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シリーズ・年金改革とマニフェスト その1

■抜本改革をやるのか、やらないのか 
入り口の問題設定で問われる小泉マニフェストの検証

□ 絶叫総理、ついに答弁拒否
□ マニフェストで、シロクロつけるべし

■お知らせ

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抜本改革をやるのか、やらないのか 
入り口の問題設定で問われる小泉マニフェストの検証
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□ 絶叫総理、ついに答弁拒否

後半国会の焦点のひとつである年金改革法案だが、本会議での首相の「答弁拒否」か
ら空転が続いている。

3月末のテレビ番組で、小泉首相は唐突に「年金制度は一元化が望ましい」「民主党
とも協議して」と発言。翌日も記者に対して同じ趣旨の発言を繰り返した。政府の
「改革」案の前提をまったく覆すような発言に、与党内は「聞いてねーよ」状態。民
主党は「首相みずから政府案が抜本改革ではないと認めた発言で、明確な公約違反」
(枝野政調会長)と非難した。
こうして4月1日の本会議は始まった。

<実録・4月1日 衆議院本会議>
代表質問に立った枝野政調会長は「政府が国会に提出した『年金改正法案』にはまっ
たく一元化が盛り込まれていない。矛盾するのではないか」「一元化すれば、現在の
政府案にある負担増、給付減の見通しは、必ず違うものとなる。政府案を審議する意
味はない」と問いただす。
小泉首相は「政府案成立後、一元化の議論を喜んでやりたい」と答弁。完全なはぐら
かし。
普通ならこれで本会議を舞台にしたやり取りは終わるところだが、そうは問屋が卸さ
ない。枝野議員は再質問を要求。

枝野・再質問「一元化したら、政府案の給付の下限と負担の上限はそのままいくはず
がない」
首相・再答弁「どのような制度体系をとったとしても、それにつながりうるものだ」

政府案は、厚生年金のみを対象にして給付の下限と負担の上限を算定したものである
から、一元化すれば、これに国民年金がなだれ込んでくるわけで、算定の前提が根本
的に崩れることになる。こんな無責任なはぐらかし答弁では納得しない枝野議員は
再々質問を要求。

枝野・再々質問「所得分布も把握していないのに、どうして負担の上限と給付の下限
を決められるのか!」
首相・再々答弁「今回の法案と制度の一元化の議論は、まったく矛盾するものではな
い。」

このむちゃくちゃな「答弁」(野田国対委員長曰く「答弁席に立ってはいるが、中身
は完全な答弁拒否」)に、議場は騒然となる。民主党は本会議での首相の責任ある答
弁を求めて、翌日からの審議を拒否した。

(<実録部分>については、長島昭久議員のホームページにある「今日の一言」から
引用させていただきました。http://www.nagashima21.net/)

□ マニフェストで、シロクロつけるべし

熊   おいこの間の国会、小泉の答弁はとんでもなくひどかったな。あんないいか
げんなことで、俺らの年金を決められたんじゃ、たまんねぇや。

八   今の制度を前提に、給付の切り下げと負担増でつじつま合わせをする、とい
うのが政府案。「一元化」というのは、国民年金、厚生年金、共済年金と複雑になっ
ている今の制度を一本化するということだから、政府案とはそもそも前提、土俵が
まったく違う話だ。一元化の議論をするのなら、今の政府案は撤回するってのがス
ジってもんだろ。

熊   この二ヶ月間、予算委員会で首相は「これが抜本改革だ」「50年、100年も
つ制度だ」と言ってきた。ところが「政府案の成立後、民主党と協議して一年くらい
で一元化するのが望ましい」と言い出した。それじゃ、これまでの予算委員会での答
弁はまるっきりウソだったってことじゃねぇか。

八   野党の審議拒否に対しては批判もあるが、いくらやったって、こーんないい
かげんな答弁をくりかえされるんじゃ、審議の意味がないよ。審議をするのは国会議
員の務めだというのは、そのとおりだが、その前提は政府がまともに(責任をもっ
て)答弁する、ということだろ? 務めをはたしていないのは、政府・首相のほう
じゃねぇか。小泉の絶叫・ワンフレーズ政治が国会審議を破壊している、といっても
いいくらいだ。

熊   道路公団民営化、年金と、小泉マニフェストが「絶叫」「スローガン」の段
階から具体的な法案の段階にはいったのが今国会だ。どんなに「改革だ」「改革だ」
と叫んでも、具体的に法案になってでてきたものが検証される。「どこが、どう、改
革なのか」と。ここで完全に<化けの皮がはがれた>というか、スローガンのつじつ
ま合わせさえできなくなった。それが「答弁拒否」の実相だな。

八   まあこれも、マニフェストの政治文化を深める(土壌を耕す)一歩とするし
かない。マニフェストは政党と有権者に、それぞれ責任を問う仕組みのことだ。選挙
のときに約束したことがどこまでできたのか、できなかったなら理由は何か、変えた
のならどういう理由でどう変えたのか。きちんと国民に説明する責任が政党、とくに
政権をとった側には厳しく問われる。有権者も、「あの公約はどうなったのか」「こ
の法案であの公約を実現したことになるのか」と問うことが、最低限の作法だ。好き
嫌いや、自分にとって損か得かで政治家や政党・政策を判断するということを、卒業
しなけりゃならねぇわけだ。

熊   国会での審議のしかたも変わらなけりゃならねぇ。「足して二で割る」式の
“落しどころを探る”ってぇやり方は終わりにしなけりゃならねぇや。とくに今度の
年金改革のような、与野党で議論の土俵・前提がまったく違っているものを、「付則
で抜本改革を盛り込む」というようなやり方は、明らかにマニフェスト文化を反故に
するやり方だ。

八   万年与党対万年野党という五十五年体制の構図なら、野党がダダをこねて
(予算委員会なら「日程を人質にとって」)、与党が野党の要求の一部をのんだ形に
して、お互いに「こんな成果がありました」とやってりゃよかったわけだ。しかしマ
ニフェストの政治文化を深めるなら、話は全く違ってくる。与党が選挙で国民に約束
したマニフェストが今回の年金法案になったはずだ。(そもそも自民党と公明党でマ
ニフェストを一本化できなかったので、選挙後ドタバタとつじつま合わせをしなけれ
ばならなかった。)ここには「一元化」という発想はまったく入っていない。現在の
制度の手直しだからな。それを国民に約束して政権についたわけだ。一方、民主党が
マニフェストで提案したのは、まさに「一元化」した制度の案だ。もし「一元化」を
目指すというなら、与党はマニフェストを変えたということになる。それならそれ
で、理由をきちんと説明しなければならないし、当然、今の法案は撤回するというの
がスジだ。
   
熊   マニフェストによって、政党の責任のとり方が違ってくるわけだ。「国民の
みなさんのために、よりよい制度にするために話し合いましょう」では済まない。一
元化のほうが「よりよい」というなら、選挙のときのマニフェストは何だったのか、
ということだ。マニフェストと言えば、「国民との契約」だ。契約違反はもちろん、
勝手な契約変更は許されない。

八   だいたいそういういいかげんなことで、「よりよい制度」なんかできるわけ
がない。付帯決議とか付則で「抜本的見直しを」というのは、政府案の破綻とその無
責任さを隠すものでしかない。契約違反や勝手な契約変更の責任をあいまいにして
「よりよい制度」ができたためしなんぞ、ねぇやな。それにマニフェスト=国民との
契約で政党・政治家を問うということでなけりゃ、有権者も選挙公約の重み=一票の
選択の責任を自覚することにはならない。「こんな公約、守れなくたってどうってこ
とないでしょ!」という政治不信の文化がはびこるだけだ。
早い話、この間の本会議のようないいかげんな答弁や、薄ら笑いがこれからも横行す
るような「審議」で、まともな・信頼できる制度ができると思うか?!

熊   有事法制のときは自民党・民主党で議論の土俵を共有していたから、五十五
年体制の不毛な対立を越えて修正協議ができたわけだ。今回だって、「一元化」とい
うなら、民主党と同じように政府も一元化の法案を出してくれば(当然、今の法案は
撤回)、そこではじめて土俵を共有できる。そういう前提なら、「どちらがよりよい
制度なのか」、まともな論議ができるってわけだ。

八   それをやらずに「民主党とも一元化をめざして協議」というのは、政局ねら
いのクセ球だってことでしかない。参議院選挙にむけて一発花火をブチ上げるととも
に、参院選での協力で公明党にゆさぶりをかける(民主党カード)という小泉一流の
政局パフォーマンスだぜ。

熊   そこが一番気にくわねぇんだ。年金といえば、俺らの人生設計を左右する一
大事だぜ。そこを政局でもてあそぶってえ根性が、許せねぇ。予算委員会での薄ら笑
いってのは、そういう体質の表れだぜ。急に「議員年金廃止」をぶち上げたのだっ
て、参議院選にむけたパフォーマンスだろ? 

八   こういうのを「びっくり箱」方式と言うそうだ。国民の話題になりそうなこ
とをバッとぶち上げる。与党の合意ができるかどうか、なーんてことは関係なし。反
対するヤツは「抵抗勢力」だと言っちまえばいい。道路公団は結局、道路族も満足す
る内容になったから、どこかにまた、引き立て役になりそうな「敵」をでっち上げな
きゃならない時期だしな。

熊    俺ら有権者も、そろそろこういう「びっくり箱」だかなんだかで踊らされ
るのを、卒業しなけりゃならねぇよな。政策ってのは、そういう思いつきみたいなも
のじゃねえからな。実行責任の裏付けなしに、向こう受けのすることを言われたって
よ、そろそろウチのおっかぁだって「こりゃ、マユツバだよ、やれるもんならやって
みな」くらいは言うもんな。

八    だから去年のマニフェストは、「政党が一致して実現に責任をもつと約束
しているか」という実行責任が、政策の中身と同じくらい重要だったわけだ。それが
一応あったから(全候補者が署名)、民主党の「政権担当能力」認知度がアップした
わけだ。(「論座」5月号 東大・朝日協同調査)

熊    まず入り口のところで、抜本改革をやるのか、やらないのか、その政治意
思を明確にすることが問われているわけだ。政府案が抜本改革と言えないことは、新
聞報道などでも前提だし、なにより首相自ら、それを告白したわけだし、「付帯決議
で抜本改革を明記」というのも、要するにこれでは抜本改革にならないと認めること
になるわけだ。それなら、抜本改革までの暫定的な手当てを決めて、与野党のきちん
とした協議を始めればいい。当然、今の政府案は撤回だ。

八    それをやらないなら、民主党の対案と政府案、どちらが抜本改革に値する
のか、どちらが「より信頼できる」制度なのか、ここで論戦を構えるのが第二ラウン
ドということになる。有権者はここの論戦をしかと見て、小泉マニフェストの検証・
政権審判の一票を参院選で投じる、てぇことだな。

(次号へ続く)
・・・民主党の対案がまとまり、年金をめぐる論戦は「第二ラウンド」に入ります。
マニフェストで政権を業績評価する、政権をうかがう野党はそれを通じて自らの政権
担当能力を深める。「年金」という一番関心のあるテーマを軸に、マニフェスト・サ
イクルを次の一歩へと進めることが実践的に問われています。

□◆□ お知らせ □◆□

□ 第56回 定例講演会
「東アジア情勢をどう考えるか」
4月19日(月)18時30分より  総評会館203室
講師 李鍾元 立教大学教授
台湾総統選挙、韓国総選挙、さらには北朝鮮問題や経済大国中国の存在感や米中パ
ワーゲームの展開など、東アジア情勢を考えるための問題整理をしていただきます。
なお当日は、参院選東京選挙区に立候補予定の「村田蓮舫さん」(民主党公認 元
キャスター)がごあいさつに見える予定です。
会員1000円/一般2000円

□ 第37回 東京・戸田代表を囲む会
「一期生議員を囲んで」
4月22日(木)18時30分より
ゲストスピーカー  馬淵澄夫議員、笠浩史議員
コメンテイター 手塚仁雄議員
総選挙から半年。初当選を果たした新人議員お二人に、議員としての活動や感想、地
元での日常活動などについて、ざっくばらんにお話しいただきます。
同人会員2000円/購読会員3000円(夕食付き)

□ 「がんばろう、日本!」国民協議会 第三回大会
昨年は総選挙のため、全国的な催しは見送りました。02年10月の第二回大会に続く、
三回目の大会です。
5月23日(日)13時より
砂防会館
○基調講演とシンポジウム 13時より18時 2000円
日本再生の戦略と政治意思を
〜リーダーの矜持とフォロワーの決断〜
基調講演 戸田政康 「がんばろう、日本!」国民協議会代表
シンポジウム 原口一博 民主党「次の内閣」大臣(規制改革など)
       古川元久 民主党「次の内閣」厚生労働大臣
       中塚一宏 民主党「次の内閣」経済財政金融担当副大臣
       長島昭久 民主党「次の内閣」安全保障担当副大臣
       中西寛  京都大学教授
       添谷芳秀 慶応大学教授
       飯尾潤  政策研究大学院大学教授
       福嶋浩彦 千葉県我孫子市長
○懇親会  18時30分より  5000円

□ 第19回 千葉・戸田代表を囲む会
4月25日(日)13時30分より  船橋グランドホテル 1500円
田中明・千葉県議・民主党千葉県連幹事長ほか

□ 戸田代表を囲む会in京都
4月26日(月)18時30分より パルルプラザ京都
古賀敬彰氏(参院選比例区予定候補・民主党公認)ほかの参加を予定。


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石津美知子 ishizu@ganbarou-nippon.ne.jp
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