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「がんばろう、日本!」国民協議会
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▼ Index 
□見え始めた未来へ投資する社会への糸口。
自分たちの一票でつくった政府も、ここからコントロールしていこう。

●「私たちの一票で選んだ政府」を検証する基準
●未来へ投資する社会へ その糸口は見えてきた

□9月、10月 囲む会・東京 のお知らせ&11月シンポジウム

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見え始めた未来へ投資する社会への糸口。
自分たちの一票でつくった政府も、ここからコントロールしていこう。
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●「私たちの一票で選んだ政府」を検証する基準

昨年末の総選挙そして今夏の参院選を経て、衆参ともに自民党が圧倒的多数となった。だがこうした自民党の「一人横綱」状態は、かつてのような自民党長期政権への単純な回帰とはなりえない。二度の政権交代の経験は、特定の政党が政権を握り続ける状態が当たり前ではないことを、有権者にも政党にも教えた。政権交代が前提となった基盤のうえで、政治と民意の新たな緊張関係をいかにつくり出していくか。ステージは転換した。

「ようやく選挙で政権交代ということが前提になって、そこで自分たちの一票で作った政府の権力を、市民自身がコントロールすることが問われる。市長の権力を市民自身がガバナンスせなあかん、ということです。
これが一番難しいんです。ここで失敗すると、ファシズムとか全体主義にもなる。このときに財政規律、受益と負担ということが抜けていると、ばらまきになる。それとファシズム、全体主義は関係しますね」(戸田代表 8/10シンポジウム)

近代社会においては、主権者たる国民が選挙を通じて選んだ代表に権力行使を委任する。ここおいて憲法とは、主権者たる国民が政府や政治家をコントロールするうえでのマニュアルである。これが立憲主義であり、国民主権だ。「国民が憲法を守る」(そうではない、国民が主権者として「憲法を使って政府や政治家をコントロールする」のだ)という戦後憲法教育も、国民に「○○すべし」という上から目線の自民党憲法改正案も、この基本がきれいに抜け落ちている。(四一一号 書評「白熱講義!日本国憲法改正」小林節・著 参照)
選挙で政権が替わる、自分たちの一票でつくった政府だということが、(教科書に書いてあることから)実体となることで、主権者として政府の権力をコントロールする、という意味もはじめて実感的なものとなってくる。そのステージが始まっている。

しかも、この「自分たちの一票でつくった政府」は前向きの選択、何かの方向性や政策を選択した一票によってではなく、「選びたいのに選べない」と悩み抜いた一票でつくった政府である。既存政党が重要な論点から逃げまくるなか、「投票箱には収まらない」ことをイヤというほど意識したうえでなお、投じた一票だ。依存と分配の時代の白紙委任、「だれがなっても同じ」の一票とは重みが違う。

「『投票箱に収まらない民意』というのは、棄権せよということじゃないですね。もちろん既存政党の間では、肝心な問題は争点設定されておりません。むしろ、そこから逃げている。諸富さんが最初に言ったとおりです。だから『選ぼうったって、どうやって選ぶんですか』という会話になる。政権交代前と、政権交代が前提になった後とでは、フォロワーは変わっているんです。
『どうやって選ぶんですか』という人は『公共事業でどこにばらまくんですか』という質問はしませんね。『税と社会保障って、三党合意もあったのに、肝心の民主党が総選挙の時は言わないんですよね』『電気事業法の改正、民主党が作った法案が参議院で通る予定だったのに、なぜ廃案になったんですか』。そういう性質の質問です。フォロワーの方は複雑系で判断しようとしているんです。マニフェスト、有権者とのコミュニケーションのステージが変わっているんです。
そういうなかで、『投票箱に収まらない』ということを意識して、お互いのコミュニケーションを深めたうえで、なにがベターかということで、最終的に判断するようになるわけです。それがなければ投票率52%をキープできません。50%を割ってもおかしくないほど『選びたくても選べない』選挙だったんですから」(戸田代表 8/6京都・囲む会)

主権者として政府の権力をコントロールする、ということも、政権交代が前提になっていない時と前提になった時とでは、その実践的な中身は大きく変わる。
政権交代が前提になっていない時には、政府の権力をコントロールするということも、「依存と分配」に対するチェック、無駄遣いや不公正の摘発、あるいは「これでは不十分だ」という指摘で事足りる。この範疇で理解していたマニフェストの行き着いた先が、〇九年民主党マニフェストだったといえるのではないか。

「マニフェストについては『お願いから約束へ』と言われましたが、うちはどう言っていましたか。有権者とのコミュニケーション・ツールだ、と言ってきましたね。『お願い』のときの政策はバラマキ、『くれ、くれ』です。『くれ、くれ』はコミュニケーションではございません。マニフェストは、公共空間を創るためのコミュニケーション・ツールだと。
これがまったく入っていないと、政権をとるまでのコミュニケーションもどきは、『自民党に任せるとロクなことはない』と。どういう言い方で自民党を批判するか、その違いですね」(戸田代表 8/6京都・囲む会)

自分たちの一票で選んだ政府、ということが前提になって、その政府をコントロールするとなると、そこでは公共性、公正性をめぐるコミュニケーションが問われる。「くれ、くれ」の延長では、政策を論じているつもりでも「○○をやってくれるのか」「○○政策は、自分にとって得か損か」という会話にしかならない。この断絶と飛躍(民主主義のイノベーション)が実感できるからこそ、「投票箱に収まらない」ということを意識せざるをえない。

公共性、公正性をめぐるコミュニケーションは、国政選挙では「選びたくても選べない」というところから始まった。だが自治分権の現場においては、すでにさまざまな形でよりポジティブに集積され、それが可視化されている(例えば8/10シンポジウムでのそれぞれの市長の発言参照)。それらに共通しているのは、受益と負担の「見える化」であり、地域経営の担い手としての市民(経営者市民)の登場だ。

「最後になりますが、『ただの消費者』と『ただの納税者』のままでは、(今は借金して)将来の市民に増税するしかありません。ただの消費者は、『とにかくいっぱい公共サービスを消費したい』と言うだけです。ただの納税者は、税金の使われ方には関心は持たないけれども、負担が増えるのは『絶対にダメだ』と大きな声を上げます。この二つを満足させるには、将来の市民に増税するしかないわけです。
そうではなくて、持続可能な社会づくりを考えて消費行動できる消費者市民になっていく。自分が納めた税金の使い方をきちんと監視する納税者市民になっていく。そして、自治体や地域をどう経営したらいいのかを考える主権者市民になる。経営者市民という言い方もありますが、社会を経営できる主権者市民になっていくことが必要だと思います」(福嶋教授 8/10シンポジウム)

「今日は、『市民がまちの経営者になる』『受益と負担』というお話がありました。住民が受益するだけではなくて、このサービスには対価というものが存在しているんだということを理解して、『これだけコストがかかっている』と関心を持ってもらえれば非常にいいわけで、それがもっと進んでいくと、実はすべてを公的部門のサービスで担っていくというのは非常に難しい、というところに入っていくと思います。

持続可能なものにしていくためには、全部市役所にお任せではダメで、何らかの形で地域で共同性を構築していかなければならない。農山村だったら再構築できるけれど、都市は難しいということを超えて、何らかの共同性を回復していかないと難しい、というところに思い至ると思います。経営者市民とまでは行かなくても、受益と負担を認識した上で、自分たちが享受するだけだったサービスを、自分たちも担う方向に転換していく局面が将来どこかで来るということです」(諸富教授 8/10シンポジウム)

受益と負担ということがリアルに見えるようになってはじめて、税というものも「取られるもの」「いやいや払うもの」ではなく、自分たちが社会をつくるという納税倫理が生まれてくる。「くれ、くれ」の延長ではなく、公共性、公正性をめぐって政府をコントロールする、ということが分かるようになる。ここで、「未来を搾取する」とか「未来への投資」という意味も実感的になる。このステージへの転換が始まっている。

 かくして、政権交代をミッションとした一時代は終わった。それを宣告するのは、この時期を、経営者市民・主権者市民へ飛躍するための基盤整備として集積してきた自治分権の現場だ。受益と負担を「見える化」し、市民参加の議論で決める。自分たちで決めたからこそ、責任と役割を共有する。こうした選択―責任―連帯のメカニズムが動き始めている。新しい芽が芽生えてくるからこそ、古い葉は枯れ葉となって落ちる。逆ではない。

 永田町の既存政党は、未だに受益と負担を正面から議論することに腰砕けだ。〇四年参院選で当時の民主党(岡田代表)は、年金制度改革とそのための消費税アップをマニフェストに掲げ、得票においても議席においても自民党を上回った。しかし、政権交代が見えてくるにしたがって、民主党マニフェストは受益のオンパレードになり下がった。そしてようやくたどり着いた三党合意(税と社会保障の改革)から民主党は離脱し、自民党は腰が引けている。
消費税増税をめぐって安倍総理に必要なのは、「熟慮」の演出ではなく、なぜ増税が必要なのか、何のための増税なのかを国民に正面から説明することだろう。受益と負担を「見える化」し、市民と徹底して議論する―自治分権の現場で改革派といわれる首長がやってきたことだ。かくして、「私たちの一票で選んだ政府」を検証する基準も見え始めてくる。

●未来へ投資する社会へ その糸口は見えてきた
(以下、『日本再生』412号へ)

(8/6京都・囲む会、8/10シンポジウムの詳細は「日本再生」412号 9/1を参照)

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9月-11月の囲む会&シンポジウム ご案内
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【東京・戸田代表を囲む会】

□第128回 東京・戸田代表を囲む会
9月6日(金)18時45分から21時
ゲストスピーカー 石津けんじ・北本市長
「市民とともに考え、協働するまちづくり〜北本市における自治分権の取り組み」

□第129回 東京・戸田代表を囲む会
10月8日(火)18時45分から21時
ゲストスピーカー 一方井誠治・武蔵野大学教授
「自治体の環境エネルギー戦略―ドイツと長野県の事例から」

* いずれも 
「がんばろう、日本!」国民協議会 事務所(市ヶ谷)
参加費は 同人・1000円  購読会員・2000円

【11月シンポジウム 未来へ投資する社会へ〜エネルギー自治、循環型社会(仮)】
11月10日(日)13時より17時
場所 日本交通協会 大会議室 (有楽町・新国際ビル9階)
http://www.kotsu.or.jp/bp/root/room/
参加費 2000円

パネラー 植田和弘・京都大学教授、諸富徹・京都大学教授先生、寺西俊一・一橋大学教授、
おひさま進歩(飯田市)・原亮弘社長、銘建工業(真庭市)・中島浩一郎社長 ほか

*本年1月に続き、エネルギー自治を切り口に、循環型社会や地域連携について議論し、「未来へ投資する社会」への糸口を実践的に共有したいと思います。
銘建工業は、林業とバイオマスエネルギーを展開する地域循環型社会の担い手。「里山資本主義」(藻谷浩介+NHK広島取材班 角川oneテーマ21)にも紹介されています。

【政策勉強会@京都】
「国に先駆けてきた野田市の取り組み〜公契約条例、自然保護、参加型福祉」
講師 根本崇・野田市長

11月11日(月)19時から21時
コープイン京都 202会議室
参加費 1000円

主催 全京都建設協同組合 京都府電気工事工業協働組合
後援 「がんばろう、日本!」国民協議会

【関西政経セミナー特別講演会&望年会】
*関西政経セミナー特別講演会「日本外交に問われるもの」(仮)
講師 村田晃嗣・同志社大学学長
12月11日(水)18時より約1時間
コープイン京都 202会議室 
参加費 未定
*望年会
講演終了後19時すぎより
コープイン京都1階にて
参加費 未定
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石津美知子
「がんばろう、日本!」国民協議会
http://www.ganbarou-nippon.ne.jp
TEL 03-5215-1330 FAX 03-5215-1333