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□ 「お願い」から「約束へ」 ローカル・マニフェストで選挙を変えよう!
   ◆マニフェストで都議会が活性化してこそ、都庁は正常化する
   ◆こうして使おう、マニフェスト 「お願い」から「約束」へ

□ お知らせ
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  「お願い」から「約束へ」 
  ローカル・マニフェストで選挙を変えよう!
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◆マニフェストで都議会が活性化してこそ、都庁は正常化する◆

熊    ここんところ、石原都政がなんだかゴチャゴチャしているみたいだな。百
条委員会だ、刑事告訴だ、問責決議だと騒いでいるが、なーんか変じゃねぇか?

八    浜渦副知事の更迭で、石原知事、自公とも幕引きにしようというんだろう
が、そいつはちょいと話が違いやしませんかってことだな。

【今回の騒動は、新聞報道によれば次のようなものでございます】
きっかけは、東京都の包括外部監査で指摘された「都社会福祉事業団」の運営。01年
都が21億円を拠出して開校した福祉専門学校に生徒が集まらず、翌年には民間の学校
法人に校舎を貸し出す事態に。3月の議会で民主党が、この学校法人との契約につい
て「問題はないか」と追及したのに対して、浜渦副知事が「不法でない形で処理され
なければならない」と、違法性があるかのように答弁した。これに対して自公が
「(問題の補助金を含む)予算の提案者自身が不法というのは問題だ」と反発、百条
委員会の設置を決めた。
この質疑で浜渦副知事が狙ったのは、「私学のドン」と言われる有力都議(自民)の
追い落としと、次期副知事人事だったとみられている。浜渦副知事は、都議と学校法
人の癒着を疑っていたとされ、石原知事は浜渦副知事から説明を受けた直後、記者会
見で「正すものは正す。けが人がでるぞ」と発言していた。
また学校法人と契約した当時の都福祉局長は、今年6月からの副知事就任の内示を受
けていたため、浜渦副知事が自身に近い都幹部を起用するために、この人事を妨害す
る意図があったと自公はみて、百条委員会で追及していた。
背景にはさらに、週に2、3回しか登庁しない知事に代わって全権を振るう浜渦副知事
への「独裁批判」があり、浜渦副知事更迭の決断を迫るべく、副知事二人と教育長が
辞表を提出する事態にまで至った。
結局、浜渦副知事を含む幹部全員の辞職(浜渦氏の更迭)とひきかえに、百条委員会
は「問題なし」との結論を出した。また、自公による百条委員会を批判した民主党都
議に対する問責決議が行われた。

【百条委員会とは:地方自治法100条に基づき、議会が自治体の行政事務を調査す
るために設置する調査特別委員会。虚偽の陳述をした場合の罰則など、一定の強制力
が伴う】

熊    石原さんは「泣いて馬蜀を切る」なんて言っているが、そんな人情話じゃ
ないだろう。「正すべきは正す。けが人がでるぞ」という話は、いったいどーなった
んですかってことだよ。これで幕引きじゃ、まるで「クサイものにフタ」じゃねぇ
か。

八    折りしも、橋梁建設をめぐる業界ぐるみの談合が摘発されたが、ここにも
都のOBが長年からんでいたって話じゃないか。補助金―天下り―口利き、政治家と
役人が癒着して税金を食い物にする構図には、アノ勇ましい石原知事の下でも結局、
針一本はいらないままだったってことだよな。

熊   自公と都庁幹部のタッグの前に、闘わずして白旗を掲げたってわけだ。「国
とケンカする」って息巻いてみせても、都庁・都政をとりまく既得権の鉄の三角同盟
には手も触れずってわけだ。いろいろ花火をあげて見せても、石原都政の下で、補助
金―天下り―口利き、税金のムダ遣いが何かひとつでも変わったか? ここは厳密に
検証しなけりゃならねぇよ。浜渦さんの更迭で幕引きってぇんじゃ、それこそ都民不
在の内輪もめってことだ。

八   はっきり言えば、そのタックスイーター(税金を食い物にする連中)の内輪
もめに巻き込まれたのが、都議会民主党ってことだな。その理由もはっきりしてい
る。東京都政をどうするのか、会派としての政策もスタンスも決められなかったから
だ。それが決まっていなければ、石原都政に対するスタンスだってあいまいになる。
「是々非々」といえば聞こえはいいが、選挙ポスターに一緒に映ったほうが有利かど
うか、というレベルの話じゃ、自民党と何が違うのかってことになる。

熊   石原さんも初当選から2年くらいは毎日、都庁に通っていたそうだ。しかし
その後は「小説を書く」と公言して、週に2、3日しか登庁しない。そこで側近の浜渦
副知事が取り仕切るようになったという話だ。要するに石原さんには、都政に対する
政策も思いもなかったってことだな。「東京都知事」という肩書きで靖国神社へ行っ
たり、小笠原諸島でクルージングしたり、沖ノ鳥島に行ったりしたいってだけのこと
だったわけだ。浜渦さんがデカイ顔さえしなけりゃ、自公にとっても都幹部にとって
も石原さんは都合のいい看板だったんじゃないか。
国家主義パラダイムを振り回すパフォーマンスは、「うっぷん晴らし」にはなるかも
しれないが、これからの少子高齢・人口減少時代のなかで、足元の地域コミュニ
ティーをどうするか、その責任意識は見えてこないやな。財政状況に対する危機感も
当事者意識もないのは当たり前。そういう都政でいいのか? ここにケジメをつける
ことが、今度の都議選の争点じゃねぇか?

八   そりゃ大言壮語しているほうがラクだもんな。確かにディーゼル規制はやっ
たが、「国とケンカする」ことが地方の主体性や分権だという時代じゃあない。分権
社会ってことは自己決定・選択ということだから、都知事や都議を選ぶ選挙のとき
に、「東京をどうするのか」という都政の方針、政策をめぐって、きちんとわれわれ
有権者が選択するってことにならないと。石原都政がいいかどうか、というよりもま
ず、パフォーマンスやナントカ人気じゃなくて、東京をどうするのか、政策できちん
と選ぶ選挙にするってことが、最大の争点ってわけだ。だからローカル・マニフェス
トなんだ。そうでなけりゃ、東京あたりの選挙は、全国のどこよりも「白紙委任の無
責任選挙」になっちまう。

熊    民主党は都議選に、会派としてのローカル・マニフェストを出すそうだ。
その意味じゃ、大きな前進じゃないか? 議会は執行機関じゃないからマニフェスト
は出せないってヤツもいるが、そういうヤツはそもそも、議会には条例制定権があ
るってことをキレイに忘れているんだ。二元代表制の地方議会は、執行機関のチェッ
クと同時に過半数で条例を制定できる。その職務をまったく履行せずに、執行部の
「追認機関」になっているから、なれあい―癒着が常態化するんだ。それを当たり前
だと思っているから、知事とツーショットのポスターで「東京独立宣言」なんてやっ
ている。こんなものは議会の職務放棄だ、非常識だと、有権者もそろそろ気付くべき
時じゃねぇか?

八    知事与党というなら少なくとも、知事の掲げるマニフェストに署名するこ
とが必要だ。それくらいを常識にすべきだよな。マニフェストを掲げて当選した知事
のところでは、マニフェストをめぐる政策論争で議会が活性化し、議員提案条例も増
えているそうだ。議会が「与党」とか言っているかぎり、癒着も利権も後を断たない
し、タックスイーター同士の内輪もめが起こるのも当然だ。今度の騒動の教訓は、マ
ニフェストで都議会が活性化してこそ、都政は正常化するってことだよ。


◆こうして使おう、マニフェスト   「お願い」から「約束」へ◆

熊    自民党は、マニフェストという位置付けではなく「都政の政策集」という
ことらしい。それでも出したこと自体は前進だ。前回は小泉サンとのツーショット、
今回は石原サンとのツーショットと、それこそ「○○人気頼み」だが、そんなものよ
り「マニフェスト」(マネフェスト?)のほうが効果があるってところに、持ってい
かなけりゃな。

八    マニフェストの意義は、とにもかくにも公認候補全員が、同じ政策で選挙
を戦うってことだ。それぞれバラバラに勝手なことを言っていた時より、はるかに大
きな前進だ。だから有権者も、石原知事とのツーショット候補に対して「この政策集
のここについて、あんたはどうなんだ」と、どんどん聞いていけばいい。有権者は知
事とのツーショットよりマニフェストに興味があるってことを、しかと自民党にも伝
えようじゃないか。

熊    そうやって少なくとも次の総選挙では、前回の小泉マニフェストのような
いいかげんなものは出せない、というプレッシャーを与える下地を、この都議選のな
かでつくろうじゃないか。郵政民営化がこれだけゴチャゴチャしているのも、03年の
マニフェストが原因だろう? 第一、郵政民営化の中身について、どうにでもなる内
容。第二、民主党は全候補者の署名をとったが、自民党候補は「総理が勝手に言って
るだけ」と。これではマニフェストとは言わないし、マネフェストにもならないとい
うことに、次回はしなけりゃならねぇってわけだ。

八    民主党のほうは「東京マニフェスト」ってぇんだそうだ。「あなたとつく
る」というように、まず「たたき台」として提示して、パブリック・コメントを求め
てさらに整理していくという構えだ。マニフェストを作る過程そのものをオープンに
していこうという姿勢として、これはひとつの深化じゃねぇか。

熊    裏話をすれば、労働組合からはいろいろと注文がくるそうだ。だがよ、そ
ういうことも全部オープンにして、喧喧諤諤の議論をすればいいんだ。それで、都議
会民主党が一部特定の利益に配慮する政党なのか、それとも都民全体の利益のために
政策を実現する政党なのか、ぜーんぶ都民に見てもらえばいい。特定利益の寄せ集め
なら、自公に勝てるわけがない。

八    まぁ、マニフェストをここまでの武器に押しあげた、イギリスのブレアが
やったことは、それだからな。労働党の伝統的な支持基盤である労組の既得権を守る
ことよりも、イギリス全体の政策を掲げるために、労組と徹底的にケンカしたわけ
だ。その過程をみていた国民は、ブレア労働党が何をめざしているのかを理解した。
それをまとめたのが、ブレアのマニフェストだったってわけだ。

熊    大阪市のように、市職労組―市議会―市長・助役がそれこそ三位一体で税
金を食い物にしてきた構図は、程度の差こそあれ、どこにでもある。まっとうな公の
仕事は必要だし、なんでも民間にすりゃいいってもんじゃないが、ここはやっぱり、
住民も参加して事業仕分けをきちんとやるべきだ。自治体の事業を、「公でやるべき
こと」「他の主体でやったほうがいいこと」「必要ないこと」などに仕分けし、「公
でやるべきこと」でも、国がやるべきなのか、都道府県なのか、市町村がやるべき
か、あるいは住民やNPOがやったほうがいいのか、と仕分けして、本来の業務を整
理し、それに必要なコストを誰がどう負担するかという議論をすべきなんだ。

八    マニフェストがホンモノかどうかを見極めるポイントのひとつは、そうい
う事業仕分けの裏付けがあるかどうかってところだな。そういう事業仕分けに、市民
といっしょになって労組も真摯に取り組めば、そこから必ず、これからの時代の労働
組合の社会的役割、パブリックな存在意義も見えてくるはずなんだがな。

熊    大阪市の無駄使いはちょいと度がすぎたが、こういう癒着を長年のさばら
せてきたのは結局、そういう市議や市長を選んできた市民なんだってことに、もう気
付かなけりゃならない。政治家は公約を作れず(平気で破り)、役人は先送り、有権
者は白紙委任という無責任の三位一体のツケは、最終的には有権者、国民、都民に
回ってくるんだからな。
マニフェスト選挙で当選した横浜の中田市長は、選挙中の演説で「○兆円の借金の連
帯保証人の市民のみなさん」と呼びかけたが、そういうふうに有権者に問わないと、
未来はないところに来ている。お願い、連呼、ナントカ人気で無責任選挙をやってら
れるほど、日本も東京都ものんきな時代じゃない。その当事者意識のない御仁には、
お引取り願うしかないってことよ。

八    北海道だかの小さな町の町長が、もう財政は破綻状況だ、マニフェストで
ありのままを町民にぶちまけて選挙をやるしかない、と言ったそうだ。ある意味
じゃ、責任の丸投げだよな。しかしすべてをオープンにして問えば、耳障りのよい公
約よりも、町民は厳しいマニフェストに耳を傾ける。そのくらいの民度の成熟は、日
本にもあるんだ。(都民にそれがどこまであるか?) 厳しいマニフェストを住民が
選べば、そこから地域再生の希望は見えてくる。逆に「なんとかしてくれるだろう」
「なんとかなるだろう」と先送りしていれば、右肩下がりの時代のなかで地域は滅び
る。東京だって、その瀬戸際にきているんだ。

熊    お願いから約束へ! 連呼やナントカ人気ではなく、選挙を有権者との約
束に、政策を選択する責任を有権者自身にも問う場へと変えていこう。さらば無責任
選挙!


□◆□ お知らせ □◆□
□第68回定例講演会
「北東アジアの戦略的環境変化と日韓関係」
李鍾元・立教大学教授
7月14日(木)18時30分より
総評会館
参加費 会員1000円/一般2000円


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石津美知子 ishizu@ganbarou-nippon.ne.jp
 「がんばろう、日本!」国民協議会
http://www.ganbarou-nippon.ne.jp
TEL:03-5215-1330 FAX:03-5215-1333