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メルマガ♯がんばろう、日本!         170(12.12.10)
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「がんばろう、日本!」国民協議会
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□あなたの一票が死票にならないために
未来を搾取する社会から、未来へ投資する社会へ

□望年会と新春特別シンポジウムのお知らせ

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あなたの一票が死票にならないために
未来を搾取する社会から、未来へ投資する社会へ

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《口上》
めっきり冷え込んでまいりました。今日は今年最初の夜回りです。当番の熊さん、八さんはやっぱり、見回りのあとに蕎麦やで一杯ひっかけているようでございます。

《蕎麦や にて》

熊   おー寒っ。おトラ婆さん、熱いのを頼むぜ。

八   今夜はほんとに冷え込むぜ。ところでこの間の寄り合いでも、今度の選挙の話になったが、党首討論とかいって10何人も出てきた日にゃ、どうしていいかわかんなくなるよ。

熊   オイラもテレビでそれをみた瞬間、チャンネルを変えちまったよ。自分たちが当選したいがために、救命ボートをたくさん作っただけのことなんだから、見てるだけでハラがたつよ。

八   おまけに「政策」ったって、にわか仕立てのやっつけみたいな話やら、「これをやればすべてうまくいく」って類のお気軽な花火やら、検証もへったくれもあったもんじゃない。まっ、そもそも選挙目当ての「政党」が選挙後いつまで存在するか、当事者だって分からないんだから、「後は野となれ山となれ」ってことなんだろう。

熊   ところが俺らは、「後は野となれ山となれ」ってわけにはいかねぇんだ。ここでどういう政権を選ぶかは、俺らの生活に係わってくるんだからな。お、寺子屋の大岩先生、いっしょに一杯どうですか。

大岩  これは熊さん、八さん、夜回りご苦労さんです。

八   先生、今度の選挙どうなんですかい。新聞じゃ「自民単独過半数も」って書いてるが、そんなに簡単に政権交代をなかったことにしちまっていいものか…。とはいえ、第三極というのも、あまりにいいかげんだし。この間なんか「今回は白票にしようと思うんだけど、民主党にいれる意味はあるのか」って聞かれちゃって、ウーンとなっちゃいましたよ。

大岩  政党の名前すら覚えられないような状態ですから、難しいですな。ボートマッチといって、政策ごとに質問に答えていくと、自分の考えに一番近い政党はどこかを教えてくれる、という仕組みはありますが…。なにせその「政党」とやらの主張が、あやしいわけですからな。

熊   白票ってのもアリですかい?

大岩  そこは思案のしどころですな。信任をめぐる構図がはっきりしているなら、白票で「不信任」の意思を示す、というテもありますが、今回の場合はちょっと違うように思いますね。むしろ大量の死票が出る可能性があるので、一票が死票にならないようにする、という選択もアリではないかと。

八   死票ですかい。

大岩  今回は多党が乱立しています。A党の得票が30%でも、その他が乱立して票が割れれば、小選挙区でA党の候補が当選します。つまりA党に投票しなかった70%は、死票になるというわけです。逆にA党以外に投票する人がB党にまとまれば、B党が当選する。前回の政権交代は、こういうメカニズムでもあったわけですよ。

熊   なるほど。するってぇと白票ってのは、憂さ晴らしにはなるかもしれねぇが、もったいないな。

大岩  そこで、こう考えるわけです。自分の考えにどの政党が一番近いか、ではなく、「これだけはやらせたくない」「この党だけは落としたい」、そのためにはどうすればいいかと。よりましな候補を選ぶ、あるいは最悪を避けるという選択ですな。

もうひとつは、選挙後の政権の枠組みをどう考えるか。今回、仮に自公が過半数をとっても、参院では過半数に満たないので、来年夏の参院選までは「ねじれ」が続くわけです。簡単にいえば、ここでの政権の枠組みや政党間の関係をどう想定するか。考えられるのは@民自公 A自公維新 B非自民連合(自公民以外)。まあ三番目は思考実験のレベルですが。

八   ほー。民自公ってのは、早い話、三党合意を実行していくということですよね。

大岩  これは連立政権ではなく、政策ごとの部分連合でしょう。参院選が近づけば、自公と民主は対立のほうが主になりますから。しかしそれまでは、消費増税や定数削減、原発の安全規制など、当面の懸案に一定の方向性がつけられることになります。まぁドンチャン騒ぎはありませんから、面白くない政治ですが、とりあえず安定はします。

熊   自民党には維新と組む、という選択肢もアリですかい?

大岩  こっちのほうは、原発や憲法改正などで、また花火があがってドンチャン騒ぎでしょう。また安倍さんは「デフレ脱却ができなければ消費税は上げない」といっていますから、消費増税が先送りされるかもしれませんね。

八   そんなことで大丈夫なんですかい?

熊   三党合意で増税を決めたときだって、これで財政再建の意思が示されなければ、日本国債の格付けを下げるって、話だったよな。アメリカだって財政の崖で、議会と大統領が何とか手打ちをしなけりゃ大変だってのに、また先送りなんかしたら…。

大岩  それは何とも分かりません。ただここで先送りした場合、日本国債の格付けは下がるでしょうね。それで長期金利が上がれば、国債の利払いだけでも相当な額になりますよね。

八   そりゃ、なんてったって元が1000兆円だもんな。1%利子が上がっただけで10兆円だ。単純に言えば、赤字国債の発行額が10兆跳ね上がるわけだ。各国の財政危機が連動しているときに、そんなことやってて持つのかよ。

大岩  維新は消費税を地方税化するよう主張していますから、その影響が増すと、2014年4月からの消費税引き上げは不透明になります。実務的には来年10月1日が判断のリミットだといわれていますが、この時期に地方税化の議論になれば、そう簡単にまとまる話ではありませんから。

熊   地方税化っていうが、それじゃ国の社会保障の財源はどうすんだ? これじゃ、グレートリセットごっこじゃないか。

八   つまり、民主がそれなりの存在感を獲得すれば、三党合意を実行する、面白くはないが安定した政治になり、民主惨敗・維新躍進となると、三党合意があいまいになり、ドンチャン騒ぎとしては面白いが、安定しない政治になるってわけだ。

大岩  どちらの枠組みを選ぶか、どちらの枠組みを阻止するか、という選択ですね。自民党のなかにも、憲法改正や教育改革で維新に近い安倍さんと、民主との協力で三党合意を実行し、政権を安定させようという、二つの流れがあるようですし。

熊   安倍さんは、総選挙で過半数獲得、参院選で勝てば、憲法改正を政治の俎上に載せる、といっているからな。維新などと組んだ保守の再編という政界再編含みのシナリオも想定しているってことだろ? 人口減少・高齢化や、世界同時財政恐慌といわれるようなマーケットの動向が、いっさい視野に入らない政界再編ってのもどうかと思うがね。

八   三番目の非自民連合ってのは、何ですかい?

大岩  実現可能性は低いと思いますが、この場合の共通項は「原発ゼロ」くらいです。「政治改革」をかかげて誕生し、一年もたずに瓦解した細川連立政権のイメージでしょうか。

八   なるほど。一票の使い道ってのも、いろいろ考えられるんだ。じつはオイラ、前回の選挙では、生まれてはじめて自民党に投票したんだ。民主党の勢いがすごかったし、比例の名簿を見たら、こんなのが当選したらエライことになると思ってな。それに選挙区の自民党候補は若い公募候補だったし。今回も総裁選では石破さんの応援をしていたよ。
今回は自民が有利だし、選挙後、自民党に三党合意の約束を果たさせるためには、民主をしっかりさせないといけないってことだろ。

熊   三党合意の意味を、永田町が一番分かっていないんだ。増税を与野党の多数で成立させた、というのははじめてのことだ。次世代にこれ以上ツケを回すわけにはいかない、という政治の意思のはずだ。その約束を選挙後、どう果たさせるか、そのための戦略的投票をしようってことだな。政界再編も、次世代にこれ以上ツケを回すわけにはいかない、という共通の土俵の上でやってもらわないと。

おトラ  さっきから聞いてりゃなんだい。あたしゃ、消費税絶対反対だよ。この景気の悪いときに、あたしらの商売、あがったりだよ。役人の無駄遣いだって、まだいっぱいあるんだろ?

八   だけどよ、おトラさん。お前さんだって、孫の小遣いを巻き上げて自分の年金にあてようなんて、思わねぇよな。でも、俺らが今やってるのは、それと同じことじゃねぇか? 高齢化はまだまだ続く。働く世代の人口はどんどん減る。これは動かしようがねぇんだ。ただでさえ困難な時代に向かおうってときに、これ以上、孫たちに重荷を背負わせるわけにはいかんだろ?

おトラ  あたしだって、増税はしかたないと思うよ。だけどさぁ、無駄遣いはどうなるんだよ。バラマキや、いいかげんな使い方されたんじゃ、ハラがたつさ!

熊   だよな。だからよ、増税に文句を言うよりも、使い道をしっかり監視し、おかしな使い方をしていたらすぐに止めさせる、そういうことのほうが主権者としちゃ、大切なんじゃないか。そのためには事業仕分けは当たり前、もっと情報公開しろってことじゃないか。役人の無駄遣いを止めさせる一番の特効薬は、国民の目がいつも届いていて、役人も政治家も説明責任が問われるってことだろ。

八   復興予算がおかしなところに使われていたってのも、それが分かったのは事業仕分けで使った事業評価シートがあったからだ。本当なら、予算委員会でそういう議論をすべきなんだ。与野党とも、そういう仕事がちゃんとできるヤツを国会に送らなきゃ。

熊   たかが一票、されど一票。せっかくの一票が死票にならないように、選挙後の政権の枠組み〜参院選までを見越して、戦略的投票をしよう。そのために大いに議論し、智恵を絞ろうじゃねぇか。

八   「任せて文句を言う」習慣から、「引き受ける」民主主義へ。市議会の報告会だって、これまでは予算が決まってから市民に説明するってことだったが、来年度予算からは作成過程から市民と議論していくって、準備を始めているもんな。アレコレ要望するだけじゃなく、優先順位をつけて絞り込んだり、場合によっちゃ「あきらめる」ものを決めたりすることにも、俺らが参加し、責任を持つってことになるわけだ。税金は「取られる」ものじゃなくて、「使い道を決めるのは、われわれだ」ってことじゃねぇか。


《終わりに》
選挙もいよいよ終盤戦となりました。選挙にむけたメルマガ・シリーズはこれが最後となるでしょう。167号から170号まで、改めて通してご笑覧いただければ幸いでございます。
どなた様も、せっかくの一票をよくよくお考えのうえ投じていただけますよう、お願い申し上げます。

(以上)

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望年会と新春特別シンポジウムのお知らせ
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●望年会&特別講演会(京都)
12月14日(金)コープイン京都
*特別講演会 18時から 同202会議室
会費 1000円
「米大統領選後の国際情勢を展望する」 村田晃嗣・同志社大学教授
*望年会  19時から 同1階
会費 3500円

●望年会(東京)
12月22日(土)16時から
「がんばろう、日本!」国民協議会事務所(市ヶ谷)
会費 2000円

●新春特別シンポジウム
「エネルギーと自治〜民主主義のバージョンアップとフォロワーシップの転換」
1月12日(土)12時から
アルカディア市ヶ谷 5階「穂高」
参加費 2000円
パネラー 植田和弘・京都大学教授、諸富徹・京都大学教授
     武久顕久・瀬戸内市長、原亮弘・おひさま進歩社長 ほか

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石津美知子
「がんばろう、日本!」国民協議会
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