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メルマガ♯がんばろう、日本!         69(04.10.29)
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□ 政権末期の無統治状態が露呈してきた
 ■国民を不安においやる、パブリックなき「官から民へ」の絶叫
 ■政権末期の総無責任・無統治状態を誰がマネージするか
 ■『新たな公』の基準から「官から民へ」の欺瞞を暴き、『新たな公』の国民合意を
□ お知らせ

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政権末期の無統治状態が露呈してきた
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■国民を不安においやる、パブリックなき「官から民へ」の絶叫■

長らくご無沙汰してしまいました。これからまた「再開」いたしますので、なにとぞ
よろしくお願い……な、な、なんだこの揺れはッ! また新潟の余震かッ?! 
あ〜 落ち着きました。地震ほど恐ろしいものはございませんよ(カミナリはちょっ
と怖い、オヤジなんざ・・・)。外堀長屋も震度3ですから、熊も八もオンボロ長屋
から飛び出してきました。

熊    あー驚いた。肝を冷やしたぜ。あっちはもっと大変だろうなぁ。なんとか
ならねぇもんかと思うが…

八    なかなか大変だよ。みんなそれぞれ、一生懸命やってる。でも、地震当日
の官邸に関しては、ちょっと言いたいことがある。総理が映画祭に出ていたのはい
い。クールジャパンと言われるくらいだから、文化の振興は大切な国策だ。だが、そ
の後なぜ官邸に詰めずに公邸に留まったのか。首相官邸には危機管理の司令室があ
る。ここで指揮をとるべきだろう。

熊    公邸でも情報収集はできるし、指示もだせるっていう言い分なんだろう。
でも新幹線が脱線した、ということが分かった時点で、これは相当な被害が出ている
と考えるのが当然だ。現に「新幹線脱線」の報を聞いて、官邸番の記者はみんな「す
わっ」と首相官邸に向かったそうだ。ところが待てど暮らせど、官邸に現れたのは村
田防災担当相だけ。首相はもとより、官房長官も副官房長官も現れなかったそうだ。

八    このことを伝えた産経新聞(10/26)は、この夜の首相官邸は「官僚」だけ
が動き回り「政治は不在」だったと結んでいる。山古志村のように村ごと電話も通じ
ず、連絡もまったくとれなくなるなど、通常の行政機能が寸断されたりマヒしたりす
るってのが「緊急事態」とか「非常事態」ってもんだろ。そのときに最高責任者が、
先頭に立って対処している姿を国民に見せるっていうのは、政治にとって最重要のパ
フォーマンスじゃないか。

熊    まぁここに、小泉政権の姿勢が凝縮してるってことだ。世論調査で2パー
セントの人しか望んでいない「郵政民営化」を、政権の最重要課題に振り回して絶叫
するという姿勢からは、国民の生命、生活を守るという政治の使命の基本がカケラも
感じられない。

八    「官から民へ」と言えば、みんな黙らざるをえないように思っているらし
いが、「公とは何か」「官が担うべき公は何か」がまったく見えない「官から民へ」
は、国民を不安にさせるだけだ。50パーセント以上が、政権には「年金・福祉」に
もっとも力を入れて欲しいと言っているのは、裏を返せばみんな不安だからだ。
(世論調査の数字は9/29朝日)

熊    ある意味じゃ、政府の年金改革のいいかげんさ、オソマツさが、その不安
に拍車をかけたと言えるんじゃないか。出生率1.29の後だしジャンケン、厚労省・社
会保険庁の年金ネコババ、どれひとつとっても参院選の国会審議でもまともに答弁し
ていないし、誰の責任も問われていない。

八    正直と言えば正直なのかもしれないが、尾辻厚労相は、民主党の大塚参院
議員の質問に対して、10月施行の年金制度改革関連法が現実を上回る出生率を基に設
計していたことを踏まえ、下方修正した出生率で設計し直すことについて「誤りがあ
れば真剣に検討する」と述べたそうだ(参院予算委員会)。「五十年もつ」とあれだ
け言っていたことがいかにデタラメか、ということと同時に、権力維持や保身のため
にはそういうデタラメを平気で言い張るという姿勢に、国民の多くが怒りと不安を感
じているんじゃないか。

■政権末期の総無責任・無統治状態を誰がマネージするか■

熊    「イラクの大量破壊兵器がなかった」という問題にしてもそうだ。衆院予
算委員会で、前原衆院議員が繰り返し「戦争の大義を問うているのではない。戦争の
前提となった情報が誤っていたことが分かった時に、誤った事実に基づいて国会答弁
を組み立てていたことの責任を問うている」と言っているのに、「フセインが悪い」
の一点張りだ。「情報は間違っていたが、(戦争の)判断は正しかった」というブツ
シュのほうが、「言い訳」にしても潔い。これならまだ、「政治の判断(一国の最高
責任者の判断)の是非」ということで、議論が前に進むからな。
(首相の答弁に対して「納得できない」は67パーセント、「納得できる」は18パーセ
ント/「朝日」10/26)

八    マニフェストのおかげで、国民の中でも「政治に何を求めるか」が漠然と
ではあるが、整理され始めているんじゃないか。マニフェストは政策による政党の紀
律化だ、と東大の佐々木毅先生(21世紀臨調共同代表)は言っているが、それは有権
者にとっても、マニフェストに基づいて政党を評価するってことだろ。「あれをして
くれ」「これをしてくれ」という「政策」の要望(じつはほとんど個別利害)ではな
く、「国民に約束したことに対して、どのように責任を取っているのか」という視点
から「信頼できるか、できないか」で政党を評価するってことに変わらなけりゃなら
ないってことじゃねぇのか?

熊    不安は放っておけば、「自分は年金をいくらもらえるのか」に終始する。
しかし「みんなが『満足』ではなく(それは不可能)、みんなが『納得』できる仕組
みにしなければ」と訴える議員や候補者がいれば、「なるほど」と考えるところま
で、「受け手」としては成長している。だから、「より公平な年金制度のためには消
費税増税が必要」ということにも納得するし、支持するわけだ。

八    有権者の目線がそれだけ高くなったってわけだ。選挙の時だけでなく、日
常活動でもそういうことを訴える議員や候補者が増えてくると、この目線の高さは選
挙後も後退しない。そうなると政策論争の組み立て方も、政局の作り方も、これまで
とは大きく変わってこなけりゃならないな。

熊    そういうことだ。予算委員会はまさに、政権末期の無統治状態が全面露呈
だ。『これしきのこと、ナンノ、ナンノ』のオバさんにはさすがに参ったが、仮にも
「政策が分かっている」と思われている(本人もそう思っている)者は、この期にお
よんでこの内閣の閣僚に名を連ねていることを、恥と思わなきゃウソだぜ。

八    「北朝鮮はすでに核兵器を持っている」とペラペラおしゃべりする官房長
官。もしそうなら、日朝共同宣言は無効になるし、六者協議の前提も崩れる、という
意味がまるで分かっていない。発言訂正を繰り返すほど、底の浅さを見せつけた。ま
た米軍再編では在日米軍が本格的に「極東」の範囲を越えて活動することになるが、
それについても日米安保条約の「極東条項」の見直しが必要という防衛庁長官と、必
要ないという官房長官と。国防の基本に関わる問題で何の一致もない、解釈で何でも
アリ(ルールなんかカンケイナイ!)の政権に、軍事をまかせられるのか? これで
本当に日米同盟はもつのか? 予算委員会の論戦は、国民の目線をここにもっていく
ための媒介だ。

熊     するってぇと、『ナンノ、ナンノ』のドンチャン騒ぎは、それに対する
目くらましってわけだな。ま、あれだけ厚顔にふるまえる(自らの政治資金=業界丸
抱え=の調査・報告を拒否!)んだから、単なる「初心者」じゃないや。一説には、
青木が彼女を法務大臣に送り込んだのは、橋本派の一億円問題をすべて「茶番」に変
えてしまおうという魂胆からだってぇ、ウソみたいな話もあるらしい。

八    だから政策論争の枠組み、問題設定の主導権を完全にこっち、つまりマニ
フェストを定着・深化させる側が握り、マネジメントしなければ、あらゆる問題が茶
番にすりかえられてしまいかねないわけだ。独裁政権や傀儡政権が崩壊するときに
は、インフラ(人的にも物的にも)をメチャクチャに壊して遁走することが、よくあ
るだろう。それと同じようなことが今、起きようとしているのかもしれないぜ。

熊    「郵政民営化」ってのは、もしかしたらその切り札かもしれないな。め
ちゃくちゃな無統治状態を官邸主導・総理のリーダーシップと言いくるめ、イザとい
う時には「郵政解散」の名目で、すべて放り出してオチャラケにしちまう、というシ
ナリオだ。無責任を隠す格好のカードだな。ということは、「郵政民営化」でまとも
な政策論議をする気なんか、最初っからないってことだ。

■『新たな公』の基準から「官から民へ」の欺瞞を暴き、『新たな公』の国民合意を■

八    無統治状態のドンチャン騒ぎの果てに、すべてをオチャラケにするという
(作為なき?)シナリオに巻き込まれないためには、しっかりした基準と、そこから
のマネジメント能力が問われる。基準らしきものは、マニフェストということで少し
ずつ見えてきているわけだ。自民党のマニフェストは「羅列的」、民主党のマニフェ
ストは「構成的」と。羅列的のほうは、文字通り「票の多い順番に」並べてあるわけ
だ。構成的のほうは深化すればするほど、その背景にある時代認識、社会観・国家観
が浮かび上がってくる。「基準」の意味があきらかに違うわな。

熊    だからこそ、マニフェスト感覚の基準からの新しいマネジメントが問われ
るわけだ。人事や政局までを、マニフェストで説明できるようにやっていく。そのた
めの政策論戦の組み方、問題設定が、来年の通常国会にむけた勝負だな。郵政民営化
がスローガンではなく、具体的な姿=法案として出てくる。もうひとつ、三位一体改
革も「地方でやれることは地方で」一般ではなく、具体的な形=予算=で出てくる。
どちらも「いろいろ〜〜」で、言い逃れや、はぐらかしができない段階にはいる。こ
こで露呈する無統治状態を、『新たな公とは何か』の基準からマネージする問題設
定、論点整理ということだ。

八    山ほどある問題点を、それ自身で追及するのではなく、『新たな公とは何
か』を浮かび上がらせるように構成すべきだし、「公なき『官から民へ』の欺瞞」を
しっかり暴くことだろう。郵政民営化でいえば、やはり「出口でのムダ使い」が何一
つ正されない=政官業の癒着が糾されない、ことが最大の論点だろう。
世論調査でも、郵政民営化に賛成する最大の理由(20パーセント)は、「郵貯や簡保
から特殊法人にムダな資金が流れなくなる」ということだ。(四分割という政府案へ
の賛成は47パーセント、反対は34パーセント 10/26朝日)ここを糾さない・正さな
い「民営化」とは、既得権の焼け太りではないかと。民営化された道路公団は相変わら
ず、カラ手当てみたいなことを平気で続けていて、国交省の是正指示も拒否している
んだ。
同時にこの点で、既得権の側から「民営化反対」という抵抗勢力にも、こっちから
『踏絵』を迫ればいい。「本丸」は郵便の問題じゃないんだ。

熊     反対の理由も、最大のものは「全国均一のサービスが維持されなくな
る」(15パーセント)だ。これも「ユニバーサル・サービスとは何か」が核心問題
だ。全国どこでも、適切な料金で同じサービスを受けられるというユニバーサル・
サービスは、万国郵便条約に基づく公だ。それができるなら、担い手は民でもいいわ
けだ。採算が合わない、しかし確保されるべき公共であるなら、税金を使ってでもや
るべき(官が担い手)ということだ。国民世論をまきこんで、こういう仕分けをしな
けりゃならねぇな。

八     三位一体では、いわゆる地方案がポイントだろう。三位一体という手法
の是非・適不適という問題はもちろんあるが、地方六団体はこれを受けて、「身を削
る案」を自力でまとめたわけだ。このとりまとめには、市長会が力を発揮している。
つまり県知事レベルの話ではなく、より住民に近いところで、身を削っても自立への
道を歩もうという合意形成の努力が図られたわけだ。いわば、草の根からのこの芽を
促進する側に徹底的に立って、この問題を扱うところから、『新たな公とは何か』に
ついての共有環、そこから規定される『国の役割、地方の役割』についての共通認識
をつくるべきだろう。

熊     それは世論形成のポイントでもあるな。基礎自治体(市区町村)の首長
と議員のところでの「責任と自立」と連携できるかは、組織づくりのうえでも決定的
だ。地方案(補助金削減→税源移譲=自主性拡大)に対して、各役所は補助率削減→
裁量拡大の余地なし=赤字の付け回し、で対抗している。そこに、補助金のうまみを
奪われる自民党が参戦しようとしているわけだ。
役所の言い分は「地方に任せたら、とんでもないことになる(地方に自主能力はな
い)」というもので、自民党のほうは「おねだり自治体」の利益代表ということだ。
こことの差別化を徹底して図るということは、「責任と自立」の基礎自治体と、具体
的にしっかり連携できるかにかかっている。そのことが可能になる問題設定、論点整
理ということだな。

【地震で孤立していた新潟県川口町では、寸断されていた道路を住民たちで復旧し
た。「公共事業で田舎を食わせる」という構造の下では、どこでも重機くらいは持っ
ている。「行政を待っていたら、いつになるか分からん。復旧は自分たちの手で」
と、男たちが協力して重機を動かし、崩壊した道路の脇に迂回路をつくり、崩れた土
砂を片付けた。自宅は倒壊しているが、とにかく救援物資が届くようになり、緊急車
両や巡回車両が通れるようになった。当初54あった孤立集落の多くが、こうした住民
自身の力によって、孤立状態から脱しているという。】

八     少し先をみれば、〇七年の統一地方選挙にむけた本格的な足場固めでも
あるわけだ。来年は、都議選が政局上はひとつの焦点だが、一方で「平成の大合併」
で誕生した新市の市長選挙が各地で行われる。ローカルマニフェストも注目される。
ここまできたマニフェスト感覚を、しっかり地に足のついたものにしていく重要なス
テップだ。

熊     もうひとつ、やっぱりイラクのことがあるんじゃないか? 自衛隊の派
遣期限は今年十二月までだ。来年一月にはイラク総選挙が予定されていて、オランダ
軍は三月の撤退がすでに決まっている。オランダ軍撤退後、自衛隊を「守ってくれ
る」はずのイギリス軍も、来年の総選挙でブレアが勝ったとしても、国連決議の期限
に合わせて来年十二月には撤退するだろう。このままでは、「出口戦略」を何も考え
ずに、十二月に切れる派遣期限を延長するとなりかねない。ここはやはりしっかり責
任を問うべきだ。

八     総選挙にむけてさらに治安は悪化するだろうし、総選挙実施で決着がつ
くとも思えない。下手をすれば対応不能を正当化するために「郵政解散」に打って出
ることだってありうるかもしれない。撤退するなら基準はこう、駐留継続なら国際協
力の枠組みをここまでつくる、というように鮮明にすることが必要になるかもしれな
い。

熊     おいらが総理大臣なら、すぐに自衛隊を撤退させて、地震と台風の災害
復旧に全力投入するな。日本海側はもうすぐ雪だ。その前にある程度、復旧のメドを
つけなければならないわけだろう。地元自治体やボランティアの努力だけで追いつく
のか? それくらいの政治決断、したっていいじゃないか。まあ、今は人質事件があ
るから、それと関連するような形になるのはまずいけどな。


□◆□ お知らせ □◆□

【第62回定例講演会】
国民主権の憲法改正と『憲法問題』(パネルディスカッション)
11月27日(土)13時より  弘済会館 「はぎ」の間
中西寛・京都大学教授  飯尾潤・政策研究大学院大学教授
枝野幸男・衆院議員/民主党憲法調査会会長  
前原誠司・衆院議員/「次の内閣」防衛庁長官
会員 1000円/一般 2000円

【04年度 望年会】
12月14日(火)18時30分より  アルカディア市谷(私学会館)6階「霧島」
会費 6000円

【第9回 関西政経セミナー】
11月3日(水・祝)15時より18時   ホテルグランビア大阪20階 「なにわ」
講  演・原口一博 衆議院議員
パネラー・原口一博 衆議院議員  中村哲治 衆議院議員
山下大輔 和歌山県議会議員  吉本 誠 兵庫県議会議員
     長尾 敬 民主党 衆議院大阪14区総支部長
コーディネータ・戸田政康 「がんばろう、日本!」国民協議会代表
18時30分より
「原口一博君を励ます会in大阪」(同会場にて)

会費 10000円(セミナー&励ます会)

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石津美知子 ishizu@ganbarou-nippon.ne.jp
民主統一同盟 「がんばろう、日本!」国民協議会
http://www.ganbarou-nippon.ne.jp
TEL:03-5215-1330 FAX:03-5215-1333