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世界大戦に匹敵する国際秩序の大変動期に、ふたたび国策を誤る愚を繰り返すな
〜「ジリ貧か、ドカ貧か」の選択に追い込まれるという最悪の道を断つ輿論を

●「世界第二の経済大国幻想」から覚めて、
「日本が本当はどうなっており、どうなりうるか」を直視しよう

●世界大戦に匹敵する国際秩序の大再編期のただ中にあって、
最悪の道を断つ知恵を
 
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世界大戦に匹敵する国際秩序の大変動期に、ふたたび国策を誤る愚を繰り返すな
〜「ジリ貧か、ドカ貧か」の選択に追い込まれるという最悪の道を断つ輿論を
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●「世界第二の経済大国幻想」から覚めて、
「日本が本当はどうなっており、どうなりうるか」を直視しよう

 この秋、東アジアを舞台に展開された外交的出来事・駆け引きは、「世界第二の経済大国幻想」から覚めて、「日本が本当はどうなっており、どうなりうるか」をしかと考える(考えざるをえない)ための材料を提供している。
 例えばこうだ。

 尖閣沖における中国漁船による衝突事件を受け、菅首相は当初、国会日程との関係で見合わせていたASEM(アジア欧州会合)への出席を決めた。国際社会で日本の立場を説明する、との趣旨に野党も国会日程の調整に応じた。そのASEMで菅総理は温家宝首相との「懇談」を果たしたが、韓国との間では「違い」を否応なく見せつけられることになった。
日本の総理が「自国の立場を説明する」ために急遽やってきたのに対し、韓国・李大統領はEUとのFTA署名のためにブリュッセルにやってきたのだ。韓国は、ヨーロッパがアジアで最初にFTAを結んだ国となった(これを受けて、米韓FTAの批准にも拍車がかかっている)。EUとのFTAが発効すれば、すでに発効しているFTAと合わせて韓国は、世界人口の三分の一の市場と自由貿易ができることになる。日本の出遅れは明らかだ。

菅首相は所信表明演説でTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への参加に触れたが、これは二〇一五年までに例外品目のない百%の関税撤廃と貿易自由化の実現を目指したアジア太平洋地域の多国間自由貿易協定である。ルールづくりの段階から参加するほうが有利であることは間違いないが、農水関係をはじめとして与党内から「慎重論」が噴出しており、十一月に横浜で開催されるAPECに方向性が出せるかどうか、危ぶまれている。TPP参加反対派の多くが先の代表選で小沢氏を支持した議員であることから、この問題が政争に発展しかねないとの懸念もある。

世界大戦に匹敵するような国際秩序の大再編期の激動が、「海の向こうの出来事」としてではなく、いよいよ生活実感として伝わってくるまでになった。だからこそ、こうした歴史的時期に「国策の誤り」に至った戦前の教訓を、現在の行動準則として生かすことができるのかが、政治家にも国民にも問われている。

《教訓 その1》「世界第二の経済大国」幻想を捨て、変化に対応せよ
国際秩序の大再編期に、「周回遅れのトップランナー」幻想にしがみつく愚を繰り返すな。

冷戦後発展してきたグローバル経済は、国際社会の構造を大きく変えた。リーマンショックを契機にG20が定例化され、G7は大きく後景に退いている。統計上から見ても、GDP(08年 購買力平価)ではG7が世界の42.2%、G20は74.2%、外貨準備に至ってはG7が24.4%、 G20は70.1%となる。もはや新興国の参加なしに国際経済・金融のガバナンスは成り立たないところへ、国際社会の基本構造は大きく変化した。

「世界第二の経済大国」という日本の形容詞は、簡単に言えばG7が意味をなしていた時代のものにほかならない。だからこそ「アジアで唯一のG7参加国」に意味もあった。しかし今やヨーロッパが最初にFTAを締結したのは、日本ではなく韓国である。これが冷厳な現実だ。(06年のEU新通称戦略ではFTAの最優先締結先として日本ではなく、韓国、ASEANを据えている。)

「世界第二の経済大国」幻想では、アジアの成長を取り込むこともできない。日本の発効FTAは貿易額に対して16%(交渉中も含めると38%)なのに対して、韓国は発効・署名済みが35%(交渉中も含めると63%)となっている。中国でも発効・署名が18.5%で、最近ではEUとのFTA交渉やTPPへの参加にも意欲を見せているという。それに引き換え、EUと日本のFTAは俎上にも上っておらず、TPPへの参加にも暗雲が漂い始めているありさまだ。

日本も韓国も、国際秩序の形成を方向付けるような大国(覇権国)ではない。求められているのは、国際的な変化にいかに対応するか、という知恵である。「世界第二の経済大国」幻想では、その知恵は逆さに振っても出てこないことがはっきりした。

国際秩序を支える公共財の安定には、覇権大国の存在が不可欠だ(378号 大野参院議員「囲む会」参照)。第二次大戦後長らく、冷戦後に至っても、そうした国際公共財を支えてきた超大国アメリカが、いよいよその座を降りつつある(超大国から大国へ)。それに替わる存在が不在であることが、現在の変動の大きな特徴でもある。だからこそ「○○についていけば間違いない」といった思考では、変化に対応する知恵は出てこない。

アジアからの観光客が具体的に見える地域経済では「反中・嫌中、反韓・嫌韓で、メシが食えるのか!?」というくらいの(アジアの成長と連動する)生活実感は、すでに前提になっている。「変化にいかに対応するか」という知恵は、こういうところからこそ、出てくるはずだ。

《教訓 その2》国際秩序の大変動期に「内政ごっこ」に明け暮れる愚を繰り返すな
国際秩序の大変動から強いられる変化にいかに対応するか、が問われているときに、これを「内政ごっこ」「政争の具」に転じる愚を繰り返してはならない。

FTAをはじめとする自由貿易協定が急増している背景には、〇六年のWTOドーハ・ラウンドの決裂・凍結がある。つまり経済貿易の世界でのルールが大きく転換したのだ。こうした変化にいかに対応するか、が問われているときに、国内の個別利害にとらわれれば、「水兵の失業はしのびない」といって戦艦大和をはじめ貴重な人材と資源を水泡に帰した戦前の愚の再現となる。(第二次大戦では空軍への戦略転換が大きく進んだが、旧帝国海軍はそれ以前からの巨艦巨砲主義を転換できなかった。その理由として「水兵の失業はしのびなかった」と戦後、参謀が述べている。)

さらにいえば「水兵の失業」の背後には、大量の陸軍兵士とその出身地の困窮があっただろう。それをいわば逆手にとった、満州利権や軍をはじめとする既得権益のための「内政ごっこ」こそが、変化に対応するチャンスをことごとく潰していったといえる。

WTOからFTAへ、というゲームのルールの転換にいかに対応するか、というところから個別利害(例えば農業)への対策を扱うのか、それとも「内政ごっこ」「政争の具」として扱うのか。TPPの議論では、ここが試されている。「農業への打撃」を理由にする人々が言っているのは、「農業の育成・強化」なのか、それとも「票田としての農家の保護」なのか。ゲームのルールの転換に対応できなければ、失うのは市場のチャンスだけではない。ふたたび次世代を「失われた世代」とする愚を繰り返すのか。
(ゲームのルールの転換は「低炭素経済」という形でも展開しているが、それは別の機会に。)

以下、「日本再生」378号(11/1)へ続く。

*国際秩序の構造的転換、そのなかでの外交については、378号掲載の中西寛氏、村田晃嗣氏のインタビュー、ならびに大野元裕参院議員の「囲む会」記事をあわせて参照してください。

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とか言っているところへ、以下の記事が…
「米政府が、TPP交渉に日本が参加した場合に最終合意が大幅に遅れる可能性が高いと判断し、こうした懸念を日本政府に非公式に伝えていることが27日分かった【ワシントン共同】」(10/28 毎日)

こりゃ、アカン! グタグタするヒマもなく、「やっかいもの」扱いだ。どうする?
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