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メルマガ♯がんばろう、日本!         62(04.4.16)
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▼index
□ イラクの主権委譲プロセスを破綻させるな
■イラクへの渡航禁止措置、政府の危機管理体制の検証を
    ■自立した市民としての自覚が欠如していないか
    ■破綻の危機に瀕しているイラクへの主権委譲プロセスに責任をもって関われ
 
□ 年金法案強行に補選で反撃を
 
■お知らせ
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イラクの主権委譲プロセスを破綻させるな
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イラクで人質となっていた日本人三人が無事、解放された。
しかし新たに二人の日本人が行方不明)になっており、
そのほかにも多数の外国人が人質となっている。
(日本と同様、軍を派遣しているイタリアは人質のうち一人が殺害された。)
現時点での、いくつかの問題を整理したい。
 
■ イラクへの渡航禁止措置、政府の危機管理体制の検証を
 
最高の危険度を示す退避勧告が出されているイラクへ、それでも行くというのは「自
己責任」だというのは一理ある。しかしそれでも、政府には自国民を救出する義務が
ある。だとすればやはり、渡航禁止措置をとるべきではないか。二人の外交官が殺害
された時点で、それが必要だったという意見もある(佐々淳行氏など)。しかし自衛
隊派遣にからんで「非戦闘地域」というフィクションを作り上げてしまったため、そ
れとの整合性がとれなくなることを恐れて躊躇したのだとすれば、問題である。
当然、そのような措置を検討するだけでも、「イラクには“非戦闘地域”などもはや
ない」「自衛隊は撤退すべきだ」との議論が出てくるだろう。しかし今は、自衛隊の
撤退を云々するよりも、破綻しかけているイラクへの主権委譲プロセスにどのように
責任をもって関わるか、ということを論議することが、日本の責務ではないか。その
ためにも、「非戦闘地域」というフィクションにこだわる議論は、どちらの側からも
卒業すべきときだ。
さらに時間をかけてなされるべきは、政府の危機管理体制および情報収集体制であ
る。今回三人が無事解放されたのは、メディアを通じた働きかけやイラク社会の宗教
秩序、他国の人質が民間人といっても軍務関係者などだったのに比べて、三人が「純
粋な」民間人でかつイラク支援の活動をしていたなど、いくつかの「幸運」による要
素が大きいだろう。特殊部隊などの実力手段とその能力を持たないわが国の危機管理
ならびに情報収集について、この際きちんと検証すべきである。
 
 
■ 自立した市民としての自覚が欠如していないか
 
 この間、日本国内では「テロにからめて自衛隊撤退」という声は基本的には起こら
なかった。人質となった三人についても、無事解放を祈るのは当然として、「自己責
任」を問う声が基本であった。(「遊泳禁止のところに入ったようなもの」「軽装備
で冬山登山に行ったようなもの」。)これは、国民の成熟を示すものだろう。
 厳しい言い方だが、イラク戦争のさまざまな不条理に対して、もっぱら自らの心情
だけをバネにかかわろうという姿勢には、「自立した市民」としての常識が欠如して
いるとしか言いようがない。イラクで行われているさまざまな不条理を直視し、ある
いはそれを世界に伝えるということは、自国の政府を問うこと抜きにはない。国民主
権とは自国の政府を国民が自らの責任で選ぶものである以上、そのことに対する責務
を果たすこと抜きに、自らの心情を訴えて社会変革ができるものでないことは「自立
した市民」としての基本常識である。
 八〇年代初頭、世界的な反核運動が盛り上がったときに日本の平和団体は国連に、
膨大な反核署名を持参した(署名数は覚えていないが、国民の大多数が署名した計算
になるような数)。しかしそれに対する国際社会の反応は、「米政府の核配備に賛成
する自国の政策を変えることが先決では?」というものだった。まさに「主権者」意
識なき心情的反核平和運動が、「日本の常識は世界の非常識」と思い知らされた出来
事であった。
 イラク入りをめざす日本人の若者が、アンマン周辺にはかなりいる(いた)とい
う。イラクで拘束された他国の民間人は、なんらかの形でビジネスや軍務関係者、
ジャーナリストで、文字通りの民間人はほぼいない。「究極の自分探しの旅」がイラ
ク行き、という若者を送り出す社会は病んでいる。
 
 
■破綻の危機に瀕しているイラクへの主権委譲プロセスに責任をもって関われ
 
 あえて言う。今は自衛隊の撤退を云々すべき時ではない。もちろんこのまま事態が
悪化すれば、サマーワの自衛隊は撤退することさえできなくなるかもしれない。だが
そうなるとすればそれは、イラク統治全体が崩壊する時である。自衛隊の活動そのも
のが敵視されているのではない。問題は、主権委譲プロセスが危機に瀕していること
なのだ。これを何とか軌道にのせ、国連の関与を可能にする道すじを開くことにこ
そ、全力を尽くすべきときである。
 米軍のファルージャに対する攻撃はイラク人全体を敵に回しつつある。アメリカ主
導の統治評議会のなかからさえ、抗議の辞任が相次いでいる。600人を超える死者が
でているファルージャへの攻撃は、後の歴史からは「ソンミ大虐殺」(ベトナム戦争
時の米軍による村民虐殺事件。ベトナム戦争における米軍の大きな汚点となった)に
匹敵すると言われることになるかもしれない。
 シーア派サドル師への攻撃も、背景にはシーア派が望む直接選挙への道すじが裏切
られたと彼らが感じている点にある。「テロリスト」「ウサマ・ビンラディンと同
じ」という論理で、アメリカが描く主権委譲にとっての障害を力で排除し、強行しよ
うという姿勢が、イラク統治を崩壊させようとしている。
 大統領選挙を控え、テロ対策を怠ったとの批判も出ているブッシュ政権には余裕は
ないだろう。こういう時にこそ「同盟国」として言うべきことを言い、必要な助力を
しなければ、文字通り「ポチ」に終わる。
日本には「大きな外交」はできないが、それなりの役割は果たせるはずだ。アラブ諸
国との関係もそれなりにある。破綻しかけている主権委譲プロセスを建て直し、イラ
ク社会の基本勢力が納得・合意できる地点まで、「ボタンの掛け違い」を是正するた
めに努力すべきである。
 イラクは決して無秩序状態ではない。今回の人質事件でもあるように、一定の宗教
的秩序はまだ保たれている。それは何も特別なことではなくて、「殺すな」「盗む
な」というような普遍的なものに他ならない。フセイン独裁の下でもこうした社会関
係は保たれてきたのだ(酒井啓子氏は「どっこい社会は生きていた」と表現してい
る。岩波新書『イラク 占領と統治』)
穏健な宗教指導者に代表されるこうした社会秩序が、一部の者が過激な行動に走るの
を諌め、制御してきた。アメリカの強硬姿勢は、そこまでを破壊しようとしている。
それをやってしまえば完全に、主権委譲のための社会的受け皿はなくなって、無秩序
・無統治状態になる。それこそが、テロリストの格好の温床なのだ。
 この道から引き返さなければならない。そのために全力をつくすべき時だ。
 
 
□ 年金法案強行に補選で反撃を
 
 年金改革は、民主党案が提出されいよいよ本格的な審議にはいるにもかかわらず、
与党は採決の前提となる公聴会を22日に開催することとした。問題設定の性格の違い
(与党案はペンキの塗り替え、民主党案は「土台の腐った家に替わる新しい家づくり
プラン」)が次第に浸透してくるにつれ、テレビの報道番組で民主党案のほうが支持
が多いなど、参院選もにらんでの強行策である。しかも日本歯科医師連合会による贈
収賄事件で、社会保険庁の元長官が起訴された。「年金法案の前にドーンと大きな山
がそびえ立った」と与党幹部が言うようなこの問題の審議は、後回しにしようという
ことでもある。
 政府案では年金不安の解消にはならないし、「一元化」とも相容れない。首相の答
弁は破綻している。日歯連は自民党の最大の献金団体である。公聴会―採決というこ
とで、これらを強行突破しようというのなら、来る補欠選挙(4月25日投票。埼玉8
区、広島5区、鹿児島5区)と七月の参院選で、きっちり落とし前をつけよう。
 
 
□◆□ お知らせ □◆□
 
□ 第56回 定例講演会
「東アジア情勢をどう考えるか」
4月19日(月)18時30分より  総評会館203室
講師 李鍾元 立教大学教授
台湾総統選挙、韓国総選挙、さらには北朝鮮問題や経済大国中国の存在感や米中パ
ワーゲームの展開など、東アジア情勢を考えるための問題整理をしていただきます。
なお当日は、参院選東京選挙区に立候補予定の蓮舫さん(民主党公認 元キャス
ター)がごあいさつに見える予定です。
会員1000円/一般2000円
 
□ 第37回 東京・戸田代表を囲む会
「一期生議員を囲んで」
4月22日(木)18時30分より
ゲストスピーカー  馬淵澄夫議員、笠浩史議員
コメンテイター 手塚仁雄議員
総選挙から半年。初当選を果たした新人議員お二人に、議員としての活動や感想、地
元での日常活動などについて、ざっくばらんにお話しいただきます。
同人会員2000円/購読会員3000円(夕食付き)
 
□ 「がんばろう、日本!」国民協議会 第三回大会
昨年は総選挙のため、全国的な催しは見送りました。02年10月の第二回大会に続く、
三回目の大会です。
5月23日(日)13時より
砂防会館
○基調講演とシンポジウム 13時より18時 2000円
日本再生の戦略と政治意思を
〜リーダーの矜持とフォロワーの決断〜
基調講演 戸田政康 「がんばろう、日本!」国民協議会代表
シンポジウム 原口一博 民主党「次の内閣」大臣(規制改革など)
       古川元久 民主党「次の内閣」厚生労働大臣
       中塚一宏 民主党「次の内閣」経済財政金融担当副大臣
       長島昭久 民主党「次の内閣」安全保障担当副大臣
       中西寛  京都大学教授
       添谷芳秀 慶応大学教授
       飯尾潤  政策研究大学院大学教授
       福嶋浩彦 千葉県我孫子市長
○懇親会  18時30分より  5000円
 
□ 第19回 千葉・戸田代表を囲む会
4月25日(日)13時30分より  船橋グランドホテル 1500円
田中明・千葉県議・民主党千葉県連幹事長ほか
 
□ 戸田代表を囲む会in京都
4月26日(月)18時30分より パルルプラザ京都
福山哲郎・参院議員、古賀敬彰氏(参院選比例区予定候補・民主党公認)ほかの参加
を予定。
 
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石津美知子 ishizu@ganbarou-nippon.ne.jp
民主統一同盟 「がんばろう、日本!」国民協議会
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