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▼index
□ 自民党には「抜本的出直し」を、
 民主党には「政権準備政党の責任と覚悟」を

●政権選択選挙にむけた「お試し期間」
●55体制へ戻り橋は、焼き落とせ

□ お知らせ
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自民党には「抜本的出直し」を、
民主党には「政権準備政党の責任と覚悟」を


●政権選択選挙にむけた「お試し期間」●

熊   参院選は自民40以下の「底割れ」で、「禁じ手」や「談合」で民意をチャラにする余地を封じ、本格的な政権選択選挙を準備する以外にないところまで、永田町に緊張感を走らせよう、と言ってきたが、そのとおりの結果になった。

八   この民意を読み間違ってもらっちゃ、困るんだな。よく「与党にお灸をすえる」と言うが、今回の結果はそういうレベルのものではなく、「政権交代があっていい」という民意だ。見誤ってもらっちゃ困るが、これは安倍辞任―首のすげかえという(中選挙区時代の)自民党内疑似政権交代の枠に収まるようなシロモノじゃないってことだ。

熊   安倍総理の続投には、賛否が割れている。読売(8/1)では首相続投を「評価する」が44%、「評価せず」が45%とビミョーなところ。朝日(8/1)でも「辞めるべき」が47%、「続けてほしい」が40%と、拮抗といっていい数字だ。安倍チャンには「ノー」を突きつけたが、98年の橋本政権のときのように、その後は自民党内政局に「お任せ」ってことじゃない、抜本的な出直しにどう取り組むのか、しっかり見させてもらうおうじゃないかってことだ。

八   この数字を見て、「首相に対する期待はまだ低落していない。巻き返しが期待できる数字だ」(自民党幹部)というようじゃ、ますます見放されることになる。民意に対してこの程度の感性しかなければ、敗因は「一人区で小沢の戦術に負けた」「閣僚の不祥事と安倍チャンの説明不足」という程度のことになり、一人区対策は野党にはできないバラマキ、説明イコール・マスコミ対策、という話になるのがオチだろう。

熊   こういう御仁は、一度もこの選挙の現場で、有権者とまともに向き合ったことがなかったんだろう。有権者に毎日のように叱られながら、そして内心「総理の言動は、もうちょっとなんとかならないのか」と思いつつ、「それでも自民党」を必死で訴えてきた現場のフォワードの感性とは別世界だ。こういうところが、自民党の一番の危機じゃねぇのか? ところで「有権者は、民主党を勝たせすぎたと思っているのでは」(公明党幹部)というのも、いただけないねぇ。

八   おっと、ソーカ藩のご意見番、宇佐じいがお通りだ。ダンナ、ダンナ、今回はお疲れさまでしたね。

宇佐じい   いやいや、大変な選挙でござった。翌日からお世話になったところを回っておるが、なかなか厳しいな。あるお店のご主人からは「病気のやつと一緒に寝てんねんから、うつるんは当たり前や」と言われてしもうた。私も「暴走機関車のなかでブレーキを引いているつもりだったのに、いっしょになって石炭をくべている、と有権者からは見られてしまった」と言っているんじゃが。

熊    やっぱり連立政権を組むなら、統一マニフェストが必要なんじゃないんですかい? 

宇佐じい   そういうことも、検討せにゃいかんじゃろ。おや、選挙総括の会合に遅れてしまいそうじゃ。今日はこれで失敬するぞ。

八   やっぱり、町の声を聞いている御仁は、一味違うねぇ。これだけの大敗にもかかわらず、安倍さんはなぜ辞めないのか、という声は当然だ。だけど、「安倍さんはノー」というだけなら、その先をどうするかは結局、自民党および永田町の「談合」にお任せするってことになっちまう。それはさせない、政権選択選挙にむけて「しっかり準備しろ」ってのが、安倍続投の是非をめぐる民意のポイントだ。そこを、自民党も民主党も見誤ってもらっちゃ困る。民主党も世論の上っ面だけを見て、「安倍やめろ」と大声を出しているだけでは、すぐに見放される。幸い、今のところ「敵失による予想以上の勝利」ということは、分かっているようだけど。

熊    選挙結果について「よかった」は68%、「よくなかった」は18%だ。一方で解散総選挙については「できるだけ早く」が39%に対して、「急ぐ必要はない」が54%。これは、世論が浮ついていない証拠だ。民主党への期待では「与党の政策を改めさせる」が37%、「政権交代を実現する」は25%だ。民主党は、東国原知事の言葉を借りれば「お試し期間」ということだ。第一党として議長となった参議院を舞台に、今度こそ政権担当能力の可能性が試される。

八    両院がねじれるってことは、政府案と野党案でガチンコ勝負の政策論戦ができるということだ。民主党が参院で法案を軒並み通さない、といった混乱を引き起こすのか、それとも参院からよい法案を出して、まともな政策論戦に道を開くか。与党も衆院での「数の力」で何でも通す、ということではなく、論戦を通じた修正も視野にいれた対応をするか。議会の論戦や議会運営が、これまでなかったほど重要になる。ここを、俺らもしっかり見ていかなくちゃならねぇってわけだ

熊    国会論戦が成熟し、議論を尽くしてもなお残る与野党の対立点は何か、が明らかになったときこそ、国民に信を問うときだ。永田町の既存政党は、そういう準備、そういう芸をしっかりやれ、ということが民意っちゅうことだな。

●55体制へ戻り橋は、焼き落とせ●

八    ところで今回の選挙は、マニフェストについては、与野党とも「落第点」「書き直せ」ということだし、民主党の大勝も、「自民党に問題があるから」が81%という理由だ。つまり、まっとうな政権選択選挙の土俵に乗るためには、自民、民主とも相当がんばってちゃんとした芸を身に着けないといけないわけだ。

熊    まず自民党は「抜本的出直し」。この大敗を、安倍チャンの資質(空気が読めないお坊ちゃま)のせいにするのは簡単だ。たしかに「私の選挙」「私の内閣」ついには「私の国づくり」と、平然とのたまう感覚は、ずれまくりもいいところ、逆なで効果も抜群だ。しかしもっと大事なことは、五十五年体制・中選挙区時代の自民の集票構造が小泉サンのおかげでぶっ壊れてるってことだ。一人区・農村での大敗は、その典型だろう。

八    小泉サンは旧いギョーカイ選挙にかわって、無党派の支持を集めるという新しいビジネスモデルを提起したわけだが、それがまるでモノになっていなかったというのが今度の結果だ。じつは比例票をみれば、03年総選挙から、自民党は民主党を下回っている。唯一の例外が05年総選挙だが、これだって民主党は伸ばしている。反対に自民党はこの間、1600万票台から2500万票台と大きく浮き沈みしている。比例票は、政党の基礎票ともいえるが、自民党はそれがここまで「風頼み」になっているわけだ。

熊    反対に「風頼み」と言われていた民主党が、比例票は2100万の底をキープし、それに上積みをしてきた。自民党にとっては、かつての「組織選挙」に戻るのかどうかが第一関門だろう。戻りたくても戻れない、ということが分かっていないヒトたちは、相変わらず親分衆の談合で「キョトウタイセイ」という呪文を唱えれば「内閣改造人事」を決められると思っているようだが。

八    「風頼み」の集票構造は、一朝一夕に変えられるものではない(民主党だって、ここまでくるのに十年かかっている)。次の総選挙で、自民党が野党になる可能性も低くないということだ。「野党になりうる」という現実感が自民党に生まれてくることと、民主党に本当に政権担当の責任感が生まれてくることが、「お試し期間」にとっては重要だが、自民党にとってより本質的な問題設定は、「民主党が十年以上続けられた野党暮らしを、自民党が何年続けられるか」ということじゃないか。

熊     曲がりなりにも信念やら使命感があればできるが、「与党でいたいだけ」ならとてもできない(そうやってこぼれてくるようなタマを、民主党は拾っちゃイケナイ)。ここの瀬踏みから抜本的に党を再編していかなければ、小選挙区時代の筋肉質の体質には変われない。その覚悟をもった者こそが、小泉改革の真の継承者になるはずだ(安倍チャンはどっちだ?)。ここで55年体制への逆行を断つことができるか、人事をめぐる攻防は、その入り口として見定めさせてもらおうや。

八    そして「地ならし」として、官僚任せではない両院の政策論戦を展開できるか、ということになるな。民主党のほうも、55年体制へ後戻りする可能性を、ここではっきり断ち切る必要がある。ひとつは政党としてのまとまりを、どう示すのか。参院選では小沢・菅・鳩山のほかにも「党の顔」はいるってことを示した。全党挙げての総力戦という様相となったが、平時のマネジメントでもそれができるか。反○○とか、世代間対立とかいっている余地はない。

熊    もうひとつは、やはり政策による発信だ。政治資金規正法の強化や、天下り禁止、年金保険料流用禁止など、前国会で「数の力」で封じられた法案を参議院で通す。与党もここまで大敗した以上、むげに葬ることはできないはずだ。与党も反対しにくい法案を(修正も含めて)通して、着実に議会運営の実績を積んでいく。さらに重要なことは、年金一元化や農家への所得補償、雇用法制(最低賃金、均等待遇など)など、55年体制とは別枠の政策をどう提案していくか。

八    例えば「農家への所得補償」というのは、ヨーロッパでは農産物輸入自由化に対応するための政策として考えられたものだ。つまりFTAを前提にしたものであって、かつてのバラマキの復活ではない、ということをはっきり打ち出せるか。小沢さんがそれをはっきり言えば、インパクトは大きいぞ。

熊    年金一元化や子育て支援も、ポイントは財源問題になる。税のとり方、再分配機能のポイントを右肩上がり時代とは明確に変える、ということを鮮明に打ち出せるか。いろいろ不備はあるが、今回のマニフェストは岡田マニフェストの基軸には立っている。これをつくってきた中堅は、55年体制への戻り橋を潰して、ここまで前進してきた。彼らの政策発想を前面に出して、小沢さんが「そのとおり」と言えば、55年体制へ逆戻りすることはない、という民主党への信頼感は確実になる。

八    自民も民主も、この「お試し期間」の間に、55年体制には戻らないという信頼感をどこまでつくれるか、そのバロメーターのひとつが、国会で議員、政党ががっぷり四つの政策論戦をどこまでできるかってことだな。

熊    俺らも「ノー」と言ったんだから、あとは永田町で何とかしてくれ、ということじゃダメだな。前回は「郵政民営化にイエスかノーか」、今回も「安倍チャンにイエスかノーか」だったが、シングルイシューで政府を選ぶってんじゃ、成熟した民主主義たぁ言えねぇからな。毎日新聞は今回の参院選で、有権者が候補者と同じ設問のアンケートに答えることで、自分の考えと各政党の考えが一致しているかが分かる「毎日ボートマッチ」というインターネット上のサービスを行った。利用者の6割以上が20−30代だったそうだが「年金以外にも争点があることがわかった」「単一の事項で投票することの危険を思い知った」などの感想が寄せられているそうだ(毎日8/1「記者の目」)。選ぶほうもシングルイシューから卒業して、「お試し期間」を使って、賢明な政策選択ができるように準備しようじゃないか。

(世論調査の数字は、とくに断りのないかぎり、8/2朝日から)

□◆□ お知らせ □◆□

●日本再生339号 8/1発刊●
民意は、自民党には「抜本的出直し」を、
民主党には「政権準備政党の責任と覚悟」を要求した。
両院のねじれは、骨太の政策論争で国会論戦を再生させるチャンス!

《主な記事》
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石津美知子
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