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無党派が目覚めるとき、政権選択選挙の扉が開く
■目覚めよ、無党派! 政権選択選挙の扉を開けて、「半分の民主主義」から
政権交代のある「当たり前の民主主義」へ!
■政権選択はあなたの人生設計の選択だ〜マニフェストの読み方

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無党派が目覚めるとき、政権選択選挙の扉が開く
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■目覚めよ、無党派!
 政権選択選挙の扉を開けて、「半分の民主主義」から政権交代のある「当たり前の
民主主義」へ!

熊     連休中の世論調査の結果を、各紙がいっせいに発表した。カギは結局
「無党派」だ。ここにどう働きかけるか、ここの勝負が決まっていないから、自民党
のほうも「確実に」読める数は、解散直後とほとんど変わっていない。

八     小泉総理みずから「自民党政権か、民主党政権か、政権交代のかかった
選挙だ」というくらいだから、一応、無党派というところでも「二大政党」という流
れに対する抵抗感は確実になくなっている。問題は、そこに政権選択を迫る、までの
組織戦の迫力が自民党も民主党も「力不足」だということだ。
自民党の作戦は無党派を狙って、小泉・安倍の二枚看板がフル回転ということだろ
う。

熊     政権選択を迫る、その会話や訴えができていない度合いに応じて、ポ
ピュリズムに流れるわけだ。カメラ付き携帯パシャパシャのポピュリズムか、「○○
叩き」のポピュリズムか。そうなると終盤戦では、一番確実(と思える)学会票の取
り込みに全ての目がいく、ということにならぁな。

八     固定票の奪い合いになれば、無党派は意識のあるほうほど嫌気がさす。
選挙に「関心がある」は全体としては前回より5ポイント高い(71→76)が、無党派
に限ってみると前回並み(前回57、今回58)で、「必ず投票に行く」は前回の67に対
して今回は63と、むしろ低くでている。(数字は読売11/4)

熊     どうも無党派というイメージがブレているんじゃないか。一概に世代で
言うのも正しくはないが、だいたい50代以上で「無党派」というなかには相当、根無
し草が入っている。これを相手にしていたんじゃ、だめだ。

八     要するに、高度成長を「成功物語」として何の疑問もなく受け取れる世
代と、そうでない世代とでは、生活感覚がまったく違うということだ。
あるコンサルタント会社の試算では、33歳会社員の夫と31歳の妻が都内で子育て、住
宅取得、貯蓄などをして平均寿命まで生きた場合、生涯の収支決算は1123万円の赤
字、という結果がでたそうだ。長期では経済は成長軌道、妻は下の子どもが小学校入
学後、60歳までパート(年100万円)を続けるという見込みで、だ。こういう人生の
総コスト計算を、何も考えずともやってこれた世代と、考えなければ人生設計の選択
ができない世代とでは、政治に対する感覚はまったく違う。ここの「変えたい」「変
えなきゃ」を政権選択のエネルギーにできるか。

熊     「投票に必ず行く」は70代では84%、20代では52%だ。これで「日本再
生のための選択をした」と言っていいのか。20代から40代前半まで、ここのところに
「政権選択はあなたの人生設計の選択だ」と訴えて、投票所に行かせられるかが勝負
だろう。50代以上で、モノが分かっている部分は、そこのサポート役として役割を果
たせ、ということだ。

八     森総理は「無党派は寝ていてくれればいい」と言ったが、小泉総理は
「無党派に支持されなければ」と言っている。問題は、無党派の「目覚めさせ方」だ。
絶叫やパフォーマンスで街頭に集める、「好き嫌い」で選ばせる。これで政権選択に
なるか、ということだ。政権交代のない民主主義は「半分の民主主義」だ。これを卒
業するためには、無党派が政権選択に主体的に参加しなければならない。

熊     終盤戦は、どちらも「無党派対策」つまりは無党派の「起こし方」だ。
パフォーマンスや「人気」「イメージ」作戦では、無党派は目覚めない。参院埼玉補
選の投票率は27.5だ。20代から40代前半の無党派―人生設計と政権選択がリンクする
・せざるをえない無党派層に投票所に行かせることが、政権選択選挙の扉を開けるカ
ギだ。

八     この選挙が曲がりなりにも、政権選択選挙となれば、政党政治の風景は
大きく変わる。そのためにも投票率は最低、65%以上が必要だ。そして過半数を制し
た政党が政権につくのは当然だが、仮に過半数に満たなくても、第一党が政権に責任
を持つという原則を明確にする必要がある。

熊     つまりあれだな、民主党が第一党になったときには、(与党統一マニ
フェストで戦っているのでない以上)自民と公明を足せば過半数なんていう屁理屈を
こねるなってことだな。それと、例え前回より議席を減らしたとしても、自民党が第
一党なら「小泉降ろし」なんていうおかしなことはするなってことだ。

八     そういうことだ。今回の選挙は、自民も民主も国民との契約であるマニ
フェストを掲げて、「小泉か、菅か」、国民に選択を問うものだ。選挙後は第一党の
政権公約がきちんと実行に移される政権の体制をつくることが最大の課題で、政権公
約に責任を追っていない「第三の人物」が出てくるのは無責任政治への逆戻りだ。

熊      国民に選択を問うている時に、選挙後の連立や勝敗基準についてあれ
これ言うってのも、政権選択の意味をあいまいにする無党派への目くらましってわけ
だ。

目覚めよ、無党派!
 政権選択選挙の扉を開けて、「半分の民主主義」から政権交代のある「当たり前の
民主主義」へ!

■政権選択はあなたの人生設計の選択だ〜マニフェストの読み方
《経済》
八      無党派層がもっとも関心が高い政策は、「景気」と「年金」だ。どちら
も生活設計に直接関連する。

熊      安倍幹事長はどこでも「改革の成果が経済回復に結びついている」
と、失業率やら名目成長率やらの数字を並べ立てているが、さすがに「現場の実感」と
は違うから、冬柴や二階が「たしかにそうだが、地方や中小はまだ厳しい。ここへの
手当てを」とフォローせざるをえない。そこに社民や共産が「弱いものイジメだ」
「弱肉強食だ」と批判する。この構図には、「人生設計の選択」という意味が分かる
無党派は、入っていない。

八     雇用問題でも、例えば「小泉政権はこの間に200万人の雇用を実現し
た」という。社民・共産は「増えた分は大半は非正規雇用。若者の失業率は高くなっ
ている」と批判する。小泉・安倍は、その意味が分からないから動揺もしないが、冬
柴・二階あたりは「まだ改革の成果がでたばかりで、雇用のミスマッチがあるから」
と言い訳に走る。ここから、どちらのほうが「弱者対策」をちゃんとやるか、という
話になっちまう。これでは「選択」という意味が分かる無党派は、いやになるだけ
だ。

熊     早い話、ジリ貧になっている終身雇用制を前提にして、どこに手当てす
るかという話だ。社民・共産はここで、既得権批判をして税金をよこせ、といってい
る。一方で既得権の枠内での手当てはもう破綻しているから、結果として「雇用なき
回復」ということになる。亀井さん流に言えば、「小泉さんが焼け野原にしちまった
んだから、ペンペン草くらいは生える」という話。

八     「200万人の雇用を実現した」というのはまさに、「雇用なき回復」だ。
これは、日本型社会主義からの転換を先延ばしにし続けた結果の破綻のツケだ。「雇
用なき回復」をどう断つか。ここを問うべきだ。「雇用なき回復」を断つ可能性は、
自民党のマニフェストか、民主党のマニフェストか。

熊     例えば数値目標として「名目成長率」を挙げるか、「失業率」を挙げる
か。これはじつはだいぶ違う。名目成長率は計算方法でいろいろ操作できる数字だ
し、輸出が伸びてもプラスになる。失業率はもっと生活実感で分かる数字だ。

八     子育て、介護の不安への手当ても、「弱者対策」ではなく、「将来不
安」の軽減→消費マインドの向上と同時に、産業構造の転換(ヒューマンサービス分
野へ資源配分を大きくシフトする)を視野に入れている。これは、パート待遇の改善
などともあわせて、旧来の終身雇用を前提としたライフスタイルからの転換も内包す
ることになる。「待機児童ゼロ」(小泉マニフェスト)など、個別対策のパッチワー
クではこうしたものは見えてこない。

熊     「雇用なき回復」を断つということは、旧きよき終身雇用制にしがみつ
くことではない。多様な働き方によって著しい不公正が生じない、そういうシステム
にするということだ。そこへの可能性が見えてくる、その糸口になるのは自民、民主
どちらのマニフェストなのか。

《年金》
八      年金じゃ、もっとはっきりする。自民党と公明党は現在の制度・仕組
みを前提にした手直しだ。そのうえで、「基礎年金の国庫負担分を現在の三分の一か
ら二分の一に引き上げる」ための財源(約2.7兆)を明示しているのが公明党(減税
の段階的低下=増税で)、財源をあいまいにして「任せてください」としか言ってい
ないのが自民党だ。

熊      年金制度に対する信頼がもっとも揺らいでいるのは、若年世代が「保
険料を払っても自分の時にはもらえない」と思っているからだ。厚労省は、75年以降
に生まれた世代でも2倍の給付はあるというが、03年度の経済財政白書では、70年以
降に生まれた世代は払った保険料より受け取る年金のほうが少なくなると試算してい
る。
政府部内でも、お互いに都合のよい前提条件で勝手にやっている、というわけで、ひ
とつはそれをまとめる能力が、「丸投げ」ばかりの小泉さんに出来るのか、というこ
と。
そしてもっとも大事なことは、35歳以下の世代が信頼できる制度にするには、どうす
るかということだ。

八      それが、現在の制度の手直しで可能なのかどうか。民主党の提言は、
そこの問題提起なわけだ。ジリ貧と誰もが分かっている制度を、なんとか手直しして
持たせていくのか(それで持つのか)、今のうちに思い切って、もっと信頼できる制
度に変えるのか(当然、移行過程には相当の時間をかける)。50以上の世代も、自分
のことだけでなく、次の世代にも維持できる信頼しうる制度とは何か、と考えるべき
だ。現役責任世代が「自分の食い逃げ」しか考えないようでは、その社会・国は滅び
るしかないからな。

《外交》
熊      もうひとつ物足りないのが外交だ。たしかに政権を争う分野は内政が
主軸になる。しかし、イラク問題でもこれだけ世界が大きく動いている時に、日本の
顔がはっきりしないというのは、やはりどうかな。

八      どうも「アメリカへの態度」で外交を議論したつもりになるってぇ、
55年体制の習慣が抜けきれていないところがあるな。たしかにアメリカの存在は大き
い。大きすぎて、これとどう付き合うかは、世界中どの国にとっても大問題だ。だが
同時に、おれらは東アジアってところにいる。ここから引っ越すわけにゃいかない。
ここでどう生きるか。北朝鮮のこともあるが、中国っていう、もうひとつの大国と
も、うまくつきあていかなけりゃならねぇ。ここの舵取りが見えているのか、いない
のか。

熊      東アジアでどう生きるか。このことが視野に入っての日米基軸か、
入っていなくて「日米基軸」か。ここの見極めがひとつ、肝心だな。台頭中国を含め
た東アジアと向き合う、ここで生きる、だからこそ日米同盟を再設計しなければなら
ない、というのと、そこのハラを決められない弱さで「日米基軸」を言うか。

八     象徴的に言えば、中国とのFTAまで視野に入れて肚を決められるか。だ
からこそ日米同盟をより成熟させるために再設計と言えるか。残念ながら、自民党も
民主党も、東アジアのFTAについては「積極的」という以外、具体的には触れていな
い。

熊     FTAで最大の問題になるのは農業だ。東アジアのFTA―東アジアで生き
る、ここでどうメシを食うか、という肚がすわって、農業問題を扱うのと、この肚も
展望もないから農業保護を言うのとでは、全く違ってくる。これと「日米基軸」の思
考停止とは、つながっているんじゃないか。これで果たして国益を実現できるのか、
ただの個別利権にしがみついてるだけじゃ、外交の「が」もへったくれもない。

八    東大の北岡伸一先生がこう言っている。「(自民、民主)両党のマニフェ
ストを、外交安保政策を中心に総合的に評価すれば、自民党のほうが安定感はある。
しかし目標を掲げても、なかなか実行しないのが自民党である。例えばマニフェスト
のなかに、防衛庁を防衛省にするとある。それはそれでよいが、今まで両院の多数を
持っていて、なぜやらなかったのか、説明すべきであろう。
民主党は文言に不安が残るが、外交は内政と違い、トップが決断すれば相当のことが
できる。その点、自民党のような業界と結びついた抵抗勢力は相対的に少ないので、
民主党政権のほうが速やかな改革を進めることもあるかもしれない」(読売11/3)

熊     政権選択というのは、こういう感覚じゃないのか。「執刀経験がない」
と自民党は民主党を批判するが、政官業癒着の執刀経験なんか、ないほうがかえって
いいんだ。そのくらいの「選択する勇気」を有権者自身が持つことだ。このままでは
ジリ貧だと分かっていて、そのうえ今回ははっきり選択肢もあるのに、ここで見送っ
たら、無党派が日本再生のチャンスを潰したということになる。

八     政権選択の一票に、目覚めよ、無党派!



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石津美知子 ishizu@ganbarou-nippon.ne.jp
民主統一同盟 「がんばろう、日本!」国民協議会
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