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「がんばろう、日本!」国民協議会
http://www.ganbarou-nippon.ne.jp
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▼Index 

□未来を搾取する社会から未来へ投資する社会へ 
その政策転換を自治の現場から

●国民主権国家vs国会議員主権国家
●国民主権の発展―フォロワーシップの転換と、政策イノベーションの促進を

□映画「異国に生きる〜日本の中のビルマ人」
 スーチーさん来日記念公開

□シンポジウム「流動化・緊迫化する東アジア情勢と日本外交の課題」のご案内

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未来を搾取する社会から未来へ投資する社会へ 
その政策転換を自治の現場から
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●国民主権国家vs国会議員主権国家

〜略〜
この期に及んで、0増5減で「やったフリ」は許されないということだ。一票の格差が2・5倍なら違憲だが0増5減で2倍以下になればセーフ、というレベルの話ではない。これは主権者は誰なのか、国民なのか、国会議員なのか。国家権力は誰が行使するのか、国民なのか、国会議員なのかという問題なのだ。国会議員が代表たりうるのは、主権者国民の多数意見による付託を受けるからである。その正当性の根幹が問われている。(この点からいえば、自民党の「改革」案は一票の価値の平等をさらに歪めるものだ。)

選挙制度改革というと、これまでは党利党略や技術的な議論、あるいは「カネがかかる、かからない」といったレベルの話に終始してきた。しかし選挙制度とは本来、国民主権をどう制度化するかという、民主主義の制度設計の根幹である。
〜略〜

●国民主権の発展―フォロワーシップの転換と、政策イノベーションの促進を

政権選択と政策選択との乖離、これを主権在民の原理でいかに埋めていくか。参院選後に本格的に問われる「政治の安定」の本質とは、このことだ。衆議院の満期は二〇一六年、同じ年に参議院の半数が改選を迎える。この時間軸のなかで、政権選択の次のステージを準備できるか。二〇一五年の統一地方選は、その重要な試金石となる。
そして今年は、はじめての政権交代を前後して各地で誕生した若手改革派の首長が、改選を迎えている。一期目は「勢い」で当選することも可能だが、二期目の選挙は一期目の業績評価を伴う。空虚な改革論ではなく、それぞれの現場に即した自治のガバナンス・マネジメントをどこまで集積し、あるいは展開しているかが試される。(四〇六号掲載 山中・松阪市長のインタビュー参照)

主権在民・国民主権の原理で現場を動かし、組織・人間関係をマネージし、自治分権の原理で地域を経営し、そのなかから政策のイノベーションを発展させていく。その具体的集積によってこそ、政権選択と政策選択との乖離を主権在民の原理で埋めていくことができる。

ここで必要なのは、「それは主権在民・国民主権の発展に資するのか」という座標軸であり、「どうすれば、国民主権の発展につながるのか」という(ダメ出しではない)ポジ出し(荻上キチ)の発想だ。

例えばアベノミクスの三本の矢のひとつである、大型公共事業をはじめとする大規模な支出。これを「バラマキ」「無駄遣い」と批判することもできるが、はたしてそれが国民主権の発展に資するのか。国民主権の発展につながる、言い換えれば主権者としてのフォロワーシップにつながる問題提起とは、例えば以下のようなものではないか。

「大判振る舞いの補正予算などについては、国民に対して一つひとつの予算項目に対する説明や代替案のシミュレーションがお粗末だと感じています。〜そのお金は安倍晋三首相の小遣いではありません。実際には、国民の税金か次の世代にのし掛かる借金なのです。
自民党政権でも民主党政権でも景気低佐久や雇用対策、経済発展という美名を使いながら、金をばらまいてきました。その政策で潤う人は称賛するでしょう。利益を得られる人は必ず称賛の声を上げるものです。

でも声を出さない多く人は、今の財政のことや次の世代のことを真剣に心配しています。声の大きい人の称賛に惑わされず、現場に根ざしたシミュレーションを出し、そのうえでみんなが議論して現場に応じた予算の使い道を考えなければいけません。
場合によっては我慢をしてもらう。誠実な話をしていかなければならないのです。今の政治で決定的に欠けているのは、負担の説明や一緒に汗を流すことへのアプローチです。

現状では負担に対する国民への説明は、消費税5%、10%といった単純な選択肢しか出てきません。消費税を上げずに他の部分で負担してもらうようなシミュレーションが出てこない。社会保障費は削れないと言われますが、本当にそうなのでしょうか。薬価や診療報酬を減らせば一気に下げられるはずです。もちろん、そうしたら医療現場にどのような影響が出るのかなどを十分にシミュレーションしなければなりません。

そうした議論を真剣にせずに、今の現実はこのくらい必要だからということだけで議論をやめてしまっている。それは粗い。『いいこと』『悪いこと』の両面をオープンにして、議論を進めるべきなのです。国が示すシミュレーションは、都合のよい一面だけを示す傾向が強い」(山中光茂・松阪市長 日経ビジネスオンライン3/12)

「いいこと」「悪いこと」の両面をオープンにして、議論を進める。こういった国民主権のガバナンスとフォロワーシップの集積が、もっとも可視化されるのが自治の現場にほかならない。当然、その格差も露になる。二〇一五、一六年、全国で五百を超える自治体がいっせいに、平成の大合併に伴う交付税特例措置の期限切れを迎える。「自分たちのまちがどうなっており、どうなりうるか」をオープンにして、自治分権のガバナンス―フォロワーシップを集積してきたところと、お任せのままやってきたところとの格差は、否応なく明らかになるだろう。

未来を搾取する社会から未来へ投資する社会へ、という政策転換は、自治の現場でのこうした集積からこそ具体的に見えてくる。自治の現場でのこうした集積とどこまで結びつくことができるのか、せめて追認することがどこまでできるのか。選挙互助会以下の永田町は、これで検証する以外にない。

もうひとつ、今求められているのは政策イノベーションであり、それを可能とするのも圧倒的に自治の現場だ。少子高齢化、巨額の財政赤字、知識経済への転換、低炭素化、都市と農山村との共存など、「課題先進国」といわれる課題は、いずれも先行事例の模倣(追いつき、追い越せ)といったこれまでの方法で取り組むことはできない。参考事例はあるにせよ、独自の政策イノベーションが不可欠である。

「既に述べたように、政治はあらかじめ分かっていることをただ実行するための仕組みではない。むしろ問題を見つけ出して解決策を求め、必要な支持を調達して実行し、常に反省しつつ、必要な修正を加え続けるのが政治の役割である。今のところ、政治の現場においては、変化が必要かどうかといった論争(「改革vs既得権」という類/引用者)が形を変えて続くばかりで、政策の優秀さを競う形になっていない。しかし、本来であれば日本が直面する問題を論争のなかに浮かび上がらせ、それに対する対処法を政策という形で提示し合い、政治家や政党間での競争が展開しなければならない」(飯尾潤「現代日本の政策体系」ちくま新書)

独自の政策イノベーションを生み出すこうしたプロセスは、本来は政党が持っているべき機能であるが、残念ながら現状は選挙互助会以下である。「問題を見つけ出して解決策を求め、必要な支持を調達して実行し、常に反省しつつ、必要な修正を加え続ける」というプロセスは、圧倒的に自治の現場に集積されている。ここに立脚して、新しい未来の立ち上げ方にふさわしい政策論争の空間を創り出していこう。

「〜そこで必要とされるのは、政策論争を支えるだけの知的基盤と、問題を袋小路に追いやるのではなく、開かれた論争を促進するための構想力である。決断さえすれば何でもできるという誇大妄想的全能感に陥ることなく、また、後ろ向きに考えるばかりの旧慣墨守的無力感にとらわれることもなく、可能な未来を、人々と協力して切り開こうという」(飯尾 前出)政策的構想力の芽も、自治の現場に芽生えつつある。
そしてこうした構想力は、パワーバランスが大きく変化し、流動化する外交の領域にも必要とされている。「可能な未来を、人々と協力して切り開こう」という政策的構想力を、国境を超えて展開するまでの主権者パワーで、偏狭な排外主義的ナショナリズムから私たちの未来を解き放とう。
(「日本再生」407号一面)

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映画「異国に生きる〜日本の中のビルマ人」
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「囲む会」(「日本再生」390号)でもお話しいただいたことのある、ビルマ民主化運動活動家のチョウチョウソーさん。彼の生き様を追ったドキュメンタリー映画「異国に生きる〜日本の中のビルマ人」が、スーチーさん来日に合わせて公開されています。

民主化運動に参加し、弾圧を逃れてやってきた日本。なかなか政治難民として認められず、生きるために苦労しながらも、祖国の民主化のために仲間とともに活動する日々。5年後、ようやく実現した妻の来日、14年ぶりに第三国で実現した父との再会。

3.11では、在日ビルマ人の仲間とともに4回にわたって東北に支援に赴いた。「自分の居場所ではない」日本でなぜそこまで?との問いに、チョウさんはこう答える。「困っている人がいれば、自分にできることをするのは当たり前」「人は自分のためだけに生きているのではない。社会のなかで生きているのだから」「日本社会への恩返し」と。

映画は、チョウさんのまっすぐな生き方を通して、日本人に「いかに生きるか」を問いかける。

「異国に生きる〜日本の中のビルマ人」
http://doi-toshikuni.net/j/ikoku/#c1
4/25まで、ポレポレ東中野 http://www.mmjp.or.jp/pole2/にて。
札幌、大阪、名古屋でも順次公開。

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シンポジウム
「流動化・緊迫化する東アジア情勢と日本外交の課題」
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●シンポジウム
「流動化・緊迫化する東アジア情勢と日本外交の課題」
4月14日(日)13時より16時30分
アルカディア市ヶ谷 3階「富士」
参加費 参加費 2000円

パネラー 中西寛・京都大学教授、李鍾元・早稲田大学教授、大野元裕・参院議員 
(中西先生、李先生のインタビューは406号に掲載)

*Gゼロと言われるようなパワーバランスの歴史的変化のなかで、中国、韓国、北朝鮮、日本と、それぞれ政権が替わった東アジアの外交課題を議論します。国家間の利害対立を紛争によらずに解決する知恵が外交であるなら、わが国には今ほど「当事国」として、そのことがシビアに問われているといえるでしょう。

*また各国とも変革が問われるなかで、内政がうまくいかないときには、排外的ナショナリズムの誘惑が常に持ち上がります。東アジアはこの意味でも、試練に直面しているといえます。
排外的ナショナリズムの台頭に対するカウンターたりえるか。「可能な未来を、人々と協力して切り開こう」という政策的構想力の基盤たりえるような民主主義や市民社会の底力も試されています。

【参考】
新大久保 排外デモに対するカウンター行動
http://togetter.com/t/%E6%96%B0%E5%A4%A7%E4%B9%85%E4%BF%9D

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石津美知子
「がんばろう、日本!」国民協議会
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TEL 03-5215-1330 FAX 03-5215-1333