電子瓦版(転送はご自由にどうぞ)
━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━ 
メルマガ♯がんばろう、日本!         111(08.2.4)
━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━
「がんばろう、日本!」国民協議会
http://www.ganbarou-nippon.ne.jp
==================================
▼ Index
□ 二元代表制―議会改革の小さき知恵と気づきの連鎖 
国民主権の主戦場はここにある
□ お知らせ
第80回定例講演会 ほか
==================================
「ガソリン国会」はひとまず「つなぎ法案」の愚挙がひっこみ、これまで族議員と自民党税調が牛耳ってきた議論を、国会でオープンにできるかどうか、「暫定税率廃止vs死守」という「あらかじめ結論を決めた上での『みせかけ』の対立」ではなく、中身のある審議ができるかどうか、正念場を迎えます。中身のある審議ができれば、当然、内閣提出法案を国会審議で修正する、という(あるべき)立法府の姿への糸口が見えてくるはずです。

討論の場としての議会―これは、地方議会における二元代表制を機能させる取り組みの実態をともなってこそ、見えてくるものです。それがともなわなければ、「修正案」の話は不断に永田町内の駆け引きレベルの話になり、どこかでまた議場外にブレークスルーを求める(党首討論を回避する党首会談!など)動きにつながるでしょう。

というわけで、今回は、近日発刊予定の「第五回大会報告集」より「発刊にあたって」の一部を紹介させていただきます。

==================================

二元代表制―議会改革の小さき知恵と気づきの連鎖 
国民主権の主戦場はここにある

==================================

戦前と戦後の権力規定が決定的に異なるのは、戦前は天皇主権であり、戦後は国民主権であるということだ。国民主権を機能させる仕組み、制度として、戦後は国政においては「議院内閣制」が、地方においては「二元代表制」が導入された。しかし議院内閣制は実質的には官僚内閣制として運営され、参院選後の衆参の決定が異なる「ねじれ」状況下でようやく、その課題が現実のものとなりつつある。しかし、参院選の前哨戦としての統一地方選という位置づけからでは、この問題設定は絶対に見えてこない。政策論はもとより、政局論もまったく違ってくる。この分岐は、もはや既存政党の区分に沿って走っているわけではない。
二元代表制はどうか。地方自治あるいは地方分権を、国―地方関係の枠組みから見ているかぎり、二元代表制は「教科書」の話でしかない。ローカルマニフェストで地域のことは自分たちで決める(その一票を投じる)というなかから、二元代表制を権力規定としてどう機能させるか、ということが現実の実践の問題となる。

例えば首長を選ぶときには、曲がりなりにも地域をどうするか、そのリーダーシップがあるのかで一票を投じるが、議員を選ぶときには「議会で陳情してもらう人」ということで選んでいないか? ということに「気づく」。質疑という形で個々の議員がそれぞれ陳情をしているだけの議会と、「議会としての総意」をまとめるために議員同士が討論する議会との違いに「気づく」。ここから、国政における議院内閣制では政府・与党vs野党という構図だが、二元代表制である地方政府においては、首長・執行部vs議会だということに、実践的に「気づく」。

二元代表制の地方議会に与党、野党はないといって「分かったつもり」になっていたのでは、何も見えていないことになる。議会の総意を形成するための討論とは何か、そのマネジメントとはどういうことか、それはこれまでの議会運営、会派運営とはどう違うのか、などが具体的に見えてくる。あるいは首長・執行部vs議会なら、議会は執行部提案に賛否を表明するだけではなく、議会の総意として修正をすることができるはずだ、ということに「気づく」。

この基礎があってはじめて、国会は立法府であり、内閣が提出する法案に対して立法府として修正ができる、そのための国会審議や与野党協議とは何か、そういう国会運営とはどういうことか、ということが見えてくる。官僚内閣制の下で「儀式」と化してきた国会審議を実質的な審議へと転換する糸口は、ここからこそ開けてくる。大連立や政策ごとの部分連合という話は、この前提があってのことで、この前提を欠いたところでは「大政翼賛会」の二番煎じにほかならない。
二元代表制という権力規定を自治の根元のところで機能させる、その組織戦に関われない「弱さ」「へたり込み」が、「閉塞を打破する一発勝負」になだれこむ。この弱さは、二元代表制の議会を機能させるための小さな知恵を出し合い、「気づき」の連鎖を広げていくという組織戦のなかでこそ、克服される。

 ローカルマニフェストをつうじて議会が(陳情の場ではなく)討論の場だということが分かると、議会を監視する「議会改革」およびその市民運動と、マニフェストで議会を検証する市民運動との違いに「気づく」。統一地方選でマニフェストが標準装備になったということは、公約や選挙公報を少なくとも四年間はとっておいて、折にふれて「これはどうなったのか」とたずねることが、有権者のスタンダードになるということだ。
議員や政党は、そういう有権者と「マニフェスト実現の協働者」として付き合うことができるのか、それとも煙たがるのか。この基礎があってこそ既存政党に対しても、国政マニフェストの本当の重みを知らしめることができる。ここから、政党の政党たる所以は「権力をとるかどうか」ではなく、一時代にわたる有権者との信頼関係をどう築くかにある、ことに「気づく」。この分岐はもはや、既存政党の区分に沿って走っているわけではない。

国民主権の現実とのこうした接点を持てない弱さこそが、マニフェストを劇場型・一発勝負のシングルイシューに変える。マニフェストの検証や議会改革の小さな組織戦の一歩一歩のみが、その弱さを克服できる。

請願も大きく変わる。選挙の公約ではみんな「財政改革」と言っていたのに、なぜ「副市長一人制」の議員提案は否決されたのか。議会ではどういう議論がされたのか、「一人制」に反対の議員さんも、議会できちんと討議してください―「議会に討議を求める」請願と、「副市長一人制を求める」請願とはまったく違うことに「気づく」。「議会なんか必要ない」という人でなければ、「議会に討議を求める」請願に反対はできない。二元代表制の議会を機能させる、というこのような市民運動の構造が見えてくるにしたがって、旧来の与野党意識も変わらざるをえなくなっていく。

二元代表制とは、国民主権を機能させる権力規定である。それに則って議会を動かす、地方政治を動かす。その無数の小さき知恵と「気づき」の連鎖を自治の現場からつくりだす組織戦。ここに国民主権の主戦場がある。

「地方自治は民主主義の学校」という言葉がある。地方自治を国―地方関係で見ている場合には、これはせいぜいスローガンとしてしか理解されない。分権も地方自治も、国―地方関係で見ていれば、「中央政府に従属する地方」と「官僚内閣制の下請け機関としての地方公共団体」の姿しか見えてこない。そこには自治の主体も、国民主権の担い手も見えない。国民主権の原理で二元代表制を機能させる組織戦に入れば、地方自治は民主主義の学校としての豊かな姿を現してくる。これは四回大会以降の確かめられた事実である。(これが、五回大会シンポジウム第二部の構成。)

「日本には地方自治が存在しないわけでも、そこに民主主義が存在しないわけでもない。それゆえにこそ、地方レヴェルでの民主主義に何を求めるか、何が可能かを不断に考える必要がある。日本には『民主主義の学校』は常に存在している。眼前にあるのは、人々がその『学校』の存在に気づき、そこに何を期待するのか、またそこで何を学ぶのかという、認識と選択の問題なのである」(「日本の地方自治」曽我謙吾・待鳥聡史)。

この日常性のうえに政権選択選挙をのせること。この日常性のうえに既存政党を迫り出していくこと。健全な政権選択選挙を準備するとは、このことにほかならない。「地方自治は民主主義の学校」という共通の基盤の上にたって、「マニフェスト(政権公約)」、「首相候補」「政権の枠組み」を一体のものとして、政党が示すこと。そういう舞台へと迫り出していこう。
内外政治の激動的動きは始まった。これに対応できなければ、健全な政権選択選挙の実施は困難となるという情勢の下、健全な政権選択選挙を準備するための障害物をいかに取り除いていくかという行動指針を、それぞれの持ち場で具体化していこう。

□◆□ お知らせ □◆□

■第80回定例講演会
「真価が問われる通常国会〜実りある総選挙を準備する国会論戦を」
福山哲郎・参議院議員、参院民主党政審会長
2月20日(水)18時50分より
アルカディア市ヶ谷(私学会館)4階「鳳凰」
【重要】今回は開始時間がいつもと違います!
会員/1000円  一般/2000円

■第62回 東京・戸田代表を囲む会【会員限定】
「道路特定財源・暫定税率をめぐる対立軸とは何か」
2月15日(金)18時30分より
ゲストスピーカー 大塚耕平・参院議員
「がんばろう、日本!」国民協議会 市ヶ谷事務所
同人会員2000円  購読会員3000円(いずれもお弁当付き)

■第五回大会 報告集 近日発刊!
五回大会の内容(シンポジウム第一部、第二部、資料、写真など)と、ローカルマニフェスト、議会改革に関連した『一灯照隅』などを掲載。一部1000円(送料80円)
お申し込みは 郵便振替00160-9-77459 「がんばろう、日本!」国民協議会まで
******************************* 石津美知子 「がんばろう、日本!」国民協議会 http://www.ganbarou-nippon.ne.jp TEL 03-5215-1330 FAX 03-5215-1333