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「がんばろう、日本!」国民協議会
http://www.ganbarou-nippon.ne.jp
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▼Index 
自治分権・オープンな協働を促進するための新しい多数派形成を
「がんばろう、日本!」国民協議会 第七回大会 基調にかえて

◆「開かれた」凌ぎの時代 歴史の教訓を今に生かす知恵を
 (以下は「日本再生」392号へ)
◆古い常識(非常識)から新しい常識へ 
新しい多数派形成、そのための社会関係資本の集積
◆熟議の民主主義へ 自治分権の拡がりと深まりを

□ご案内
◆第7回大会(1/7)
◆1月の東京・戸田代表を囲む会

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「開かれた」凌ぎの時代 歴史の教訓を今に生かす知恵を

 二〇一二年は世界的に政権選択の年となる。一月の台湾総統選、三月のロシア大統領選、フランス大統領選、十一月のアメリカ大統領選、十二月の韓国大統領選。そして選挙はないが、中国共産党第十八回大会ではポスト胡錦濤が選出される。(日本でも総選挙が行われるかもしれない。)

 これに先立つ二〇一一年は、まさに激動の年となった。「アラブの春」に始まり、ユーロ危機に端を発する世界的な金融危機(世界同時多発財政恐慌の様相)など、国際政治経済の構造はさらに液状化の度合いを増している。またロシア下院選挙での与党の惨敗やソウル市長選、そして北朝鮮の金正日総書記の死去も、二〇一二年の先取りというべきだろう。
 では二〇一二年は、「天下大乱」の年となるのだろうか。おそらくそうではないだろう。そう簡単に先が見えないなか、二〇一二年はリーダーもフォロワーも「大いに迷い、大いに揺れる」年となるだろう。われわれが直面している内外の難題は、誰かを打倒したり、収奪者を収奪したりすれば解決するようなものではない。簡単には解の見つからない、複雑な連立方程式を解いていくような忍耐が求められる。その欠如こそが「内政ごっこ」、政治の機能不全を招く。こうしたなかで「選択の質」が問われる。

 米タイム誌は、毎年年末に「今年の人」を表紙にする。二〇一一年の「今年の人」は著名人ではなく、世界中の無名の「抗議する人」である。チュニジアに始まり、タハリール広場で、ウォールストリートで、モスクワで、チベットで、ウーカン(烏坎)で、ロンドンで、アテネで…。「われわれが求めているのは、革命や政権打倒ではない。公正な選挙だ」とロシアの「抗議する人」は言う。ウォールストリートから始まった「we are 99%」というスローガンは世界中に広がった。求めているのは「公正さ」だ。即効策はないが、目指すべき方向ははっきりしている。
だからこそ、世界大戦に匹敵するような世界的再編期、次の展望がそう簡単には見えない時期をいかに凌ぐのか、その知恵が問われる。

二〇一一年は辛亥革命から百年にあたり、同時に中国は「世界第二の経済大国」となった。日本が「世界第二の経済大国」となったのは、明治維新から百年。日中ともに近代化に着手してからほぼ百年で、「世界第二の経済大国」となったわけだ。
OECDの予測によれば、十年後には中国のGDPは日本の倍になり、十五年後には名目でアメリカを抜く。すなわち中国は世界第一の経済大国になる。二〇三〇年には、中国のGDPが世界経済に占めるシェアは23・9%と予想される。その時に世界第二の経済大国となっているアメリカは17%、日本に至っては中国の四分の一の5・8%と予想されている。つまり二十年後は、日米のGDPを足しても中国の方が大きい。このように大きなパワーシフトが今、起こっている。

一方、四十年後の日本の人口は約一億人、これから四十年で近畿圏に匹敵する二千万の人口が減ると予想されている。これだけ急速な人口減少が見込まれる国はない。中国では十四億と今より五千万人の増加が見込まれているが、それから見ても早晩人口増加はピークアウトすると思われる。少子高齢化の只中で苦戦する現在の日本の姿は、確実に数十年後に中国が直面する課題でもある。この間にわが国は「課題先進国」の位置取りができるかどうか。それはここ二、三年のわれわれの「凌ぎ方」にかかっている、といっても過言ではないだろう。

二〇一一年はまた、十年に及ぶ対テロ戦争のダメージからの起死回生をかけて、アメリカがアジア太平洋へ回帰してきた年でもある。この十年でアメリカが費やした戦費は十兆ドル、死亡した米兵は六千人にのぼる。(イラク、アフガン国民の死者はさらに多いことは言うまでもない。)この十年で、アメリカは覇権大国の地位から静かに降りつつある。リーマンショックに続いて、二〇一一年には歴史上はじめて、基軸通貨国の国債が格下げされるという事態になった。

アメリカは依然として大国ではあるが、一極主義で行動できるような図抜けた超大国の地位からは降りつつある。他方で中国は急速に台頭しつつあるが、アメリカに替わるような覇権大国(国際公共財を提供できる覇権国)になるめどは、立っていない。こうした流動的な構造の中で、「成長のアジア」の安定と発展をいかに図っていくか。このことはわが国が、これから少子高齢化の急坂をあえぎながら登っていく時期を凌ぎ切るために不可欠の前提である。
TPPはこのような文脈のなかで議論すべき課題であろう。言い換えれば、世界大戦に匹敵するような歴史的再編期に、国策の誤りを再び繰り返すな、ということである。一九三〇年代の国策の誤りは、当時の中国のナショナリズムの深まりと高まりを読み誤り、他方でモンロー主義からイギリスに替わる覇権国へと転じていくアメリカの動向を読み違えたことによる。

リーマンショックは「百年に一度」の大恐慌といわれたが、一九二九年のニューヨークの大恐慌は、その後のヨーロッパの銀行破たん、イギリスの金本位制離脱を経て第二次世界大戦という形での世界秩序の再編に帰結した。われわれが直面している国際政治経済の液状化はそういう規模のものである。中国の台頭とアメリカのアジア太平洋への回帰という新たなステージでの選択は、十年後、二十年後のわれわれの命運を決するものとなる。

APECの源流は故大平総理の「環太平洋連帯構想」にある。これは明治以来の「脱亜入欧」か「アジアはひとつ」か、という日本の歴史観の決着でもある。米中に伍した「大国」としてではなく、米中という巨大なプレイヤーを巻き込んで、「成長のアジア」の安定と発展を図るために「なくてはならない」存在―中軸国家としての位置取りができるかどうか。それはここ二、三年の凌ぎ方にかかっている。

リーマンショックを巨額(四兆元=五十七兆円)の財政出動で乗り切った中国は、二〇一二年いっせいにその償還期限を迎える。習近平体制は大きな負債を抱えてスタートすることになる。中国漁船の違法操業に見られるように、資源収奪型の発展は近隣諸国との関係でも国内においても、もはや限界に来ている。輸出主導型の経済も、いつまでも長続きはしない。格差是正=公正を求める声はますます大きくなっている。転換が必要なことはわかっているが、どうすればそれができるのか、そこでの「迷い」の空間に中国は入っている。ここを読み誤ることなく、いかに戦略的に生かすことができるのか。これは今後十年、二十年をわれわれがどう凌ぐかをも決することになる。

二〇一一年は「日本化現象」(Japanisation)が流行語となった。低成長、財政赤字など「失われた二十年」の病が世界に蔓延した結果、期せずして、わが国の「課題先進国」としての相対的立場が可能になる条件が生まれつつある。これを「天佑」として生かすことができるかどうか。二〇一二年はその意味でも、われわれにとって「のるか、そるか」の正念場である。
311大震災は強制的な力によって、そのための転換を迫る契機となりうる。いや、そうしなければ犠牲となった方々に、厳しい条件下で前を向いて復興に取り組む人々に、そしてこれから生まれてくる子どもたちに、われわれは顔向けできない。

 もうひとつ、歴史の教訓を胸に刻みたい。第二次大戦中、世界の海軍が空母を主体とする機動部隊へと転換していくなか、帝国海軍は大艦巨砲主義を続け、大和をはじめ数多くの艦船とともに次代を担うべき若者を失っていった。なぜ転換できなかったのか。元参謀は戦後、「(転換にともなう)水兵たちの失業はしのびなかった」と述べている。
 まさに今日も同様である。右肩上がりの制度、仕組みは、もはやこのままでは持続不可能であることは分かってきた。転換の方向も分かってきた。しかしそれに伴う痛みには、少なくない人が反対する。「水兵たちの失業はしのびなかった」というリーダーを今日批判するのはたやすいが、そう言わせたフォロワーが多数いたことを、われわれは知るべきであろう。

 「開かれた」凌ぎ―それは「欲しがりません、勝つまでは」ではない。転換期はイノベーションのチャンスである。しかしその即効策はない。このときにどう凌いでいくのか。従来の切り口からだけでは、展望なき現状維持、後ろ向き、下向き、内向きになる。新しい切り口からどう凌いでいくか。それが「開かれた」凌ぎの時代の知恵である。そのために歴史の教訓を今に生かそう。

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◆「がんばろう、日本!」国民協議会 第七回大会
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「自治分権・オープンな協働を促進するための新しい多数派形成を」
2012年1月7日(土) 総評会館 
http://www.sohyokaikan.or.jp/access/index.html
13時より 記念シンポジウム  会費 2000円
17時より 懇親会(新年会)   会費 5000円

記念シンポジウム(パネルディスカッション)
●第一部「開かれた凌ぎの時代の外交戦略」
 中西寛・京都大学教授、大野元裕・参院議員、中東問題研究所上席研究員、ほか
●第二部「自治分権の深化と拡がり〜古い常識から新しい常識へ」
 福嶋浩彦・前我孫子市長、諸富徹・京都大学教授、
山中光茂・松阪市長、熊谷俊人・千葉市長、望月良男・有田市長、
隠塚功・京都市議
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◆東京・戸田代表を「囲む会」会員限定】
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□第108回 東京・戸田代表を囲む会
「ビルマ民主化の今、そしてこれから」(仮)
ゲストスピーカー チョウチョウソー・ビルマ民主化同盟副議長
1月17日(火)18時45分から21時
会費 同人 1000円  購読会員2000円
「がんばろう、日本!」国民協議会事務所(市ヶ谷)
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石津美知子
「がんばろう、日本!」国民協議会
http://www.ganbarou-nippon.ne.jp
TEL 03-5215-1330 FAX 03-5215-1333