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メルマガ♯がんばろう、日本!         121(08.12.12)
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「がんばろう、日本!」国民協議会
http://www.ganbarou-nippon.ne.jp
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▼ Index

□ 鳥羽伏見で「錦の御旗」(民意)は上がった。
ここから江戸城開城(政権交代)へ、国民主権の底力で迫り出そう!

◆前口上〜鳥羽伏見から江戸城進軍へ
◆鳥羽伏見からさらに前に進む 国民主権の底力が試されている
◆「チェンジ」のために、どちらが「スジのいい」バラマキなのか
〜カネの使い方は、主権者が選挙で選ぶ

□望年会のお知らせ

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◆前口上〜鳥羽伏見から江戸城進軍へ

「崖の上のポニョ」ならぬ、崖っぷちの麻生政権。発足二ヶ月で、支持率はやっと二割、不支持率は六割超となってしまいました。これも、二度にわたって(「冒頭解散」もふくめれば三度)解散権を弄んだ罰、ではないでしょうか。解散総選挙の大権は、主権者からあずかったもの。これを弄ぶ罪は歴史の大罪というべきでしょう。
戦前、統帥権を弄んで、気に入らない内閣を次々と潰した陸軍に匹敵するか。あるいは昭和16年東条首相が総選挙を先延ばし、真珠湾の後に行われた翌年の総選挙は「翼賛選挙」となり、国策の誤りというドロ沼から引き返す最後のチャンスを潰したことに匹敵するか。

内閣支持率20%は、国民から不信任を突きつけられたに等しい。与党内は崩落前夜の江戸城さながら。給付金も道路財源も、基礎年金の国庫負担引き上げも、誰も何も決められないまま。これでは09年度予算はおろか、二次補正予算さえ、まとめられないのではないか。

しかし鳥羽伏見で止まっていては、時代を前に進めることはできません。崩落寸前の江戸城に向けてさらに進軍しなければ、「この国は変わらんのです」。(大河ドラマ『篤姫』で、天璋院からの手紙に西郷は滂沱の涙を流しながら「徳川を倒さねば、この国は変わらんのです」と言いました)
今こそ、中途半端な政界再編や新党騒ぎではなく、堂々たる政権交代によって、われわれの民主主義を一歩前に進める時です。
江戸城進軍があったからこそ、幕府側にも「よき敗者」として振舞うことのできる者が登場しえたのです。政権交代が当たり前の民主主義には、「よき敗者」が必要であることは、米大統領選でマケイン氏が示したとおりです。

確かに解散権は総理のみにあります。しかし主権は、政治家にも政党にもない、国民にあるのです。今日の「錦の御旗」は民意です。内閣支持率20%は、鳥羽伏見で錦の御旗が上がったことを意味します。ここからの江戸城進軍のシナリオ、そして「よき敗者」を生み出すためのシナリオを準備し、迫り出していく主権者運動を!
(「迫り出す(せりだす)」とは、劇場で大道具や役者を舞台の上に押し上げていくこと)


◆鳥羽伏見からさらに前に進む 国民主権の底力が試されている

熊    麻生政権もいよいよ崖っぷち、自民党内はさながら、崩落前夜の江戸城みたいだ。給付金の丸投げに続いて、道路特定財源の一般財源化も、基礎年金の国庫負担引き上げも、消費税も、人によって言うことはバラバラ、麻生さんも日替わりメニューのように変わる。

八    誰も何も決められないまま、あっちへフラフラ、こっちへフラフラ。こんなんじゃ、来年度予算(道路特定財源の一般財源化、国庫負担引き上げなど)はおろか、給付金の根拠となる二次補正予算だって、まとめられるかどうか怪しい。そうなると、沈没寸前の船からネズミが逃げ出すように、バラバラといろいろな動きが出てくるわけだ。

熊    そこだよ。マスコミはおもしろおかしく「倒閣運動」だの「新党」だの「政界再編」だのと書き立てるが、「他人の用意した救命ボート」にもぐりこんで、自分だけは生き残ろうという類をウロチョロさせるわけにはいかないね。

八    岡田克也さんは「あの時(93年宮沢内閣不信任案に賛成して離党、新生党を結成)に決断できなかった者に、決断できるはずがない」と言うそうだ。あれから15年、一貫して政権交代可能な野党を育てるためにやってきた者は、岡田さんをはじめごく少数だ。本気で「救命ボート」を出すつもりなら、それだけの覚悟と気概を持て、ということだな。
(岡田克也・著 「政権交代〜この国を変える〜」講談社)

熊    総選挙=主権者の審判から逃げまくろう、という根性が、どうにもいただけない。「国民の審判を堂々と受ける、国民が民主党政権を選ぶなら、潔く下野して出直す」と言えるかどうか。それが言えないなら、どんな「救命ボート」もドロ舟ってことだ。

八    世論のほうも、「どちらが首相にふさわしいか」ではダブルスコアで「麻生」だったのが、ここにきて麻生・小沢が並ぶようになり、小沢のほうがリードという調査もある。しかし「どっちもダメ」が、圧倒的多数の六割近く。これが「民意は政権交代ではなく、政界全体がひっくりかえるようなものを望んでいる」という話になるわけだ。

熊    おっと、ここで国民主権の底力が試される。「民主主義のためには政権交代があったほうがいい」という七割の民意は、「自民か、民主か」とは別次元の判断基準が生まれつつあることを意味している。にもかかわらず、これをもう一度「自民か、民主か」という次元に戻して「選択」を問うのか、それとも「独立変数としての主権者」の意思と選択へ、さらに高めていくのか。ここが分かれ道だ。

八    国民主権の主体性が弱い、見えていない度合いに応じて、「政界再編による新しい枠組み」という話に逃げ込むことになる。「ないものねだり」、「へたり込み」とはこのことだ。これを民意と勘違いしたんじゃあ、救命ボートのつもりがドロ舟になっちまう。世論調査で常に、「次の政権の枠組み」に「自民・民主の大連立」「政界再編による新しい枠組み」という選択肢をいれて「政権交代」をぼかしてきた読売も、とうとう「民主に政権を任せてもいい」が65%になったことを報じた(12/11)。

熊    「小沢も麻生もダメ」が六割というのも民意、「民主主義のためには政権交代があったほうがいい」が七割というのも民意。そこにどういうコミュニケーションをするか。ここで、鳥羽伏見からさらに先へ進むための、国民主権の底力が問われているわけだ。

八    既存政党に対する不信をバネに政権交代を語るというのは、最悪の愚策だということくらいは、普通の人にも分かる。問題は、「言われていることは分かる、しかしそれを実行できる人も組織も見当たらない」という時だ(あれば苦労しない!)。「ないものねだりはダメ」と説教しても始まらない。ここでへたり込まないためには、「独立変数としての主権者」として、小さな知恵を出し合っていくことだ。

熊    そういやぁこの間、こんなことがあった。ミニ集会で参加者が「政治家は信用できない、そのなかでアンタは比較的信用できそうだ」と発言した。それに議員がこう答えた。「自分はウソをつかない、スジを曲げないことを信念にしている。しかし政治は権力闘争という一面もある。そのなかで結果として、ウソをつくに等しいこともありうる。汚いこともいっぱいある。みなさんには、そういうことも踏まえたうえで、政治家や政党を使いこなしてもらいたい。それが民主主義をホンモノにしていくことになる」と。

八    「永田町は信用ならない、だから私はがんばります」では、聞いているほうもそれっきりだ。現状が『あるべき姿』から遠いことを分かったうえで、それを共通の目標に向かって「使いこなそう」、それが「バッジをつけた主権者」と「バッジをつけない主権者」の共同作業だと踏み込むことで、聞いているほうも腑に落ちる。そういう「独立変数としての主権者」の共感トーク(「営業トーク」でも「説得トーク」でもない)や共同作業がどれだけできるか。そのための小さな知恵を積み重ねよう、ということが一月の五回大会の方針だったわけだ。
(五回大会報告集を、ぜひ再読してください)

熊    「健全な政権選択選挙を準備するための障害物をいかに取り除いていくか」―これが行動指針だ。鳥羽伏見で「錦の御旗」は上がった。今の「錦の御旗」は民意だ。鳥羽伏見からさらに江戸へ進軍するうえでの「障害物」ってぇのは、「ふさわしい政党や政治家がいない」という現状を前にした「へたり込み」だ。解散が先延ばしになったことで、疲労感や閉塞感、焦りが出ているところは与野党とも、国民主権の生きた知恵、小さな実践を積み重ねていないところだ。

八    国民から不信任を突きつけられたに等しい状況では、いずれ麻生総理は解散か総辞職かを迫られる局面になるだろう。民主主義を一歩前にすすめる「独立変数としての主権者」のシナリオから、臨んでいこうじゃないか。


◆「チェンジ」のために、どちらが「スジのいい」バラマキなのか
〜カネの使い方は、主権者が選挙で選ぶ

熊    支持率二割の背景には、「政局より政策、選挙より景気」と言っていながら補正予算を先送り、選挙もやらないという政権運営に対する批判とともに、給付金や道路財源などの「カネの使い方」に対する根深い批判もある。「根深い」という意味は有権者が、「トクか、ソンか」という受益者の視点ではなく、「有益かどうか」という納税者の視点で、カネの使い方=政策の優先順位を判断しようとし始めているからだ。

八    この金融危機のなか、どの政府も財政出動は前提だ。問題はその中身だ。オバマの「グリーン・ニューディール」がいい例だろう。低炭素経済へ転換するための財政出動だ。頭の体操として言えば、例えば公共事業で、全米に電気自動車用の充電スタンドを整備したらどうなる? ビック・スリーはそっちに舵を切るだろうし、銀行は金を貸すだろう。低炭素経済へ転換するという政府の方針を明確にしないと投資ができない、というのがアメリカ経済界の要求だったのだから。そうなったとき、北米自動車市場にトヨタの位置はどこまであるのか。こういうことは、遠い将来の話じゃない。

熊    中国の57兆円の景気対策も、集中的に内陸部への投資だ。輸出産業の不振であぶれた労働者を、内陸部(出身地)の鉄道や道路建設などの公共事業で吸収する。輸出用家電の過剰在庫を、補助金をつけて内陸部で売りさばく。そうやって当面の措置でつなぎながら、内陸部の中小都市にインフラを整備していくことで、外需依存型から内需主導型の経済構造へ転換しようということだ。またこの外圧を機に、温暖化対策のレベルではなく、低炭素経済への転換を図ろうという政治の意思も見え始めている。

八    人口減少、グローバル化、低炭素経済。これに対応するための構造転換。ここが見えていないと相変わらず、景気対策=公共事業=バラマキという次元で、あっちへフラフラ、こっちへフラフラと迷走する。給付金も道路財源も、ここの問題だ。カネの使い方を変える→構造転換の方向を選択して、資源配分を大きく変える。この判断が有権者の政策選択に入り始めている。

熊    ありていに言えば「給付金で二兆円ばら撒くのと、ガソリンの暫定税率を廃止するのと、どっちがスジのいいバラマキなのか」ってことだし、「どうせ二兆円ばら撒くなら、12000円×人口分を自治体の判断で使えるカネとしてもらいたい」ということだ。道路に使うのか、小学校の耐震工事に使うのか、よほど真剣な議論が市民の前でできるってもんだ。資源配分を変える、ということが生活レベルでも見えてきた。

八    二次補正そして本予算をめぐる国会論戦を、こういう輿論(≠世論)の舞台へと迫り出していくことだ。

熊    順番からいくとまず二次補正と関連法案だ。予算案は衆議院で強行採決、30日で自動成立するが、関連法案はそうはいかない。ガソリン国会の再現だ。これだけ反対の多い「給付金」を、本当に三分の二で通すのか。「改革」を標榜する自民党の中堅・若手が、再議決でもこれに賛成するなら、彼らの「改革」ってのは何なんだ、ということになる。

八    輿論のハードルを明確にするためにも、ここはぜひ地方議会で活発に議論してもらいてぇ。給付金には法律の裏づけはない(予算のみ)。「自治事務」である以上、地方議会の議決が必要だ。60日ルールを考えれば、三月議会には間に合わないだろう。それまでにまず、自治体にどれほどの事務コスト、手間が降りかかってくるのか、議会のなかで事実を共有すべきだろう。地域振興券の時を参考にすればいい。予想される振込み手数料やはがき代も、世帯数から推計できるはずだ。それだけの手間とコストをかけて実施するに値する「政策」なのか、と。

熊    それを本当にうちの議会は議決するのか、と市民から問おう。「政府が決めたから」じゃダメだ。自治事務なんだから、決めるのは政府じゃなくて「あなたたち市議会なんですよ」「決めた責任も、あなたたちに問われるんですよ」と。自治事務にもかかわらず、総理大臣が「一人12000円ずつ配る」といったら、全自治体が「自主的に」右へ倣えでそうなる、ということが新自治法の下でありえるのか?! と。「給付金がこのまま通ったら、日本に地方自治はないということだ」というのは、まったくそのとおりだ。

八    もうひとつの地雷は、道路財源だ。一般財源化といいながら、使途を道路に限った交付金という話になった。これも09年度予算は強行採決、自動成立しても、関連法案はガソリン国会の再現になる。あのときは一般財源化を通すために、若手の一部が造反をちらつかせ、福田総理が一般財源化を約束した。しかし結果は「骨抜き」どころか「羊頭狗肉」。これを三分の二で通すんですか、ということだ。17人が造反すれば、三分の二は使えない。誰がホンモノなのか、誰が「口先だけ」なのか、民意の前に明確になる。

熊    ここでも、地方からの輿論のうねりを起こさなければならないな。暫定税率の時は、これまで一般財源化を求めていた地方六団体も「暫定税率維持」の大合唱と、かなりみっともなかった。しかしあのときに、多少なりとも議論をした地方議会はあった。その経験が生かされるはずだ。

八    年末に概算要求がまとまり、それを前提に地方が来年度予算を組む(与党が決めたものは国会をスルーするのが「当たり前」と思っていた)という仕組みは、もはや機能していない。政権与党に予算をまとめるだけの力がなくなっているし、国会は(「ねじれ」のおかげで)与党が決めたものを黙って通す儀式の場ではなくなった。地方も、官僚内閣制の国―地方関係を前提にしていたら、いよいよ立ち行かない。降りかかってくるのは、強行採決のおまけつきの「丸投げ」と未曾有(「みぞゆう」ではない)の「混乱」「迷惑」だ。

熊    暫定税率の時の経験があるのだから、今度は今から「求む!まともな政府」という決議を地方議会からあげたっていいんじゃないか。そういう輿論のうねりがあってこそ、自民党のなかにも「国民が民主党政権を選ぶなら、潔く下野して出直す」という「よき敗者」を迫り出していくことができる。

八    よき敗者が生まれれば、勝ったほうも「勝てば官軍」ではなく、「よき勝者」として振舞わなければならなくなる。俺らフォロワーの中でも、そういう人間関係を築いていかなけりゃならねぇってわけだ。決着がついた時に潔く相手に学ぶ、というんじゃなしに「こういう欠陥もある」「これが足りない」とあげつらうようでは、友だちもできないからな。

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08年 望年会のお知らせ
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「日本の民主主義のためには政権交代が必要だ」が民意になり始めてきた今年一年を振り返り、ここに「独立変数としての主権者」の主体性をどう確立していくか、をめぐって活動の教訓を語り合いたいと思います。どんなに先送りしても09年は総選挙の年、夏には都議選も行われます。08年の教訓を「忘」れずに、09年の展「望」を語り合いましょう。

12月23日(祝・火)16時より
「がんばろう、日本!」国民協議会 市ヶ谷事務所
会費 2000円(持ち込み歓迎!)




******************************* 石津美知子 「がんばろう、日本!」国民協議会 http://www.ganbarou-nippon.ne.jp TEL 03-5215-1330 FAX 03-5215-1333