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小泉政権五年間を国民主権の教訓として総括し、
政党政治・マニフェスト型選挙のさらなる深化として
次期政権選択選挙を準備する主権者運動を
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▼index
□ ポスト小泉―次期政権選択選挙にむけた攻防の幕は
切って落とされた(「日本再生」328号より)
□ お知らせ 
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*自民党総裁選は、立候補表明前に「安倍氏で決まり」、民主党はすでに小沢氏再選
で党内一致。「幕が上がる前に芝居は終わっていた」? いえいえ、すでに次の攻防
の幕が切って落とされています。
安倍氏の9/1立候補表明が報じられた日には、小沢氏と「郵政造反組」のゴルフが報
じられ、安倍氏立候補表明の9/1には、小沢氏の書き下ろし本(「小沢主義」集英社
インターナショナル)が発売となりました。

「日本再生」328号一面では、安倍・自民党と小沢・民主党の攻防を、政党政治の発
展のために、どのようにとらえ、行動していくかを提起しています。

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ポスト小泉―次期政権選択選挙にむけた攻防の幕は切って落とされた
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 幕が上がる前に芝居は終わっていた。ポスト小泉の大きな結節環となるはずの自
民、民主の党首選は、一言で言えばこういうことだろう。いやむしろポスト小泉とい
うよりも、次期政権選択選挙にむけた攻防の幕が、安倍・自民党と小沢・民主党との
間ですでに切って落とされているというべきだろう。今秋の補選、来春の統一地方選
そして夏の参院選をいかに戦うか。その組織陣容、求心力が問われる。

 福田・元官房長官の出馬見送りを機に、有力議員が次々と安倍氏支持に舵を切る様
相を、「季節はずれの“なだれ”」と評することもできるし、総裁選が始まる前にす
でに安倍政権を前提にした動きからは、ポスト小泉の政策課題を明確にするエネル
ギーは生まれてこないとも言える。
 しかし言い換えればこれは、派閥単位で総裁選を戦うことで「疑似政権交代」を演
出してきた中選挙区時代の権力闘争の残影が、そのエネルギーを失ったということで
もある。振り返ってみれば小泉総裁が誕生した〇一年の総裁選は、一般党員票が(永
田町の)派閥の力学をひっくり返すという展開だった。この流れが権力闘争として決
着づけられたのが昨年の総選挙であり、この総裁選であるといえる。

安倍氏の組織戦を一言で言えば、「安倍派はいらない」ということだろう。派閥内を
固めてというのではもちろんないし、派閥横断的に若手が集まって、というのとも次
元が異なる。逆に問題になるのは、バスに乗り遅れるなという“なだれ”的支持が急
速に広がる今、どのようにして安倍政権の求心力を作り出していくかである。派閥均
衡・総調和という「過去」に戻ることはできないし、「仮想敵」を叩いて求心力を作
り出すという手法も(党内マネジメントにおいては)とれない。

派閥という次元での組織マネジメント、組織綱領はすでに力を失ったが、それに替わ
る新たな組織マネジメントは未だ確立されていないという「過渡期」において、マニ
フェストによる政党の紀律化=マニフェストに基づく組織マネジメントを実践的に蓄
積していけるのか。あるいは党首の人気頼み、風まかせとなるのか。この踊り場であ
る。

 「ポスト小泉の条件」について、安倍氏の下で党改革に取り組んできた世耕弘成参
院議員は次のように述べている。
「これまでの日本の政治は、内部でうだうだと言うだけで、決まったのか決まってい
ないのか分らないことが多かった。国民はそれに飽き飽きしていた。
 そこに、小泉総理という強烈な個性が出てきて『こっちだ、ついて来い』とバンと
やった。その姿勢に国民は、各論への賛否はさておいても、好感を持ったわけだ。と
ころが、ポスト小泉にこれが出来るかというと、必ずしもそうはいかない。〜略〜
 だからといって今後の総理が小泉総理のリーダーシップを引き継がず、またコンセ
ンサス型の政治に戻ったら、国民はがっかりしてしまう。がっかりさせないためには
どうすればいいのか。それは組織でカバーするしかない、と私は思っている。
 今は小泉総理の個性の下で官邸によるリーダーシップが保たれている。これを一過
性のものにしないためには、システムを構築して組織として定着させる。単に官邸だ
けでやるのではなく、党も参画する仕掛けを作っていく。〜略〜
 私は常々、国民にアピールすべきは、政策の内容よりもむしろ、政策を進める体制
ではないかと思っている。体制をドラスティックに変えることで、『政治主導で日本
を引っ張っていこうとしている』ことをわかってもらう。
 強烈な個性でやり過ぎなくらい推し進めていく小泉総理のやり方は、前述の通り余
人が真似しがたいものであるし、少しずつ抵抗感や飽きを感じている人が多い気がす
る。だから今度は、政権全体でチームとして、リーダーシップをとっていくようにす
るのだ」(『自民党改造プロジェクト650日』世耕弘成・著より)

同じ性格の問題は、小沢・民主党にも言える。「小沢しかいない」と誰もが認めるな
かで、「次は絶対に政権交代」という目標にむけた求心力をどのように作り出し、ま
た維持し続けていくのか。ここでも「政党としての凝集性をいかに高め、涵養してい
くのか」が問われる。政権党には政権という求心力がイヤでも働くし、政権運営とい
う形でこれをこなしていくことができるが、野党の場合はそれをはるかに上回る工夫
が必要になる。

 護送船団の組織なら調整型のリーダーでよいし、フォロワーの参加は画一的でよ
い。組織文化は上意下達、同心円的拡大ということになる。これでは「リーダーの問
題設定に反応する」というフォロワーの必要条件すら、意識されることはない。この
延長で目先の分配の利害というタガが外れれば、無責任な無党派主義の全面開花とな
る。これに依存すれば、人気のある党首を選挙の度に消費していくということにな
る。
こうした「マニフェスト『以前』問題」を克服すること。安倍・自民党と小沢・民主
党の次期政権選択にむけた攻防の重要なカギのひとつは、マニフェストに基づく政党
の凝集性、紀律性をいかに作り出していくかであり、そのためのリーダーシップと
フォロワーシップのありかたということになる。

「政策の内容よりもむしろ、政策を進める体制ではないか」(世耕氏)という意味
は、リーダーの問題設定に行動的に反応し、それを組織展開していくフォロワーシッ
プの重層構造をいかにつくれるか、ということだろう。政策という意味も、「何を
言っているか」ではなく、「どういう行動提起をしているか」がポイントになる。大
学のゼミや政策コンテストなら「何を言っているか」でよい。しかし「何を言ってい
るか」では評論家はつくれても、フォロワーシップは生み出せない。政策実現のため
のチームをつくり、それをマネージできなければ、どんな「立派な」政策もただの言
いっぱなしでしかない―政策論争はこのレベルでの勝負になりつつある。
小沢氏に対しても「強面」「壊し屋」など、そのリーダーシップへの論評はいろいろ
あるが、問われているのは小沢氏の問題設定(一言で言えば「次は絶対、政権交
代」)に対するフォロワーシップのありかただ、ということになる。

現状を変える、と言っているリーダーは、そのための行動を提起している。それを
「何を言っているか」で受け取ろうとするところからは、変革のためのフォロワー
シップは生まれない。リーダーの問題設定に行動的に反応する、そのフォロワーの重
層構造(チーム)をどこまでつくれるか。こうした政党文化を一歩一歩蓄積していく
ことが、次期政権選択選挙の土俵を整備していくことでもある。
安倍・自民と小沢・民主の攻防のなかから、変革のためのフォロワーシップの型、そ
の糸口をいかにつかむか。これが主権者運動の問題設定であり、課題である。
(以下、「日本再生」328号一面へ続く)


□◆□お知らせ□◆□
【「日本再生」328号(9/1発刊)】
□定例講演会「ポスト小泉の外交課題を考える」
添谷芳秀・慶應大学教授
□東京・囲む会
前田武志・参院議員「政権交代可能な二大政党をめざして」
中塚一宏・前衆院議員「わが師、小沢一郎を語る」
□一灯照隅
片桐章浩・和歌山市議/三葛敦志・国分寺市議

【第四回大会報告集】
基調提起/シンポジウム1「どうする、日本の外交赤字」/シンポジウム2「自治分権
のさらなる深化とローカルマニフェスト」/資料など
一部1000円・送料150円

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石津美知子 ishizu@ganbarou-nippon.ne.jp
 「がんばろう、日本!」国民協議会
http://www.ganbarou-nippon.ne.jp
TEL:03-5215-1330 FAX:03-5215-1333