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シリーズ・年金改革とマニフェスト その4

□ マニフェスト政治文化の定着にむけた事態の収拾を提案する

■お知らせ
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マニフェスト政治文化の定着にむけた事態の収拾を提案する
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年金問題をめぐる混乱をどう収集するか。ここでは、マニフェスト政治文化を定着さ
せるという側からの「危機管理」能力が問われている。

相変わらず「街の声」は圧倒的に批判的だ。このまま11日に年金法案が衆議院で可決
されることについて、95パーセントが「納得できない」と考えている。
相次ぐ閣僚の年金未納問題は、年金流用疑惑をそのままにした政府案の「うさんくさ
さ」とともあいまって、「年金には関心があるが政治には関心がない」(ソントクか
ら全てを見ている)層や、そもそも年金保険料を払っていない層までが「世論」に参
入したことで、永田町の枠はもとより、旧来の政策論争の枠では統治不能な状態(例
えていえば「パンドラの箱を開けた」)になっている。
問われているのは、この混乱をマニフェスト政治文化の定着にむけて収集し、仕切り
なおすことができる危機管理能力であり、ガバナンスである。

小泉政権は「政策は支持しないが内閣は支持する」という構造に支えられているので
あるから、「瞬間芸」(福田官房長官の辞任)でとりあえずは切り抜けられる。その
意味では、小泉政権(今回は福田氏)は世論の動向との距離をとりあえずうまく測っ
たと言えるだろう。
問題は民主党である。世論の「暴風」に民主党が飛ばされれば(三党合意がひっくり
かえされれば)、ようやく「疑似二大政党」までもってきたここまでの蓄積が、いっ
たん大きく後退せざるをえないことになる。これはやはり、マニフェスト政治文化の
定着にとっては「最悪のシナリオ」である。

重要な局面で指し手を間違えた(三党合意)以上、「最善の策」はない。指し手を間
違えたという意味は、「反対野党」よろしく自民党と対決すべきだということではな
い。あいまいな合意で政府案をとりあえず成立させる(採決の形式は「反対」でも)
ということは、ようやく始まった年金に関する国民的な議論の芽を、野党第一党が摘
んでしまうことになるということだ。

「最悪のシナリオ」を回避して事態を打開するための「次善の策」は、菅代表の辞任
と三党合意の了承であり、ここからもう一度「仕切りなおす」ための体制建て直しで
ある。

三党合意は、現状のままであれば問題の先送りにすぎず、国民的議論の芽を摘むもの
であり、参院選での争点外しにつながるものである。この性格を、今後の参議院での
議論で、どこまで修正し、巻き返せるか、である。
おそらく参議院での答弁は「07年まで与野党で協議して結論を得ることになっていま
すから、そこで大いに議論していただいて・・・」ということに終始する(そこから
一歩も踏み込まない)であろう。一元化への担保を、参議院の論戦で引き出すことは
難しい。したがって、「三党合意をどう履行するのか」を徹底して追及することで、
与党側には履行の意思はないことを明らかにする(合意を反故にするのは与党であ
る)ことと、必ず「それでは参議院選挙で、年金一元化についてどう考えるのか、与
党としてきちんと公約をだしますね」と迫ることである。
もちろん与党は、「公約をだす」とは言わないであろう。目的は与党の言質をとるこ
とではない。国民にこの論議をどう見せ、判断材料を提供するか(少なくともどちら
がこの問題に真摯に取り組んでいるのか/「与党も野党もみーんな未納じゃないか」
ではない)、これが全てである。これでどこまで失った信頼を取り戻せるか。
「自民党との対決」などはどうでもいいことで、カメラの向こうの有権者に訴え、そ
の信頼を取り戻すことがどれだけできるのか、ということである。

とくに年金は国民の人生設計に直結するだけに、「この人たちは真剣にやっている」
という政治家に対する信頼感が欠けていれば、どんなに「立派な」制度設計でもうま
くいかない。今回の「騒動」はそのことを端的にあらわした。
三党合意の誤りとは、国民の信頼を失ったときに、その信頼回復の手を打たずに(例
えばその時にすぐ菅代表が辞任するとか、民主党の全議員が納入状況を公開し、率直
に謝るとか)、信頼を失った枠組みでの問題処理を図った、ということである。
「自民党にすりよった」かどうかは、どうでもいいことだ。一番大切な、マニフェス
ト選挙以来の、主権者の信頼を傷つけた(「未納問題」で傷がついたのではない、そ
の処理の誤り/三党合意で傷がついた)ということが、決定的な指し手の間違いなの
だ。
これを今後、どこまで回復できるのかがすべてだ。

そのためにこそ、菅代表には辞任していただくことである。今回の「騒動」で、菅代
表のところにこそマニフェストの精神が入っていないことに、普通の国民も気づいて
しまった。福田官房長菅は「逃げ切り」のために世論の動向が読めたが、菅氏はそれ
さえもできなかった。これは、国民主権のガバナンス能力以前の問題である。
重ねて言うが、「未納問題」とは政治家の身の律し方という程度の話ではない。一国
民としての義務を果たしているのか、という問題である。例え市役所の窓口でなんと
言われようと、「国民年金は義務」ということくらいは心得ていなければならず、そ
れを「知らなかった」ということ自身が問題なのである。ここの誤りを認めずに、
「ミスだ」「市役所が悪い」「制度が複雑」ということは、言ってはならないことで
ある。ここが分からずに、出処進退、身の律し方をあれこれ言っても、魂の入らない
修養でしかない。これでは、マニフェスト選挙で得た期待と信頼を回復することは絶
対にできない。

現執行部の軸は、マニフェスト選挙を準備し、それで党を運営してきたメンバーであ
る。この軸を揺るがさないためにも、菅代表の辞任によって、マニフェストに基づく
国民の信頼回復のために、三党合意をめぐる今後の論戦を組織していく、その戦う陣
形を早急に整えるべきだ。政権交代可能な二大政党、そのインフラとしてのマニフェ
スト政治文化の定着という「大義」を掲げて、この事態を収拾してもらいたい。

三党合意が有権者、とりわけマニフェスト選挙で民主党に期待した層の信頼を傷つけ
るものであった以上、参院選にむけて、各議員も候補者も「山のような言い訳」をし
なければならないだろう。下手に正当化(「合意で政府案は実質上、暫定措置になっ
た」とか「14年間連続保険料値上げを阻止した」とか)してはならない。国民主権―
マニフェスト政治文化の定着のために、「山のように言い訳」をすればよい。そして
愚直に、マニフェストに基づく民主党の改革案(一元化案)を説明し、その姿勢の真
摯さにおいて、与党の取り組み(公約さえ出していない!)を批判することだ。逆で
はない。信頼するに足りる、その姿勢は少なくともある、という土台をもう一度築か
なければならない。それがあってはじめて、与党への批判は意味をなす。
釈明では信頼は回復できない。政権交代可能な二大政党をつくることに賭ける姿勢、
マニフェストで国民に約束するという姿勢、それゆえ「政策をひたすら訴える」とい
う姿勢(もちろん中身もそれなりに必要!)、こうした「政党本位・政策本位」のド
ブ板活動を、本当に全議員がシャカリキになってやりきること以外に、参議院選挙を
戦う方策はない。
だからこそ、マニフェスト政治文化から「遠い」菅さんが代表では戦えない、という
ことなのだ。

有権者、とくにマニフェストに期待した有権者もこの「騒動」から学ばなければなら
ない。「マニフェストなんか関係ない」「政治家なんてみんなケシカラン」という人
までが、年金論議に参入し、世論が「暴風」になったときに、不見識な「政治不信」
をたしなめ、説得するという役割を、「バッジをつけた主権者」だけに過大に担わせ
てはいなかったか、と。「バッジをつけない主権者」として、不見識な政治不信の層
を粘り強く説得し、マニフェストの政治文化を説くという活動が、まだまだ足りない
のではないか、と。

年金問題がこのような「パンドラの箱」状態になった遠因は、第一に与党が年金問題
について統一したマニフェストを出さなかったこと(逃げた)にあるが、同時にそれ
を分かっていながら、与党に投票した有権者が多数だったということである。すなわ
ち、「政策は支持しないが内閣は支持する」という小泉内閣支持の構造である。
マニフェスト政治文化を定着させるためには、ここに「主権者としての責任」を説く
までの主権者運動の波を創りださなければならない。「バッジをつけない主権者」と
して、この課題に正面から取り組むことこそが問われている。

□◆□ お知らせ □◆□

□ 「がんばろう、日本!」国民協議会 第三回大会
昨年は総選挙のため、全国的な催しは見送りました。02年10月の第二回大会に続く、
三回目の大会です。
5月23日(日)13時より
砂防会館
○基調講演とシンポジウム 13時より18時 2000円
日本再生の戦略と政治意思を
〜リーダーの矜持とフォロワーの決断〜
基調講演 戸田政康 「がんばろう、日本!」国民協議会代表
シンポジウム 原口一博 民主党「次の内閣」大臣(規制改革など)
       古川元久 民主党「次の内閣」厚生労働大臣
       中塚一宏 民主党「次の内閣」経済財政金融担当副大臣
       長島昭久 民主党「次の内閣」安全保障担当副大臣
       中西寛  京都大学教授
       添谷芳秀 慶応大学教授
       飯尾潤  政策研究大学院大学教授
       福嶋浩彦 千葉県我孫子市長
○懇親会  18時30分より  5000円


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