたNGOはこれまでなかった。パブリック
    の担い手としてのNGOへの糸口と、補助金頼みのNGOの区別も、
    ここから始まるのかもしれねぇな。
ご隠居  残念ながら戦後日本は、成熟した市民社会やまっとうな政党政治が
    あって、今日の危機を迎えたわけではない。パブリックなき民主主義
    や市場が「戦後の虚ろ」に帰結し、経済敗戦の焼け野原という「第二
    の敗戦」から、「負けて目覚める」ことがどれだけできるか、という
    のが実際じゃ。だからこそ、この期に及んでの国家寄食・無責任連鎖
    と、子供じみた方法であれ戦うことができるのかどうか、私欲利権の
    無理を通すために小さき道理を蹴散らすのか、ここから始まるという
    ことじゃ。
八   日本丸が沈没しそうなら、船底をかじったり倉庫から食料をかすめよ
    うという利権チンピラネズミを、まずはつまみ出そうってことだな。
    そうすりゃ、族議員の本丸・無責任連鎖を守ろうという「責任」層は、
    手足がもがれて動きがとれなくなる。ここをあいまいにして「国家的
    危機だから」と翼賛に流れれば、無責任連鎖が増殖するだけ、98年の
    金融危機の二の舞だ。
熊   モラルハザードは、あそこからひどくなり、信頼だけがどんどん毀損
    していった。失政の総括なくして改革なし。信頼破壊を繰り返す政策
    では、日本は救われない。長期金利もジワリと上がってきている。「危
    機」の時にパニックになれば、どさくさにまぎれて無理が通っちまう。
    危機の時にこそ、国益・公益を堂々と正面から論じようぜ。

□◆□ お知らせ □◆□

□セミナー「がんばろう、日本!」(第36回定例講演会に代えて)
2月10日(日)午前10時より午後9時(予定)
日本青年館 (JR「千駄ヶ谷」より徒歩約10分)
・基調講演 10時―12時
戸田政康(「がんばろう、日本!」国民協議会・民主統一同盟 代表)
・昼食 12時―13時
・講演 「防衛政策の構造改革」 13時―16時
森本敏 拓殖大学教授
*周辺事態法からテロ特措法までで、対処論的手直しは限界に。防衛政策を「わ
が国の防衛」「日米協力」「地域安保」として構造的に再編せざるをえない。当
然、「憲法問題」および「わが国の国益とは何か(とりわけ東アジアでどう生き
るのか)」という問題をあいまいにしたまま、ズルズルとその場しのぎの対応を
続ける余地はない。
講演で基本的な問題点を整理していただいた後、後半では戸田代表との対談形式
で、問題を深める。
・夕食 16時―17時30分
・パネルディスカッション 17時30分より20時30分
「家族と労働をとらえ直す〜自立のためのレッスン」
野川忍 学芸大学教授/山田昌弘 学芸大学教授
*「キャッチアップ型」「右肩上がり」などと言われる戦後日本の経済社会シス
テムから、「成熟社会」「定常型社会」への移行・組み替えは、個人のレベルで
は人生の再設計を意味する。移行過程がスムースでなかったり、人為的に停滞
(先送り)させられているところから、さまざまな不安が生じているが、この社
会の構造転換を主体的に受け止める論理をどうつくるか。言うまでもなく「仕
事・労働」と「家族」は人生の基礎であり、そこを「信頼」をキーワードに再構
築するための視座、てがかりを議論する。
野川氏は、2000年2月「働き方の知恵」と題する講演をしていただいた。山田氏
は「パラサイトシングル」という造語を創った方で、家族の側面から論じてい
る。
・まとめ  戸田代表 30分程度

□第37回 定例講演会
「東アジアにいかに生きるか」
3月10日(日)午後1時より5時
日本青年館 502室
中西寛・京都大学教授と李鐘元・立教大学教授を軸に、日本外交の歴史的な総括
も踏まえた「東アジア戦略の視点」について議論する。若手国会議員の参加も計
画中。
論点としては
1. 日本外交の歴史的な総括(戦前の失敗、戦後の日米同盟)と、東アジア情勢
の歴史的転換をどうみるか
2. 市場化を基礎に形成されてきた東アジアの「ある種の共同体意識」をどう発
展させるか、日米同盟の再設計とのリンケージは・・・
3. 東アジアに生きるための日本の課題とは(あるいは日米同盟再設計と東アジ
ア戦略をむすびつけるための日本の課題)。「外交」が政府の専管事項でなくな
る時代、ということもふくめて。
* 添谷先生の急なご出張のため、日程とパネラーが前回のお知らせとは異なっ
ています。ご注意ください。

□関西政経セミナー
「さらば、戦後トラウマ/日本再生のための覚悟とビジョンを語れ」
3月17日(日)午後1時20分より5時(予定)
三井アーバンベイタワーホテル(JR弁天町駅前)
・基調講演 戸田政康
「さらば、戦後トラウマ/日本再生のための覚悟とビジョンを語れ」
・講演 村田晃嗣(同志社大学助教授)
「さらば、戦後トラウマ/憲法改革と日米同盟の再設計」
・ 講演 樽床伸二 衆院議員
「中国のWTO加盟と日本再生への(経済)戦略」
*セミナー終了後、懇親会

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石津美知子 Email:ishizu@ganbarou-nippon.ne.jp
民主統一同盟 「がんばろう、日本!」国民協議会
http://www.ganbarou-nippon.ne.jp
TEL:03-5215-1330 FAX:03-5215-1333
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