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 メルマガ♯がんばろう、日本!         ・23(01.11.22)
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 ■ 死せるものをして死せるものを葬らしめよ
   「さあ、ぶち壊そう! コイズ○の挑戦に力を」
   □ ショウの幕はあがったか?
   □ ハゲタカ・ファンドの高笑いが聞こえる?

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  ■ 死せるものをして死せるものを葬らしめよ
   「さあ、ぶち壊そう! コイズ○の挑戦に力を」
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□ショウの幕はあがったか?

熊   小泉劇場はいったいどうなってるんだい。小屋が建ってもう半年にも
    なるのに、幕は下りたまま。いっこうにショウが始まる気配がねぇま
    ま、待たされてるほうはたまんないぜ。
八   そのうえ、幕の向こうじゃ「あやしげな芝居」をしてる。ひとつは、
    例のテロ特別法の党首会談。首相と野党第一党の党首が会談するって
    のに、首相の判断を連立与党の合意が縛った。民主党も「お子様ラン
    チ」だが、首相の判断よりも連立の枠組みを優先させるというのは、
    文字通り「党利党略」以外のなにものでもねぇや。まあ、「靖国」問
    題で、首相自ら蒔いた種を解決しなけりゃならなかったことのリスク
    でもあるがな。
熊   もうひとつのあやしげな芝居は、例の選挙制度いじりだ。公明党は一
    時、パキスタン視察やPKO協力法見直しなどを「人質」にとってま
    でこれを通そうとしたが、さすがにそこまで露骨なことはできなかっ
    た。政治を連立政権の党利党略の道具にするなんざぁ、言語道断だ。
八   そういうことで言やぁ、自社さ連立以降の自民党政治は、政権を手放
    さないためには何でもアリ、公明党だろうと「痛みのともなう改革」
    だろうと、他人の生き血にとりついて生き延びるために手段を選ばず、

    ってことだよな。
熊   この調子でいきゃあ、「骨太改革」だって、与党の枠組みのなかで骨
    抜き・骨なしになっちまうのは目にみえている。テロ対策が一段落し
    たらもう、道路公団や住宅公庫など、特殊法人改革に対する「抵抗勢
    力」が、いっせいに動き出した。
八   石原の息子も、「抵抗勢力」に詫び状を入れる始末だ。二次補正とバ
    ーターにして抵抗勢力をなだめて、とりあえず「特殊法人見直し」を
    いくつかやったことにするって策もあるらしいが、それじゃ結局、ツ
    ケ(赤字)は税金で尻拭い・オイシイところは民営化でつまみ食いっ
    てことになるな。
熊   小泉の覚悟が試される。例えば焦点の道路公団で言えば、建設計画を
    見直す、つまり過去の政策決定に手をつけるのか、それをせずに民営
    化なら単なる帳尻あわせだ。今や小泉は、「構造改革」さんからshow 

    the flagと迫られているわけだ。
ご隠居 ほれほれ、そうやってショウは始まりかけておる。「抵抗勢力」さん
    のおかげで、役者が揃いつつあるわけじゃ。問題は、幕の後ろのあや
    しげな芝居をやめて、観客の目の前でやることじゃ。小泉が、政策決
    定を内閣に一元化するために、与党による事前承認の廃止を検討する
    ように指示したそうじゃが、これは自民党政治なるものを壊すうえで
    なかなか重要なポイントじゃ。
八   改革を掲げた総理大臣をいくら国民が支持しても、与党がそれを骨抜
    きにしたり潰したり、という仕組みの根っこには、内閣と与党という
    政策決定の二重権力構造があるってことか。
熊   そういや、第二の敗戦以降の「政治の閉塞」ってのは、選挙での民意
    とは関係なく、党利党略でひっついた「連立与党」ってやつが抵抗勢
    力の牙城になってきた、とも言えるな。でも議院内閣制ってのは、与
    党が政府に責任もつってことじゃねぇんですかい?
ご隠居 だからこそ、与党の幹部は裏で政策決定にちょっかいをだしたりせず
    に、政府の一員としての責任で政策決定にかかわらねばならんのじゃ。

    与党の合意とやらが政府の決定より上にあるというのは、おかしな話
    なのじゃ。まるでどこかの共産主義国家みたいじゃないか。政府はあ
    っても実際の権力は党が握っているというのは、中国共産党も自民党
    も同じじゃよ。
八   だから中国共産党は自民党を、一党独裁のまま国民政党へ変身するう
    えでのモデルと見ているわけだ。
熊   このあいだの講演会(11/6 ジェラルド・カーティス氏と枝野、野田、

    達増の各衆院議員 272号掲載予定)でも、そんなことが言われてた
    な。政権をとったら、与党は政府として政策決定に責任をもつ。党は
    政策決定に口は出さず、選挙キャンペーンや組織づくりに専念するっ
    て。与党と政府という二重構造のなかでは、責任がどこにあるのか、
    あいまいになる一方だ。
八   特殊法人改革の焦点も、ひとつは過去の決定・計画を見直す=変える
    ということがともなうのか、それがなければ帳尻合わせで、ツケは国
    民に、オイシイところだけいただくという「民営化」になる。それと
    もうひとつ、ずっと通底している問題として、内閣主導の政治決定=
    与党の事前承認排除に踏み込む、その突破口になるかどうか。踏み込
    んだ場合には、それが政界再再編の起爆剤になる可能性もあるってこ
    とですね。
ご隠居 党議拘束を外すことも考えるべきじゃろ。なにせ今の「政党」は、考
    えも路線も反対のものが同じ看板をかかげているのじゃから。これで
    は政党政治にはならんわな。
熊   党首討論じゃ、「抵抗勢力は小泉を変えないと自民党は潰れると思っ
    ているようだが、小泉を変えたら自民党はダメになるということが分
    かってない。小泉を変えてまで、改革に反対する覚悟があるのか!」
    と大見得を切ったな。
    小泉に改革ができるかどうか、ではなくて、「改革断行」へ小泉が元
    気よく居直るように、国民世論のほうがしむけていかなければならぇ
    ってことだな。
ご隠居 キーワードは「責任の回復」じゃ。政府と与党という二重構造で、権
    力を発動しない(できない)ままでは責任も問われない。「全会一致」

    というのもそうじゃ。これは民主主義ではない。9月23日にも繰り返
    し言われているが、民主主義とは意見・利害の違いを明らかにした上
    で、それを討論を通じて合意形成していくことじゃ。そのなかで初め
    て「パブリック」が明らかになる。全会一致ではそもそも、違いを明
    らかにするどころかあいまいにする。それは、カネやポストで取引き
    する以外にないわな。それでは民主主義とは縁もゆかりもないし、パ
    ブリックとは関係ない私的な利害だけの話になる。
    それが政治決定のシステムとして完成されたのが政府・与党の二重構
    造。これが利権配分政治のシステムだということじゃ。ここに手をつ
    けずしては、どんなに立派な「改革のメニュー」も骨抜き・換骨奪胎
    にしかならない。
    法案の与党事前承認の廃止、道路建設の公費投入中止、七公団の廃止・

    民営化など、五十五年体制の与野党含めた、利権分配政治のメカニズ
    ムを具体的に壊す、そのハードルが特殊法人改革のなかで設定され始
    めたということじゃ。小泉の「さあ、変えよう」を、「さあ、ぶち壊
    そう」へ押し込んで、ショウの幕をにぎやかに上げるということじゃ
    な。
熊   そいつは、政党政治の基盤整備ってことですね。権力システムで言え
    ば、政策決定の一元化、有権者レベルで言えば、異なる意見や利害を
    明らかにしたうえでそれをまとめる・合意を計るすべを持てと。言い
    っ放し、他人の意見を聞かないは、論外で―まだこのレベルが多いが、

    異なる意見を聞く耳を持つことができるだけではなくて、それを包摂
    できるレベルへ自分の意見を深めて返すという作法が身につかないと、

    なかなか難しいってことだ。
八   「公共の利益」ってところから物事を判断して意見を持つっていう習
    慣を身につけるってことじゃねえのか。心情倫理ではなく責任倫理で
    ってことも、そういうことだろ? 政治家ともそれで会話しろってこ
    とだな。支持者ヅラするんじゃなくて。


□ ハゲタカ・ファンドの高笑いが聞こえる?

しし座流星群に世間が浮かれていたある夜更け、ゆうひ銀行(“あさひ”ではご
ざいません、念のため)の頭取室に、あやしげな連中が集まっております。なに
やらヒソヒソ話が聞こえてくるようで・・・

「この間の日米首脳会談、小泉はテロ対策での対米協力で点数を稼ごうとしたら
しいが、ブッシュ政権の対日要求の第一位は、依然として不良債権の処理だ。こ
れをやらなければ、どんな安全保障上の施策も無意味になる、とまで言っている
高官もいる」
「アメリカの景気は、テロ以前から後退局面に入っていたが、911で決定的にな
った。もともと極度に低い貯蓄率がそう簡単には上がらないし、消費も回復しそ
うもない。となると、外からカネをつぎ込まなければならないわけだ。そこで日
本の不良債権処理が、さらに大きな意味をもつようになった」
「これまでは、日本の不良債権がお荷物だから早く処理しろということだった
が、これをビジネスチャンスに変えようということだな」
「長銀や山一、債銀の処理では、いろいろとオイシイ話がありましたよね。なに
せ負債はぜーんぶ税金で処理したうえで、二次損失の補填など瑕疵条項なんてい
う持参金もついていましたからね」
「査定もできない、損失の確定もできない、敗戦処理のケジメもつけられない日
本では、赤子の手をひねるより簡単でしたよ」
「今度はもっと大掛かりにね。なにせ、不良債権を三年以内に処理するというの
は、小泉の公約ですから。まずはRCC(整理回収機構)に、どんどん不良債権
を買い取らせる。それと株式買い取り機構で、銀行が保有している株を買い取ら
せる。日銀からは100兆円くらい出させればいいだろう。長銀や山一の時の一時
国有化を、もっと大胆にやるということだ」
「そうやってRCCが買い取った不良債権を、デフレのうちにRCCの買い入れ
価格よりもさらに安く買い叩く。RCCなんてドシロウばかりだし、日本企業は
不良債権処理で余裕がないうえ、そもそも投資の目利きなんかできないんだか
ら。どんなに安くてもわれわれが買い取らなかったら、RCCはゴミ箱になるだ
けなんです。感謝されこそすれ恨まれる筋合いはありません」
「長銀の時も宮崎シーガイアの時も、ずいぶんお買い得だった。しかも債権者の
側で損失をなるべく少なくするFA(財務相談役)と、債権を安く買い叩く投資
家側の両方で暗躍するという手もあったし。アメリカじゃ、民事訴訟に持ち込ま
れたら絶対に負ける、こういうボロい手は使えませんがね」
「まあ、あまり手の内をベラベラしゃべらないほうがいいですよ」
「日銀が100兆も印刷すれば、そのうちインフレのほうに振れる。そうすれば、
安く買い叩いた不良債権が、こんどはいい値で売却できるってわけだ。場合によ
っては、土地ならインテリジェントビルやマンションを建てて、事業会社なら不
採算部門を損切りして、もっと高値で売り抜けるという手もあります」
「産業再生って言えば、日本人は大喜びですよ。われわれのことをハゲタカ・フ
ァンドなんていう連中には、産業再生なんてできないんですから。金融鎖国をす
るなら別ですがね」
「そうやって、不良債権ビジネスで、濡れ手に粟でカネがアメリカに回ってくる
仕組みをつくろうというのが、じつはブッシュ政権のホンネというわけか」
「思い起こせば、85年のプラザ合意の時も、日本はいわば金庫のカギをアメリカ
に渡したようなものでしたな」
「せっせとためこんだ貿易黒字を自分じゃ使えないんだから、われわれが有効利
用してあげたんですよ。あの時は米国国債をしこたま買い込んでもらって。おか
げで双子の赤字にもかかわらず、大核軍拡を展開してソ連を崩壊に追い込めた。
冷戦崩壊のための立派な投資じゃありませんか」
「通貨や財政、金融について主権という考えがないんですから、しかたないです
ね。ミスター・ミヤザワはその象徴でしょうな」
「ユーカリ(マイカルではございません、念のため)の破綻では、またしても金
融庁の検査のお粗末さが露呈しました。わずか三ヶ月で格付けが四段階下がった
が、金融庁では「破綻懸念先」ではなく「要注意先」とされていたんですから。
おまけにこれを「きわめて異例な突然死」として、検査の強化のために「市場の
シグナル」を導入した。これはもう、笑い話です」
「市場のシグナルなんぞは、だれもがアクセスできる情報で、しかも風評や思惑
も含まれる。金融庁は市場秩序の番人として、市場より多くの正確で有力な情報
を把握できる特権をもっているはず。だからこそ、その判断に信頼性も生まれる
はず。それを自ら責任放棄するようなやり方ですからね」
「米英の金融監督当局では、日本の金融検査官がその存在を否定されたようなも
のだと同情しつつ、政府の責任放棄を嘲笑していますよ。こういうことが続くか
ぎり、われわれの出番はますます多くなる」
「そうです。ハゲタカ・ファンドなんていう奴らは、負け犬の遠吠えか、自分の
カネを自分で使う能力もない禁治産者だということです。われわれこそが、日本
の不良債権処理の救世主ですよ」
「まあ、アメリカの景気が回復すれば、日本にもおこぼれが回ってくるわけです
からね」
「こんなことでは、日韓自由貿易協定とか、IMFのサブ機構としてのAMFな
んか、夢のまた夢、見果てぬ夢でしょうな。中国がASEANの一部と自由貿易
協定の検討に入りましたが、このままいくとやはり、経済も米中でうまく仕切る
ということになるんでしょうね」
「最近の日中貿易摩擦は、八十年代の日米貿易摩擦を彷彿とさせます。でもアメ
リカは、日本の挑戦をチャンスとしてIT革命でより強くなったが、いまの日本
にはとても、中国の挑戦をチャンスにするような経済産業戦略があるとは思えま
せんね」
「われわれハゲタカ・ファンド、じゃなかった、不良債権処理の救世主たる投資
銀行団としては、いまが稼ぎ時ということです。合理的な損きりさえできない経
営者、査定さえまともにできない金融監督当局、責任をあいまいにして逃げ切ろ
うという連鎖が今後も続けば、不良債権処理は遅々として進まず、アメリカのフ
ラストレーションは高まって、外圧トリガーが早晩引かれることになります。い
ずれにしても“大胆”な“痛みのともなう”処理につっこまざるをえなくなるわ
けです。要するに税金を使うしかないということです」
「同じ税金を使うなら、私なら将来性のある社会投資に使いますけどね。その場
しのぎのタレ流ししかできない連中に、国庫を預けた国民は、不幸ですなぁ」
「でも、そういう連中に国を任せたのも、国民ですからね。そういうことを問わ
ないで、私らをハゲタカ・ファンドなんて言ってる間は、市場の規律も自己責任
も、信頼もわかりっこありません」
「高い授業料を払わされているわけですなぁ」

翌日、永田町界隈では、サルが出没。警察の大捕り物にもかかわらず、結局見失
ったとのこと。聞くところによると、サルはこんなビラを撒いていたそうな。

《サルでも分かる失政15年》
1. プラザ合意に象徴される「主権なき財政・金融政策」
2. 宮沢蔵相に代表される売国的(無責任)財政・金融政策のタレ流し
3. 住専処理をネジ曲げた「政治」の介入
4. アジア金融危機と「第二の敗戦」の戦後処理で、さらに自らを見失った虚ろ
5. 不良債権処理を個別行の経営責任問題から、日本経済のシステミックリスク
へ「高めた」のは誰か(柳沢金融担当相は象徴人格)

さて、ハゲタカ・ファンドにご指南をお願いにいくようなドバトには、憤りとい
うものはございませんが、サルには、国民の生命・財産を護るという国家の役割
を放棄したドバト政治家や経営責任さえ取れないドバト経営者への、憤りがある
ようでございます。
そのサルいわく。「コイズミをして、死せる自民党政治=利権分配・総無責任・
亡国連鎖をぶち壊す一歩とせよ。死せるものをして死せるものを葬らしめよ」。




□◆□ お知らせ □◆□
・機関紙「民主統一」は、11月号より「日本再生」と改題しました。今後ともよ
ろしくお願いします。
・ホームページに「サンチョパンサの日記」を掲載(近日中)。機関紙では紹介
しきれない活動を、画像で紹介します。

◆望年会
12月24日(祝・月)午後4時より 民主統一同盟東京事務所
会費・2000円

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民主統一同盟 http://www.ganbarou-nippon.ne.jp
石津美知子 Email:ishizu@ganbarou-nippon.ne.jp
TEL:03-5215-1330 FAX:03-5215-1333
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