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□ マニフェスト選挙の蓄積か、小泉マジックか、
 最後の力勝負!

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マニフェスト選挙の蓄積か、小泉マジックか、
最後の力勝負!
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熊    報道各社の予想とやらが出揃ったが、いずれも「自民単独過半数の勢い、
民主後退」というところだな。小泉劇場のブームは一服し、内閣支持率もやや下落、
総選挙後の首相続投を望まない意見が、続投支持を上回った(産経9/6)。とはいえ
東京を軸に、小泉郵政旋風の追い風は、依然としてかなり強い。

八    問題点ははっきりしている。東京、埼玉、千葉、神奈川だ。地方は地上戦
でもかなり互角に持ち込んでいる。地方=自民党、都市部=民主党という「神話」は
完全に崩れている。都市部の無党派が投票に行って投票率が上がれば有利、というの
が小泉サイドのシナリオだ。

熊    政党のコマーシャルを見ていると「よくもまあ」と思うよ。自民党の候補
者が「改革」「改革」と並べ立て「将来にツケを残さないために郵政民営化」なんぞ
とぬかしてる。ここまで赤字を積み上げたのは、ほかならぬアンタらじゃねぇか、よ
く言うよ。

八    ウソも百万回言えば本当になる、とは有名なナチの広報戦略だが、まさに
それを地で行っているようなもんだ。だからこそ、有権者が問われるんだ。ファシズ
ムってのは普通選挙制になってからの話だ、それ以前には庶民は選挙権がなかったん
だから。まさに政治をパフォーマンス競争にするのか、それとも政策で選ぶか、日本
の民主主義の大きな分かれ目だといってもいいんじゃねぇか。

スタッフ  あの〜、私の感覚ではですね、有権者の反応はいいんですよ。前回ウチ
の名前を書いてくれた人が、今回相手の名前を書くってことは、ほとんどないと思う
んです。それなのになぜ、ああいう予想が出るのか、ちょっとギャップが大きすぎる
と思うんですよ。

熊     マニフェストの受け取りは確かにいいよ。とくに若い世代は、自分から
手を出してくるのが多い。有権者の本隊は、じーっと見比べているってのが、おいら
の感覚だな。世論調査でも、三割がまだ決めていないわけだろ。とくに今回は、これ
まで以上に「未定」の割合が多いといわれている。ここが最後に動くのか、動かすま
でのアプローチができるか、これがひとつ大きな勝負どころだ。

八     ここは小泉劇場に浮かれているわけじゃない。それぞれ基準をもって、
じっと見ているわけだ。「郵政民営化で改革が進むというが、その先はどうなのか」
とか「小泉さんは本気のように思うが、岡田さんはどうなのか」とか「年金は民主党
のほうがいいと思うが、本当に実行できるのか」とか。その背中を押す=投票先を決
める動機づけのアプローチが、個々の小選挙区の候補者にどれだけできるか、だ。

熊    三割が未定ということは、投票率60%として、各選挙区で多くて五万票く
らいが動く可能性があるということだ。前回の総選挙で、自民・民主が1万票以内で
競り合った選挙区は38。このくらいの数の選挙区では、今は自民有利でも、最終盤で
ひっくりかえせる可能性は十分にあるわけだ。だからこそ、どういう層に訴えて行動
に結び付けていくか、ここをしっかり見据えていかないと、終盤戦が空回りする。

八    反応がいいにもかかわらず、相手にリードされてるってことで、陣営があ
せってやみくもに「厳しい、厳しい」とだけ言って回れば、肝心のマニフェストの蓄
積が見えなくなる。マニフェストを積極的に受け取って、それなりに読んで、テレビ
の討論を聞いて「小泉さん、ぜんぜん答えてないなあ〜」「でも改革は必要だし」と
感じている層、こういう「まだ決めていない」層に、「やっぱり民主党のほうが可能
性がある」と一票の行動に結びつくような訴え、働きかけをしないといけない。

熊    岡田代表の意気込み、迫力は十分だ。問題は小選挙区の各候補が、それを
上回るような必死さを伝えられるか、だ。小泉人気の秘密は「退路を断って、ブレな
い」という見せかけができることだろ?「小泉さん、ぜんぜん答えてないなあ〜」と
いう有権者は、その見せかけには引っかからない。問題はそれを上回る情熱、パブ
リックの政策的バックボーンがあったうえでの必死さ、賭けている姿を見せられる
か。

八    政策なしの土下座・お願いします連呼では、そういう有権者は見透かして
いる。(いまどき、お願いします連呼の必死さで票を入れてもらえると思っているな
ら、有権者をバカにしている。)マニフェストを掲げて終電まで駅に立ち、政策を必
死に訴える、そういう姿だな。

熊    もうひとつ、今回は前回以上に自公は一体だ。公明党も生き残りをかけて
いるから、「比例は公明」を徹底的に自民党に要求しているし、「造反組」でも「比
例は公明」をのむなら応援している。それもあって、小選挙区での自民党候補は前回
以上に確実に、公明票を固めている。これが小選挙区で民主党をリードしている、大
きな要因だ。逆にいうと、じっと見比べている有権者の本隊がマニフェストの蓄積で
判断すれば、公明票の上乗せ分をひっくりかえすことは、十分可能だ。

八    だからこそ、ターゲットをはっきり意識して終盤戦を戦わないと、危機意
識が空回りして右往左往する結果になる。マニフェスト選挙の蓄積が、どこにどうあ
るのか、それが見えていないと、肝心の「人」が見えないことになる。どういう人た
ちに投票所に足を運んでもらうようにするのか、そのための訴え方は? ということ
だ。漠然と「厳しい戦いです、お願いします」ではダメだ。

熊    もうひとつは新規参入組だ。民主党の支持基盤については、それなりに固
めている(それすら固めきれていない候補は、差し替えるべし!)し、そういう候補
はマニフェストの中身についても、それなりに展開している。問題はそこから先に広
げることが、どこまでできるか。これを一般的に「無党派」と言ってちゃダメだ。有
権者の本隊とは別に、小泉劇場を通じて政治に興味をもつようになった新規参入組
だ。

八    いわゆるワイドショー視聴者的層、それと20代30代、そしてITや金融と
いった新興産業組とその周辺(いわゆるヒルズ族とその周辺部)。漠然と「官から民
へ」を支持、それを「断固やる!」と決断しているから今回は小泉さん、という層
だ。コアの部分は「小泉さんには興味あるけど、郵政民営化には興味はない。ウチの
選挙区にも『刺客』がいれば面白いのに。開票速報はビールを飲みながら楽しみにし
ている」という感じだろう。

熊    小泉サイドの作戦は、こういう層を選挙に動員することで、だから今回は
投票率が高いほうが有利だということだ。コアの部分の説得は時間が足りないから難
しいが、構えとしてはやはり「『ワイドショー』であれ『小泉劇場』であれ、これま
で政治に興味がなかった人が興味を持つようになったことは、とてもいいことです。
そういう人たちが政治不信にならないように、引き続き関心を深めていただくように
することが、私たち政党・候補者の責務です」ということ、これをやはり最後まで崩
さないことだ。


八    あるいは「そりゃあ、今度は小泉さんよ」と浮かれているのに対して、
「政治家が真面目で、どこがいけないんですか?」「私たちは真面目にマニフェスト
で政策を訴えています」と牽制する。岡田代表や民主党への「物足りなさ」を言って
くる部分は、二種類だ。ワイドショー的新規参入組には、「政治家が真面目で、どこ
が悪いんですか」と、政治をパフォーマンス競争にしない選択肢を示すことだが、
リーダーを選ぶフォロワーの目ということがある程度分かっているほうは、簡単に言
えば民主党への「期待」がなかなか「信頼」に転化しないもどかしさを訴えている場
合があるんだな。03年、04年とマニフェスト選挙を蓄積してきたほうには、そういう
「物足りなさ」を感じる部分も出てきている。これは各候補者のマネジメントの幅や
懐がマニフェスト文化に照応したものへと深化しないと、なかなか解決できるもん
じゃない。

熊    本当はそうしたフォロワーの第一陣に、新規参入組にマニフェスト文化を
伝えていく役割を担ってもらうようなマネジメントをこの二年間で蓄積していくべき
だったが、圧倒的にそこは追いついていないという結果でもある。一方でローカル・
マニフェストの広がりで、地方議員からも底上げのうねりが始まっているが、マニ
フェスト選挙の蓄積を第二陣につないでいく構造が見え始める前の解散劇では、間に
合わないわけだ。

八   マニフェストをじっと見比べている、潜在的なマニフェスト蓄積層を動かせ
るか、そこを動かすに至らずに、ワイドショー的新規参入組で投票率が上がるか。ど
ちらにしても、「未定」の三割のところでの力勝負だ。自民党は最後まで「郵政」一
本で行くようだ。「民主党が郵政民営化に反対しているのは、バックに労組がいるか
らだぁ、既得権を守って何が改革だぁ」と言うんだろう。

熊    まさに「ウソも百万回」の世界だ。年金、子育て、税制など、政策項目を
あげて議論すれば、小泉自民党の底の浅さはすぐ割れる。「小泉さん、ぜんぜん答え
てないなぁ」と。問題は「民主党に任せよう」という最後の動機付け、有権者の背中
を押して投票行動に結びけるような訴えだ。主権者革命に、マジックはない。残され
た四日間を全力で戦い抜こう。

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石津美知子 ishizu@ganbarou-nippon.ne.jp
 「がんばろう、日本!」国民協議会
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TEL:03-5215-1330 FAX:03-5215-1333