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メルマガ♯がんばろう、日本!         ・32(02.5.12)
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▼index
 ■ 自民党政治の“終わりの終わり”
   □「たるんどる」
   □ あのカネはどこへ行ったのか
   □ 政権交代にむけた予行演習として、今秋の補選を準備しよう

 ■お知らせ
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  ■ 自民党政治の“終わりの終わり”
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□「たるんどる」
 
熊   瀋陽の日本領事館の一件、ありゃあなんだ。中国側の対応は明らかに
    主権侵犯だが、日本側はオソマツきわまりない。現場の職員が「傍観」
 
    している様子が、世界中に放映されちまったし、現場が現場なら首相
    の第一声も「よく調査して慎重に対応しなさい」(8日夜)だ。さすが
    にこれではマズイということで、翌日になって一転して「抗議」。中
    国は、副領事の同意を得て中に入った、領事館員の安全確保のための
    責任感からの行動(守ってやった)と主張しているが、あれでは武装
    警官が中に入るのを黙認した、というほうが自然なくらいだ。恥さら
    しにもほどがある。
八   韓国メディアでは、「亡命者はアメリカやスペイン公館では保護され
    たのに、日本領事館では引きずりだされるのを黙認された」と報道し、
    先に亡命した親族は会見で、「日本には尊厳がないのか」といってい
    る。日本は人権に対してオソマツきわまりないってことが世界にさら
    されちまったわけだ。おまけに「主権侵犯」に対しても、まったくの
    アホだと。これこそ国辱ものだよ。しかも外務省は通信社の報道で知
    ったっていうんだから、あきれ返るのオオガエルだ。NGOは事前に
    知っていたんだろ? 最近は、北朝鮮亡命者が中国にある外国公館や
    国際機関へ「駆け込む」という事態が何度も起こっているのに、およ
    そそういうことなんか、実感がないんだろうな。平成無能官僚も、こ
    こに極まれりだ。
熊   ようするに「当事者意識」ってものがまったくないんだ。だからすべ
    て「他人事」。それじゃ、「悪いことと知りながら…」じゃなくて「何
    が悪いことなのか分らない」ってことになるのは当然だし、ましてや
    職責とか公務なんてことは「別世界」のことにならあ。
八   塩川大臣や小泉総理は、みずほのシステムトラブルに対して「たるん
    どる」とのたまったが、これこそ「たるんどる」としか言いようがな
    い。でも当事者意識がないから「他人事」のような発言しかでてこな
    いや。みずほの問題だって、たしかにみずほの経営陣の責任は大きい
    が、総理の発言は、金融という日本丸の機関室でトラブルが起こって
    いる時の「船長」しての発言とはまったく言えない、「他人事」だも
    んな。
熊   当事者意識がない、という点では、小泉内閣の閣僚は見事に一致して
    いるよ。だから公約や政策がグヂャグヂャになっても、まったく苦に
    しないという底抜けなんだ。これじゃ「責任」なんか問うたって、「ア
    ッチ向けホイ」だよ。
八   当事者意識のなさといえば、有事法制の審議も無残なもんだ。法案が
    欠陥だらけ、というのはそのとおりだが、与党のほうには「これが重
    要法案だ」という姿勢が全く見られない。本会議では与党席はガラガ
    ラ、委員会では「有事の際にいちいち所管省庁に『通知』をしていた
    ら間に合わない。『やむをえない場合は事後で』と修正すべき」とい
    う枝野議員の追及に「大変危険な提案。対案を出してほしい」と。ま
    ったくの「他人事」だ。
(縦割り・官の論理を温存したまま「有事」に対応できるのか、という枝野議員
の法案批判については、『日本再生』277号掲載のパネルディスカッションを参
照)
熊    そもそも日本有事という「一番ありそうもないシナリオ」から法整
     備に入っているところに「無理」があるが、それにしても「主権国
     家として有事に対応する法制がなかったことこそが問題で、なんと
     かしなければならない」という当事者意識のカケラすら感じられな
     いところが、最大の問題だよ。
ご隠居  その「無理」は、戦後そのものに起因しておる。村田晃嗣先生の講
     演(277号)にもあるように、60年安保の時の岸の決断は、本来
     なら憲法を改正し、再軍備をして、日米安保を対等なものにすると
     いうところを、憲法改正はとても無理、再軍備も困難、一番ハード
     ルの低い日米安保改定がやっと、というものだった。一方革新のほ
     うも、最大目的は憲法改正阻止、安保反対はそのための戦術という
     位置付けだったから、保革どちらも「憲法には手をつけない」とい
     う「暗黙の合意」ができたわけじゃ。そうでなければ、あれだけ国
     論を二分するような騒動のすぐ後に、「所得倍増」で翼賛的にまと
     まるということにはならん。
     要するに、憲法には手をつけず、日米安保を時々の状況に応じて維
     持・修正しながらつなぎ、憲法については、時代が変わったときに
     国民の成熟に委ねるという「宿題」となったわけじゃ。冷戦が終わ
     って15年、ようやくその「宿題」に向き合う主体的な準備を整えて
     きたものと、いっさいないもの(頑迷な護憲と改憲・自主憲法との
     相互関係)という、新しいステージがあらわれつつあるというわけ
     じゃ。
八    防衛・安全保障については、国論を二分するような形ではなく、七
     割、八割が合意してというほうが望ましい。そういう意味では、与
     野党で修正合意という形式自体は悪いことではないと思う。しかし
     日本の今の政治は「それ以前」で、当事者意識もない与党が、責任
     放棄の上塗りで野党第一党をひきずりこもうという話だ。だから、
     「修正以前の欠陥法案」という次元ではなく、責任意識・当事者意
     識の欠如と一線を画す、ここでわれわれと彼らは違うんだ、という
     ことをはっきりさせるべきだよ。
 
□ あのカネはどこへ行ったのか
 
熊    この間、とんでもない話を聞いたぜ。長銀を引き継いだ新生銀行が、
     「不良債権処理」を錦の御旗に、いまや貸しはがしどころか、倒産
     促進銀行になってるっていうじゃないか。
八    銀行ってのは、カネを貸した相手が倒産したんじゃ、困るんじゃね
     ぇか?
熊    ところがどっこい、新生銀行は別なんだ。長銀から引き継いだ貸し
     出し先の評価が、ある割合で目減りしたら、それを「損失補てん」
     して国が買い戻すっていうオイシイ条件がついているんだ。
八    そごうで問題になった「瑕疵担保」ってヤツだな。それじゃ、貸し
     出し先を潰したほうが、新生銀行は儲かるってことじゃないか。
熊    だから、経営として成り立っている企業でも、一夜にして倒産に追
     い込まれるわけだ。ファーストクレジットに続いて宝幸水産と、立
     て続けにそれが起こっている。なにせ瑕疵担保条項の期限は2003年
     2月末だから、期間内に目いっぱい、この「特権」を行使しようって
     ことになる。昨年9月までに、新生銀行が瑕疵担保条項を行使し、
     預金保険機構に買い取らせた債権は110件、債務総額は5580
     億円にのぼっているんだとよ。
八    冗談じゃねえや。そのカネは、俺っちの税金だろーが。「瑕疵担保
     条項」を認めた金融庁の責任は重大だ。そのツケをだれがどう払う
     のか。この間の金融の責任者は柳沢さんだ、ここはきっちり落とし
     まえをつけてもらわなきゃあ。
熊    金融や経済は難しいってよく言うが、まずは「あのカネはどこへ行
     ったのか」、そいつをはっきりしてもらいてぇってことだよ。責任
     をあいまいにするための目くらましで、小難しい専門用語をグチャ
     グチャやるのはやめてもらいてぇ。
八    「第二の敗戦」からこっち、景気対策と称してぶちこんだカネは、
     百兆円だって言うじゃないか。そのカネはいったいどこに行ったん
     だ。フタをあけてみれば、鈴木・加藤・井上(参院議長)・その他
     と、公共事業の上前をはねて税金をネコババしてたって話じゃない
     か。しかもご丁寧に、ピンはね率も5%で横並びだっていうんだか
     ら、いいかげんにしてくれって言いたくならあ。
熊    これはもう、個々の不祥事というよりも、自民党政治の土台に埋め
     込まれた、なくてはならない仕組みというほかはないな。財政拡大
     で景気対策か、財政均衡で構造改革かという政策論議以前に、まず
     この癒着構造を断ち切らなければならないってのが、今の政治の最
     大の課題というわけだ。
八    そのためにも、辞任や離党で責任をあいまいにせずに、徹底して追
     及すべきだ。こういうことはもう世間が許さない、ということを永
     田町に叩き込むためにもな。オモテにでているのは個々の政治とカ
     ネにまつわるスキャンダルだが、根っこでつながっているのは、政
     治が一握りの特定の利益集団に食い物にされているってことだ。だ
     からあっせん利得罪や官製談合防止、公共事業請負企業からの献金
     禁止など、いろいろな規制も必要だが、政官業の癒着を断ち切る一
     番の特効薬は、やっぱり政権交代ってことだよな。
熊    利権・口利き政治の構造、政官業の癒着を断ち切らなければ、百兆
     円をぶち込んだって景気のカンフル効果にすらならないところまで
     来ちまった。ましてや「リスクをとって苦労するより税金に頼って
     政治に口利きしてもらうほうがいい」というモラルハザード社会が
     できちまったんだ。
八    政権が変わったからといって、すぐに不良債権が解決して景気がよ
     くなって、明るい展望が開けるっていうわけじゃない。だけど政権
     交代で、いったん政官業癒着の構造を断ち切らなければ、前へは進
     めないってことだな。
ご隠居  じゃから今は、透明性とアカウンタビリティー、責任と信頼をめぐ
     って、政治的対立軸が走っていると言うのじゃよ。不良債権にしろ
     有事法制にしろ、具体的な解決方法・政策に、与野党でそれほど大
     きな違いがあるというわけではない。問題は、われわれのほうが透
     明性とアカウンタビリティーが格段に担保されるんだと、野党が明
     確に示せるかどうか、いわばこの「体質の違い」をどう表現できる
     か、なのじゃ。
熊    よく民主党はバラバラだという声を聞くが、じゃ自民党はどうなの
     かって言えば、総裁選で小泉の選対をやった議員が、郵政民営化反
     対の先頭にたって旗を振ってるというのは、どう考えたって透明性
     とアカウンタビリティーの欠如だよな。ここの違いをどう表現する
     かが、信頼をどこから再構築するかってことにつながってくるわけ
     だ。
八    自民党は鈴木問題について、議員を辞めるかどうかは本人が決める
     ことっていうが、問われているのは「鈴木は辞めるべきだ」と言え
     るのか、言えないのか、言いたくないのかってことなんだ。それを
     この期に及んで「出処進退は本人が決めること」というのは、無責
     任を越えて、同類だから言えない・言いたくないってことだ。こう
     いう「体質」が根本的に違うってことだな。
 
□ 政権交代にむけた予行演習として、今秋の補選を準備しよう
 
八    小泉政権は、支持率低下でますます求心力がなくなっている。スキ
     ャンダル続きで、補選も負けた。いよいよ総選挙も近いのか?
ご隠居  まぁあせるでない。解散・総選挙の場合は、小泉が投げ出すという
     シナリオじゃが、それはまずなかろう。「自民党をぶっ潰す」と絶
     叫したところで、所詮「コップのなか」(青木・参院幹事長)とい
     うのは、はじめから分かっていることじゃ。政局運営の節目では森・
     青木と相談して、というのは一貫しておる。最近も、会期延長―内
     閣改造で話をつけるという線で動いておるわな。
熊    でも、石原新党っていう目くらましもありうるんじゃないですかい?
ご隠居  まぁ石原さんもバカじゃないからのぅ。首長の実績は二期で出す、
     というのが基本じゃからな。それを途中で放り投げて担がれて、成
     り立つ計算かどうかくらいは分るじゃろ。あれは息子(伸晃)が言
     ってるとおり、「世間を煙にまいて楽しんでる」というのが本当の
     ところじゃないか?
八    永田町や、永田町的政局話にうつつを抜かしている世界で言われて
     いるほど、世間じゃ「石原新党」にインパクトはありませんやね。
     ワイドショー政治なんて悪口を言うヤツもいるけど、小泉に対して
     期待した(支持率)からこそ当事者意識をもって責任・職責を問う
     となっている有権者の多数は、ヤジ馬気分で「ナントカ新党」なん
     て話はしてませんからね。
熊    そうだよな。政党政治がなかったんだから、当事者意識をもつって
     ことが、ワイドショーから始まったってことの、どこが悪いんでぇ。
     むしろ「分った」ようなことを言ってるヤツほどが、当事者意識も
     なけりゃ責任意識のカケラもないってことが、そこらじゅうで起こ
     ってるんじゃねぇか。
     俺らの世界じゃもっぱら、これまでは政治っていうのは一部の特定
     の人間がやるものだと思ってきたが、結局、個別利害を求めないわ
     れわれが自分たちの代表をつくる以外にはないんだって話になって
     ますよ。
八    そういう代表がいないから参加しない・投票にいかないってえと、
     ますます利権分捕り合い政治が横行して、ますます日本再生のため
     に残された時間とカネが食い散らかされるってことも、肌身に感じ
     るようになりましたよ。百兆もブチ込んでこのザマなんだから。永
     田町はどうしようもないと、政治をクサしているヒマがあったら、
     われわれの代表をつくるために何をなすべきか、考え・行動しよう
     ってことでさぁ。
ご隠居  政官業の癒着・利権分捕りあい政治を終わりにするためには、遠回り
     のようでも、自立した有権者が自分たちの代表をつくる、つまりそ
     ういう政党をつくるということ以外にないということじゃ。永田町
     的政局の小話にうつつを抜かすよりも、じっくりと主権者の成熟を
     仕込むときじゃよ。
熊    そう言やぁ、今年秋にはまた補選があるんですよね。横浜市長に転
     身した中田さんのところを除けば、加藤、辻元、井上(参)と、利
     権分捕りあい政治を終わりにするための攻防戦を構えるっていう性
     格で、きれいにそろうわけだ。
八    これに鈴木も入りゃ、もっとはっきりすらぁ。
ご隠居  沖縄県知事選挙も忘れるでない。ここも鈴木がらみ、依存と分配の
     ウミを出すかどうかで鮮明にせねばならん。さっきも言ったように、
     今の対立軸は、透明性とアカウンタビリティー、責任と信頼じゃ。
     それを「体質の違い」として鮮明にだせるかどうか。この格好の予
     行演習の舞台が、この秋の補選ということになるわけじゃな。
熊    有権者もはっきり、その目線でかまえなきゃならないってことです
     ね。それにふさわしい候補者をどう選んでいくかというところから、
     参加しなけりゃならねぇってことにもなりそうだ。
八    有権者の「変えたい」は、この間の学習効果のおかげで、「何を」
     「どう」変えたいのか、相当はっきりしてきているんだ。それを「
     風」にすりかえるような選挙だけは、やっちゃならねぇ。
ご隠居  有権者の「変えたい」の未成熟が、細川政権の時には、永田町の数
     合わせに足をすくわれた。小沢・反小沢という永田町の論理ででき
     た自社さ政権は、自民党政治の延命に道を開き、新進党の解党で、
     有権者の「変えたい」は行き場を失った。その閉塞感が森・自公政
     権で臨界寸前となったところで、「自民党を変える、日本が変わる」

     と小泉が登場したわけじゃ。ここで、これまで行き場を失っていた
     国民の「変えたい」が、もう一度集約されたわけじゃ。だから、小
     泉政権に対する批判・追及は、「他人事」ではないのじゃ。政権問
     題を自分のこととして考えるというところに入ったから、小泉がこ
     の顛末でも、政治不信には戻らん。主権者としての未成熟ゆえの、
     期待―ガッカリ―不信というサイクルを脱しつつあるのじゃ。
熊    だから、小泉に期待したけどやっぱりダメだ、かといって民主党に
     期待できるのか? という他人称ではなくて、われわれの代表をつ
     くろう、そこに永田町を巻き込もう、という話になるわけだ。
八    秋の補選に続いて、来年春には統一地方選挙だ。地域コミュニティ
     ーのなかでしっかりと、責任と信頼を築いていくことが政権交代の
     基盤だ。「彼らとは透明性とアカウンタビリティーが決定的に違う」
     というものを、国政からコミュニティーまでトータルに示していく。
     そうやって、われわれの代表をつくっていこう。
熊    「変えたい」をそこへ絞り込んで、政権交代の基盤を打ち固めよう
     ぜっ。
 
□◆□ お知らせ □◆□
□第39回定例講演会
「日本経済再生の構想〜小泉でもなく亀井でもなく〜」
大塚耕平・参院議員、民主党政調副会長
5月13日(月)午後6時30分より
日本青年館301室(JR「千駄ヶ谷」より徒歩約7分)
参加費・一般2000円/会員1000円
講師プロフィール/1959年生まれ。日銀政策委員会調査役。昨年参院選で初当
選。「論座」5月号に、「さようなら小泉流改革」を共同執筆。
 
□第15回 東京・戸田代表を囲む会
「東アジアのなかでこれからの日本のモノづくりを考える」
ゲストスピーカー・真野博司氏(産業立地研究所長)
5月18日(土)午後5時より
民主統一同盟東京事務所
参加費・4000円(飲食付)
事前のお申し込みが必要です(03-5215-1330まで)。
 
□ブックレット/シリーズ「われわれの構造改革」発刊中(各300円)
 
*家族と労働をとらえ直す/野川忍氏(学芸大学教授)山田昌弘氏(学芸大学助
教授)のトーク。山田久氏(日本総研研究員)のインタビュー
*東アジアにどう生きるか/中西寛氏(京都大学助教授)李鍾元氏(立教大学教
授)武正公一(衆院議員)原口一博(衆院議員)によるパネルディスカッション
 
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石津美知子 Email:ishizu@ganbarou-nippon.ne.jp
民主統一同盟 「がんばろう、日本!」国民協議会
http://www.ganbarou-nippon.ne.jp
TEL:03-5215-1330 FAX:03-5215-1333
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