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メルマガ♯がんばろう、日本!         No.36(02.8.1)
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▼index
 ■ 経済再生を妨げる、お上がカネを吸い上げ、バラまく仕組み
□ 改革幻想、中身は国民負担増大で、経済を萎縮させるだけ
□ 国民の懐からお上への“強制貯蓄” 
□ 国家が民間のカネを吸い上げ、バラまく/特別会計のブラックボックス
□ 政官業癒着の温床の改革こそマーケットの要請
  
 ■お知らせ

今回は、同人会員でアナリストの作田氏のレポートを基にしています。

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■経済再生を妨げる、お上がカネを吸い上げ、バラまく仕組み
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□改革幻想、中身は国民負担増大で、経済を萎縮させるだけ

 小泉内閣が支持率を若干持ち直したとの各紙の調査結果がでています。その理由の
第1が「小泉首相に替わる人が見当たらない」となっているようです。
 しかし小泉首相の政治手法については、改めて言うまでもなく、「現在進行形の名
人」であり、「改革幻想を作る人」であり、次々と花火を打ち上げてはいるものの、
一見やっているように見えては、成果がひとつとして出していません。「改革は進ん
でいる」との幻想を国民に与えているだけで、まさに改革幻想をふりまき、現在進行
中と称して成果をゴマカスわけです。

 今回の「1兆円減税の指示」などは、まさにやるべきことをしないで、あたかも国
民の為に何かをしているかのポーズをしているにすぎません。支持率を維持すること
に全力を傾ける手法は、あのハンセン病訴訟の公訴取り下げであり、今回も「住基
ネットワーク」の8月5日実施を直前になって延期するような政治判断をして、その
決断を国民にPRしようとするかも知れません。しかしこのいずれも、もともとが国
が法律違反をおかしているのであり、それを取り止めるのは当然であることを、あた
かも素晴らしい決断をしたかのようなポーズをとるという政治手法なのです。

今国会での医療制度改革を例にとってみても、小泉首相は「患者、医療機関、保険加
入者の三方一両損」などと説明していますが、実際は患者と保険加入者は同じだから
奇弁もいいところで、自己負担が2割から3割になり、しかも保険料も年収ベースに
切り替えられ、医者にかかろうがかかるまいが、標準世帯でこれまでよりも2万円も
多く負担しなければならなくなるのです。

□国民の懐からお上への“強制貯蓄” 

 小泉内閣の実施していることは、国民の負担がふえることばかりであり、経済を上
向かせる対策というより逆に萎縮させてしまうことばかりです。国民の懐を潤わずし
て、国家経済の繁栄はあり得ません。

 小泉内閣は「改革」を言うものの、日本経済の仕組み(=構造)のどこに問題があ
るのか、そしてその病理を的確に判断し、そこにメスを入れるということは全くやっ
ていません。

 小泉首相が政治生命をかけている(ポーズ)郵政民営化も、自ら私的に設けた「郵
政3事業の在り方について考える懇談会(田中直毅座長)」の報告書の集約が難航し
ています。座長の田中氏が、@郵政公社を郵便局運営会社に民営化する A郵貯・簡
保は廃止・縮小するとの持論を提案しているものの、他の有識者メンバーの反対で、
民営化への牽引役は期待できない状況になっています。郵政民営化ですら何もできな
いことは、道路公団において「改革派」の猪瀬氏を入れても全く何もできないことは
あきらかです。

 日本が持続的に経済成長を続け、国民所得を向上させていくためには、個人消費を
どう拡大させるかという視点が絶対必要です。しかし、この重要な点で政府の経済対
策の議論が決定的に抜けているわけです。
 個人消費を拡大する為のキーワードは「国民負担をいかにして減らすか」というこ
とで、この長期ビジョンを作り上げることです。

 税金や保険料の引き上げや公共料金等の支出の増大は、消費に回せる可処分所得の
低下につながることはいうまでもありません。まして、給与所得が伸びていない状況
で、これらの引き上げは不況を悪化させることになるのは当然です。
 そこで、第1にとるべきことは、租税と社会保障負担をあわせた「賦課方式」に切
り替えて、余計な“強制貯蓄”をやめるべきです。

□国家が民間のカネを吸い上げ、バラまく/特別会計のブラックボックス

 小泉首相の構造改革は80兆円の一般会計の中身にばかり目が向いて、もっと大き
な特別会計という政府の財布には全くメスを入れていません。
 単純加算で年間370兆円の特別財政こそ問題で、重複を除いても一般会計と特別
会計の合計額は300兆円になります。GDPが500兆円、国民所得が380兆円
の国で、これだけの巨額の資金を国家が吸い上げたら、民間の設備投資も消費も伸び
るわけがないわけです。

 この特別会計予算の総額は、1985年は一般会計の2倍程度でしたが、現在は約
5倍にまで膨らんでいます。特別会計は全部で37あり、その中で金融関係は「郵貯
特会」、保険関係は「簡保特会」「厚生保険特会」等12もあります。これら特会と
関連して政府は、郵便局では郵便貯金・簡保保険を扱い、医療保険・年金・雇用保険
あるいは自賠責保険といった保険事業も行っています。特殊法人の商工中金、農林中
金は独自のワリショー、ワイノーなどで資金を集め、さらに各種共済組合、農協、漁
協、健康保険組合といった認可法人も預金や保険料を集めて積み立てています。

 この実態をみれば、日本政府は「世界最大の金融機関」であり、政府の郵便貯金は
240兆円の預金額を誇り、これは日本最大の民間銀行の1.5倍で、政府の金融保
険事業全体の資金量は民間の金融保険の資金量900兆円に匹敵するのです。
 このうち年金保険事業は、給料から天引きされてもっていかれる、いわゆる国によ
る“強制貯蓄”に他ならないし、郵貯・簡保にしても、国の厚い補助で積極的に働き
かけ、かき集めたものです。つまり、年金や雇用保険は実は国への強制貯蓄であり、
国民にとっては税金と同じなのです。

 今日の日本の長期不況から脱出できない経済運営の構造問題の本質こそ、この国家
への資金集中であり、この“強制貯蓄”によって集められた巨額資金が、新たな産業
・企業育成といったところに回らず、目詰りしてしまい、日本経済全体の血液循環が
機能し得なくなっていることです。
 現在37にも増えた特別会計は国会の審議でロクに精査されておらず、税の使い方
は一般会計でチェックされているのとは大きく違っています。

□政官業癒着の温床の改革こそマーケットの要請

 結論からいえば、今のデフレの最大の元凶は、政府が金を吸い上げ過ぎていること
です。国民総生産の3分の2あまりの資金を国(=政府)に集中させることにメスを
入れることによって、日本経済の構造改革の道が拓けてくることはあきらかです。
 いずれにしろ、強制貯蓄をやめ、日本の貯蓄率を下げさせ、個人の可処分所得を増
やし、個人消費を刺激すべきです。逆にいえば、政府が国民から資金を吸い上げるこ
とをできる限り止めるべきです。

 現在、日本は米・英・独・仏と比べてGDPに占める政府支出は異常に多く、これ
を今後10年計画で、「特別会計」を廃止又は、縮小し、諸外国並みにしていく必要
があります。年金の積上げは、広く薄く皆で負担する税金による賦課方式に改めるこ
とを進めるべきです。
 “強制貯蓄”による巨額の特別会計が、民間の経済再生を妨げている最大の元凶で
あることがはっきりしている以上、構造改革の第1にすべきことは、郵貯・簡保の廃
止・縮小であり、この強制貯蓄のシステムを解体していくべきなのです。

 年金・簡保など、隠れた税金での「特別会計」の欺瞞を打ち破り、国民一人一人が
この構造問題を意識することで、真の「構造改革」に向けた国民運動につなげていく
べきで、政・官・業癒着の温床といえるこの「特別会計」への切り込みという改革推
進をマーケットは1番要請しているわけです。

□◆□ お知らせ □◆□
□第42回定例講演会
「政治の構造改革と政権交代の基盤整備」
講師・飯尾潤氏(政策研究大学院大学教授)
9月11日(水)午後6時30分より
日本青年館 502室
参加費・会員1000円/一般2000円

□第15回 東京・戸田代表を囲む会
ゲストスピーカー・齋藤健氏(ちくま新書「転落の歴史に何を見るか」著者・経産省
官僚)
8月10日(土)午後6時30分より
「がんばろう、日本!」国民協議会 事務所(市ヶ谷)
参加費・同人会員は無料/その他1000円

□『日本再生』280号・発売(300円)
第41回定例講演会「外務省改革と対ロ外交の再構築」 
兵藤長雄・元外務省欧亜局長 原口一博・衆院議員 達増拓也・衆院議員
「韓国の構造改革と日韓自由貿易」 深川由紀子・青山学院大学助教授
沖縄レポート ほか

□「がんばろう、日本!」国民協議会 第二回全国大会
政権交代のための国民主権の波を!
2002年10月27日(日)   砂防会館
記念シンポジウム  午後1時より6時より(開場 12時30分)
 基調提起  戸田代表「保守したければ改革せよ―改革保守としての矜持を」
 記念講演  李鍾元 立教大学教授「日韓関係の新ステージと東アジアの未来」
パネルディスカッション 「われわれの政権交代戦略」
        松沢成文、達増拓也、原口一博、武正公一、細野豪志、大塚耕平
        古川元久 中塚一宏(各衆参若手議員)ほか
懇親会   午後6時30分より


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石津美知子 ishizu@ganbarou-nippon.ne.jp
民主統一同盟 「がんばろう、日本!」国民協議会
http://www.ganbarou-nippon.ne.jp
TEL:03-5215-1330 FAX:03-5215-1333