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「がんばろう、日本!」国民協議会
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▼ Index
政権交代で民主政を安定的に発展させる
そのための戦略的投票を
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《口上》
いよいよ決着の時が目前となりました。政権交代可能な二大政党政治を、この日本でも「当たり前」のこととするために、思えば長〜い道のりでございました。
おっと、感傷に浸っているヒマはございません。政権交代は歴史的な出来事ですが、民主政の発展にとっては、ひとつの通過点(大きな通過点ではありますが)にすぎません。ここから日本の民主政の新しいステージをどう開くのか。主権者運動の次の課題を、見据えていかなければなりません。

ということで、外堀長屋でも相変わらずの井戸端会議でございます。

《外堀長屋の井戸端会議》

お松   新聞はみんな「民主圧勝、勢い衰えず」って書いてるよ。いよいよ歴史的な政権交代だね。民主党は比例の名簿が足りなくなるって話もあるそうだよ。

熊    300議席を超える勢いだそうだが、前回の「小泉劇場」のような熱狂はない。その意味では「風ではなくて、地殻変動が起きている」のは確かだろうな。「政治はバクチじゃない」なんて言ってるどっかの総理もいるようだけど、それじゃあ「地殻変動」の実感さえつかめない。「政権交代という、なにかわけの分らないものと戦っている」ってことになるな。

八    政権交代は「閉塞を打破する一発勝負」なんかじゃないってことは、こちとら十分承知よ。エライ政治学者の先生も言ってたけど、選挙ってのは、うっぷんばらしの熱狂で投票するもんじゃない。民主党の小選挙区の候補者は、麻生さんのおかげで少なくとも一年間、長い人は四年間、地域で日常活動を蓄積してきた。有権者もそれを見てきた。その結果が表れているってのが基本だ。(民主党に投票する、という人の80%が「選挙情勢によって投票先を変えることはない」という意志の固さを示している。8/27朝日)。日常活動の延長で選挙戦を戦う、有権者も熱狂ではなく(ましてバクチじゃなく)平常心で投票するっていう、当たり前のことがようやく定着してきたんじゃないか。

お梅   でもさ、○○ちゃんがダンナの知り合いから聞いた話によると、民主党の比例単独のところには、「入っちゃいけない」ような人がいるって話だよ。この前の「小泉チルドレン」だって、ドサクサにまぎれてわけのわからない人が大量にはいったじゃないか。結局、ワイドショーのネタにはなったけど、国会議員としての仕事をまともにやったのが何人いたのかい? 比例じゃないけど、ナントカさつきなんて人は、委員会出席もたった84回、他はみんな200回近いか、それ以上だってのにさ(アエラ8/3)。歳費になったアタシらの税金、返せって言いたいね。

お松   比例でどこまで入るのか知らないけどさ、そういう「困ったちゃん」には、アタシらがビシッと言おうじゃないの。アンタに投票したんじゃない、マニフェストを選んだんだ、国民との約束を果たすためにしっかり働けって。「小泉チルドレン」のザマだって、本人たちの問題もあるだろうけど、結局マニフェストがあいまいで、果たすべき国民との約束が何なのか、どこで責任を問われるのかが、見えなかったからじゃないか。そこは今度ははっきりしているんだから、チャラチャラしてたり、勘違いしてたりしたら、「アンタに投票したんじゃない、マニフェストの約束を果たせ」って、どやしつけてやろうじゃないか。

お梅    比例で当選した者は、勝手に政党を変わることはできないんだろ。そのくらい政党として名簿に載せた責任があるわけだから、マニフェスト違反のトンデモ議員がでたら、党のほうも除名するくらいの覚悟でやってもらわなきゃ。

熊    小選挙区制では、得票の変化以上に議席が劇的に変動する。だから政権交代が起きやすい、というわけだ。問題はこの劇的変動が、民主政を不安定化させるのか、それとも政権交代によって民主政が安定的に運営されるのか、ここが最大のポイントだな。カナダでもオーストラリアでも、議席の劇的な変動による政権交代があったが、民主政は安定している。それは政党が安定しているからだ。

お梅   政党が安定しているって、どういうことだい。

八   政党が安定しているってのは、「万年与党」「万年野党」で固定化されているって話じゃなくて、時代の変化、社会の変化にいかに対応するか、それをめぐって政党間の競争がオープンに行われているということじゃないか。逆にいうと、自民党は300議席で吹っ飛んだ。なぜかというと、社会の変化に対応するどころか、「人気があれば誰でもいい」となったからだ。人気投票じゃ、社会の変化はつかめない。

お梅    そういや小泉劇場の圧勝で、自民党の若手議員が「これで党改革の機運は潰れてしまう」ってボヤいてたね。造反組に刺客を送り込んだ「公募」だって、それまで党改革でやってきた公募とは「似て非なる」もので、本当はその検証もしなけりゃいけないって言ってたのにね。ようやく始まったそういう党改革、政治文化の入れ替え戦が、300議席のおかげで、パァになっちまったわけだ。

お松    民主党が築いてきたはずの政治文化、政党文化ってもんが、300議席で吹っ飛ばされないように、アタシらもしっかり検証しなけりゃならないってわけだ。こりゃ「困ったちゃん」だけの問題じゃないからね。政治文化の入れ替え戦、選挙文化の入れ替え戦を、自治体レベルからももっとパワーアップしなけりゃ。

熊     小泉劇場の圧勝で、政治を人気投票にしちまったことは、自民党劣化の最後の一撃だ。生き残りのために、総理を人気投票で選ぼうということの成れの果てが、今回の選挙戦だろう。マニフェストは体をなさず、各候補者が勝手なことを言い、政党から出てくるのはネガティブキャンペーンだけ。「責任政党」が、聞いてあきれる。
人気投票になるのは、お任せ民主主義だからだ。有権者はそれから卒業しつつある。ここを加速して、永田町にはそれについてこさせなけりゃならねえ。

八    今回の選挙は、政権交代のリアリティーもあって、「自分の生活がどうなるのか」というところから、マニフェストをよく読もうという気運が高まっている。お任せ民主主義ではなく、自分でよく考えて選んだ、ということになれば、政党への見方、検証のしかたも変わってくる。この民意をしっかり受け止めることができれば、自民党の改革派も「人気投票ではだめだ」というだけの段階から、次へ進めるはずだ。民主党は、マニフェストでの約束を果たす、ということを通じて、「まかせる政治」から「参加する政治」へという政治文化をブラッシュアップすることが問われる。

熊    学者先生はこう言っている。
「おそらく今、英国より日本の方がより二大政党的だ。日本のような先進国で、大政党に意見がたくさんあるのはいいことだが、まとめる力をつけないといけない。政界再編より政権交代を繰り返す中で政治家が根本的に入れ替わることになるが、選挙に勝てなくても、二十人、三十人が性根を据えて党の中心に座っていればちゃんとしてくるはずだ」(飯尾潤 7/14読売)
政界再編ってのは、政党はそのままで人が移動するだけ。政治文化は変わらない。政権交代は人の入れ替えをともなうと同時に、政党ってものを鍛える話だ。政権政党は、過半数の議席を国民との約束を果たすためにちゃんと使えるか、逆に300議席のおかげで劣化するようなら話にならんということだ。そして一番重要なのは、野党をちゃんと育てることだ。つまり、政党ってものに有権者も向き合っていくことになる。

八    六十年の間にこびりついた与党のアカ、官僚政治の体質を抜本的に洗い流す、自民党にはそういう「解党的出直し」のチャンスだ。小泉サンの「自民党をぶっ壊す〜」は、政党としての劣化の最後の一撃だったが、解党的出直しのチャンスとはならなかったんだから。

お松    ってことは、自民党ではそういう「解党的出直し」の意味が分る、そのために働けるような人が、最悪でも比例で復活できるようにしなけりゃならないってわけだ。アタシら有権者も、民主政の発展のための戦略的投票のために、ない知恵を絞れってことだね。

お梅   それと税金の無駄遣いを徹底的にチェックするってのも、必要だよ。民主党はマニフェストではっきり言ってるけど、そのためには「事業仕分け」をきっちりやらなきゃならない。自民党のなかでも、そういう活動をやってきた人は少数ながらいるわけで、そういう人たちが、最悪でも比例で復活できるようにする。そういう戦略的投票も必要だよ。この勢いなら、民主党は小選挙区ではダメでも比例では入るってことになるんだから。

お松   あたしゃ思うんだけど、前回も300議席、今回も300議席ってことが続くなら、やっぱり比例は減らすべきなんじゃないかね。

熊    単純小選挙区にせずに比例を残した経緯を考えれば、比例をゼロというわけにもいかないだろうが、やっぱり減らすべきだろうな。比例ってのは文字通り政党に投票する、マニフェストに投票する、つまり政党が候補者の品質保証に責任を持つってことだ。ところが300も揃えるとなると、品質の低下は避けられない。

八    自民党も民主党も「議員定数削減」とマニフェストに書いているんだから、できない話じゃないだろう。比例に特化する政党があってもいいし、「余人をもって代えがたい」という人を絞り込んで比例単独で出す、という政党の判断があってもいいだろう。ただ公示直前のどさくさで名簿が決まるってのは、マニフェストの政治文化には反する。

熊    もうひとつ、やはり国会改革が必要だ。参院で与野党が逆転した「ねじれ」国会で、具体的な課題はしぼられてきている(「機能不全の国会を改革する八つの方策」中央公論08年3月号)。これがスムーズに進まなかったのは、自民党が300議席を使って「数で押し切る」運営を進めたからだ。国会改革は多数党が譲ってはじめて可能になる。今度の300議席は、そう使うべきだ。

八    いずれにしろ、来年の夏は参議院選挙だ。これまでの発想でいくと、衆参で同じ政党が多数を占める、というのが政治の安定ということになる。(本当は「政権の安定」にすぎないんだが。)もちろんそれでもいいんだが、また「ねじれ」になる場合もあるかもしれない。日本のような二院制では、「ねじれ」は本来、普通にありうることなんだから。だからこそ、それでも民主政が安定的に運営されるような政治文化の基盤、政党の基盤をきちんと作っていかなければならない。これが、8月30日以降の主権者運動の問題設定ということじゃないか。

お松   その前にまずは、戦略的投票にチエを絞らないと…。○○ちゃんのところは、小選挙区は誰だっけ?


「まかせる政治」から「参加する政治」へ。政権交代でその扉を開けようじゃ、ござんせんか。そこから、政権交代によって民主政を安定的に運営する政党政治という、新しいステージが始まります。いずれにしろ、観客としてではなくプレイヤーとして、新しい政治文化をいっしょに創りだしていこうではありませんか。
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石津美知子
「がんばろう、日本!」国民協議会
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