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「がんばろう、日本!」国民協議会
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▼ Index

□ 経済危機に対処するのは自民か、民主か、選ぶのは国民だ
◆さまよえる総選挙
解散の判断もできない政権が、経済危機に対応できるのか?
◆「失われた10年」に引き戻すな

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経済危機に対処するのは自民か、民主か、選ぶのは国民だ

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◆さまよえる総選挙
解散の判断もできない政権が、経済危機に対応できるのか?

熊   ここんところ「大恐慌の再来か」とか「100年に一度の危機」とか、金融危機の話題で持ちきりだ。おかげで「世論は総選挙より景気対策だ」っていうが、本当かね? 先頭きって「選挙より景気対策だ」と言っている読売の世論調査でも「今すぐ」「年内」をあわせて4割だ。9月初めの調査では「出来るだけ早く」が4割、「年内に」もあわせれば7割だった。リーマンショックと株価の暴落で、「選挙より経済対策だ」というほうに振れているが、それでも4割が「年内に」というんだから、株価の当面の底が見えれば簡単に5割、7割になるはずだ。

八   あいにく株に突っ込むカネなんぞ持ち合わせてねぇが、震源地のアメリカでは大統領選挙、下院議員選挙の真っ最中だろ。未曾有の危機って言われているが、だからこそこれに対処するのはオバマか、マケインか、それを国民が選ぶってのが民主主義ってもんだ。金融危機の前に機能停止する民主主義ってのは、いったいどういうシロモノかい?

熊   たしかに一週間で三千円も株価が下がるというのは、異常事態だ。ある種のパニック状態だから、「総選挙なんかやってる場合じゃない」という「気分」にもなる。情けないのは、それを「渡りに船」と総選挙を先延ばしにしようってぇ魂胆だ。解散の判断もふらついてばかりの総理に、危機に対処する「総力戦」なんか指揮できるわけがない。

八   リーマンが破綻したときに「ハチにさされた程度」と言ったのは、どこのどなたさんでしたかね? そもそもリーマンショックの最中に、自民党は何やってたんだ?「見せ物」型の総裁選に明け暮れていたんじゃないか。さらにいえば、サブプライムローンが問題になったのは最近のことじゃない。昨年からだ。その間、自民党政権はいったい何をやっていたのか。それを棚にあげて「金融危機だから、政局より政策」というんじゃ、あいた口がふさがらない。

熊   そもそも、総選挙が政局という了見がいただけないね。民主党はリーマンショックを受けて9月から金融対策の検討を始め、10月10日に緊急対策を発表した。一方、政府の緊急対策が発表されたのはようやく10月14日。危機管理は時間との勝負だ。いったいどちらが政府の機能を果たせるのか。民主党も党首以下全候補者が、ただちにそれを有権者に伝えていく展開力がなければ、「解散に追い込む」ことはできないし、「政権担当能力」も示せない。

八    麻生総理は『文藝春秋』11月号で、リーマンの破綻と世界同時不況の危機に触れながら、「国会の冒頭、堂々と私とわが党の政策を小沢代表にぶつけ、その賛否をただしたうえで国民に信を問おう」と述べているんだぜ。その舌の根も乾かないうちに「選挙より景気対策」というんじゃ、逃げてるだけだろう。
どさくさまぎれに解散を延ばして、麻生首相が拘泥した補正予算は1兆8000億円。この間に失った株式の時価総額は東証一部に限ってみても100兆円を超えている。金融危機だから解散できないと言いつつ、いったい何を守ったのか。(それとも、これは「ハチにさされた程度」なのか?)『文藝春秋』で豪語しているように、福田さんと違って麻生さんは用意周到で総理になったはず。サブプライムローンが金融危機につながる危険は、夏から問題になっている。緊急事態だ、選挙どころじゃない、というなら首相に就任した時点で「緊急対策」のメニューを出すのがスジってもんだろう。

熊    アメリカ発の金融危機がこれからどう展開していくのか、まだ分からない。1920年代の大恐慌は結局、世界大戦という形の破綻を通じて再建のプロセスに入った。今回はグローバル経済で世界が運命共同体になっているなか、どのように国際協調できるのか、これは前代未聞の領域だ。もうひとつは、この金融危機がどのように実体経済に波及していくのか。これもこれからのことで、事態はまだ四合目だという言い方もされている。

八    だからこそ、この先ありうる危機に対処することができるのは、国民に選ばれた政府以外にない。総選挙の洗礼を恐れ、解散を先延ばしする口実を探してばかりいる自公政権には、経済危機に対処する決断力も判断力もない。そのおかげで100兆円が吹っ飛んだといってもいい。今後は先未曾有の展開も予想されるのに、この調子ではなすすべもなくさらに100兆単位を吹っ飛ばすことになっちまう!

熊    戦前なら、国家の危機には大命降下があった。国民主権の原則では、それは選挙だ。ここから逃げまくって、目の前の株価の動きに縮み上がっているような政党や政治家に、暴風雨のなかでの政権運営は任せられねぇや。

◆「失われた10年」に引き戻すな

八    「選挙より景気対策だ」という麻生総理は、第二次補正予算案の作成を指示した。来年一月の国会への提案を目指すという。それならやはり、「経済危機に対処するのは自民か、民主か」を11月中には国民に問うべきだ。

熊    今のところ緊急経済対策としては、「高速道路の一部無料化」「定額減税」などがあげられている。まあ「高速道路の無料化」なんて、さんざん民主党に対して「財源はどうするんだ、できるわけない」と言ってきたのに、何をいまさらといいたいが、いずれにしても財源が問題だ。定額減税だって「一年限定」とはいえ、いまだに財源を明らかにしていないし、来年からと決まっている基礎年金の国庫負担増(三分の一から二分の一へ)についても、財源の議論はされていない。少なくともこのくらいは、マニフェストにきちんと書いてもらわないと。

八    財源については「赤字国債」という話が、やはり出てきた。「赤字国債」「定額減税」なんて、「いつか見た風景」がよみがえってきやしませんか? アジア金融危機から山一、長銀などの破綻という「経済敗戦」で、小渕政権が連発した「総合経済対策」っていうのがありませんでしたっけ。

熊    忘れもしない、バラマキと公共事業に彩られた「失われた10年」だ。この時の景気対策でハコモノを次々に作らされた地方に今残っているのは、借金の山だ。「財政再建より景気対策優先」というのは、総裁選の時からの麻生さんの主張だが、世論は景気対策のための赤字国債発行には、反対が56%、賛成が24%。金融危機が深刻化する前の八月には賛成が15%、反対が67%(朝日10/15)。賛成が増えたとはいえ、「失われた10年」に引き戻すな、ということが民意だろう。

八    ダボス会議を主催する世界経済フォーラムが発表した「2008年世界競争力報告」によると、日本の総合順位は昨年よりひとつ後退して9位だ。理由はマクロ経済の安定性が極端に悪いためで、なかでも「政府債務の水準」はワースト6位。「日本は政府部門が民間の足を引っ張っている」と指摘されているそうだ。全134カ国・地域中「財政収支」は110位、「政府の無駄遣い」は108位、「農業政策のコスト」130位と。(日経10/9)

熊    国には一般会計、特別会計、独立行政法人、特殊法人、公益法人と、おかゆをすすっている「母屋」のほかに、すき焼きパーティーをやっている「離れ」やら「別荘」やら「別宅」やらが、七千近くもある。地方も同様の構造で、予算規模は全部あわせると668兆円。政府部門が経済に占める割合は、橋本行革の時よりも増えているんじゃないか。「農業対策」といったって、新橋や虎ノ門あたりにひしめくこうした「別荘」「や「別宅」(天下りの受け皿)に、少なくない額が吸い込まれていく。この構造を変えることこそ、構造改革だ。

八    財源論争は、その糸口だ。この構造に手をつけずに、つまり官僚内閣制の財政・予算構造に手をつけずに「財源」を探そうとすれば、どうがんばっても「赤字国債発行」の規模をどれだけ少なくするか、ということにしかならない。与謝野大臣の苦労はそこにあるが、それさえわからず「財政再建より景気対策優先」では、まさに「失われた10年」の再現だ。

熊    民主党は「母屋」だけでなく「離れ」や「別宅」も財源論の俎上に載せて、四年間の工程表を提起した。財源論争から、「何に手をつけるのか」「何に手をつけないのか」が明らかになる。その意味でも、自民党は「当面の景気対策=第二次補正予算」と、基礎年金国庫負担増の財源くらいは、マニフェストにきっちり書いてもらわなければ、いよいよ政党としての態をなさないってことになっちまう。民主党の候補者も、財源論の争点をきちんと有権者に訴えられないようでは、マニフェスト選挙に貢献せずに「敵失」頼み、「風」頼みになっちまう。そんな選挙じゃ、「政権交代に対する漠然たる不安」は払拭できない。

八    あんまり言うとまた、「これじゃ、解散できない」となっちまうよ。下手すりゃそのうち、「麻生じゃ選挙は戦えない」なんて言いだしかねない。(世襲宰相が政権を放り出す/一度目は「悲劇」、二度目は「喜劇」、三度目は?)もう11月中には審判を受けるしかない。「私は絶対に逃げない」って、大見得切ったんだから。ここでふらついたら、おじいちゃんに合わせる顔がないんじゃないの?
    
******************************* 石津美知子 「がんばろう、日本!」国民協議会 http://www.ganbarou-nippon.ne.jp TEL 03-5215-1330 FAX 03-5215-1333