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「がんばろう、日本!」国民協議会
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□ 逆転参院の国会論戦を政策選択選挙へと絞り込む、
そのためにはパブリックの輿論を鮮明にし、
既存政党をそこに迫り出していく主権者運動が問われている。

●既存政党は、参院選での民意をどこまで受け止めているのか
●民意は「改革の修正」を求めているのか

□ お知らせ
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逆転参院の国会論戦を政策選択選挙へと絞り込む、
そのためにはパブリックの輿論を鮮明にし、
既存政党をそこに迫り出していく主権者運動が問われている。


●既存政党は、参院選での民意をどこまで受け止めているのか

 自民党の歴史的大敗となった参院選を受けて、各政党にとって八月は「総括―転換」の時期となった。参院での与野党逆転―疑似政権交代や姑息な政党間談合などによって、選挙で示された民意をチャラにする余地を与えないまでの逆転―という議席配分を与えた主権者の意思は、「パブリックの輿論と乖離しきった永田町の構図に、国民主権の側から緊張感を走らせよう」(「日本再生」三三八号 7/1)というものである。

自民党にとっては歴史的大敗という結果である以上、民意との構造的なズレは明らかである。問題はこのズレをどのようにとらえるのか、それによって修正の方向性もまったく違うものになってくる。一方民主党にとっては、「安倍自民の自滅であって、民主党が支持されたわけではない」という以上、ここのズレをどのように修正していくかが問われる。
自民党参院選総括委員会の報告書は、「敗因の分析」として「逆風三点セット」「改革後退イメージ」とともに、「政策優先順位が民意とズレていた」ことを挙げ、「今後の課題」を「国民の目線に沿った政権運営」と「内閣の危機管理能力強化」としている。
また改造人事では、参院選の争点でもあった年金や子育てに関わる厚生労働大臣に舛添要一・参院議員を、また地方再生に関わる総務大臣に増田寛也・前岩手県知事をあてることで、「生活が第一」を政策論戦として展開するシフトを敷いたといえる。また十一月に期限の切れるテロ特措法を担当する防衛大臣に法相、外相を歴任した高村氏をあてたことも、野党との論戦および国民への説明を意識した布陣といえるだろう。
少なくとも形のうえでは、「民意とのズレを修正する」ための一歩を踏み出したと言ってよい。問題は修正の方向性である。内閣の顔ぶれからは、政権全体としての政策の方向性は見えてこない。

これに比べると、民主党には「安倍自民の自滅であって、民主党が支持されたわけではない」という認識はあっても、このズレを修正する行動は見えてきていない。政権準備への「お試し期間」という認識があるなら、与党の出方を待つまでもなく、政局より政策を優先する(政策論戦で政局をつくる)スタンスを明確にし、それにふさわしい布陣をとるべきだろう。黙っていても改造人事は話題になる。民主党も参院の動向を決する存在になった以上、それにふさわしいメッセージを発するべきではないか。

民意とのズレを修正するためには、第二に自民、民主とも次期総選挙にむけたマニフェストづくりに取り組まなければならない。参院選では「ノー」は鮮明になったが「イエス」はひとつもない。つまり自民、民主どちらのマニフェストも「書き直せ」というのが民意だ。
次期総選挙がまともな政権選択選挙たりうるためには、政策選択の構図が見えなければならない。そのためには政党がきちんとしたマニフェストを提示し、政策論争を通じて選択肢を示す(国民に信を問うべき争点を明確に絞り込む)ことが不可欠だ。マニフェストは選挙の直前になって作るものではない。今秋以降の国会論戦のなかで積み重ねられたものが整理されて、マニフェストにならなければならない。そのプロセスをしかと見させてもらおう、そのための逆転参院だ―これが民意だろう。

付言すれば、経済財政諮問会議の丹羽宇一郎・伊藤忠商事会長は、基礎年金の全額国庫負担について諮問会議で検討する考えを明らかにしており(当然、財源も検討)、舛添厚労相も与野党の年金制度協議に前向きな姿勢を示している。〇四年参院選では、民主党がマニフェストに「年金一元化・財源として消費税3%アップ」を掲げて自民党を上回った。これ以降止まってしまった時計の針を、ようやく前に進める条件ができつつある。これをどう活かすかは民主党にかかっており、その責任は重い。

●民意は「改革の修正」を求めているのか

参院選の民意は「三つのノー」と「二つの自覚」に集約される。
「三つのノー」 
@ 安倍自民的マネジメントにノー(説明責任・対話能力の欠如)。しかし、小沢さんのマネジメントにイエスではない/逆転参院を見させてもらおう。
A安倍さんのアジェンダ設定にノー(例:憲法改正はいいが、安倍さんにやってほしくない)。しかし、小沢さんの問題設定にイエスではない(例:財源はどうなっているのか)。
B一人区からのノー(一人区=「ないものねだりからあるもの探しへ」の先進地域であり、人口減時代の課題先進地域。ここからの「ノー」をバラマキへの回帰と読み間違えるな。)

例えば今回総務相となった増田寛也氏は、こう述べている。「…地方の衰退、過疎の問題にどう取り組むのかについて、選挙民が自民党に対して明らかにノーと言った結果でしょうけれども、では、それが民主党に対してイエスか、積極的に民主党を推したものなのかどうか、ここはまだわからない」「今回の選挙では、両政党は、少なくとも公約では答えを出さなかったのではないかと見ていますが、答えを出してくれない不満は、どうしても現政権に厳しく向かうことになる。…今回の選挙結果は選挙民がアメを期待しているようなもので、どっちかというとちょっと昔に戻った回帰的な感じ。だからそれをそのまま民意だと受け取ることが非常に怖い。多分、改革のビジョンを示しても、非常にみんなの抵抗感が多いし、きついと思うけれども、ただ、それでも国民全体の共感というか理解はぐっと深まると思う」
「政治のリーダーシップが本当に必要なところにピンポイントで発揮されるということを多分地域の人たちは待っているんじゃないでしょうか。別の余計なところで何かしてくれるということじゃなくて。…少しでも実態経済を強くするとなると、私は1次産業がとても重要じゃないかと思う。とはいえ、民主党が言っている通り所得保障を1兆円近く農家にやっていくということに自民党もかじを切って、それで民主党と一緒にやって日本の農業がよくなるかというと、それは今の農業の現状を前提に、その構造をただ単に支え続けるということにすぎないのではないかと思います」「…ある種ばらまきに近いような形で支えてきた結果が今のこの農業の状況になっているわけだから、それを現状のまま支えても、多分将来はもっと悪くなると、みんなわかっているんじゃないかと思う。だから今回の投票結果で民意の総体というのは出たわけですけれども、じゃ、それを受けてどうするかは、まだどこの政党も答えを出していないのではないか」(言論NPOホームページhttp://www.genron-npo.net/manifesto/national_abe_interview/002769.html)

「二つの自覚」
@国会を言論の府とするためのバランス感覚と戦略的投票行動(338号で提起している「参院選で与野党逆転が必要なわけ」)。参院自民の存在感を無くすことで五十五年体制を封じ(一人区の攻防)、複数区で民主に二議席を与える戦略的投票。「民主優勢」と分かっていたうえで、より鮮明に疑似政権交代や政党間の談合を許さないまでの議席配分(40議席割れ)を与えようという民意。
(総会での同人の報告:自民・民主で分け合う二人区でも「今回は民主が勝つんだから」という声に「国会に政策論議をめぐる緊張感をとりもどすために与野党逆転が必要」「逆転すれば、いいかげんな法案は通せなくなる」と訴えると、反応が大きく返ってきた。)

A統治システムの違いにどう関わるか、というフォロワーの自覚(議院内閣制を機能させる、二元代表制を機能させる、それぞれにフォロワーとしてどう関わるのか。政策選択選挙の構造を国政、地方それぞれにおいて作り出すためにどう関わるのかetc)。国会が機能していない→政策論議ができる議員がいない、という「ないものねだり」ではなく、「議論せざるをえない」状況、場をフォロワーとして作り出すことはできるという「あるもの探し」へ。
(総会での同人の報告:参院選中に、「自分としては消費税は上げてもらいたくないが、年金など本当に必要なら仕方ないとも思う」「自衛隊の海外派遣には反対だが、アメリカとの関係はどうするのか、国際社会との関係はどうするのかを考えると、インド洋から直ちに撤退というのもどうかと思う」などの意見。逆転参院で、こうした政策論争がきちんと「見える」かどうか、そこに有権者は注目している。)

 自覚的に投票した有権者は、「安倍自民か、小沢民主か」ということで投票してはいない。「三つのノー」とは、民意の問題設定に既存政党はどう答えるのかということであり、「二つの自覚」とは、政策選択の構図を作り上げるための舞台に既存政党を迫り出していくための、フォロワーとしての役回りを鮮明にするということである。
もちろん有権者の中には「意識が高い」人もいれば、「遅れている」人もいるだろう。だが、いわゆる経世会的系譜と社会党的系譜(依存と分配政治)が議席を減らし続けていることは、案外一貫している。ここにも民意の流れをみてとれるはずだ。

(以下、「日本再生」340号へ続く)

□◆□ お知らせ □◆□

●日本再生340号 9/1発行●
逆転参院の国会論戦を政策選択選挙へと絞り込む、
そのためにはパブリックの輿論を鮮明にし、
既存政党をそこに迫り出していく主権者運動が問われている。

《主な記事》
インタビュー/参院選総括
上野賢一郎・衆院議員、大塚耕平・参院議員、小川勝也・参院議員
インタビュー/「自治分権」  成澤廣修・文京区長
  「温暖化対策」 加藤三郎・環境文明21代表
       「外交」    中西寛・京都大学教授

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木村正治  東大阪市議選 9/16公示 9/23投票
久野晋作  我孫子市議  11/11告示 11/18投票


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石津美知子
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