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「がんばろう、日本!」国民協議会
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□知る・気づく→共感する→協働・連帯する→新しい現実が生まれる
 妄想するユーレイ脳に、サヨナラを

●「五十年後、人口一億人を維持」のリアリティーが見えているか
●未来へ投資する社会への合意形成 新しい現実を創り出す場づくり

□ 囲む会のお知らせ 
 
□ 被災地復興支援
□ グリーパラドックス?
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知る・気づく→共感する→協働・連帯する→新しい現実が生まれる
 妄想するユーレイ脳に、サヨナラを
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●「五十年後、人口一億人を維持」のリアリティーが見えているか

 骨太の方針2014の案に、「50年後に一億人程度の安定した人口構造を保持する ことを目指す」と示された。「地域の活力を維持し、東京への一極集中傾向に歯止めをかけるとともに、少子化と人口減少を克服する」ために司令塔を設置するという。急激な人口減少は社会保障の土台を揺るがし、コミュニティーの崩壊が進むなど、社会の持続可能性の危機をもたらす。「一億人」の当否はともかく、少子化・人口減対策を国家の 目標に位置づけることは必要だろう。

 とはいえ、「五十年後、人口一億人を維持」のリア リティーは、どこまで見えているのか。すでに地方自治の現場においては、予測 される人口動態を基に政策を検討・議論することは、「標準装備」となりつつある。それに匹敵するだけのリアリティーが、永田町・霞ヶ関に はあるのか。

 政府の推計では、現状のままでは二〇六〇年(50年後)に人口は八六七四万人まで減少する。五十年後に人口1億人を維持するためには、出生率を早期に2・07まで上げることが必要になる。ところが現実をみれば、二〇一三年の出生率は1・43、生涯未婚率は男性20%、女性10%。一九七四年に出生率が2・0を切ってから四十年、四十歳 以下の子どもを生める年齢の人口そのものが、すでに大幅に減っている。

 つまり現実は、少子化対策でなんとかなるというレベルではないし、出生率2・07などというつじつま合わせの数字で は、本当に必要な少子化対策の的を絞ることさえできないということだ。人口動態をコミュニティー単位にまで落とし込み、地域で毎年何人の 子どもが生まれれば小学校を維持することができるか、そのために子育て世帯をどれだけ増やす・維持する必要があるか等を、住民と行政が いっしょになって考え行動する。そういう自治のリアリティーは、すでに各地に叢生している。永田町・霞ヶ関に求められているのは、それら の追認にほかならない。

 また「五十年後、人口一億人を維持」の計画 には、移民も含まれる。ここでもリアリティーが問われる。出入国管理は中央政府の政策でも、移民を受け入れるための施策は自治体が担う。 自動車産業で働く日系ブラジル人を多数受け入れている四日市市では、日本に来てはじめて耳が聞こえないことが判明した日系ブラジル人の少 女に、専任の教師をつけたという(「日本再生」421号 六面 岩崎恭典・四日市大学教授)。ある首長は、「国は移民を入れて一億と簡単 に言うが、言葉も習慣も違う人々をコミュニティーの一員として受け入れ、ともに生活していくための施策を担う自治体のリアリティーをどこ まで分かっているのか」と首をかしげる。

 「五十年後、人口一億人を維持」の論点は、日本社会の持続可能性をいかに確保するか、という点にあるはずだ。それ は、「世界で一番企業が活躍しやすい国」(安倍総理施政方針演説2013年2月)をめざすことで可能になるのか。それとも個性豊かな地域 が自立して、互いに連携することからなのか。前者のグローバル化への対応は、マネー資本主義のなかでの「生き残り」を目指すものだが、後 者はマネー資本主義に翻弄されない、サブシステムとしての地域経済(里山資本主義)を重視する。

 前者がめざす構造改革、統治機構改革は、「守旧派」への批判を軸に民意をひきつけようとする。後者がめざす合意形成 は、知る・気づく→共感する→協働するというプロセスの螺旋的発展だろう。前者の大改革の主役は大都市、なかでも東京(永田町、霞ヶ関) であるが、後者の「地域再生」の主役は無数の地域自治の担い手だ。

 これは二つの方向性の選択の問題なのか。そうではない。「どうなっており、どうなりうるか」のリアリティーが欠けた ところから出発する「大改革」は、もはや妄想でしかない。
「神門 …六次産業化だとか、大規模化だとか、そういうキャッチコピーが頻繁に使われるようになったのは、農業問題の 東京化現象とでも呼ぶべきものだと僕は思っています。つまり、具体的な地域の現状や環境、動植物の生産状況の話というのが抜け落ちて、都 会の人間がイメージをもとに机上で組み立てた議論になってしまっているんです。
藻谷 それは養老孟司氏が指摘された『脳化』現象の一つでもあるのかもしれません。東京は日本の脳味噌です。その妄想 する脳味噌だけやたらでかくなって、手足は自分の思い通りに動くと思っている。脳=東京が妄想して、勝手な陣頭指揮をとり、体=地方の現 実の方が思いどおりに動かないと怒りだす。
神門 いや現実にはもう興味を失っているんだと思います。…」(「しなやかな日本列島のつくりかた」藻谷浩介 新潮 社)

 3.11で臨界質量を超えた新しい地殻変動、それは20世紀型の規模・効率の経済から、持続性・循環型の経済へ、大 規模集中型システムから自立(自律)分散型システムへという経済、社会の大きな転換だ。至るところで、「小さいからこそできる『新しい現実』」を作り出すことで、気がついたら社会が大きく変わっていた。そういうプロセス が始まっている。
 妄想する東京脳のなかにも、こうした新しい現実を追認する動きをつくりだそう。二〇二一年、オリンピック・パラリン ピックの翌年から東京でも人口減少が始まる。二〇二二年からは、団塊世代が後期高齢者になる。オリンピックの投資や再開発には、こうした視点は不可欠だ。

●未来へ投資する社会への合意形成 新しい現実を創り出す場づくり

 東京発の大改革が、「守旧派」への批判を軸に民意をひきつけようとするのに対して、地域が創りだす「新しい現実」の 合意形成は、知る・気づく→共感する→協働するというプロセスの螺旋的発展だろう。

 第一フェーズは「現状把握」「どうなっており、どうなりうるか」。ここでどれだけリアリティーを共有できるかは、第 二フェーズに向けて当事者意識をどれだけ涵養できるか、に直結してくる。例えば「財政」についても、「GDPの二倍の財政赤字」と危機意 識をかきたてる現状把握なのか、「社会の必要をみんなで支える=租税国家」という論理を媒介に、「自治の当事者意識を涵養する財政論議」 にさまざまな角度・切り口から実践的にアプローチすることができるのか(例 4/13シンポジウム「日本再生」四二〇号)。

 総論賛成、各論反対になりがちな公共施設マネジメント計画でも、目的は施設ではなく市民自治とまちづくり、というと ころから「どうなっており、どうなりうるか」を提示すれば、「施設」を糸口に、どういうコミュニティーをつくっていくかという、新しい自 治・協働のステージが見えてくる。反対に当事者意識を涵養できない現状分析では総論賛成・各論反対に終始し、それまでの先送りのツケが噴 出することになる(次号掲載の「囲む会」参照)。

 この点から言えば、来年の統一地方選挙のマニフェストは、住民自治の当事者意識を涵養することにつながるかどうかが軸になる。(7月21日「東京・囲む会」の問題設定。)議会改革についても、情報公開や議会報告会はもはや「標準装備」で、それらを使いこなして市民とともに地域の政策を立 案する、というステージへの底上げが進んでいる。(日経6/16 ここでも東京23区は大幅後退。)

 あるいはこんな事例もある。千葉市議会が、小中学校へのエアコン設置を求める請願を不採択としたことに、ネット上で批判が起こった。これに対して熊谷市長や一部の市議が、「エアコンがあるに越したことはないが、限られた財源を何に優先的に使うか。老朽化した校舎の改築、和式トイレの改修(子どもたちの要望が高い)などが優先順 位が高い」と述べ、それに対して市民からも、「『いらない』というのと、『必要だが優先順位は低い』というのは、たしかに違う」「子ども たちの要望が高いものから、というのは十分な理由」などの意見が寄せられた。

 議決の結果だけではなく、どういう論点が整理され、どういう判断で決定されたのかを市民に情報公開してこそ、当事者 意識を涵養する糸口となる。議会改革もこうしたステージに入っている。

 また安倍政権は集団的自衛権の行使について、憲法解釈の変更を閣議決定で行うとしているが、これについてもひとつ は、立憲主義の当事者意識を涵養する憲法論議の実践的なスタイルを創りだしていく必要がある。(7月14日「京都・囲む会」の問題設 定。)

 憲法改正の発議には、国会の三分の二の賛成が必要だ。「それでは改憲などできない」「だから解釈変更で」というの は、当事者責任をスルーしたというほかない。国民の多数が納得できるような改憲案にまで、熟議をつくして合意形成を図ることこそ、国会議 員の仕事ではないか。
 そして近代日本の黎明期には、各地で草の根から「憲法草案」がつくられたことも想起すべきだろう。永田町からではな く地域から、憲法改正の論点を押し上げていくくらいの当事者意識があってもいいのではないか。

 また集団的自衛権については、「日本再生」422号掲載の大野元裕参院議員が提起するように、「集団的自衛権を〜 (認める、認めない)」という議論ではなく、「わが国の外交・安全保障環境はどうなっており、どうなりうるか」についてのリアリティーを 共有するところから始めなければならないだろう。
 大野参院議員は、「二〇二五年の安全保障環境をどう考えるか」と問題提起された。これは中国が海洋進出の能力をほぼ 整えると考えられる時期であり、同時に急速な少子高齢化社会に入る直前、いわば「ピーク」の時期でもある。一方のわが国は少子高齢化の急 坂の一番きつい時期、いわば「底」にあたる時期である。こうした観点からも「どうなっており、どうなりうるか」を共有することが、安全保 障論議においても重要だろう。(9/14シンポジウムの問題設定。)

 「囲む会」、シンポジウムを通じて、さまざまなテーマ(防災と自治、エネルギー自治と地域経済、3.11後の原発な ど)に即して新しい現実を創りだすための場づくり、合意形成のスタイルを実践的に深め、八回大会を準備していこう。

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□「囲む会」のお知らせ
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《東京》
◆第140回 東京・戸田代表を囲む会
「住民自治の当事者意識を涵養するローカルマニフェストの深化とは」
7月21日(月・祝)13時から16時
ゲストスピーカー 廣瀬克哉・法政大学教授
「がんばろう、日本!」国民協議会 事務所(市ヶ谷)
同人 1000円/購読会員 2000円

◆第102回 講演会・シンポジウム
「緊張する東アジア情勢にどう向き合うか〜『戦略なき夢遊病』に陥らないために」
9月14日(日)13時から17時
アルカディア市ヶ谷 6階「阿蘇」
参加費 2000円

パネルディスカッション
中西寛・京都大学教授、大野元裕・参議院議員、添谷芳秀・慶応大学教授
李鍾元・早稲田大学教授

《京都》
◆第23回 戸田代表を囲む会in京都
「憲法改正、やるのは安倍さん? それともアナタ?
 〜立憲主義の当事者意識を涵養する憲法改正の論じ方」
7月14日(月)18時30分から
ゲストスピーカー 小林節・慶應大学名誉教授
ハートピア京都 4階 第5会議室
参加費 1000円(学生500円)

◆関西政経セミナー
「“コンセントの向こう”はどうなっているのか
 〜3.11後の原発を、エネルギー自治の当事者として考える」
8月30日(土)13時30分から17時30分
コープイン京都 
参加費 1000円(学生500円)

パネルディスカッション
植田和弘・京都大学教授、大島堅一・立命館大学教授、福山哲郎・参議院議員
佐藤暁・原子力コンサルタント(元原子炉メーカー技術者)

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□ 被災地復興支援
□ グリーパラドックス?
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□ 飛梅 三陸直送のかき小屋ファンド
お待たせしました! 昨年末の望年会で宣言された「飛梅」さんの「かき小屋ファンド」が、いよいよ登場です。
最近、「かき小屋」をうたった居酒屋チェーンが増えていますが、飛梅の「かき小屋」は、
三陸の生産者を支援するために地元仙台で展開してきたお店を、東京に新規出店するもの。
三陸の生産者の「顔の見える」おいしいかきを、提供します。

ファンドの詳細は以下を参照↓
http://www.musicsecurities.com/communityfund/details.php?st=a&fid=628

□ グリーパラドックス?
5月25日のNHKスペシャルで、ドイツのエネルギー事情が取り上げられたとのこと。簡単に言えば「再エネ政策は失敗 した」という内容らしい。(直接見ていないので…)
これに限らず「再エネ買取のために、ドイツの電気代は高い」「そのせいで産業空洞化が起きている」「再エネのバック アップに火力を使い、CO2が増えている」等、事実やデータに基づかないネガティブキャンペーンともいうべきものが、出回っています。
買取制度についても、上限を設けるといった案も一部に出始めているようです。原発再稼働とも絡んで、3.11後の変化 を後退させるのか、前へ進めるのか、ひとつのポイントを迎えつつあるのかもしれません。

ということで、ドイツ在住のジャーナリスト、村上さんがこの問題について
くわしく書かれているブログを紹介します。
長文ですが…
http://blog.livedoor.jp/murakamiatsushi/archives/51851590.html
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石津美知子
「がんばろう、日本!」国民協議会
http://www.ganbarou-nippon.ne.jp