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▼index

■小泉政権の「半歩前進」を、国民主権のさらなる一歩前進へ

 □国民主権への大政奉還となるか?
 □「半歩前進」から「次の一歩」へ、それは鳥羽伏見の決戦
 □「無党派受け」のするリーダーに改革を期待する―そこに有権者の怠慢は
  ないか?

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□国民主権への大政奉還となるか?

 永田町が「妖怪」に怯えている―国民主権という妖怪に。
 昨年総選挙で「一区現象」をひき起こした有権者の「変えたい」は、長野、栃
木、千葉そして秋田へと燎原の火となって拡がった。その火にあおられて、永田
町にも「小泉革命」が飛び火した。
 小泉政権の支持率は86.3%にのぼった(共同通信。4/27、28実施。電話によ
る)。「国民的人気」と言われた細川政権が69.6%(93年8月実施。日経電話世
論調査)だから、「お化け」のような数字と言える。
 ある人は絶句し、ある人は激怒し、ある人は呆然自失し、ある人は「レイテ行
こな」と呟くが、参院選を控えた今は下手にトラのしっぽならぬ、「妖怪」のし
っぽを踏まぬが得策、ただし参院選の後は…というのが永田町界隈の空気か。
 小泉総理は認証式を終えた後、開口一番こう言った。「この内閣は改革断行内
閣だ。改革には必ず抵抗する勢力がある。それとの戦いが今始まった」と。
 そうだ。だからこそ参院選では、アノ業界団体丸抱えの組織型総力戦を展開す
る◯◯派を落とすことだ。小泉―田中人気で、自公過半数確保なんてことになれ
ば、看板倒れだ。
 予備選での圧倒的勝利を導いたのは、党員のこんな声だ。「これで今度も橋本
になるようなら、参院選は民主党だ」(群馬県の支部長)「これで変わらなけれ
ば、自民党員をやめる」(東京の党員)。読売新聞(4/17)の党員アンケートで
は、小泉さんに投票すると答えた人の20%が、今夏の参院選で自民党には投票し
ない(橋本支持では4%、全体では14%)と答えている。
 生き残るためには、国民主権を追認する以外にない。すでに有権者の本隊は、
永田町をバイパスして「変えたい」を行動表現している。永田町のはるか先を行
く民意に、ついていけるのかどうかだけが問われているのだ。
 国民主権に背を向けて、派閥の論理に代表される自民党的体質で延命しようと
するなら、それは「自民党の消滅」だ。このことを感じ取った党員が、選挙で国
民から“お陀仏さん”にされる前に、自分たちで永田町の葬式を出す準備を始め
た―これがこの総裁選の意味だ。
 始めた葬式は、最後まできちんとやりきろう。「変えたい」と小泉さんに投票
したのなら(支持したのなら)、参院選では自公過半数割れだ。参議院自民党を
仕切るのは、業界を動かし、カネと票で国会議員をコントロールし、最大派閥を
誇って来たアノ◯◯派だ。「もっとも嫌われる政党」の本体だ。小泉総裁の役割
は、「嫌いな政党、ナンバーワン」となった元凶たる彼らに、息を吹き返すチャ
ンスを与えることなのか?  
「死せるものをして死せるものを葬らしめよ」。国民主権の追認以外に生き残
る道なし、というところへ、永田町の本丸をも追い込んでいくこと。それが小泉
政権の役割だ。
 改革を掲げ、国民主権を追認する以外に延命の道はない―江戸城内でさえそう
なるところから、救国・改革政権へと舵を切るための本格的な勝負が始まる。

□「半歩前進」から「次の一歩」へ、鳥羽伏見の決戦を

 「かつての自民党のリーダーたちは田中内閣の後に三木内閣を誕生させたよう
に、民意の動向をにらみながら巧みに政権を変えることによって『疑似政権交
代』を演出する能力を持っていた。今回の事態は『疑似政権交代』を違った形で
行ったものというべきである。違った形というのは、リーダーたちのこうした能
力が枯渇状態になり、党員、党友の投票による蜂起によってしかこれが実現でき
なかったという点にある」(佐々木毅・東大学長4/27朝日)
 しかり。民意を追認する、という意味での「半歩前進」が、疑似政権交代にと
どまるなら、「二歩後退」となる。
 メーデー集会に参加した小泉首相(首相の出席は五年ぶり)は、「私が総理・
総裁に就任したことは、政権交代と同じ意味を持っている」と述べた。はたして
そうか? 自公保連立の枠組みは変わっていない。政策合意も大きな変化はな
い。森政権の政策の何をどう転換するのかも、明確ではない。「構造改革なくし
て経済再生なし」とする小泉氏が公約とした、国債発行上限30兆円は、森政権の
予算の継続にすぎない。
 有権者再編の力勝負を伴わない政権交代は、じつは「疑似政権交代」にすぎな
い。これが、細川政権以来の紆余曲折の学習過程だ。救国・改革政権へと舵を切
る政権交代は、有権者レベルでの権力基盤の入れ替え戦であり、永田町の席換
え・数合わせ・権力抗争の範疇をはるかにこえる。
 大政奉還とは、既存の権力構造内部における地位の交代―延命だ。国民主権へ
の大政奉還の号令は下ったが、まだ決定的なものとなってはいない。参院選は、
国民主権への大政奉還を決定的なものとする(それ以外に延命の道なし、という
ところに追い込む)と同時に、その枠を超えて維新にまで突き進むために(既存
の権力構造内部の地位の交代をはるかにこえる政治社会革命のダイナミズムへ)
「鳥羽伏見」の決戦を準備していかなければならないのだ。参院選とその後の政
局とは、そういうことだ。

□「無党派受け」のするリーダーに改革を期待する―そこに有権者の怠慢はない
か?

 小泉首相はさっそく会見で、「首相公選制に限定した改憲」に言及し、持論で
ある首相公選制への意欲を示している。
 「変えたい」を「表紙を変える(首相公選制)」に集約するのか、それとも参
加型政党政治の確立へと集約するのか。国民主権の発展をめぐる有権者再編の力
勝負は、こういうステージへと移りつつある。
 「圧倒的な民意」(予備選圧勝、そして小泉政権の支持率は86%)、それを体
現する「選ばれた一人」(公選制)の前に、与野党の論戦は消え、総与党化とな
るのか。(だが、オルタナティブが存在しないところでの政権交代は可能なの
か?)
 「圧倒的な世論の支持」の前に、国民主権の発展のための論戦を組めない政党
とは何かが問われる(とりわけ野党の存在意義)。小泉首相の「公選論」に対し
て、国民主権の発展や参加型政治をめぐって論戦を構える力を持たずして、構造
改革の諸政策を競い合う政策論争で追い詰めていくことはできるのか? 野党、
とりわけ民主党に問われているのは、そういうことだ。そして首相公選論に反対
している小沢氏が、どのように国民主権の発展から論議をリードしていけるか。

 言い換えれば、「政策の小泉から政局の小泉に変わる」と平然と言ってのける
人でも(「だからこそ」と言うべきか)、民意の追認はできる。だがその延長
に、参加型政党政治・政権交代可能な政党政治確立への「次の一歩」はあるの
か。
 その国の民主主義のレベルは、国民のレベルによって決まる。それ以上でも以
下でもない。
 「現在の政府(森政権)は、税金を払わずに便益だけを受け取ろうという人た
ちの代表になっている。悪い政治と悪い国民が結びついている。こういう政治で
は民主主義は健全に機能しない」と評したのは、小泉政権で入閣した竹中平蔵氏
である。
 これは国民のレベル以下だから、これを国民多数のレベルにまず合わせる。そ
れが自民党総裁選予備選だった。ここからどこへ行くか。
 改革政策の力強さ、実行力は、「立派な」一人を選ぶところから生まれるので
はない。「県民や県職員が自己決定し、自己責任をとれるシステムで、必然的に
そういうヒットというべき政策が生まれてくる〜。もう少し言うと、有権者が
『要求型の民主主義』の感覚のままで、政治や行政が『打出の小槌』を振り続け
ていては、日本の閉塞感は拭えない〜。だから私は、県民に『自己責任を問いま
すよ』というところまでいきたい」(北川・三重県知事「論座」5月号46-49p)

 「無党派受け」のするリーダーに改革を期待する―そこに有権者の怠慢はない
か、お互いに問い合おうではないか。そういう国民自身の議論のなかからこそ、
新時代の政党の姿が見えてくるようにしよう。有権者同士の議論がないところ
に、政策を競い合い、選択していくという本来の政権交代の政党政治は生まれな
い。
 アウトサイダーたる小泉氏は、改革者か?それともホラ吹きか? 米政府内で
はこんな話が聞こえているそうだ。だが、当事者たる日本の有権者は、そういう
様子見の空間を入れるわけにはいかない(「様子見」の政党では圏外だ)。 
 改革政策の力強さ、実行力は、政権の権力基盤―永田町の数合わせ、ではなく
有権者再編の力勝負―にかかっている。「郵政民営化」も「首相公選―憲法改
正」「集団的自衛権」も、アドバルーンをあげるのは簡単だが、自己責任・自己
決定で地に足のついた国民合意―国民的な議論をつくりだす、その胆力こそが問
われている。
 「将来の課題」としてのアドバルーンではなく、現実の問題を具体的に解決し
ていく有権者の自己解決能力を一歩一歩高めていくなかでのみ、改革政治の力強
さは確実なものとなる。
 疑似政権交代に止まって満足する「変えたい」なのか。そうでないなら、選挙
の時だけの有権者、選挙頼みの政治を卒業するべきなのだ。政策、政局、選挙を
一体として、国民主権で完全に説明できる、そういう政治家と有権者へさらに飛
躍していくべきなのだ。
 国民主権の力で、救国・改革政権へと舵を切れ!

※首相公選制と参加型政治の確立については、「民主統一」265号(5/1)掲載の
飯尾潤氏インタビューならびに自治体首長のインタビューを参照されたい。有権
者の問題解決能力は、異なる意見・立場を議論を通じて合意形成していく市民自
治の力によること。こうした有権者の日常的な政策論議の基礎からこそ、政党は
つくられ、政策選択―政権交代は可能となる。こうしたなかでこそ、党派性が
「うさんくさい利権」ではなく、草の根のパブリックとなる。首相公選論は、そ
れとは別の世界である。

□◆□◆お 知 ら せ◆□◆□
《戸田サロン》
今回の話題/「改革・救国政権へ舵を切れ〜都議選、参院選をどうとらえ、何を
なすべきか」
5月11日(金) 午後6時30分より
民主統一同盟 東京事務所(JR・地下鉄「市ヶ谷」より徒歩5分
会費・2000円(立食形式。飲み物と軽食を用意します)
※小泉政権をめぐって都議選、参院選をどう戦うか。世直しのための戦略を大い
に語り合いたいと思います。立候補予定者も多数参加予定。 

《6月講演会》
「参院選をかく戦う」
6月12日(火) 午後6時30分より
カンダパンセ(「水道橋」西口より徒歩5分)
達増拓也・衆院議員(自由党)/原口一博・衆院議員(民主党)
※改革派若手議員に、参院選とその後について展望と抱負を語ってもらいます。

 
《「囲む会」など》
牽牛倶楽部  5月12日 13:30〜 民主統一同盟東京事務所 
       6月 9日 13:30〜 同 上
囲む会(東京)5月 19日 17:00〜 同 上
囲む会(千葉)6月17日 16:00〜 千葉パルルプラザ
※「牽牛倶楽部」「囲む会(東京)(千葉)」については「民主統一」265号の
記事を参照してください。オブザーバー参加、歓迎します。

関西政経セミナー 6月3日  14:00〜 ニューオオサカホテル
  講演/中西寛・京都大学助教授/戸田政康・民主統一同盟代表
  懇親会/18:00〜  会費・10000円(講演会・懇親会)


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民主統一同盟 石津美知子
Email:ishizu@ganbarou-nippon.ne.jp
TEL:03-5215-1330
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