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 メルマガ♯がんばろう、日本!         ・7(01.05.09)
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▼index
■小泉政権の初仕事?
 □金正男様ご一行の「TOKYOの休日」
 □教科書問題―「被害者パラダイム」を再生産する道を断って

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□金正男様ご一行の「TOKYOの休日」

熊 いやー驚いたね。ゴールデンウィークでのんびりしている時に、ニュースで
「金正日氏の息子と見られる人物が不法入国」ってぇんだから。
八 もっと驚くのは、「身元が特定できないまま、国外退去」ってことだよ。い
ったい日本ってのは主権国家じゃないのかい?
熊 政府の言い草は「厄介払いだ」ってんだから。まるでウィルスがなんかみた
いじゃねぇか。これで「北朝鮮のメンツに配慮」なんて言えるのかね。
八 おいらだったらこうするね。なんてったって「小さな将軍様」ご一行なんだ
から、丁寧に厚遇してじっくり事情聴取する。「TOKYOの休日」を楽しんで
もらったっていいじゃないか。情報が遮断されているんだから、滅多にない絶好
の機会だよ。
熊 CIAにも協力してもらってな。どういうものが好きなのか、何に興味があ
るのか。貴重な情報がとれるはずだ。北朝鮮のような国を相手にする場合には、
こういう情報が外交交渉に有利に働く場合があるはずだよ。
八 要するに日本は、情報収拾の絶好の機会を自ら放棄したわけだ。「厄介払
い」というのは結局、面倒なことからは逃げたい、ということだろ。でも「面倒
な」隣人と付き合わなけりゃならない以上、事なかれ主義じゃ自分を守ることさ
えできないよ。
熊 戦争をしている国同士の間でも外交関係ってものはある。むしろそんな間柄
だからこそ、外交が必要なわけだ。「厄介払い」じゃ、外交関係なんてできない
よ。それともなにかね、外務省ってのは機密費で接待するのが外交だと思ってい
るのかね?
八 別に身柄を拘束して「人質外交」をする必要はないが(日本にそんな力もな
いし)、金正日の息子である金正男が偽造旅券で不法に日本に入国しようとし
た、という事実ははっきりさせるべきだった。それが主権国家としての最低の役
割だよ。
熊 それをやったからといって、外務省が言うように、北朝鮮にいる日本人が報
復されるわけでもないだろう。そんなことをすれば、国際社会でどんな立場にな
るか、北朝鮮だってわからないわけはない。もう窓を開いたのだから。ちょうど
EU首脳が平壌で金正日と会っていたんだから、そのチャネルだって使えたはず
だ。
八 そのEU代表団は、金正日に対して韓国訪問を強く促した。金大中さんは、
EUを自分の政策促進のファクターとして位置付けているわけだ。外交の戦略手
腕の差をまざまざと見せつけられた格好だな。
熊 こんなことでは日本はますます軽くあしらわれる。無理が通れば道理がひっ
こむと言うが、事なかれ主義では「民暴」がはびこるのと同じことだ。これじ
ゃ、自由や民主主義はたんなる看板以下だと見すかされる。もうされてるか。
八 李登輝の来日もそうだったが、「政治判断・配慮」ということがいかなる意
味でも、自由や民主主義ということから説明できない、その場しのぎになってい
ることが一番危険だ。
熊 その点は、小泉政権に変わっても変化はなさそうだ。田中外相も、二島返還
論に反対していた前ロシア課長の更迭人事ではらつ腕をふるったが、アーミテイ
ジ米国務副長官との会談をドタキャンするなど、何を基軸にするのかが不明確
だ。
八 小泉総理は「民主主義国家として法に則り適正に処理した」と国会でも答弁
している。たしかに「適法」かもしれないが、主権国家としての原則や国益から
すれば、適正とは言えないな。まぁ外務省の「脳死」状態を差し引くとしても、
限りなく×に近い△ってとこか。

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□教科書問題―「被害者パラダイム」を再生産する道を断って

八 総裁選でも、国際社会での日本の姿については四候補ともふれていなかっ
た。経済だって97-98年の例を見るまでもなく、東アジアとの関係が生命線にな
っている時に、そういう視野なしに国内改革を論じていられるという感覚はいた
だけないな。
熊 アメリカのミサイル防衛構想は、新しい軍備管理の枠組みと密接に関連する
し、朝鮮半島の和平プロセスを通じた北東アジア地域の秩序も、ここ数年が勝負
どころだ。ここで存在感を示せなければ、日本は米国にとってもアジアにとって
も重要な国とは見なされなくなるのは目に見えている。
八 そのためにも、日韓の「教科書」問題にうまく対処する必要がある。この地
域のナショナリズムは「被害者パラダイム」(李鍾元・講演「民主統一」265
号)と結びついているが、この「被害者パラダイム」を再生産する道を断つこ
と、それは自由や民主主義を血肉化し、不断に深化させていく社会をつくり、そ
こからナショナリズムを昇華(中西寛・インタビュー「民主統一」261号)させ
ることだ。
熊 98年の金大中大統領の訪日は、そのための政治的突破口を開いたわけだが、

その後の日本からの返球が思わしくなかったとは、今回金大統領が述べていると
おりだろう。金泳三大統領は、「歴史問題」で中国と対日共同歩調をとったが、
今回金大中大統領は中国のよびかけを断わった。見識だ。日本もはっきり、自由
や民主主義を共同で深めるべき関係での問題解決と、その前提がない「政治的カ
ード」とは明確に分けて考えるべきだよ。
八 ドイツがポーランドとの間でやったように、まずは日韓の見解を併記した教
科書副読本のようなものがあってもいいんじゃないか。学問的研究はそれとし
て、やはり民族や国民の「記憶」「感情」は違うんだ。同じになることはない
し、またそうすべきでもない。違うということ、相手がそれをどう感じている
か、なぜそう感じるかを理解することが大切だ。
熊 自由や民主主義がどこまでその国の社会や国民に根づいているか、それを深
化させる国力がどれほどあるのか、掛け値なしに問われるな。東アジアの同盟関
係というものも、そういう市民社会の成熟の上に築かれるべき時代に入らなけれ
ばならないということだろう。
八 おもしろいのは、この問題では「右」も「左」も厳正なる検定の強化を要求
していることだ。むしろ検定なんかやめて、教科書の採択も教員の人事も、基礎
自治体に任せればいいんだ。PTAなんかもはいって、自分たちで教科書をつく
ったっていい。国は義務教育の基本レベルだけ定めておいて、それを大検みたい
な制度で保証すればいいんだ。
熊 基礎自治体は教育については、ハコモノ建設にしか係われないというんじ
ゃ、教員だって県の教育委員会のほうばかりに目がいって、ヒラメ(上にしか目
がついてない)になっちゃうわけだ。
八 当の中学生に言わせれば、年寄りの遺恨試合は教科書以外のところでやって
くれってことだろう。
熊 「被害者パラダイム」や「敗戦コンプレックス」を入れずに、自由や民主主
義を自分のものとしている世代が日韓とも社会の基軸になっているんだから、そ
れに相応しい関係として深化させる契機としていくべきだ。ここでモタモタして
いるヒマはない。このまま漫然と、2002年のワールドカップを迎えたのでは、大
袈裟でなく東アジアでの日本の位置はなくなるぞ。
八 真紀子外相が、これを「雨降って地固まる」という性格で処理できるかどう
か。自由・民主主義をわが国の国是とするなら、韓国との間での問題解決と中国
との間での問題解決はおのずと違う。早期に訪中する意向を示している小泉―田
中外交が、そこをどういう形ではっきりさせられるか、だな。

※東アジアのナショナリズムについては、「民主統一」265号掲載の李鍾元・立
教大学教授講演録、ならびに261号掲載の中西寛・京都大学教授インタビューを
ぜひご参照ください。


□◆□◆お 知 ら せ◆□◆□
《戸田サロン》
今回の話題/「改革・救国政権へ舵を切れ〜都議選、参院選をどうとらえ、何を
なすべきか」
5月11日(金) 午後6時30分より
民主統一同盟 東京事務所(JR・地下鉄「市ヶ谷」より徒歩5分
会費・2000円(立食形式。飲み物と軽食を用意します)
※小泉政権をめぐって都議選、参院選をどう戦うか。世直しのための戦略を大い
に語り合いたいと思います。立候補予定者も多数参加予定。 

《6月講演会》
「参院選をかく戦う」
6月12日(火) 午後6時30分より
カンダパンセ(「水道橋」西口より徒歩5分)
達増拓也・衆院議員(自由党)/原口一博・衆院議員(民主党)
※改革派若手議員に、参院選とその後について展望と抱負を語ってもらいます。

 
《「囲む会」など》
牽牛倶楽部  5月12日 13:30〜 民主統一同盟東京事務所 
       6月 9日 13:30〜 同 上
囲む会(東京)5月 19日 17:00〜 同 上
囲む会(千葉)6月17日 16:00〜 千葉パルルプラザ
※「牽牛倶楽部」「囲む会(東京)(千葉)」については「民主統一」265号の
記事を参照してください。オブザーバー参加、歓迎します。

関西政経セミナー 6月3日  14:00〜 ニューオオサカホテル
  講演/中西寛・京都大学助教授/戸田政康・民主統一同盟代表
  懇親会/18:00〜  会費・10000円(講演会・懇親会)



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民主統一同盟 http://www.ganbarou-nippon.ne.jp
石津美知子 Email:ishizu@ganbarou-nippon.ne.jp
TEL:03-5215-1330 FAX:03-5215-1333
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