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「がんばろう、日本!」国民協議会
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□「ずれまくり」マニフェストは、こう書き直せ
〜マニフェスト検証大会@外堀長屋〜

□ お知らせ
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「ずれまくり」マニフェストは、こう書き直せ
〜マニフェスト検証大会@外堀長屋〜


【前口上】
いよいよ参院選が始まりました。なんと申しましても、選挙はマニフェストでございます。ところが、出てきたものを見てみれば、自民党も民主党もオソマツ極まりない。21世紀臨調ってところの検証大会では、「05年衆院選よりも内容、形式とも後退した」「出来が悪い」との評価が相次いだほか、「作り替えてほしい」との批判も出たってことでございます。
ま、当然ですな。

しかしまあ、「ないものねだり」をしても仕方ありません。有権者のレベルを超える政治家や政党がどこかから降ってわいてくる、なーんてことになったら、そっちのほうがアブナイ、アブナイ。
ということで、主権者運動の推進をめざす我が外堀長屋では、マニフェスト検証大会をやろうじゃないか、ということに相成りました。さて、どうなりますことやら…


【ご隠居さんのごあいさつ】
今日の検証大会は、自民食堂、民主食堂のメニューを比べるというものではない。こんなメニューは要らん、こう書き直せと、わしらのほうから要求するための検証大会じゃ。
勘違いせんでもらいたいが、これにどこまで応えられるか、と既存政党に問うようでは、「ないものねだり」にしかならんわな。こういう声に反応しようとする姿勢がどこまであるか、その意味が分かるのか、まるで分からんのか。こういうことでまず、既存政党を見ていくということじゃ。
既存政党はドジ比べ、負け比べ、有権者は智恵比べ、根比べ、これがこの参院選というわけじゃ。ここでどこまで「ハラ」ができるか、それによって次の総選挙が政権選択選挙にふさわしいものになってくる。そういう意味で、この参院選は次の総選挙と連動しておるというわけじゃ。
今日の検証大会は、長屋の代表として熊、八(あいつらが代表かぁ?という声)そしてコメンテイターとして長崎遊学から帰ったばかりの小楠先生、そして自民食堂からはスーさん、民主食堂からはハマさんに来てもらった。
スーさん、ハマさんはそれぞれ、ずっとマニフェストに関わってきたんじゃが、厨房の中が変わったために今回は一切関わっておらん。まあ次の総選挙では、厨房もこの二人のようなメンバーに入れ替えてもらわんと困る、ということでもある。
それじゃ、始めてみようかのぅ。


【年金】

熊   あの社会保険庁ってのは許せねぇ。社会保険庁の仕事ってのは、煎じ詰めれば年金のデータを管理することだろ?人口1億の国で5000万件のデータを調べ直さなきゃならねぇってことは、データベースを作り直すって意味だ。それが一年で出来るんなら、30年間何してたんだってことじゃねぇか!

八   俺らからすれば、たまたま5000万件のことが分かって「不信」になったんじゃなくて、04年の「百年安心」のときから、本当にこのままで大丈夫か?と思っていたのが、やっぱりこれじゃあ、ということなんだよ。それを「一年以内に」「確実に」といわれると、「その程度で何とかなると思ってる、というほうが信用できない」となるのは当然だ。

熊   もしこの七月に選挙がなかったら、こんな付け焼刃の対策だって、はたしてここまで出してきたか、あやしいもんだぜ。

八   自民食堂も民主食堂も「信頼できる年金制度」って書いてある。だったら争点は「今の制度を前提に、5000万件の対策をしっかりやります」ということで「信頼できる年金制度」になるのか、それとも「国民年金も含めた一元化。新しい制度をつくります」というほうが「信頼できる年金制度」になるのかってことじゃねぇのか。

熊   民主食堂は、「消えた年金データは、政府の責任でちゃんとやってください。緊急対策の財源―いくらかかるのか?―に、またぞろ年金保険料を使ったりしないでしょうね」といって済ませればいいんだ。付け焼刃の対策にどれだけ不備があるか、ということよりも、「いまの年金制度が持続可能なのか」「どういう制度なら持続可能なのか」という骨太の議論を、俺らは聞きたいんだ。

フロアから   民主食堂のメニューには、「国民年金を含めた一元化」と「基礎部分は消費税」と書いてある。この間の党首討論じゃ、しきりに安倍さんが「民主食堂の一元化は財源があいまいだ」って批判していた。それに対して小沢さんが「消費税は上げない」って言うんだが、何言ってるんだか、よく分からねぇんだよな。

小楠先生    財源問題は重要ですが、「国民年金を含めた一元化」という問題設定を共有したうえでの「財源問題」なのか、「国民年金を含めた一元化」という問題設定をそもそも否定するための「財源問題」なのか。そこはきっちり仕分けをしないと、議論が混乱します。

ハマさん   じつは、これは今回のうちのマニフェストの弱点なんです。04年の参院選マニフェストでは、私たちは「一元化」と「財源に充てるために消費税を3%アップ」と言い、支持も得たのですが、その後の三年間で定率減税の廃止、社会保険料のアップなど、消費税3%分に匹敵する国民負担増になっている。ということもあって、ここはまず政府の無駄づかいを削ることで、何とか財源をやりくりします、ということなんです。

八   社会保険庁の年金記録システムの開発・運用が、契約書なしでやられてたって記事がでていたな。これじゃ、予算が適正に使われたか、チェックのしようもないわけだ。年間800億支払ったそうだが、本当に800億必要なのか、8億で済んだのかってことさえ分からねえ。社会主義国もビックリ、だ。こういう無駄づかいを徹底的にチェックします、と言えばいいんだ。

フロア   そういうことなら、おいらにも分かるよ。

【財政再建、憲法、毒まんじゅう?】

熊   消費税はどうなんだい。景気が良くなったといったって、赤字の額はハンパじゃねぇ。そのうえ人口は減るは、少子化は進むはで、消費税をどうするかは避けて通れない話なのに、自民食堂も民主食堂も何も触れていない。

八   自民食堂の「政権公約2005」では、消費税を含む税体系の抜本的改革を07年度をめどに実現するとなっているのに、具体的議論は「秋以降」に先送りだ。これじゃ「争点隠し」「マニフェスト違反」だな。そのうえ自民食堂のマニフェストには、「政権公約2005」の実績・成果が書いてあるが(書いてあること自体は結構なことだが)、「行財政改革」とか「歳出・歳入一体改革」という項目がどこにも見当たらない。唖然としちまった。小泉改革からは、ずいぶん遠くに来たもんだ。

小楠先生   2010年代初頭のプライマリーバランス回復、という目標は達成できるめどがついているんです。安倍さんはそれをはっきりマニフェストに書いて、それまでは消費税増税なしでやると宣言すればよいのに、なぜそうしないのか。だから財務省あたりが増税の必要を言い立てることになるんです。

スーさん   そこはおっしゃるとおりで、本当は2010年代初頭のプライマリーバランス回復の「次」に掲げるべき政策目標を、しっかりしないといけない。しかも参議院の任期は六年ですからね。私が厨房に入っていれば、そこはもう少し何とかしたかったんですが…

小楠先生   民主食堂さんも、無駄づかいは許さないって、それは大いにやっていただいたらいいんですが、歳入・歳出の一体改革にどう取り組むかというのは、政権担当能力に直結する話なのに、そこがまったく見えない。今のマニフェストでは、個々の政策課題は書いてあるが全体像は見えない、個々の財源のツジツマは合わせているが(これもかなりビミョーですよ)全体像は見えない、という印象です。
私が一番不満なのは、なぜ民主食堂さんは政府試算を前提にして、その枠内でしか財政を考えないのか、ということです。数字をでっち上げろ、と言っているのではありませんよ、念のため。でも、「できることしか言わない」与党のマニフェストに比べて、野党のマニフェストが魅力的たりえるのは、新しい発想・切り口を提起できるからでしょう。それなのに政府試算の枠内でしか財政を考えていないなら、現実に政権を運営している与党には、やはりかないませんよ。

ハマさん  それはなかなか野党には厳しい要求です。

小楠   それを言っちゃあおしまいよ、ですよ。昨年度の名目成長率は政府与党の公約である2%を下回ったんです。野党はなぜそれを追及しないんですか。そういう議論をするなかからしか、財政を政府とは違う枠組みで考える訓練はできないんじゃないですか? 今の政府の枠組みで財政を考えているかぎり、与党は野党の政策の財源問題を追及してさえいればいいんですから。結局どちらも、財務省の手のひらの上ということですよ。消費税増税に賛成するにせよ、反対するにせよ、「税制を争点にすべきだ」というのは72%ですよ(朝日7/10)。国民が求めているのは、財務省の手のひらのうえでの「税制・財政」政策論争じゃない、ということだけは、はっきりしています。

熊   「ふるさと納税」なんていう奇策もでてきて、全国知事会のなかでもやりあっている。俺らが何のためにどういう税金を納めているのか、考えるにはいい機会だな。三位一体改革のおかげで今年から、俺ら庶民は、国よりも地方に納める税金のほうが多くなった。納めた税金がどう使われるのかが、生活の質に直結するってことを実感しやすくなっているわけだ。地方が負担しているコスト(環境保全、人づくりなど)を、だれがどう負担するかってことなら、「ふるさと納税」について考えるのにも意味はある。ただし、財務省の手のひらの上じゃなくって。

八    ついでに、選挙の直前の思いつきってのはゴメンだね。マニフェストってのはそもそも、選挙の直前になってつくるようなシロモノじゃねぇ。それまでの積み重ねの集大成なんだから。自民食堂も民主食堂も、その点からしてまず、なっちゃいない。

スーさん   その点は言い訳のしようがありません。次のときまでには厨房を入れ替えて、ちゃんと準備したいと思います。

ハマさん   年金の問題でもそうですが、永田町よりも有権者のほうが「政策本位」ということでは進んでいる。ローカルマニフェストの取り組みで、それを肌で感じましたが、それが見えている人間が厨房に入らないと、やはりだめですね。

フロアから野次   見えていない奴が厨房に入ってると、ダンボール入りの肉まんなんかを作ることになるんじゃねえか?

スーさん   まあまあ、毒まんじゅうとか、そういうものは一応、メニューには書いていませんので、そこはご理解ください。

フロアから  ところで憲法はどうなんだ?

熊     憲法を国民の手で変えられるってのは、国民主権のイロハのイだ。国民投票法がこれまでなかったってことのほうが、憲法違反だな。だがよ、憲法を変えるのはいいが、安倍さんにはやってほしくないっていうのが、俺らの気持ちじゃねえのか?

八     民主食堂の小沢シェフは、そういうふうに言えばいいものを。あれでは「党内がまとまらなくなるから、議論を避けている」と言われちまう。自民党の支持層だって、参院選で憲法を争点に、というのは10%台、重視するテーマでも「年金」がダントツ、続く「教育」や「政治とカネ」からはるか後方だ。憲法を争点に、というのは社民、共産の支持層だ(例えば5/28日経)。要するに安倍チャンとミズホの憲法論争ってわけだ。こんなオコチャマの言い合いを、聞きたいやつがどこにいるのかって。

ハマさん  そういう気持ちが、うちのマニフェストには反映されていないんですよね。

スーさん  うちも、そういう茶番論争をやりたくて、あれを出しているわけではないんですが…

フロアから   外交はどうなんだぃ。中国との関係も「話もできない」という状態ではなくなったし、とても順調とは言えないが、六カ国協議も遅々として進むかもしれない。ブッシュさんも、そろそろ退場だぜ。

小楠    それは、17日の「がんばろう、日本!」の定例講演会を聞いてから、またやったらどうですか。

ご隠居   そうじゃの。立教大学の李鍾元先生が、「転換期を迎えた北東アジア情勢」ってことで講演するから、みんなでそれを聞いてからやってみるとしようじゃないか。

フロアから  熊、八よぅ、ちゃんと講演会で話を聞いて来いよ!

(みなさまもぜひ、自民食堂、民主食堂のマニフェストをお手にとってご覧ください。また21世紀臨調のマニフェスト検証大会については、http://secj.jp/manifest070701/をご参照。)


□◆□ お知らせ □◆□

●第77回定例講演会●
「転換期を迎えた北東アジア情勢」
李鍾元・立教大学教授
7月17日(火)18時30分より
アルカディア市ヶ谷(私学会館)5階「大雪」
 http://www.arcadia-jp.org/access.htm
参加費 会員1000円 一般2000円

●日本再生338号 7/1発刊●
パブリックの輿論と乖離しきった永田町の構図に、国民主権の側から
緊張感を走らせよう! 〜参院選で与野党逆転が必要なわけ〜
《主な記事》
第76回定例講演会「参院選をかく戦う―マニフェスト選挙の定着・深化の視点から」
枝野幸男・衆院議員 福山哲郎・参院議員
一灯照隅/木村正治・東大阪市議
インタビュー 「参院選にむけて」小川勝也・参院議員
インタビュー「イギリス政治に見る民主主義を機能させるための工夫と日本の課題」
木原誠二・衆議院議員
インタビュー「激化する中国の政治改革論争」季衛東・神戸大学教授

******************************* 石津美知子 「がんばろう、日本!」国民協議会 http://www.ganbarou-nippon.ne.jp TEL 03-5215-1330 FAX 03-5215-1333