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「がんばろう、日本!」国民協議会
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▼Index 

□世界は変わった。ルールは変わった。変化に対応するための問題設定の共有を!
その新たな担い手を!

●「問責」国会か、「責任共有」国会か

(以下は「日本再生」381号 2/1発行へ)
●マニフェストは、コミュニケーション・ツールとして使いこなせ 
マニフェストを盾に、世論を曲解するな

●国政に従属した自治体選挙から、自治分権の自治体選挙へ

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世界は変わった。ルールは変わった。変化に対応するための問題設定の共有を!
その新たな担い手を!
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【「問責」国会か、「責任共有」国会か】

 通常国会が始まり、「ねじれ」国会はいよいよ「未体験ゾーン」に入る。予算は衆議院で可決されれば成立するが、税法など予算関連法案は、参議院で否決されれば成立のメドは立たなくなる。予算関連法案が成立しなければ、子ども手当の支給停止や中小企業法人税が増税になる(*)など、国民生活に大きな影響が及ぶことになる。また国の一括交付金や補助金を前提にしている以上、全国の自治体で予算が組めなくなる。(*中小企業の軽減税率18%を15%とする関連法案が成立しなければ、本則の22%となる。)

野党が過半数を握る参議院は、問責決議という強大な拒否権を持った。参議院で問責決議を連発し、予算関連法案を廃案に追い込んで政府を機能停止させ、いわば「国民生活を人質にとって」解散総選挙に追い込む、ということでは国民不在の政争だ。

予算関連法案のひとつ、赤字国債発行に必要な「特例公債法案」が成立しなければ、巨額の歳入欠陥が生じ、通常の事業の予算執行にも支障をきたすことになる。EUでクローズアップされている国家財政危機は、国家債務の額のみならず(EUおよび各国政府の)ガバナンスにも起因している。史上まれにみる国家債務を抱えたうえに、政府が機能停止に追い込まれるに等しい事態になったとき、はたして日本の国債問題はどうなるのか。

わが国が直面している課題は、党派間の対立をはるかに超えた難問なのだ。第一義的にはもちろん政権・与党が責任を負うべきであるが、参院の拒否権によって政府をブロックできる以上、こうした事態になれば、その責任の半分は野党にもあることになる。「問責」国会で、与野党が国民不在の政争を繰り広げるのか、それとも、わが国が直面している課題に対する最低限の責任を、与野党が共有する国会への一歩を踏み出すのか。

議院内閣制の原則では、政権選択をする院(日本では衆議院)の決定が優先されるのは当然だ。参議院の問責決議を受けて閣僚が交代するのは間違っているし、政権選択をしない参議院が(問責決議によって)閣僚を罷免するのは間違っている。「参議院の意思に反する閣僚(問責決議を受けた閣僚)では国会が開けない」という参院議長は間違っている。

閣僚の任免権は内閣総理大臣にあり、内閣不信任を決議できるのは、政権選択選挙によって選ばれた衆議院のみである。参議院の権力行使は、極力自制的でなければならない。そこからこそ、政権を争う衆議院とは異なる参議院の独自の役割も規定されてくる。
総選挙が政権選択選挙となりえなかった自民党長期政権時代の惰性を捨て、総選挙による政権交代を前提とした本来の議院内閣制の運営へと、待ったなしで転換しなければならない。「問責」国会で、国民不在の政争に突っ込むのか、国民生活に対する最低限の責任を共有した上に、政党間競争の新しいステージへの糸口を開けるのか。まさに正念場だ。

野党は「解散に追い込む」というなら、国会で民主党政権の政策がいかに間違っているかを、論戦を通じて明らかにし、国民の支持を得て、民主党議員のなかにも「これでは内閣を支持できない」と造反が出る、というところまでやってはじめて、議院内閣制の原則にのっとって解散に追い込んだ、といえる。
そのためには、一にも二にも政策論争である。予算委員会でオザワ問題を追及したり、ヨサノ本を振りかざして「変節」を追及したり、ということでは話にならない。

(小沢氏の陸山会問題は、強制起訴によって法に則って処理されればよいこと。自らの政治資金について「対検察」の枠でしか説明しない政治家を辞めさせるかどうかは、国民が選挙で判断することであって、国会が決めることではない。与謝野氏の「変節」については、「政治家は信念のプロではなく、合意形成のプロであるべき」とだけ言っておこう。信念のない政治家は困るが、自分の信念とやらにこだわって、国民生活や国運を左右する問題にかかわる合意形成はそっちのけ、という政治家はもっと困る。)

菅政権は、「税と社会保障」について与野党協議を呼びかけている。国際経済構造の大変動(グローバル化・G20)と人口構造の大転換(生産年齢人口の急速な減少)という環境変化のなかで、「税と社会保障」は国運を左右するといってよい大テーマであり、にもかかわらずこれまで先送りされ続けてきたテーマである。稚拙だろうと欠陥があろうと、これを政権の課題として正面から掲げたことは、前進である。

これに対して「与党がまず案をまとめてこい」ではなく、対案を提示して論戦をリードする気概なくして、政権奪回をめざす野党といえるのか。「解散が与野党協議の条件だ」というが、そんなことで総選挙で国民が選択できる対案を提示できるのか。「問責」国会の延長上で「解散に追い込む」では、責任政党にはほど遠い。
「(野党時代の)民主党は国会を主戦場に頑張った。隠れていた問題を発掘し大きな争点にして、自分たちならこうするという風にもっていきました。〜彼らに問い詰められ、自民党の大臣が立ち往生する光景が何度もあった。〜我々はまだそこまでいっていない」(世耕参院議員 11/30朝日)

わが国が直面している問題は、何かの失政によるものというよりは、「パワーシフトとパラダイムシフトの同時進行」「グローバル化・国際経済競争構造の大変動」「生産年齢人口の急激な減少」など、大きな枠組み変動に対応できずに来たことのツケが、積もり積もった結果にほかならない。その間に「世界は変わった」のだ。

二十世紀最後の十年間と二十一世紀最初の十年間を比べてみよう。「世界市場への実質的参加者」は七億人(G7)から三十億人(G20)へ急増。「世界のインターネット人口」は数千万人から十億人を超えて急増中。日本のGDPのシェアは17.9%(94年ピーク)から、8.8%(09年)へ低下(以上は小屋知幸 日経ビジネスオンライン12/21より)。99年には年金受給者一人を二・五四人で支えていたが、09年には一・八六人で支えている。(日経1/25)

「変化に対応し、生き続ける」ために、われわれに残された時間は多くはない。「問責」国会―国民不在の政争で、われわれの未来をこれ以上失うわけにはいかない。その最低限の責任を共有するところから、国会の新たなステージを。「熟議」は、その先にのみ可能となる。
(「日本再生」381号 2/1発行より)

【附記】
●国政に従属した自治体選挙から、自治分権の自治体選挙へ
自治体選挙の座標軸(目先の混乱に惑わされないために)
@官治分権と自治分権を仕分ける座標軸
A自治分権の観点からの地方財政の座標軸
(ハンドブック「地方財政を見る目を養おう」http://www.ganbarou-nippon.ne.jp/)
B市民自治の原則から二元代表制を使いこなすための座標軸

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「日本再生」381号 2/1発行(300円) のご紹介
●地方議員のコラム「一灯照隅」
●インタビュー 
消費者行政の転換  福島浩彦・消費者庁長官
税制改正のポイント 五十嵐文彦・財務副大臣
●「囲む会」講演
躍動する韓国と北東アジア 金美徳・多摩大学教授
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石津美知子
「がんばろう、日本!」国民協議会
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