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「がんばろう、日本!」国民協議会
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▼index
□国民主権は理念から組織論へ 基盤整備のとば口は開いた
二元代表制を機能させる議会マニフェストと国民投票法から見えてくるもの
〜参院選をいかに戦うか〜

●官治分権から自治分権へ 議会マニフェストの挑戦から見えてくるもの
●国民主権を理念から組織論へ 二元代表制をいかに機能させるのか
(以上 略 「日本再生」337号参照)

●国民投票法―国民主権の肝心なピースがはまった、
参院選はここから政党制のあり方を整理する一歩としよう

□お知らせ
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国民主権は理念から組織論へ 基盤整備のとば口は開いた
二元代表制を機能させる議会マニフェストと国民投票法から見えてくるもの
〜参院選をいかに戦うか〜

●国民投票法―国民主権の肝心なピースがはまった
参院選はここから政党制のあり方を整理する一歩としよう
 
 国民投票法の成立には、憲法がはじめて国民のものになるという重大な意味がある。国民が憲法を決めることが法的に保障され、国民主権を現実化するうえでの法の不備が正されたのである。
 たしかに、憲法調査会において超党派で積み重ねてきた議論を「強行採決」という形で党派間の対立材料にしていいのか、というのも「正論」だろう。しかし「国民が憲法を決める」ということが法的に保障された、ようやく国民主権が具体化した、という点はそれ以上に決定的だ。
 改憲につながるから国民投票法に反対、という議論は国民主権の否定にも等しい。国民の手で憲法を変える、国民が憲法を決める―ここが抜けて(否定して)「護憲」「改憲」を唱えるという呪縛をひきずったままでは、この先の国民投票の舞台に上がることはできない。ここからは本格的に、国民主権で憲法論議をマネージしていくステージの始まりだ。国民投票法が施行されるまでの三年間は、その基盤整備の時期となる。だからこそ、次のような問題が提起される。

「今回の衆院通過が最終的に強行採決で行われた事実は法案の文言よりも根本的な問題を明らかにした。それは日本の『国制』の抱える問題である。
英語の“コンスティテューション”は『憲法』と訳されることが多いが、本来は、法としての憲法典だけでなく、政治制度やそれを支える秩序観の総体を示す言葉である。〜中略〜憲法典が国制に根ざしていなければ、どのように憲法典を書いてみても、実際の運用には無理が生じてしまう。しかるに日本の現在の国制はすこぶる不明瞭な状況にある。
問題の第一は〜中略〜日本の政党制の不明瞭さにある。日本の政党制は、明治以来、政権対在野党という「権力対反権力」の構図と、政権交代可能な二大政党制のモデルの間を揺れ動いてきた。国民も、与党に対する徹底した抵抗と政権政党への脱皮という二律背反的な期待を野党に対して抱いてきた」(中西寛 「中央公論」6月号)。
 「これから三年間は、改憲案を出したり議論したりしない。この間に政党間で良く議論をして、各項目の議論を熟成させていくべきだ。しかし、各党はそれぞれの主張を持っている。改正が非常に重要という面から見て、最終的に第一回の改正成立のために、妥協はやむを得ない。国会議員の三分の二の賛成を獲得しなければ改正できない」(中曽根元首相 読売5/15)

つまり国民主権を機能させるという観点から、政党制のあり方を整理していかなければならないということだ。政権を争うべき課題と、政権選択の争点としてではなく超党派で整理すべき課題との仕分けができるのか。あるいは政権交代可能な政党間対立のあり方とはどういうものか、政策競争の市場をどうつくっていくのか等。主権は国民に存する、と憲法に書いてあっても、国民主権を実際に機能させる仕組み―議員内閣制、二元代表制、これをマネージする政党政治―が動かなければ、国制は不明瞭なものとなる。

 抵抗野党として与党の敵失を突く、というのはパブリックの観点なしにもできるし、分かりやすい。同時にパブリックの観点が入っていないところで、いくら「政権交代可能な野党」といっても、「要は政権をとりさえすれば(選挙で勝ちさえすれば)何でもできる」という政策観、権力観にしかならない。それと対になっているのは、数の力で何でもあり、(五千万件の「消えた年金」問題・社会保険庁改革案に見られるような)「強行採決」という審議拒否だろう。こうした不明瞭な状態にストップをかけ、政治に緊張感を取り戻す―これがまずは参院選の課題となる。

 衆議院の各小選挙区では、二から三万の公明党票が自民党を支えており、これなしに自民党は政権を維持できない状態だ。しかし参議院選挙では、こうした公明党票効果はかなり低下することになる。小選挙区が二大政党化を促進するのは、意見を集約することで政権交代を可能にするためである。ところがここに比例代表という相反する性格(多様な意見を反映させる)の制度を併設したために、「選挙区はA党候補、比例はB党」という「選挙談合」の余地が生じている。国民主権を機能させる上での、ある種の制度の欠陥というべきだろう。こうした制度の欠陥の影響が相対的に低い参院選において、まずは与野党逆転の緊張感を回復しなければならない。

 またこうした制度の欠陥の影響を低下させるためには、やはりマニフェストである。連立政権である以上、自民党と公明党は国政選挙においては「連立マニフェスト」を提示すべきである。連立を前提にしているA党、B党がそれぞれ選挙で「約束」しても「連立で出来ませんでした」では、マニフェスト違反である。

小選挙区の導入から十年あまり、「劇場型」とはいえ「一票が政権のあり方を決める」ことを実感した有権者の民意は、着実に成熟している。「既存政党の党員や支持者になるつもりはないが、政権交代可能な政党政治が機能するために、有権者としてやれることがあればやる」という意識は、自治分権の領域で着実に根づいていることが統一地方選でも示された。投票行動もA政党、B政党どちらの政策が自分にとって得か損か、ということよりも、民主主義が機能したほうがいい、政権交代が時々あったほうがいい、という基準からのものに変化しつつある。
(例えば最近の世論調査では参院選での投票先は自民、民主が拮抗、期待値では逆転している調査もある。これは「民主党がしっかりしているから」「民主党を支持しているから」ということではないのは明白。また日経(5/28)では「政権交代があったほうがいい」が57パーセント「そうは思わない」28パーセント。自民支持層でも「あったほうがいい」42パーセント「そうは思わない」47パーセントなのに対して、公明支持層では「あったほうがいい」は21パーセントにとどまっている。)

政策についても「年金」がダントツの一位、教育や格差、政治とカネとなっていて、憲法は「その他」のひとつだ(日経では「年金」が56パーセント「憲法」は15パーセント)。これらをバラバラに扱えば、見えるはずのものも見えなくなる。全体の構図から見えてくるものは、政治が役割を果たすべき「公正さ」とは何かということだ。年金はその象徴例で、すでに〇四年参院選で「自分がいくらもらえるか、得か損か」ではなく「孫子の世代まで持続可能な信頼できる制度とは」という論点が入った。教育や格差についても同様であるし、「政治とカネ」についても「信頼」「説明責任」ということが本質である。だからこそ「敵失を突く」ようなスタイルではそっぽを向かれるし、「法的に問題はない」と木で鼻をくくったような答弁を繰り返すだけでは「信頼」に大きな疑問符がつく、ということになる。

また安倍政権は憲法を争点にしたいようだが、日経の世論調査では憲法改正について、自民支持層は16パーセントで八位、公明支持層も10パーセントで七位、民主支持層で14パーセント、八位にとどまっているのに対して、共産支持層は43パーセント、社民支持層は40パーセントと関心が高い。誰を相手に論争をしようというのか、お考えになったほうがよかろう。「これから三年間は改憲法案を出したり論議したりしない。この間に政党間で良く議論をして、各項目の議論を熟成させていくべきだ」との中曽根氏の指摘(前出)は、政権選択の争点にすべき課題と、政権選択の争点にせずに超党派で扱うべき課題との仕分け、そしてそれぞれにおける政党間対立・論争のあり方を、国民主権にふさわしいものへ脱皮させていくステージを始めるべき、という意味ではないか。

このようにして、自治分権に主体的に関われる政党、国会議員とは何か、関われない政党、議員とは何か。あるいは国民投票法施行の準備過程に関われる政党、国会議員とは何か、関われない政党、議員とは何かという仕分けの基準が具体的になってくる。これらは国民主権を機能させる実践問題である。その過程(討議−合意―実践―総括)をマネージすることができるのが、本来の意味の政党ではないか、と。この基礎のうえに政党間関係を乗せて再整理していく。その基盤整備の一歩が始まった。それが統一地方選での議会マニフェスト、国民投票法の意味であり、参院選もここから組み立てていくことが必要だ。
国民主権は、理念一般から実践的な組織問題となった。過去に帰ることなく、このフィールドでの試行錯誤を確実に集積していくことが求められている。

(「日本再生」337号より)

□◆□ お知らせ □◆□

●日本再生337号 6/1発刊●
統一地方選総括/合宿報告、第75回定例講演会(同人議員によるパネルディスカッション)
一灯照隅/布施健太郎・千葉県議
鼎談 「参院選にむけて」石井一・前衆院議員、前田武志・参院議員、戸田代表
インタビュー 「参院選にむけて」松井孝治・参院議員
インタビュー 「改革の加速を」山内康一・衆院議員

●第76回定例講演会●
「参院選をかく戦う―マニフェスト選挙の定着・深化の視点から」
対談:枝野幸男・衆院議員、福山哲郎・参院議員
司会:堀添健・川崎市議
6月7日(木)18時30分より
アルカディア市ヶ谷(私学会館)4階「鳳凰」 http://www.arcadia-jp.org/access.htm
参加費 会員1000円 一般2000円

●第77回定例講演会●
「転換期を迎えた北東アジア情勢」
李鍾元・立教大学教授
7月17日(火)18時30分より
アルカディア市ヶ谷(私学会館) http://www.arcadia-jp.org/access.htm
(部屋の確定は一ヶ月前くらいになります)
参加費 会員1000円 一般2000円

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石津美知子
「がんばろう、日本!」国民協議会
http://www.ganbarou-nippon.ne.jp
TEL 03-5215-1330 FAX 03-5215-1333