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メルマガ♯がんばろう、日本!         54(03.10.27)
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マニフェスト選挙は力勝負!
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マニフェスト選挙は力勝負!
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熊    参院埼玉補選は残念だったなあ。何と言っても27.5という投票率の低さが
致命傷だ。関口と島田の差は1万2千。投票率にすりゃ、0.2ポイント分だ。都市部で
の投票率を、あと1ポイント上げられていりゃ、十分勝てた。ここのところで、「最
後のふんばり」が効かなかったわけだ。

八    県知事選と比較してみると、よく分かる。県知事選の投票率は、全県平均
では35.8、ところが、さいたま市では38.1と3ポイント上回っている。今回の補選で
は逆に、さいたま市は25.4と全県平均を2ポイント下回った。その分、郡部の投票率
は平均より高かったということになる。

熊    各地で、マニフェストに対する反響が大きいという報告がきている。特に
都市部では、「マニフェストあります。お持ちください」と置いておくと、次々に
持っていく。とくに不断はあまりビラを受け取らないような若い女性や茶髪の若者、
子ども連れの若い母親なんかも取りに来る。知り合いにもみせるからと、複数部持っ
ていく人もいるってぇんだな。問題はこういう「政策への関心」を、どう実際の投票
行動に結びつけるのか。ここの力不足ということに尽きる。都市部での投票率を、あ
と1パーセント上げる、その底力、ふんばり、必死さを有権者に伝えられなかった。

八    反対に、与党陣営は必死だった。具体的に失うもの(既得権)があるから
な。これも県知事選との比較で言えば、知事選では自主投票だった創価学会が、今回
はとくに終盤戦にフル回転した。当然、今度の総選挙で公明の比例票をそれなりに出
す、というバーター取り引きだ。まあこれで、いよいよ自民党は公明・創価学会なし
には選挙を戦えない政党になったわけだ。

熊    だから自民党だって「薄氷の勝利」ということは十分意識している。総選
挙での選挙区での自民党の得票は、1993年には2300万、1996年は2180万、2000年には
2100万と減り続けている。2000年は自公で戦っているから、400万の公明票が流れて
こんでいるわけで、それを差し引けば結局、選挙の度ごとに自民党は100万票近くを
減らしつづけているわけだ。その分を必死で、公明・創価学会票で支えている。とこ
ろが比例では公明に票を流すわけだから(「選挙区では自民党候補、比例は公明」と
いう選挙運動)、比例での復活当選もますます難しくなってくる。骨粗相症みたいな
もんで、スカスカだ。こうなりゃ下手に選挙協力なんかしないほうがいいと、自民党
神奈川県連なんかは、公明の推薦をぜーんぶ断っちまった。

八    問題は、そういう与党の必死さを上回る必死さが、民主党にあるのか、有
権者に伝えられているのかってことだ。マニフェストは、たしかによくできている。
いろいろ注文もあるが、自民党に比べりゃまじめにきちんとやっていることは分か
る。だから有権者も、手にとってみてみようと思うし、期待もするわけだ。問題は、
その先なんだ。

熊    やはり「政策」と「人」だ。政策をどんなに「分かりやすく」書いても、ある
いはビジュアルを工夫しても、結局それを伝えるのは「人」だ。候補者であり、事務
所スタッフであり、支持者なんだ。もちろん、党首のテレビ映りや発言は大事だ。と
くに新人候補の場合には、それで票が動くことだっておおありだ。でもそういうこと
にばかり目がいったのでは、肝心なことを忘れちまうことになる。

八    女性に無人気がない、フェロモンだなんて言っているようじゃ、話になら
ない。安倍や小泉の街頭演説に群がって、カメラ付き携帯をカシャカシヤやっている
オバサンたちの気を引こうとして「女性対策」なんて考えてるんなら、勘違いもはな
はだしいぜ。今度の補選だって、安倍・小泉の「二枚看板」効果なんかじゃない。徹底
した組織戦、その必死さでようやくの「薄氷の勝利」なんだから。

【男女別の投票率を見ても、今回の補選では男28.6/女26.3 県知事選では男35.9/
女35.6。「女性に人気がない」という前に、「どういう女性層に人気がないのか」
「どういう女性層は関心を持っているのか」をきちんと考えるべし。】

熊    投票率が30を超えれば勝てるというのはそうだろうし、総選挙では補選よ
り投票率が上がるから有利だ、というのもそのとおりだ。だが、投票率が上がるのを
待っていたのでは、勝てない。マニフェストへの関心はたしかにものすごく高いが、
それを投票行動に結びつける活動がなければ、上滑りして、結局、超低投票率の世界
での勝負になる。

八    県知事選のときには、投票した人のうち、無党派(支持政党なし)が32
パーセント、自民支持が31パーセント、民主支持が17パーセントだった。それが今回
の補選では、無党派が20パーセントに急落、替わりに自民支持が37、民主支持が25と
なっている。それだけ、いわゆる支持政党なし層の棄権率が高かったということだ。
そして投票した無党派は、半分以上が(男女とも)島田候補に投票している。
マニフェストに関心はあるが支持政党はない、という層にどう投票所に足を運ばせる
か、ここの組織戦が圧倒的に足りないんだ。

熊    向こうの必死さは、既得権を失うまいとする必死さだ。具体的な利害が見
えているからこその、必死さだ。こっちの側にそれを超える必死さがあるか? 「自
分たちの国、社会に責任をもとう」という主権者としての必死さで有権者を動かせる
か、ここの力勝負なんだ。

八    ベビーカーを押してマニフェストを取りに来る若い母親や夫婦に、「子ど
もたちの未来に主権者として責任をもつために、このマニフェストをいっしょに実現
しましょう!」とまっすぐに訴えるべきなんだ。あるいは、自分たちの老後よりも
孫、子の代にツケを残すわけにはいかないと年金を心配する高齢者に「いっしょにこ
のマニフェストを実現して、少しでもよい社会を次の世代に残しましょう! そのた
めにいっしょに働きましょう!」と正面から訴えるべきなんだ。候補者・政党=政策
をつくる人、有権者=選ぶ人、という図式に乗って「高みに立って」政策を訴えるの
ではなく、「主権者」としてともにこの国をよくするために、私たちの社会を建て直
すために、このマニフェストをいっしょに実現しましょう、と語りかける必死さ、真
剣さだ。

熊    既得権にしがみつく必死さではなくて、パブリックの主権者としての必死
さをどう訴え、伝えられるか。マニフェストにはこんな「いいこと」が書いてありま
すということではなくて、「これは私たちの問題です、あなた自身の、あなたの子ど
もたちの未来に関わる問題です」と訴えるパワーだ。

八    道路公団の廃止・高速無料化や、年金問題、郵政などについて、「正確
に」マニフェストを説明できることは、もちろん、必要だ。マニフェストを理解して
いなかったり、それと違うことや反対のことを平気で言っているようじゃ、あれこれ
言う前に失格だ。だが、マニフェストは政党が有権者に提示するものだが、それを実
現するのはやはり、有権者なんだ。候補者に、主権者の一員としての自覚、責任意識
の裏打ちがあるか。バッジをつけようとする主権者として、バッジをつけずに務めを
果たそうとする主権者(フォロワー)に語るという資質、活動スタイルがどこまであ
るか。マニフェストの伝え方が問われる。

熊    マニフェストにはたしかに大きな反響がある。驚くくらいだ。ようやく、
人気ではなく政策で選ぼうという気運は高まっている。しかしそれは鍛えられたもの
ではない。まだ漠然としたムードなんだ。放っておいたら、行動には結びつかない。
だから「有権者の試練」なんだ。それを候補者も、「主権者の一員としてともに責任
を果たそう」と、どこまで訴えられるか。小選挙区では最後は、候補者同士の勝負
だ。とくに二大政党の流れができている今回は、民主党のマニフェストと地元の候補
者がどこまで合致しているか、それを「内容の正確さ」はもちろん、「見た目」だけ
ではない、主権者としての真剣さや必死さとして増幅して伝えられるか、だ。

八    いよいよ明日は開戦だ。与党には厳しく業績が問われるが、野党は所詮と
いってはなんだが、期待値だ。「お任せ」の期待値ではなく、主権者の一員としての
期待値・「われわれの代表」としての期待値を確実に組織することだ。

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石津美知子 ishizu@ganbarou-nippon.ne.jp
民主統一同盟 「がんばろう、日本!」国民協議会
http://www.ganbarou-nippon.ne.jp
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